概要
本日は、私が住む姫路に置かれた陸上自衛隊姫路駐屯地の創立73周年記念行事が開催されます。
いつもなら自転車で駐屯地へ出かけて、155mmりゅう弾砲の空包射撃による轟音を全身で味わっていますが、今年は変化をつけて「山の上から自衛隊の訓練展示を見よう」と考えました。
駐屯地方面を見渡せて手軽に登れる山として思い浮かぶのは、増位山(ますいやま)。
西尾根と呼ばれる尾根の肩付近には、南方面を広く見渡せる展望地があるのです。
▲増位山西尾根から見た155mmりゅう弾砲の空包射撃*1
訓練展示の様子を見下ろすことに加えて、2024年11月8日に公開された綾瀬はるか主演の映画「ルート29」のロケ地の一つとなっている増位山随願寺(ずいがんじ)裏の撮影場所がどこなのか知ることも今回の目的です。
上記2つの目的を果たすための行程は、次の通りです。
- 随願寺の駐車場に車を置く
- 駐車場から北へ進み、ロケ地と思われる場所を探す
- 増位山東尾根コースでいったん麓へ下りる
- 西尾根コース南端の大年社から再度入山
- 尾根の肩で訓練展示を眺め、昼食
- 西尾根を登って駐車場へ戻る
▲対応する地形図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「姫路北部」
▲カシミール3Dで作成したルートの断面図
姫路市街から駐車場へ
09:40
姫路市街の自宅を車で出発。
姫路城の東を南北に走る県道518号線(野里街道)を北上し、競馬場の北東にある「白国」交差点を右折。
「白国」交差点からおよそ700mの「随願寺入口」交差点を左折して少し走ったら、「増位山随願寺 1.8km」の案内標識に従って右折し、坂道を登っていきます。
10:05
坂道を登り切ったところに広い駐車場があるので、そこに車を置きました(地図中「P」)。
▲広い随願寺駐車場
https://goo.gl/maps/BDVvPFNRLPNPc5jx5
▲随願寺の駐車場の位置
ロケ地探し
10:10
準備が整ったので出発。
2024年11月8日に公開された、国道29号線を舞台にした映画「ルート29」に関して、「ルート29ロケ地マップ」の配布が同年10月28日に開始されました。
その中で「ハルの秘密基地」の撮影場所が「随願寺裏の増位山」と書かれています。
▲「ルート29ロケ地マップ」から抜粋
増位山の中でこんな場所があったかなと色々と思い出していたら、蛇が池(じゃがいけ)からまっすぐ北へ延びた道の先がこんな荒れ地のような場所になっていたような気がして、そこを見に行くことにしました。
駐車場から北に出たら、大きな池のある公園(増位山山上広場)に入ります(地図中「蛇が池」)。
この池が蛇が池で、その東側を北へ延びる道を進みました。
▲蛇が池を左に見ながら北へ進む
蛇が池の北端で「随願寺裏道」を示す道標が東を指していますが、それを無視して直進。
道標も何もありませんが、林道跡のような幅が広い道です。
▲ここを直進
▲地形図で庭園路として描かれているだけあって幅が広い
10:20~10:25
思っていた通り、ロケ地マップの画像に似た荒れ地が広がっていました(地図中「ロケ地(?)」。
ロケ地マップの画像には、左奥に十手のような形をした木が生えており、それが良い目印になると思って周辺を捜索。
すると、それっぽい場所に出ました。
十手のようなカギ型の枝が右へ飛び出した木が生えており、そのすぐ側にこんもりとしたふくらみがあります。
頭上には木の枝が張り出していて、ロケ地マップの画像のように上から小物を吊り下げることも可能。
▲ロケ地マップの画像に似た場所
石も転がっており、角度を調整すればロケ地マップの通りになりそうですが、どこにも撮影場所の細かい情報が発表されていないので、ここが正しいのかどうかは不明です。
実は私はまだ映画を見ていません。映画を見ていれば、たった1枚の写真だけを頼りに探すよりも見つけやすいかも。
ちなみに、「ハルの秘密基地」は「ルート29」のポスター画像にも使用されているとのこと。
ハルの秘密基地は、随願寺裏の増位山の中で撮影🎬
