山で遭難した場合、自分の位置を救助隊に分かりやすく伝えないと、救助隊に余計な負担をかけてしまいます。
そのため、私はココヘリの発信器*1や太陽光を反射するためのシグナルミラー、ど派手な色のシグナルパネル*2といったものを装備しています。
ココヘリの発信器が最強だと思いますが、非常時に合図を送る手段は多いに越したことはないので、発煙筒も装備品に加えることにしました。
概要
今回紹介するポッケムは、小型軽量で携帯性に優れた山岳用発煙筒です。
▲パッケージに印刷されている利用イメージ
仕様
▲ポッケムのパッケージ
製品名: 山岳用小型発煙筒 Pokkem(ポッケム)
メーカー: 細谷火工株式会社(東京都)
サイズ: 全長約120mm × 外径約23mm(カタログ値)
重量: 約40g(カタログ値)
発煙時間: 70秒以上
発煙色: 赤
生産国: 日本
有効期限: 製造後2年
購入価格: ¥2,640(税込)
購入先: 日本山岳救助機構合同会社(jRO)(東京都)
備考: ポッケムは火薬類取締法の規制を受けません。
外観
パッケージ内には、ポッケム本体と台紙(裏面が操作要領)、取扱説明書が入っています。
操作要領には大まかな使用法が、取扱説明書には詳細な注意事項なども書かれています。
▲パッケージの内容物(左から台紙、ポッケム、取扱説明書)
ポッケム本体は、防水のためにナイロン袋の中に真空パックされた状態になっており、「使用するまで袋から出さないでください」と書かれたシールが貼ってあります。
▲防水のため真空パックされたポッケム本体
▲ポッケムの大きさ(350mlサイズの缶ビールとの比較)
▲ポッケムの大きさ(単3形電池との比較
使い方
実際に点火して煙を出すと通報されかねないので、メーカーがYouTubeに公開している動画を転載します。
ポッケムには、取扱説明書に書かれている注意事項を守って保管した場合、製造後2年の有効期限があります。
製造年月は、ポッケム本体には記載されていません。
製造年月が書かれているのは、パッケージ上部に付いている厚紙です。
ポッケムが入っているナイロン袋に製造年月と有効期限(製造年月に2年を足した年と月)を油性ペンで書き込んでおけば良いでしょう。
▲パッケージの厚紙に書かれた製造年月の例
ポッケムを有効に活用するには、山歩きの際に常に身につけておかないといけません。
しかし、バックパックの奥底に入れておくと他の荷物の重みや圧力で破損するおそれがありますから、携帯方法に工夫が必要です。
私の場合は、大型ツールナイフを入れるためのポーチにポッケムを入れ、そのポーチをバックパックの外側に取り付けています。
私の好きなミリタリー系のバックパックなら、こういったポーチ類の外付けは簡単(ふつうのバックパックでもコンプレッションストラップなどに付けられますが、ミリタリー系バックパックの場合、正しく取り付ければポーチが脱落する可能性は限りなくゼロに近くなります。)。
これなら他の荷物に押されて潰されることもないし、必要な時にサッと取り出せます。
まぁ、「必要な時」なんて一生に一度あるかないかだと思いますが…
ちなみに、私が使用しているポーチはLEATHERMANの「MOLLEナイロンケースXL ブラック」(商品型番:MOL/BK-XN)です。
▲私は大型ツールナイフ用のケースにポッケムを入れて携帯している(左はポーチのフラップを閉じた状態。右はフラップを開いて中のポッケムを少し引き出した状態。)ポーチの左に差し込まれている青い物体は非常用の笛
最後に
遭難時、ヘリに向かって大声を出したり手を振ったりしただけでは自分の存在を伝えられませんから、ポッケムのような非常用装備は欠かせません。
遭難して動けなくなったとき、スマホのバッテリーが切れ(あるいは圏外で)、近くを捜索ヘリが飛んでいるのに何もできず、むなしく見上げるだけで衰弱していく状況を想像してみてください。
山歩きのファッションにお金を使うのもいいですが、万一の際に命を守るための装備品にもお金をかけることをお勧めします。
誤解のないように書いておきますが、非常用装備は万全の準備をして山歩きをしていても防ぎようのない非常事態(何かの発作や、動物による襲撃などで行動不能になったり、遭難者を発見した場合など)で、捜索や救助にあたってくださる方々の負担を少しでも減らすために装備しておくものです。
「これがあれば遭難しても大丈夫」といった危険な考え方で利用するものではありません。
長所
- 小型で携帯性に優れている。
- ライターなどの火種を持っていなくても、点火できる。
- 晴天時しか使えない(太陽光を反射する)シグナルミラーと違い、天候に関係なく合図を送れる。
短所
- 飛行機で移動する際は持って行けない(機内持ち込みや手荷物預けは不可能)。
- 頑丈な製品ではないため、安全に携帯する方法を考える必要がある。
- 製造後2年という有効期限があるため、定期的な買い換えが必要。
- 未使用品を廃棄する際は、メーカーに相談する必要がある。