概要
全天球パノラマ撮影用の雲台や三脚などを販売しているチェコ共和国の小さな会社、Bushman Panoramic(ブッシュマン・パノラミック)。
今回紹介するのはそのBushman Panoramicの製品で、全天球パノラマカメラ「THETA Z1」に最適な一脚(モノポッド)です。
▲THETA Z1を取り付けたBushman Monopod(ブッシュマン・モノポッド)
全天球パノラマカメラ「THETA Z1」については、以下の2つの記事(外観編と撮影編)で紹介しています。
購入の経緯
THETA用の一脚は、THETAの開発元であるリコーからも純正品が売られています(RICOH THETA スタンド TM-1)。
私もそれを購入して使っていましたが、小型で使いやすい一脚なのに、一つだけ大きな欠点があります。
それは、THETAで撮影された全天球画像の底面に、THETAを固定するためのレバー等が大きく映り込んでしまうこと。
底面に重要な被写体が来ることはほとんどありませんが、やっぱり気になります。
そんな時「360 Worlds」というブログでこの一脚の存在を知り、即座にポチってしまいました。
仕様
▲Bushman Monopod
製品名: Bushman Monopod(ブッシュマン・モノポッド)
メーカー: Bushman Panoramic(チェコ共和国)
長さ(カウンターウェイト、三脚装着時の実測値): 約162.5cm(展開状態)、約66.5cm(収納状態)
重量: 763g(実測値。モノポッド本体:261g、カウンターウェイト:280g、三脚:222g)
耐荷重: 3kg(垂直の場合)、1kg未満(手持ちなどで水平に構える場合)
定価: 106.61ユーロ(2019年6月時点のメーカー直販価格)
パッケージ内容
Bushman Monopodは、モノポッド本体、カウンターウェイト(280g)*1、小型三脚で構成されています。
▲パッケージ内容一式(左から小型三脚、カウンターウェイト、モノポッド本体)
小型三脚にカウンターウェイトをねじ込み、その上にモノポッド本体をねじ込んで使用します。
カウンターウェイトは、重心を下げて安定度を上げるためのもの。
▲280gのカウンターウェイト(上部に1/4インチの雄ネジ、下部に1/4インチのネジ穴がある)
▲モノポッド底面のネジ穴(1/4インチ)
リコー純正THETAスタンドとの比較
リコーからは、純正アクセサリーとしてTHETAスタンド(TM-1)が販売されています。
これはリコーがドイツのFeelEstate社からOEM供給を受けたもの。
その純正THETAスタンド(TM-1)と比較してみましょう。
まずはサイズから。
縮長が短くて専用のケースも付属していることから、携帯性はTM-1の方が優れています。
▲左からTM-1用ケース、TM-1本体、Bushman Monopod
三脚部分を開いて立たせると、TM-1もBushman Monopodも高さに差はありません。
▲三脚を展開したTM-1(左)とBushman Monopod
▲収納サイズに差があるのは、三脚の脚の折りたたみ方向が原因(左はTM-1、右がBushman Monopod)
収納状態の一脚部分の高さは両者とも変わりませんが、伸ばしきると高さに差が出てきます。
TM-1にTHETAを取り付けた場合、地面からTHETA底面までの高さは約151cmなのに対し、Bushman Monopodの方は約162.5cm。
Bushman Monopodの方が、TM-1より10cm以上背が高いのです。
▲伸ばすとTM-1(左)とBushman Monopodの高さにおよそ12cmの差が出る
一脚部分の伸縮操作は、ボタンを押しながら一脚の先端を引っ張ったり押したりするだけのTM-1の方が楽。
TM-1の脚の固定方式は、製造元であるドイツのFeelEstate社が「Air-Draft」と呼ぶ技術(空気圧で脚を固定?操作時にプシューと音がします)が使われているため、ボタンを押しながら脚を伸ばしたり縮めたりするだけで良いのです。
Bushman Monopodは一般的なカメラ用三脚と同様に、それぞれの伸縮部分にあるネジを緩めて伸縮させ、希望する長さでネジを締めて固定するという方式。TM-1に比べると面倒です。
▲TM-1とBushman Monopodの伸縮操作の違い
底面の映り込み比較
リコー純正THETAスタンド「TM-1」で私が気に入らなかったスタンド自身の映り込みについて、Bushman Monopodと比較してみましょう。
その前に、TM-1とBushman MonopodのTHETA取り付け方法を見ておきます。
TM-1は、クイックシューを取り付けたTHETAをセットする仕組み。
▲クイックシューを取り付けたTHETA Z1
▲TM-1とTHETA Z1の連結部分
Bushman Monopodは、一脚部分の先端をTHETAにねじ込むだけ。
▲Bushman Monopodの一脚先端
これを見ると、「この上でTHETAをくるくる回してねじ込むのは、THETAを落としそうで怖いな」と思われるかも知れません。
しかし、その点もしっかり考えられています。
最上段の軸だけは、固定用のネジを緩めたときにクルクルと回転するようになっているのです。
つまり、THETAをネジの上に保持しておき、一脚の軸をもう一方の手で回転させれば、THETAを落下の危険にさらすことなく、しっかりとねじ込めます。
またこの機能のお陰で、Bushman Monopod自体は動かさずに、最上段の軸を回してTHETAを任意の方向に向けることもできます。
▲THETAを取り付ける際は、THETAを一方の手で固定しておき、もう一方の手で一脚の軸を回す。
▲Bushman MonopodとTHETA Z1の連結部分
これらの取り付け方の差を踏まえて、底面の映り込みを確認してみましょう。
まずはTM-1を使って撮影した全天球パノラマの底面から。
こちらは、クイックシュー取り付け部の一部とロック/解除用レバーが映り込んでおり、それらが非常に目立っています。
▲TM-1にTHETA Z1を取り付けて撮影した画像の底面
続いてBushman Monopod。
こちらは三脚だけが小さく写っています。
三脚によって隠れる部分の面積はごくわずかなので、この程度の映り込みなら実用上問題ないでしょう。
▲Bushman MonopodにTHETA Z1を取り付けて撮影した画像の底面
最後に
Bushman Monopodはパノラマ撮影機材の専業メーカーが作っているだけあり、重心を下げて安定度を高めるカウンターウェイトや、パノラマ写真に写り込まない細い軸など、全天球パノラマ写真の撮影に便利な機能が揃っているので、全天球パノラマカメラをお持ちの方には強くお勧めしたいです。
そうそう、Bushman Monopodには収納用のケースが付属していませんし、別売もありません。
ケースが必要な方は、他社製一脚用の収納ケースなどをお使い下さい。
お知らせ
THETAをお持ちの方ならBushman Monopodが欲しくなると思いますが、ちょっと待って下さい。
実は、Bushman Panoramicから2019年7月25日に新型のMonopodが出ました。
新型の製品名は「Bushman Monopod V2」で、価格は127ユーロ。
一脚部分のセクションが5つに増えて(Bushman Monopodは4つ)収納時のサイズが短くなる他、カウンターウェイトの重さが400gに増加、付属する小型三脚は、脚を開いて固定する角度が2段階になります(Bushman Monopodの三脚の脚を広げて固定できる角度は、全開のみ)。
セクション数が増えるということは、展開や収納時の作業が増えて面倒になりそうですが、携帯性は現行製品よりも向上しそうです。
リコーからは、純正の自撮り棒も販売されるそうです。詳しくは、以下の記事をご覧下さい。
*1:2019年6月現在、メーカーサイトではカウンターウェイトの重さが240gとなっていますが、家庭用の秤で計測したところ、280gあります。