播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県加東市の三草山「畑コース」から巨大宗教施設を見る

兵庫県加東市にある三草山。

この山の東麓にはとてつもない規模の宗教施設「念佛宗三寶山 無量壽寺*1」(以下「無量壽寺」)があるのですが、それをじっくり見てみたいなと思って、三草山に東から登る「畑コース」を歩くことにしました。

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▲三草山 畑コース登山道から見た東麓の無量壽寺

三草山の山頂には、三草山城跡もあります。

三草山城趾
 三草山は播磨平野の北東隅にあり、山麓をはしる街道は、古くから、播磨と丹波を結び京の都への要路であった。
 寿永三年二月、平家追討のため、源九郎義経の率いる一万余騎は、丹波小野原の里に布陣し、夜半、民家や山野に火を放ち、三草三里の山中を駆け抜け、一挙に平家の陣に突入した。三草山の西の山口に陣取る小松三位中将資盛、左中将有盛など平家一門七千余騎は、不意の夜討ちに弓矢を取るいとまもなく、もろくも、屋島をさして敗走していった。これが世にいう「三草合戦」と、「平家物語」などの伝えるところである。その後、建武三年、赤松出羽守則友がこの地に山城を築いた。嘉吉元年の騒乱のとき、三草口に赤松方の将宇野能登守国祐が配置され、また、「嘉吉の乱」の後にも、赤松満政、則尚が三草山城で山名方の軍勢と一戦を交えて敗れたことなど、三草山にまつわる歴戦の史である。
 新社町発足二十五周年記念事業として、清水・東条湖県立自然公園のこの地に、「三草山遊歩道」を新設し、住民こぞって郷土の歴史的遺産を保存し、学園都市社町のシンボルとすべく、ここに碑を建立するものである。
 昭和五十五年四月
  三草山に遊歩道をつくる会長
   社町長 石古勲
(出典:三草山山頂にある三草山城趾の碑)

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▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「比延」

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▲カシミール3Dで作成したルートの断面図

09:15
姫路市街の自宅を車で出発。

国道372号線を北東へひた走り、加古川を渡って4kmほど進んだ先にある「嬉野(うれしの)」交差点を右折。

ここからは県道564号線(学園道路)です。

県道564号線を東へ進み、社高校や兵教大付属幼稚園、付属小学校を過ぎた先にある「兵教大付属小東」交差点を左折。

1kmほど北へ進んだところにある「藤田東」交差点を右折して県道17号線(西脇三田線)に入ったら、中国自動車道を左に見ながら県道17号線を東へ。

県道17号線はやがて中国道の下を潜ります。

中国道をくぐってからおよそ2.7kmにある「朝光寺口(ちょうこうじぐち)」交差点を左折。

「朝光寺口」交差点から北東へ延びる道路はやがて大きく左へカーブしますが、そのカーブの終わりで「国宝 朝光寺↑」「西国25番 清水寺→」「東条湖→」と書かれた標識に出会うので、「国宝 朝光寺↑」方面へ入って下さい。

「朝光寺口」交差点からおよそ3.5km、道が西へ向きを変えた後、「三草山遊歩道入口→」と書かれた標識のある三叉路(直進と右折)に出会ったら、標識に従ってそれを右折。

三叉路から1kmほど北へ進んだところで、右手に駐車場があるのに出会います。

https://goo.gl/maps/zpYEXVCoeCteTkya6

▲登山者用駐車場の位置

10:25
駐車場に到着(地図中「P」)。

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▲駐車場の様子

駐車場から東を見ると、「口池」を挟んだ対岸に五百羅漢公園の立派な山門が、北を見ると巨大な宗教施設の一部がちらりと見えます。

それらを「ほえー。すごいなぁ」とぼんやり眺めてから出発。

10:41
巨大宗教施設の片鱗を見ただけで驚嘆し、時間を無駄に使ってしまいましたが、準備を整えて出発。

駐車場から道路を渡った向かい側に登山口があります。

山頂に三草山神社という小さな神社があって登山道は参道という扱いなので、鳥居が立っています。

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▲三草山 畑コース登山口

鳥居をくぐり、擬木階段が設置された自然林の中の登山道を上ります。
時期がよかったらしく、ツツジの花に癒されました。

ただ、両側の雑木の密度が高くて展望はありません。
したがって、見てみたかった東麓の宗教施設も樹間からチラチラ見える程度。

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▲擬木階段が設置された登山道の様子

10:48
緊急通報時に位置を伝えるための目印である「畑コースNo.1」プレート前を通過(地図中「畑コースNo.1」)。

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▲「畑コースNo.1」地点の様子

やがて擬木の階段は終わり、幅が広くて歩きやすい登山道に変わります。

360m標高点の東から北へ延びる尾根に乗る手前には、ケルンのようなものがありました。

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▲登山道脇のケルン?

