播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

夏の夜でも背中が暑くならない空調ベッド:風眠

購入の経緯

以前、夏場にエアコンが壊れて扇風機だけで過ごしていた(古いエアコンだったので直すのもバカバカしいし、新しいのを買うにしても電気屋さんが部屋に入れないほど散らかっていた)時期があり、「エアコンなんて無くても過ごせるんじゃないか?」と思っていたのですが、さすがに近年の暑さは堪えます。
 
1階は涼しいのですが、私が寝ている2階の寝室は温室状態、季節物の山道具など滅多に使わない道具類を保管している3階の物置部屋にいたっては灼熱地獄。
 
扇風機は風が当たっているところだけが快適で、それ以外の場所、特に布団と接する背中などは暑いまま。
つまり、布団と接する部分を涼しくできれば、扇風機だけで快適に熱帯夜を過ごせそう。

そうすると、クーラーで体調を崩す心配も無いし、電気代も安くて済みます。
 
私は職場の椅子で夏場にエアクールクッション(https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2015/04/05/090531)なるものを使っていますが、確かこれを作っているメーカーが空調ベッドという製品も作っていたような記憶があったので、検索してみたところ「風眠(ふうみん)」なる製品が販売されているのを発見。
 
電気代の節約と快適な睡眠のため、その風眠を購入してみました。
 
 
▲空調ベッド「風眠」をベッドに設置した様子(ベッドのサイズはダブル)
 
 
▲空調ベッド「風眠」のパッケージ
 
製品名: 空調ベッド 風眠(ふうみん)
型番: KBTS02
メーカー: 株式会社空調服(日本)
サイズ: 縦200cm × 横92cm(シングルベッドサイズ)カタログ値
重量: 約3kg(カタログ値)
電源: AC100V
消費電力: 4.5W
適応ベッド: シングル以上のサイズのベッドで、足側に排気ファンの設置を妨げる部品がないもの。布団でも可。
梱包内容: 風眠本体、コントロールボックス、コントロールケーブル、専用シーツ、収納袋、取説、保証書
定価: ¥20,365(税込)
購入先: 株式会社空調服のオンラインストア(楽天)

外観

前述のエアクールクッションを巨大化させて排気側の端に円筒(送風管)を取り付け、その両端に電動ファンを1個ずつ取り付けた構造です。
 
 
▲空調ベッド 風眠本体(左側が吸気口。右の円筒が送風管)

しくみ

風眠は薄い袋状の構造になっていて、中に入っている樹脂製のスペーサーによって内部に空気が流れる空間が確保されています。
 
 
▲空調ベッド 風眠の断面(模式図)
 
風眠の一方の端はメッシュ生地で、ここから吸い込まれた空気が反対側の排気ファンによって排出されることで、内部に常に空気が流れている状態が生み出されます。
 
温まった空気が風眠の中に貯まることがないため、寝ている時に背中が暑くなりにくいという仕組み。
 
 
▲吸気用のメッシュ生地
 
 
▲反対側の端にある送風管(円筒形の部分。両側に電動ファンがある。)
 
 
▲送風管の端にある電動ファン
 
風眠には裏表があり青い面が表、灰色の面が裏です。
説明書によると、灰色の面を上にして使っても効果が無いそうです。
 
 
▲風眠の裏面

使い心地

風眠本体は洗濯できないため、専用のシーツを被せて使用し、そのシーツを洗濯することで清潔さを保ちます。
 
 
▲専用シーツを被せた状態
 
専用シーツは風眠の裏面でスナップ留めのストラップにより固定されているので、普通に使っていればズレることはないでしょう。
 
 
▲専用シーツを被せた状態の裏面の様子
 
風眠の操作は、専用のコントロールボックスで行います。
 
コントロールボックスには脱着不可のACアダプタが着いていて、このコントロールボックスと風眠の送風管をコントロールケーブルで接続して動作させます。
 
ACアダプタのケーブル長は200cmほどで、コントロールケーブルの長さはおよそ240cm。
コントロールケーブルは送風管の左右どちらにでも接続可能なので、コンセントとベッドがよほど離れている特殊な環境でないかぎり、ケーブル長が足りなくて困ることはなさそうです。
 
