信頼性の高い登山用品を数多く販売しているMSR。
MSRのガソリンストーブは日本でも有名ですが、ガスストーブは一部のマニアが並行輸入品を使う程度でした。
しかし2020年4月4日、ついにMSRのガスストーブのうち2種類(「ウィンドバーナーパーソナルストーブシステム」と「ポケットロケット2」)、そしてMSRファンなら喉から手が出るほど欲しかった真っ赤なガス缶(イソプロ缶)が、日本国内で正規販売されることになりました(一部店舗のみでの先行発売)。
先行発売になったのを知ったのが2020年4月5日の朝。
「すでに店頭の在庫はないかも」と思いながらも、開店と同時に先行発売対象店舗に出かけると、2種類のガスストーブはまだ両方とも在庫がありました。
専用イソプロ缶も在庫は潤沢。
というわけで、ガスストーブ両方ととイソプロ缶を購入(予算は未来の自分からもらいました。要するに、クレジットカードです)。
今回は、購入した2種類のうちガス缶直結の一体型ガスストーブである「ポケットロケット2」を紹介します。
日本国内で正規に発売されて時間がたっていないため、私自身も山ではまだ使っていません。
したがって、ここで紹介する内容は速報的なもの、つまり「ちょっと触ってみて分かったこと」です。この点はあらかじめご了承下さい。
概要
メーカーの公式動画を見ていただくと、ポケットロケット2の大きさや使い方がよく分かります。
MSR PocketRocket™ 2 Ultralight Stove
仕様
▲ポケットロケット2のパッケージ(ポケットロケット2本体は、結束バンドで台紙に固定されています)
製品名: ポケットロケット2(PocketRocket 2 Stove)
メーカー: Cascade Designs, Inc.(アメリカ)
サイズ: 3.4cm×4.4cm×7.9cm(カタログ値)
重量: 73g(ケース、ガスカートリッジを除くカタログ値)、104g(本体とケースの合計。実測値)
最高出力: 2,143kcal/h
沸騰時間: 1リットルを湧かすのにかかる時間は3.5分(カタログ値)
燃料: 専用イソプロ
生産国: 韓国
アメリカでの価格: $44.95 USD前後
購入価格: ¥7,500(税抜)
購入先: 好日山荘 姫路駅前店
備考: 専用ハードケースが付属します。
外観
パッケージ下部にある帯を取ると、その下には樹脂製の真っ赤なハードケースが入っていました。
▲パッケージ内の様子
▲専用ハードケースと、折りたたまれたポケットロケット2
▲ガス缶をねじ込む部分に被せるように火力調節用のワイヤーハンドル(取扱説明書での表記は「フレームアジャスター」)を格納できる
専用ハードケースに収納すると、下の画像のようになります。
このハードケースはコンパクトで、携帯性は抜群。
110gサイズのガス缶が入る場所なら、収まるようです。
▲ポケットロケット2を入れたハードケース
▲ハードケースの大きさ(110gのガス缶との比較)
▲ハードケースは、エバニューのチタンカップ400 FDにも収まるサイズ
▲ケース内には、MSRピエゾイグナイターも収納できる
ハードケースの底部には穴が開いていますが、何のためのものか分かりません。
ポケットロケット2が濡れた状態で保管しても大丈夫なように、換気/水抜き用として開けられているのかな。
▲ケース底部の穴
使い方
火力調節用のワイヤーハンドルを展開してからガス缶にポケットロケット2をねじ込み、五徳を広げるだけです。
この五徳の展開方法が面白い。回転の軸が2つあり、ややこしい動きをするのです。
しかし、五徳は華奢な感じが全くなく、がっしりしているのがMSRらしいところ。
▲五徳が閉じた状態
▲青矢印の軸を支点に五徳を上に回す
▲青矢印の軸を支点に五徳を広げる
▲五徳と火力調節用のワイヤーハンドルを広げた状態
▲110gサイズの専用イソプロ缶にセットした状態
レギュレーターや電子着火装置といった“今時の”仕組みは備わっていません。
逆に言えば、余計なものを全て取り払って軽量、コンパクト化された頑丈な製品です。
唯一の(?)工夫と言えば、バーナーヘッド(燃焼部)にあるウィンドクリップ(WindClip)かな。
バーナーヘッドを(真上から見て)3つの区画に分割するような形状になった部品で、風に吹かれても、3つの区画のうち少なくとも1つの区画は炎が残るようにするためのもの。
▲ウィンドクリップ
火力調節用のバルブは、完全に閉じた状態から全開まで1回転強(400度ほど)という調節幅です。
最後に
シンプルな作りなので頑丈。しかも小型軽量と、私の好みにぴったり合う製品です。
しかし、私にとっては気にならなくても、他の方にとっては困るかも知れない特徴がポケットロケット2にはあります。
それは、大きな燃焼音。
ポケットロケット2は、名前の通り「シュゴー」という男らしい爆音で燃えてくれるのです。
Amazonで買った安価なデジタル騒音計が家にあるので、それを使って燃焼音を測定してみました。
屋外で、騒音計のマイクを燃焼部のすぐ横にもっていって測定した値です。
騒音計は手持ちでしたので、マイクの向きや燃焼部との距離が一定に保てないという“いい加減な”測定ですから、参考程度にご覧下さい。
ポケットロケット2の場合、バルブを「開」方向へ90度回した時の燃焼音が約90デシベルでした。
比較対象として、人気のあるSOTOのレギュレーターストーブ「ST-310」の騒音も測ってみました。
ST-310は「シュボー」という静かな音で燃え、ガスが出てから180度バルブを開いた時の燃焼音が約77デシベル。
数字で見てもピンとこないと思いますので、環境省が公開している「騒音の目安(都心・近郊用)」の内容で見てみましょう。
ポケットロケット2の90デシベルという音の大きさは「パチンコ店内」と同等で、ST-310の77デシベルは、「地下鉄の車内」や「航空機の機内」と同等だそうです。
ポケットロケット2は、火力を強めるとかなりうるさいので、使う場所や時間帯にはご注意下さい。
関連情報
「ポケットロケット2」という名前を見て「それじゃぁ、ポケットロケット1があったのか?」と思われるかもしれません。
答えは「はい」です。
数字は付いていませんが、「ポケットロケット」という製品がありました。
新旧のポケットロケットを比較してみましょう。
まずは展開時のサイズ。
新旧とも、同じようなサイズです。
▲左がポケットロケット2、右は初代ポケットロケット
収納状態を見てみましょう。
五徳の折りたたみ方式が変わってコンパクトになったため、こちらはポケットロケット2の圧勝です。
▲左がポケットロケット2、右は初代ポケットロケット
専用ハードケースも、ポケットロケット2の付属品の方が小型です。
▲左がポケットロケット2のケース、右は初代ポケットロケットのケース
初代ポケットロケットに興味のある方は、過去に初代を当ブログで紹介したときの記事を、以下のリンクからご覧いただけます。