購入の経緯
ある日の仕事帰り、めったに行かない駅前のスーパーで買い物をしていたら、結露で曇りガラスのようになった冷凍庫のガラスドア越しに見慣れないパッケージが目に留まりました。視界の端に「ANA」の文字が見えたというのが正確かも。
今時の機内食がどんなものか気になり、とりあえず一つを購入することに。
休日に自宅で食べると、量は少ないものの味は絶品。
「美味しいし面白そう」という単純な理由の他に、「これは山歩きでも使えるかも」という考えが湧いてきたため、後日同じスーパーで追加購入しました。
概要
ANA(全日本空輸株式会社)の国際線機内で提供されている機内食を、ANAが冷凍食品として公式に販売しているもので、ご飯とおかずが樹脂製の容器に入っています。
ANAは冷凍機内食を2020年12月からネット販売しており*1、時期によってメニューが変わっているようです。
▲私が購入した時点(2024年3月)で店頭販売されていた商品(4種類)
販売者: 株式会社ANAケータリングサービス(東京都)
製造所: 有田食品株式会社(和歌山県)
価格: 各¥864(税込)
購入先: 山陽百貨店地下1階 セルフ市場Sマート(兵庫県姫路市)
備考: ANAショッピング A-StyleまたはANA公式ギフトショップ(楽天)から通信販売でも購入が可能です。
仕様
パエリア
▲パエリアのパッケージ
原材料名: パエリアライス(精白米(国産)、トマトミックスソース、調整食用脂(バター、植物油脂)、植物油脂、発酵調味料、にんにく、チキンコンソメパウダー、食塩、香辛料)、味付具材(鶏肉、いか、トマトミックスソース、チキンウインナー、えび、食塩、香辛料)、さやいんげん、赤ピーマン、ライブオリーブ、乾燥パセリ/調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、香辛料抽出物、グルコン酸鉄、ウコン色素、クエン酸、加工でん粉、カゼインNa、リン酸塩(Na)、発色剤(亜硝酸Na)、(一部に小麦・乳成分・えび・いか・大豆・鶏肉を含む)
内容量: 214g
保存方法: -18℃以下で保存してください。
凍結前加熱の有無: 加熱してありません。
加熱調理の必要性: 加熱してお召し上がりください。
栄養成分表示 1食(214g)あたり | |
エネルギー | 422kcal |
たんぱく質 | 18.6g |
脂質 | 14.3g |
炭水化物 | 54.6g |
食塩相当量 | 2.3g |
ハンバーグドリア デミグラスソース
▲ハンバーグドリア デミグラスソースのパッケージ
原材料名: ハンバーグステーキ(牛肉、ソテーオニオン、牛脂、パン粉、液全卵、ゼラチン、乳たん白、卵白粉、果実調味料、食塩、トマトケチャップ、香辛料、植物油脂)(国内製造)、ターメリックライス(精白米(国産)、調整食用脂(バター、植物油脂)、発酵調味液、植物油脂、食塩、香辛料)、クリームソース、デミグラスソース、ほうれんそう、チーズ、赤ピーマン/増粘剤(加工でん粉)、調味料(有機酸等)、着色料(カラメル、炭末、ウコン)、乳化剤、香辛料抽出物、クエン酸、香料、(一部に小麦・乳成分・卵・牛肉・大豆・鶏肉・りんご・ゼラチンを含む)
内容量: 250g
保存方法: -18℃以下で保存してください。
凍結前加熱の有無: 加熱してありません。
加熱調理の必要性: 加熱してお召し上がりください。
栄養成分表示 1食(250g)あたり | |
エネルギー | 476kcal |
たんぱく質 | 14.8g |
脂質 | 30.3g |
炭水化物 | 36.3g |
食塩相当量 | 2.6g |
ビーフシチュー&とろとろ玉子のオムライス
▲ビーフシチュー&とろとろ玉子のオムライスのパッケージ
原材料名: 米飯(精白米(国産)、植物油脂、発酵調味液、マーガリン、食塩、香辛料)、ビーフシチュー(牛肉、たまねぎ、ソテーオニオン、トマトペースト、マッシュルーム水煮、ワイン、砂糖、牛脂、小麦粉、トマトケチャップ、チキンエキス、にんじんピューレ、植物油脂、食塩、マッシュルームブイヨン、たまねぎエキス、あさりエキス、酵母エキス、香辛料)、スクランブルエッグ(液卵、植物油脂、乳等を主要原料とする食品、でん粉、乾燥卵白、バター、食塩、砂糖、還元水あめ、チキンブイヨンパウダー、ほたてエキスパウダー、乳たん白)、ほうれんそう味付(ほうれんそう、マーガリン、食塩)、にんじん味付(にんじん、砂糖、マーガリン)、グリンピース、ホワイトソース、レモンジュース/着色料(カラメル、カロチノイド)、増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類)、加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、リン酸塩(Na)、香料、(一部に小麦・乳成分・卵・牛肉・大豆・鶏肉を含む)
