播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

新幹線を真上から見下ろせる:那波山(兵庫県相生市)

注意!

今回紹介するルートでは、道標のない登山道の分岐がいくつもあります。
現在地と方角から、自分がどちらへ進むべきか判断しなければいけません。
山歩きの経験が長くても整備されたルートしか歩かない方や、航法装備(GPS、地形図、コンパス)が不十分な方にはお勧めしません。

概要

いつものように「どこの山を歩こうかな」とGoogleマップを眺めていたら、2015年11月22日に歩いた宮山(相生市)の東隣の尾根に「那波山(なばやま)という山名があるのを発見。

調べてみると、JR相生駅を発着する電車を正面(あるいは真後ろ)から眺められる撮り鉄さん向けの撮影スポットのようです。


▲新幹線の宮山トンネル直上から見たJR相生駅

鉄道にそれほど興味はありませんが、山の上から街並みを見下ろすのは好きですから、相生駅を中心とした市街地を眺められる那波山に行ってみることにしました。

歩くのは次のようなルート。

  1. JR相生駅から徒歩で国道2号線を西へ進み、「竜泉(りゅうせん)」交差点を左折。
  2. 高速バスの「相生」バスストップ(現在は休止中)利用者向け駐車場から山陽自動車道の下をくぐり、送電線巡視路で山に入る。
  3. 地形図の破線道で宮山の東の尾根に登る。
  4. Googleマップで那波山となっている場所、またはその他景色の良い場所で昼食休憩。
  5. 那波山から地形図の破線道を通って、尾根伝いに南へ下る。
  6. JR相生駅へ徒歩で戻る。

北から登ったのは、尾根の北端に送電塔があるから。
送電塔があるということは点検用の巡視路があり(地形図に破線で描かれています)、巡視路は定期的に手入れがされて歩きやすいですし、入口が分かりやすい(巡視路標識が立っている、あるいは明確な階段や道がある)ことが多いです。

地形図で尾根の南端(那波小学校の南東)から那波山に向けて描かれた破線道は、Googleマップの航空写真を見る限り、細い道が入り組んでいて入口が分かりづらそうというのも、北から登った理由の一つ。

車を使っても良いのでしょうが、私のように単独の場合は駐車場と山頂の往復になってしまい面白みに欠けます。というわけで、那波山のある尾根を南北に縦走するため、JRを使うことに。


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「相生」


▲カシミール3Dで作成したルートの断面図

姫路駅から登山口へ

09:40
JR姫路駅を播州赤穂行の普通列車が出発。


▲姫路駅7番のりばを9:40に発車する播州赤穂行の普通列車に乗った

09:59
相生駅に到着。

自販機でのどを潤したり、お手洗いを借りたり、山歩きの準備を整えます。

10:03
国道2号線に出るため、相生駅の北口から出てすぐの階段を下ります(地図中「相生駅北口」)。


▲駅の北口を出てすぐの階段で国道2号線南側の歩道に下りた

国道2号線の歩道(進行方向に向かて左側)を西に進むこと約1.7km「竜泉(りゅうせん)」交差点に出会います。

その手前にあった一等水準点(点名:410)は、珍しく標石がむき出しでした(一般的にはマンホールのようなフタの中にある)。


▲一等水準点標石(点名:410)

10:25
「竜泉」交差点(地図中「「竜泉」交差点」)を左折して県道715号線に入り、緩やかな上り坂を南へ。

10:30
「竜泉」交差点からおよそ500mの場所(左側)で小さな駐車場に出会いました(地図中「駐車場」)。


https://maps.app.goo.gl/WSjtMeSSUzNkeZ6b9
▲駐車場の位置

これは元々高速バスの相生バスストップを使う方のために作られたものだと思われます(バスストップは休止中で使われていません)。


▲相生バスストップ利用者向け駐車場

駐車場の奥に山陽自動車道をくぐるトンネルがあるので、それをくぐって山に突き当たったら右折し、側道を南へ進みます。

10:36
側道を150m南に歩いたところにある階段が、今回の登山口(地図中「登山口」))。


▲登山口(路肩に車を置けそうですが、自己責任です)

登山口から山頂へ

登山口のコンクリート階段を登った先には、鉄柱でコンクリートの薄い板を立てて作られた階段の道がありました。

段差が大きく、非常に歩きづらいです。


▲登山道に入ってすぐの階段(奥に見えているのは赤穂線3番鉄塔)

コンクリート板の階段が終わると、すぐに巡視路標識が立つ分岐に出会いました。
左は赤穂線3番鉄塔で、那波山への道は右です。

この時点では鉄塔の名前が分からなかったので、いったん分岐を左に入り、鉄塔の名称を確認しました。


▲赤穂線3番鉄塔への分岐の様子

10:40
赤穂線3番鉄塔の銘板を確認しました(地図中「赤穂線3番鉄塔」)。

登山道に戻って少し進むと、3番鉄塔からの道が左から合流しました。
遠回りになりますが、先ほどの分岐を左に進み、3番鉄塔経由で登山道に復帰できそうです。

またまた分岐に出会いました。
今度は分岐の左側の巡視路標識に「2」と書かれているのがかすかに読み取れました。北の小ピークにある鉄塔は「赤穂線2番」ということで確定。