太陽の光が空間にスッと差し込み、青々とした葉っぱを照らす、ひっそりとしていて、ハルが作り上げた特別な秘密基地。
監督のイメージにもっとも近いロケーションが見つかりました🌱🌞
青葉バックのロケーションは、
作品のポスタービジュアルにも採用されています😊(出典:Instagramアカウント「心で旅する姫路 Presented by 姫路FC」(@himejifc)2024年11月29日の投稿)
とりあえず一つ目の目的を果たしたことにして、東尾根ハイキングコースでいったん下山することにします。
駐車場から東尾根ハイキングコースを通って下山
駐車場(地図中「P」)に戻り、駐車場南端の公衆トイレ脇の階段を登って随願寺を目指しました。
▲随願寺駐車場南端の公衆トイレ脇から階段を登る
▲榊原忠次墓所(手前)の前を通って、随願寺本堂(奥)を目指す
随願寺本堂前から石段を下り、鐘楼の右からさらに石段を下ります。
▲鐘楼の右から石段を下る
池に突き当たったら左に曲がり、梅園(地図中「梅園」)へ。
▲梅園に向かう
▲道標に従って右折
▲道標に従い、防獣ゲートに守られた梅園内を通り抜ける
10:37
榊原政邦と夫人の墓所*2の前を通過(地図中「榊原政邦夫妻の墓所」)。
▲榊原政邦と夫人の墓所
墓所の前を通って左に進み、道標に従って「く」の字型に右後ろへ曲がれば、東尾根ハイキングコースに入れます。
▲東尾根ハイキングコースの様子
10:42
古墳展望台のある三叉路に来ました(地図中「古墳展望台」)。
この三叉路は右へ。
▲古墳展望台のある三叉路を右折
10:45頃
増位山山頂へ登る道と、西側を巻く道の分岐に出会いました。
今日は先を急ぐ(自衛隊の訓練展示が11:30に始まるので、それまでに西尾根の展望所に行く必要がある)ため、山頂へは行かず巻き道を選びました。
▲増位山山頂に登らず、巻き道を通過
10:51
反射板の裏を通過(地図中「反射板」)。
陸上自衛隊の駐屯地が見えたのでグラウンドの様子をうかがうと、観閲行進の真っ最中といったところ。
▲反射板の後ろを通過(駐屯地のグラウンドが見える)
10:58
姫路支線22番鉄塔を通過(地図中「姫路支線22番鉄塔」)。
間もなく、直進と右折の三叉路に出会いました。
道標が立っており、右を差して「登山口」となっています。
下山したいので、ここは右折。
▲「登山口へ」の道標に従って右折
擬木階段が設置された坂を下り、しっかりした木製の橋で沢を越えたら、谷に沿って南西へ下っていきます。
▲谷間の道の様子
11:07
「蓑塚と姫路風羅堂の俳人」と書かれた看板の立つ削平地に出会いました(地図中「旧風羅堂跡」)。
ここは、松尾芭蕉の弟子が芭蕉翁50回忌(1743年)に立てた俳諧道場「旧風羅堂(ふうらどう)」の跡地。
「旧風羅堂」となっているのは、風羅堂が老朽化したたため100回忌の際、別の場所に新たな風羅堂が建てられたからです。
▲旧風羅堂跡(姫路の俳諧師「井上千山」の墓や、姫路藩主酒井忠恭の句碑などもある)
「蓑塚と姫路風羅堂の俳人」の看板から北へ下る道に入り、昔の人たちが随願寺にお参りする際に通ったであろう古い道に下りてきました。
道沿いには丁石を兼ねた石仏があり、かつてはこの細い道が往来の多い道だったことをうかがわせます。
随願寺念仏堂(地図中「旧風羅堂跡」のすぐ下にある寺院の地図記号)前を通過。
▲随願寺念仏堂
11:13
城北支線5番鉄塔の下を通過(地図中「城北支線5番鉄塔」)。
旧道から増位山ドライブウェイに下りてきたら、ドライブウェイを渡って50m北の角を左に入ります。
▲ドライブウェイを渡って北へ進み、左へ曲がる
住宅街の中の細い道を200mほど西へ進んだところにあるのが大年社。
西尾根ハイキングコースの入口です。
西尾根ハイキングコースで展望所へ
11:19
尾根の先端にある大年社に到着(地図中「大年社」)。
▲大年社は西尾根ハイキングコースの入口
ここからコンクリート階段を少し登ると、地形図で神社の記号が描かれた場所付近に基壇が残っていました。
大年社はかつてこの場所にあり、何らかの理由で現在の位置に移されたのでしょう。
▲かつて大年社があった場所(?)