内容量: 290g
保存方法: -18℃以下で保存してください。
凍結前加熱の有無: 加熱してありません。
加熱調理の必要性: 加熱してお召し上がりください。
原材料配合割合: 米18%、牛肉10%、スクランブルエッグ10%(仕込み時)
栄養成分表示 1食(290g)あたり | |
エネルギー | 481kcal |
たんぱく質 | 12.2g |
脂質 | 21.8g |
炭水化物 | 59.2g |
食塩相当量 | 2.7g |
ビーフハンバーグステーキ
▲ビーフハンバーグステーキのパッケージ
原材料名: 米飯(精白米(国産)、植物油脂、発酵調味液、食塩)、ハンバーグステーキ(牛肉、ソテーオニオン、牛脂、パン粉、液全卵、ゼラチン、乳たん白、卵白粉、果実調味料、食塩、トマトケチャップ、香辛料、植物油脂)(国内製造)、デミソース(トマトペースト、牛脂、ビーフエキス、りんごピューレ、小麦粉、チキンエキス、砂糖、しょうゆ、にんじんピューレ、ワイン、食塩、たまねぎエキス、あさりエキス、濃縮パインアップル果汁、ブランデー、酵母エキス、香辛料)、フライドポテト(じゃがいも、植物油脂、食塩、ぶどう糖)、にんじん味付(にんじん、砂糖、マーガリン、チキンコンソメパウダー)、さやいんげん、植物油脂、乾燥パセリ/調味料(有機酸等)、着色料(カラメル、炭末、ウコン)、増粘剤(加工でん粉)、乳化剤、香料、香辛料抽出物、クエン酸、(一部に小麦・乳成分・卵・牛肉・大豆・鶏肉・りんご・ゼラチンを含む)
内容量: 250g
保存方法: -18℃以下で保存してください。
凍結前加熱の有無: 加熱してありません。
加熱調理の必要性: 加熱してお召し上がりください。
栄養成分表示 1食(250g)あたり | |
エネルギー | 465kcal |
たんぱく質 | 13.5g |
脂質 | 25.8g |
炭水化物 | 44.8g |
食塩相当量 | 1.5g |
外観
ここでは、外装パッケージ内に入っている樹脂製の箱を紹介します。
▲機内食が入っている箱の上部(樹脂製の箱は共通のため、中身が分かるようにメニューがフタに印字されている。)
▲箱の下部
▲箱とフタを分けた状態
樹脂製でゆがみがあるため、正確な寸法にはなっていません。
▲フタの大きさ
▲フタの厚さ
▲容器上面の大きさ
▲容器単体の高さ
▲フタを取り付けた状態の高さ
調理方法
冷凍機内食は電子レンジで加熱することを前提に作られており、パッケージに書かれている調理方法は次の通りです。
■おすすめの調理方法 外袋を外し、蓋はつけたまま
解凍方法の目安 冷蔵庫に移し 24時間
調理時間の目安 出力:500w 3分 ■電子レンジで解凍・調理方法 外袋を外し、蓋はつけたまま
解凍方法の目安 出力:200w(解凍モード) 5分
調理時間の目安 出力:500w 3分30秒 目安の加熱時間でも冷たい場合は、10秒ずつ再加熱してください。(出典:商品の外装フィルム)
山で機内食を食べる方法
山歩きで冷凍食品を食べる方もいらっしゃると思います。
例えば、冷凍ラーメンであればクッカーに入れて煮込めば作れますし、冷凍チャーハンや冷凍餃子はフライパンで調理が可能です。
しかし、今回紹介する冷凍機内食はそう単純ではありません。
そこで今回私が考えたのは、「蒸す」という方法。
湯煎だと樹脂製の容器がクッカー底面に接触した際に溶けて穴が開いたり、お湯の量によってはお湯が容器の中に入り込んで機内食がベチャベチャになる可能性がありますから、湯煎は選択肢から外しました。
山で機内食を食べるために必要な道具
冷凍機内食を蒸せそうなクッカーを家の中で探したところ、ラージメスティンがちょうどいいことが分かりました。
ラージメスティンに合う蒸し網と、適切な熱源(ガスストーブ等)も必要です。
▲冷凍機内食を蒸すために用意した道具(ラージメスティン、ラージメスティン用SSメッシュトレイ(TR-SS209))
▲蒸し網を敷いたラージメスティンに冷凍機内食の容器を入れた様子
「外観」の項で容器の大きさを記載していますので、お手持ちのクッカーが蒸し器として使えるかどうか確認する際の参考にしてください。
山での調理方法
注:ここに記載した調理手順は、販売元が推奨する方法ではありません。不安がある方は真似をしないでください。
- 冷凍機内食がなるべく溶けないように山を登る必要があります。そのためには、機内食は強力な保冷剤とともに保冷バッグに入れて置くと良いでしょう。