那波山とは正反対の方向に進んでしまうため、2番鉄塔に行く左の道ではなく、に進みます。

10:44
また分岐に出会いました(地図中「宮山分岐」)。
Y字型になっており、中央に道標が立っています。

道標によると、右は宮山で左は相生駅展望台(那波山)ということなので、ここは左へ。


▲宮山分岐の様子

相生駅展望台(那波山)への道は、宮山から北へ延びる尾根の東側斜面に、等高線と平行に付けられた道でアップダウンが少なく、非常に歩きやすいです。


▲相生駅展望台方面への道の様子

10:51
に出ました(地図中「那波小学校分岐」)。
ここから南へ谷を下ると那波小学校、左に曲がると相生駅展望台(那波山)です。


▲那波山へ行くには峠の分岐から左に入る

10:53
峠からなだらかな道を登ると、稜線に出ました(地図中「稜線出合」)。
新幹線の宮山トンネルの真上を目指し、稜線出合を左にとって稜線を北へ進むことに。

地図中の「稜線出合」から「宮山トンネル直上」までの区間はしっかりした道が付けられており、ところどころに相生駅を見下ろせる展望スポットが作られています。


▲このような展望所がいくつもある


▲北へ良い道が続いていた

宮山トンネル直上に出る直前だけシダが多くなっていて、マダニがいるので要注意です。


▲このシダを抜けると宮山トンネルの真上に出る

10:57
宮山トンネルの真上に到着(地図中「宮山トンネル直上」)。
Googleマップではここが那波山とされていますが、平坦な尾根の上です。

ちょうど新幹線ひかり506号(N700系)(東京行)が上りホームに停車中でした。


▲宮山トンネル直上からは相生駅に止まる新幹線を真正面(真後ろ)から見られる

11:08
11:00ちょうどに発車した新幹線ひかり506号を見送り、「他の列車も来ないかな」としばらく待機していたのですが、私は鉄道オタクでもなんでもないためすぐに飽きてしまい、お腹もすいてきました。

この南には標高120~129mのピークがあって、宮山トンネル直上よりも標高が高いですから、そちらで昼食を食べることにしました(私は高いところが好きなのです)。

来た道を戻り、稜線出合を過ぎてさらに南へ登ります。
途中では道標のない分岐にいくつか出会いますが、高い方(左)へ進めば問題ありません。

130m未満の小ピークに出たら、景色を求めて東へ。


▲130m未満小ピークの様子(左(東)へ進むと相生駅を見られる場所がある)

山頂(昼食)

11:15
JR赤穂線第一那波トンネルの上付近に出ました(地図中「昼食」)。
木々が多く展望はそれほどよくありませんが、相生駅方面はしっかり見通せます。


▲今回昼食を食べた場所からの眺め

本日の昼食は、ANAの冷凍機内食
国際線のエコノミークラスで実際に機内食として出されていた「ビーフシチュー&とろとろ玉子のオムライス」です*1

気圧が低い場所では人間の味覚は鈍感になるとのことで、機内食は味が濃くなっています

今回は山の上とはいえ、標高はわずか130m弱。味覚が鈍感になるほど気圧が低くありませんから、濃い味の料理と合わせるためにビールを持ってきました。
これもJRを使った理由です。

冷凍機内食は、家庭では電子レンジで温めて食べることが想定されていますが、山の上に電子レンジはありません。代わりに蒸して解凍、加熱することに。

実際の機内食も、飛行機の中ではスチームオーブンで再加熱されています。


▲冷凍機内食を食べるための道具一式(ラージメスティンに蒸し網を敷いて加熱した)


▲解凍、加熱が完了した「ビーフシチュー&とろとろ玉子のオムライス」と缶ビール


▲本日の昼食環境(ヘリノックスの椅子とテーブルを使っています)

相生駅から姫路方面への電車は、昼間は1時間に1本あるいは2本しかありません。
無駄な待ち時間を作らないためには、相生駅に到着したい時刻から逆算して行動する必要があります。

次の姫路方面の列車は13:21発
地形図を眺め、今までの経験から「ここから南に下るのに30分、下ったところから駅まで15分」と推測しました。

12:30に出発すれば、最小限の待ち時間で13:21発の列車に乗れそうです。

「さて、出発」と思ったら変な色の新幹線が相生駅に止まりました。
せっかくなのでその新幹線を写真に撮ってみようと考え、しばらく待機。


▲相生駅から出発した変な色の新幹線は、こだま849号(博多行・ハローキティ車両)