古い基壇を過ぎるとごつごつした露岩の道になりますが、それはすぐに終わってなだらかな道に変わりました。
▲西尾根ハイキングコースの序盤はなだらか
11:27
城北支線4番鉄塔の脇を通過(地図中「城北支線4番鉄塔」)。
こんなので標高を上げられるのかと思うような緩い坂でしたが、城北支線4番鉄塔を過ぎて斜度が急になりました。
11:28
姫路南支線21番鉄塔を通過(地図中「姫路南支線21番鉄塔」)。
▲姫路南支線21番鉄塔(手前)付近からは斜度がきつくなる
11:32
姫路支線23番鉄塔横を通過(地図中「姫路支線23番鉄塔」)。
訓練展示は11時30分開始です。まだ静かで何も始まっていないようですが、急がないと。
展望所で訓練展示の見学と昼食
11:36
息を切らしながらなんとか本日の目的地である展望所に到着(地図中「展望所」)。
登山口(大年社)から600mの位置です。
▲展望所の様子(鉄塔の右に訓練展示が行われるグラウンドが見えている)
今日は一眼レフカメラ用に300mmの望遠レンズを持ってきました。
展望所から駐屯地のグラウンドまでは直線距離で1.3kmほどありますから、一眼レフカメラでなければ撮影は不可能です。
普段つけているレンズを外して望遠レンズに付け替え、グラウンドを見てみると車両がグラウンドに続々と入って来るところでした。
▲中砲けん引車が155mmりゅう弾砲FH70をグラウンドに運び込んでいる様子
姫路駐屯地における訓練展示の名物は、多数の155mmりゅう弾砲FH70がものすごい轟音を立てながらドッカンドッカンと行う空包射撃。
アナウンスに注意を払わず何の心構えも無い状態で8門の斉射を間近で見ると、文字通り飛び上がります。
小さな子供は泣き叫ぶし、大人でも油断していると大変。
私が知る限りFH70は8門が最大だったと思いますが、今年は違いました。
よく見るとグラウンドの南西角に、砲口を北東に向けたFH70が1門待機しています。
グラウンドの中央から東端にかけて、8門のFH70が砲口を南西に向けているのと合わせると、FH70は合計9門。
今年は大砲同士の「撃ち合い」というイメージでしょうか。
アナウンスが全く聞こえないので想像しかできませんが、楽しみ。
▲グラウンドに展開した合計9門のFH70
11:45頃
8門による斉射で砲撃戦が始まりました。
一眼レフカメラのファインダー越しだったり、双眼鏡越しだったり、忙しくカメラと双眼鏡を持ち替えながら訓練展示の様子を満喫。
砲口炎が見えてから音が聞こえるまでに4秒ほどかかるため、現場にいる時のような「おもわず飛び上がってしまうような驚き」を味わうことはありません。
▲空包は大量の煙が出るため、グラウンドには煙が立ち込めていた
▲奥にいる敵側のFH70も発砲
最後は82式指揮通信車と16式機動戦闘車が敵陣地に突撃して制圧。
16式機動戦闘車が姫路駐屯地に来るのは初めてかも。
▲主砲を発射した直後の16式機動戦闘車(中央)手振れしてます
12:00
時間通りに訓練展示が終了しました。
さて、ご飯を食べようと思って準備していると、12.7mm重機関銃 M2を連射する銃声が何回も聞こえてきました。展示で空包を使い切れなかったのかな。