また、移動が長時間におよぶと機内食が溶けてしまうため、特に気温が高い時期は近場の低山を選ぶことをお勧めします*3。
▲私が使用している手作りの保冷バッグ
▲自宅を出てから山の上で調理するまで2時間かかったが、溶けている様子はない - 調理をする段階になったら、ラージメスティンの底に蒸し網を置き、蒸し網が浸かる程度の水を入れます。
注:この時入れる水が少なすぎると途中で空焚きになる可能性があり、高温になったクッカーが溶けたり、その熱がガス缶に伝わって破裂する恐れがあって大変危険です。
▲空焚きが怖いので、水は多めに入れておく - 冷凍機内食の外装フィルムを取り除き、フタを付けたまま蒸し網の上に置きます。
フタを外した方が加熱が充分かどうかの確認をしやすいですが、実際の航空機内でもフタを付けたまま加熱されているため、それに合わせました*4。
ヒント:フタを取った方が加熱に要する時間は短くなります。
▲冷凍機内食はフタを付けたまま蒸し網の上に置いた様子(フタを取っていた方が加熱時間は短い) - ラージメスティンを火にかけます。ラージメスティン内のお湯が沸騰して10分ほど経ったら、一度ラージメスティンの蓋を開けて水量を確認します。最初に少し多めに水を入れて置けば問題ないと思いますが、火力が強すぎたりクッカーのフタの隙間が大きく(水が蒸発しやすい)、なおかつ初めに入れた水が少ない場合は、空焚きの恐れがあります。水が少なくなっている場合は、適切な量の水をここで追加してください。
▲ラージメスティンを火にかけている様子(加熱にかかる時間が長いため、燃料のコストを考えてストーブを選んでください) - 最初に沸騰してから20分弱((4)から10分弱)経過したら、冷凍機内食をラージメスティンから取り出します。
- 火傷に注意しながら蓋を開き、凍っている部分が残っていないかどうか箸や爪楊枝を突き刺して確認します。(溶けていない部分があれば追加で数分間蒸し、再度溶け具合を確認する。)
▲中まで溶けているかどうか爪楊枝などを刺して確認する - しっかり加熱されたことが確認できたら、山の雰囲気や景色を楽しみつつ、冷凍機内食を美味しくいただきます。
▲ある日の山行で食べた時の様子
最後に
本来は国際線の機内でしか食べられなかったものですが、コロナ禍で機内食の需要が減ったことから冷凍機内食の通信販売が始まりました*5。
コロナ禍は終息しましたが機内食の一般販売は現在も続いており、自宅に居ながら機内食を食べられるのは純粋に楽しいです。
催事で駅弁を買って自宅で食べるのと同じようなものでしょうか。
自宅なら電子レンジで手軽に美味しく食べられますし、この記事で紹介した方法を使えば山歩きでも美味しく食べられます。
飛行機で機内食を食べる時は、窓際以外の座席だと景色も何もあったもんじゃないですし、窓側でも海や雲しか見えなかったり、そもそもエコノミークラスは窮屈ですから、山の上で食べる方が何倍も美味しく感じるかも。
スーパーやコンビニにも、一つのパックで主食とおかずがまとまった冷凍食品が売られていますが、あれらは大きすぎて山歩き用の機材で蒸すのが困難です。
やはり狭い航空機内で大量に加熱できるように作られた機内食こそ、山歩きには最適でしょう。高いですけど…
長所
- 機内で提供されているメインディッシュと同じものが手に入る。
- サイズが小さいため、ラージメスティンで加熱できる。
- 冷凍されて固まっているため、山歩きで食べる場合は普通の弁当のようにグチャグチャにならない。
- 機内食の味付けは濃いため、山歩きのように疲れたときに食べると美味しく感じる(私の個人的な感覚です)。
短所
- 機内食のメインディッシュだけが商品になっているので、量が少なめ*6。
- 「ちょっと小腹が空いたときに食べよう」と思えるほど安くはない(私の個人的な感覚です)。
*1:ANAのWebサイト「地上で味わう“空グルメ”。人気の機内食と空弁をお取り寄せ」に記載されています。
*2:私の職場には元客室乗務員の方がいらっしゃるので、機内食をどのように加熱するのかをその方に確認しました。
*3:冷凍ラーメンや冷凍チャーハンは溶けても問題ありませんが、冷凍機内食はご飯とおかずのセットですから、溶けると混ざってグチャグチャになる可能性があります。
*4:蒸気が容器内に入り込むようにするため、容器には蒸気の通り道が作られています。
*5:当時のニュース映像でそのようなコメントが紹介されていたと記憶しています。
*6:実際の機内食は、ここで紹介したメインディッシュの他にサラダやデザート等が付いてきます。