下山

12:32
変な色の新幹線の写真を撮れたので、下山開始。

昼食を食べた場所は行き止まりだったため、上の「130m未満小ピークの様子」の画像の場所に戻り、そこから南へ延びる道へ入りました。


▲南のピークを目指し、シダが刈り払われた道を下る

鞍部からは少し急な斜面を登り返さないといけません。

12:39
白と黒の標柱が埋まったピークに到着(地図中「白黒標柱ピーク」)。
南を見ると海が見えるし、東向きにも展望が広がっています。

ここでご飯を食べればよかった…
この記事を読んで那波山に登ろうと思われた方は、このピークで食事休憩を取ることをお勧めします。


▲白黒標柱ピーク


▲白黒標柱ピークから東の展望

ここには地元の単独男性ハイカーがいらっしゃって、話が弾んでしまいました。

宮山分岐から那波山への道がなだらかで歩きやすいのは、この男性によると、かつて山塊の南北をつなぐ峠道だったからだそうです。

他にもいろんなお話を伺い、気が付いたら13時を回っていました。
あぁ、電車の待ち時間が長くなってしまった…

せっかくなのでその男性と一緒に南へ下ることに。

白黒標柱ピークから南は歩く人が少ないらしく、道がシダで覆われているような感じです。
ただ、道ははっきりしています。


▲地元の方と一緒にシダの中を南へ下った(明確な道はある)

白黒標柱ピークの南隣のピークには、イノシシのヌタ場がありました。
ここまで動物の気配はありませんでしたし、山の周囲に防獣ネットや柵は一切なかったので「この山塊には野生動物はいない」と勝手に思い込んでいました。


▲ヌタ場

この小ピーク周辺だけは路面がザレていて、下の画像の場所から左へ入ると、地元の方にしか知られていない「天井岩」という展望岩場があります。


▲ヌタ場のある小ピークはシダが無くザレている(ここから左へ入ると天井岩)

13:13
地元のハイカーさんに教えていただき、展望岩場に出ました(地図中「天井岩」)。

今回一緒に下ったハイカーさんによると、「みんなここを素通りしてしまう」とのことでしたが、これは知らないとたどり着けません。


▲天井岩

天井岩から少しの間だけザレた道でしたが、またシダの中を下ることになります。

そして、シダが無くなって自然林に入ったと思ったら墓地に出ました。
自然林の区間は道がはっきりしないため、道を知らない人がこちらから登るのは難しそうです。


▲墓地の中を下った

13:29
墓地から古い塀の跡に沿って下ると、お堂に出会いました(地図中「お堂」)。


▲古い塀に沿って下る(左奥にお堂が見えている)


▲お堂

お堂に手を合わせたら、墓地から下る道に戻ります。
すると、階段に出会いました。お堂への参道かな。


▲住宅地へ続く階段を下る

13:35
階段を下り、細い路地を通り抜けると車道に出ました(地図中「下山地点」)。


▲ここに出てきた

こんな道、知っていないと絶対に分かりません。
北から登って正解。

この後は、古い街並みを歩いて相生駅を目指しました。

13:51
相生駅南口に到着(地図中「相生駅南口」)。
姫路方面の列車の出発まで30分もあります。

どうしようかなと思っていたら、14:00発の上り新幹線があることが判明。
山の上から何本もの新幹線がすさまじいい速さで走り抜ける様子を眺めていましたから、「新幹線に乗って今回の山行を締めくくろう」と思い立ちました。

14:00
ひかり512号(東京行)が相生駅を発車。

14:07
姫路駅に到着。

交通アクセス

この記事で紹介した通り、JR相生駅が便利です。

自家用車の場合は、この記事で紹介した高速バスストップ(休止中)の駐車場が利用できそうです。

また、登山口となるコンクリート階段前にも、数台だけであれば止められるスペースがあります。駐車違反になっても問題ないという経済的、点数的に問題のない方は、自己責任でどうぞ。

ヒント

  • シダの多い区間では、たくさんのマダニがズボンにくっつきました。マダニ対策をお勧めします。
  • イノシシが生息しているようです。クマよけ鈴など、野生動物対策が必要です。
  • 宮山トンネルの真上から相生駅まで直線距離で900mほどありますから、スマホのカメラで相生駅付近の列車を撮影するのは不可能です。
  • 相生駅から姫路方面への電車は、昼間は1時間に1本あるいは2本しかありません。
    JRを利用される場合は、駅で無駄な待ち時間が発生しないよう、事前に時刻表を確認することをお勧めします。
  • 私は単純に那波山のある尾根を北から南へ縦走しましたが、高速バスの駐車場を起点に那波山~宮山を経て駐車場に戻ったり、那波八幡神社を起点に宮山と那波山の両方を通る周回コースを歩いても良いかも知れません。
    宮山から那波山までの間の道の様子が分からないので、自己責任でということになりますが…
  • 宮山トンネルの真上に行くには、高速バス利用者用駐車場からの往復がもっとも効率的で簡単です。

*1:ANAは、公式Webサイトなどで冷凍機内食を販売しています。私はデパ地下の食料品売り場でたまたま見つけて購入しました。