さすがに12.7mmだと1.3km離れていても迫力があります。
5.56mmの自動小銃は「遠くで爆竹が鳴っている」という程度ですが、12.7mmはこの距離でも「ズドドドドドドン」と印象的で迫力のある音。
時々銃声や爆発音が聞こえてくる中(←戦場か!)で頂く本日の昼食は、マルハニチロのミックスピザと、ローソンの「まるごとオニオンフライ」、そして同じくローソンの「ハッシュドポテト」です。
ピザはフライパンで焼き、ガスバーナーで表面のチーズを溶かして仕上げたもの。
オニオンフライとハッシュドポテトもフライパンとガスバーナーで温めました。
ピザには、タバスコミニボトルも欠かせません。
▲本日の昼食
ミックスピザの持ち運び方や温め方などは、こちらの記事をどうぞ。
タバスコミニボトルは、こちらの記事で紹介しています。
食後にグラウンドを見ると、装備品展示が行われていました。
双眼鏡で見る限り、展示されていた装備品は10種類*3。
▲装備品展示の様子
(1)03式中距離地対空誘導弾(中SAM)発射装置(LAU)
(2)除染車3形(B)
(3)オートバイ(偵察用)
(4)120mm迫撃砲RT
(5)81mm迫撃砲L16
(6)16式機動戦闘車
(7)81式短距離地対空誘導弾
(8)93式近距離地対空誘導弾
(9)FH70
(10)軽装甲機動車
下山
13:00
ロケ地探しと訓練展示の見学という2つの目的を(ロケ地探しは正しいのかどうか不明ですが)達成したし、小豆島がくっきり見えて四国もうっすらとシルエットが見えるほど澄んだ空気の中で展望も満喫したし、お腹もいっぱいだし、帰るとしましょう。
駐車場へ向けて、展望所から西尾根ハイキングコースを北へ進みます。
緩やかなアップダウンが繰り返される歩きやすい道でした。
▲西尾根ハイキングコースの様子
13:07
5つの椅子が並び、南方面の展望が広がる夏の広場を通過(地図中「夏の広場」)。
13:11
雑木林に囲まれて展望のない秋の広場を通過(地図中「秋の広場」)。
▲展望のない秋の広場
13:14
道標の立つ三叉路に出会いました(地図中「広峯神社・随願寺分岐」)。
オバケのQ太郎みたいな形の道標では「随願寺へ」、木製標柱の道標では「随願寺0.3km」と書かれた方向(右)に曲がります。
▲この分岐を右へ
すぐに蛇が池の南端に出てくるので、そのまま東へ進めば駐車場です。
▲蛇が池の南端を通り過ぎて右へ曲がれば駐車場
13:17
駐車場に到着。
交通アクセス
随願寺まで運行している路線バスなどの公共交通機関はありません。
鉄道を使われる場合は、JR播但線の野里駅が最寄りです。野里駅から随願寺駐車場へは、およそ2.5km。
路線バスを使われる場合は、白国バス停が最寄りです。JR姫路駅北口から白国バス停までは、ダイヤ通りに運行すれば所要時間は15分、運賃は¥250です。バス停から随願寺駐車場へは、およそ2km。
参考情報
- 随願寺周辺に飲料の自動販売機はありません。飲み物や食べ物は、あらかじめ用意しておいてください。
- お手洗いは、随願寺駐車場の南端にあります。ただし、男女兼用のうえ清潔とは言えません。トイレットペーパーもない可能性があります。