10:55
360m標高点の東にある北向き尾根に乗る地点には、「畑コースNo.2」プレートがありました(地図中「畑コースNo.2」)。

道の様子に変化はなく、相変わらず自然林に挟まれた展望の無い道を上り続けます。

10:57
「五合目」の標柱が立ち、ベンチが置かれた場所に出ました(地図中「五合目」)。

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▲「五合目」の標柱が立つ休憩場所

「このまま無量壽寺が見えなかったら、畑コースを歩いた意味がないな」と思い、小休止を兼ねてドローンで無量壽寺を撮影することに。

ドローンを着陸させ、撮影した画像をモニターで確認すると、とんでもない規模の施設であることがよく分かりました。

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▲五合目からドローンを飛ばして撮影した無量壽寺

画像の左手前に駐車場が写っています(車は点にしか見えません)から、建物の大きさがどれほどのものか想像しやすいと思います。

中央に写っている山門は、高さが35.6m*2

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▲上の画像で一番奥に写っている本堂部分を拡大した画像

本堂前に立っている石灯篭は、2008年3月にギネスブックに登録された当時は世界最大*3のもので、高さは12メートル。

それを考えると、本堂の大きさが“どえらい”ものだというのが分かりますね*4

11:07
小休止を終えて出発。

五合目の先にある等高線間隔の広い区間では、木々に赤い塗料が塗られていましたが、何のためのものだろう。

測量が目的なら、基準点や標杭のある場所の木にだけ目印を付けると思いますが、ここは本数が多すぎます。

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▲赤い塗料が塗られた木々

11:10
「畑コースNo.3」プレート(地図中「畑コースNo.3」)を過ぎると、五合目からほぼ平坦だった登山道の斜度が増します。

「畑コースNo.3」プレートから数分上った所には、「六合目」と書かれた標柱が立っていました。

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▲「六合目」の標柱

「六合目」の標柱を過ぎると、突然空が開けた道に変わります。
横の展望はありませんが、かなり良い気分。

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▲「六合目」の先で突然空が開ける

360m標高点の少し手前で登山道から右へ分岐する道がありましたが、そこは無量壽寺がよく見える展望地になっていました(記事冒頭の無量壽寺の画像は、そこで撮影したものです)。

11:14
360m標高点を通過(地図中「畑コースNo.4」)。
ここには「畑コースNo.4」プレートと、「源平古戦場(三草山)」の色あせた看板が立っています。

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▲「源平古戦場(三草山)」の看板

360m標高点からは、三草山山頂を間近に眺めながらゆるゆると下り、鞍部から赤土の斜面を登り返すことになります。

11:19
斜面の途中にある「畑コースNo.5」プレート前を通過(地図中「畑コースNo.5」)。

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▲「畑コースNo.5」地点の様子

11:24
山城好きな方なら曲輪*5跡だと分かる空間を抜けた先で、鹿野コースに突き当たりました(地図中「鹿野コース合流地点」)。

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▲鹿野コースに突き当たる場所に立つ道標

ここで、道標に従って北へ向きを変えます。

山城好きな方は、「鹿野登山口」と書かれている方向に僅かに進んだ所で、足元の石積みを見ると良いと思います。

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▲鹿野コース合流地点のすぐ南に残る石積み

11:26
三草古道コースが左に分岐する地点を通過(地図中「三草古道分岐」)。

三草古道コースは名前が魅力的*6なので、いずれ歩いてみたいと思っています。

本日は、三草古道を無視して直進。

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▲三草古道が分岐する地点の道標

鹿野コース合流地点と山頂の間には、曲輪跡と思われる削平地が何段もあります。平坦で歩きやすい道ですが、山城好きの方は歩くスピードが落ちるかも。

11:29
三草山城の主郭(本丸)の虎口(出入口)跡のような場所を通り、三草山山頂に到着。

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▲虎口跡のような場所

山頂に到着する直前から賑やかな話し声が聞こえていたので、人は多いだろうなと思っていましたが、予想以上に多くのハイカーが来ていました。

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▲三草山山頂の様子(写真には写っていないが、周囲のベンチなどに多くのハイカーがいた。)

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▲山頂の三草山神社

三草山の山頂がどのような場所かご覧頂くため、2017年に撮影した全天球パノラマを掲載します。

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/mikusayama20170225/virtualtour.html

▲三草山山頂で2017年2月25日に撮影した全天球パノラマ

霞んでいて遠望はききませんが、南東がよく見えるベンチに座って昼食。

本日のメニューは、三色丼とインスタントのみそ汁です。
ご飯はアルファ米で、上に載せる玉子やそぼろは、家から調理済みのを持ってきました。

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▲本日の昼食(三色丼とみそ汁)。食器はCAMP-A-BOX Light。

子供連れが何組も来ていたため、子供が苦手な私は落ち着くことができません。

12:20
下山開始。登って来たのと同じ畑コースを下ります。

下山途中、「畑コースNo.4」と「畑コースNo.3」の間にある、登山道が広くなって空が開けた場所からドローンを飛ばし、空撮の全天球パノラマを作成してみました。

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/mikusayama20200404/virtualtour.html

▲三草山 畑コース上空で、ドローンを使って撮影した全天球パノラマ

13:03
駐車場に到着。

14:20
自宅に到着。

三草山の畑コースは、全体的に斜度が緩くて楽に歩けますし、標高が高い区間では登りの際に振り返れば、下山の際には正面に展望を楽しめます。

何より、無量壽寺を直に眺められるというのも魅力です。

手軽な山歩きと、巨大スケールの宗教建築を(遠目にですが)楽しめる、面白いコースだと思います。


交通アクセス

今回紹介した登山口付近には鉄道の駅やバス停はありませんので、自家用車などが必要です。

*1:ねんぶつしゅう さんぽうざん むりょうじゅじ

*2:念佛宗 三寶山 無量壽寺の公式サイトの情報。

*3:ギネスワールドレコーズ公式サイトによると、2016年にアラブ首長国連邦にある高さ13mの灯籠に世界一の座を譲りました。

*4:念佛宗 三寶山 無量壽寺の公式サイトによると、本堂の高さは51.5mで、18階建てのビルの高さに相当するそうです。

*5:くるわ。山の斜面を削って作った平らな空間。兵舎や倉庫を建てたり、攻撃や守備陣地として使われました。

*6:城があったときの登城道?あるいは山頂の三草山神社への参道?いずれにしても、歴史がありそうな名前に惹かれます。