 
▲風眠のコントロールボックス(12cm(W) × 6.5cm(D) × 2cm(H))
 
このコントロールボックスを枕元に置いておき、寝る前に「TIMER」ボタンを押して風眠を作動させるという使い方です。

「TIMER?電源ボタンは?」と思われるかも知れませんが、単純に電源を入れるだけの使い方は出来ません。
 
風眠は就寝中に使用する製品なので、椅子に座っているときに使う(冷えすぎだと感じたらすぐに風量を下げたりスイッチを切れる)エアクールクッションと異なり、体を冷やしすぎることが無いように、必ず設定時間経過後に電源が落ちるようになっているのだと思います。
 
設定時間を表すランプは「1H」「2H」「4H」「8H」の4つがあり、それぞれ1時間、2時間、4時間、8時間を意味しています。
 
「TIMER」ボタンを押すと「1H」→「2H」→「4H」→「8H」の順でランプが点灯し、「8H」が点灯している状態でもう一度「TIMER」を押すとランプが消灯し、風眠の運転が止まります。
 
朝起きるまでずっと運転していたいときは「8H」のランプが付くまで「TIMER」ボタンを押し、眠る迄だけ動けば良いという場合は、「1H」や「2H」のランプが付いた状態で就寝します。
 
このランプは運転が止まるまでの時間を表す役割も持っていて、「8H」のランプを最初に点灯させて4時間が経過すると、今度は点灯するランプが「4H」に変わります。

時間が経つにつれて点灯するランプは数字が小さな方へ移動していき、最後は自動的に消灯(運転停止)。
 
風量の切り替えは、「TIMER」ボタンの下にあるスイッチで3段階に切り替えられます。
 
私が使っているエアクールクッションは強モードで毎分180リットルの空気を流しますが、風眠は強でも毎分368リットルです。
冷やさないといけない面積の差を考えると、風量は少ない印象。
 
実際、作動させた状態の風眠に寝転がっても、その時は背中が冷たくなるといった「効果」は感じません。
 
風眠の効果は、しばらくの間寝転んでいて初めて分かります。
背中が全然暑くならないのです。
 
あるいは、しばらくの間電源を入れずに寝転んだ後にスイッチを入れれば、背中が少しヒヤッとするので効果を実感できます。
 
涼感マットのように、寝転んだ瞬間に劇的な涼しさを感じることはありませんが、いつまでたっても背中が暑くならないのは不思議な感覚(涼感マットは時間が経つとそれ自体が熱を帯びて不快になる)。
 
夏場の私の寝室は、室温が夜でも楽に30度を超えますが、扇風機と風眠の力で何とか眠ることが出来ています。

欠点

風眠は樹脂製のサイコロ状部品(骨組みだけ)を連結したスペーサーが中に入っているため、例えば風眠の上で体を横向きにし、片肘で頭を支えるような体勢を取ったときは肘が痛いです(スペーサーの角が食い込む)。
ベッド上でこのような体勢をとってテレビを見る方には、風眠はお勧めできません。
 
この樹脂製スペーサーの特性により、風眠の中央部分に力が掛かってへこむと周囲のスペーサーが持ち上がります。
ふかふかのベッドに風眠を敷いて寝ると、体の両側にあたる部分(風眠の両サイド)が浮き上がり、両腕に違和感を感じることになるわけです。
 
私のベッドはそれほどふかふかというわけでは無いのですが、それでも時々このような状態になり、腕を置く位置や体の位置を調整しないといけないことがあります。
 
スペーサーが割れる恐れがあるので、ベッドに敷いた風眠の上を歩くのも止めた方が良いかも知れません。
風眠の「肝」であるスペーサーのせいで、少しクセのある使い心地になっているのです。
 
もっと問題なのは、電動ファンの動作音です。

デスクトップパソコンの排気ファンと同じような音を出す直径5~6cmほどの電動ファンが2基回転するわけですから、この動作音が気になります。
 
当然ですが、弱よりも中、中よりも強に風量を設定したときの方が、音は大きいです。
 
私は多少の騒音がある環境でも平気で寝てしまうので大丈夫ですが、音が気になるという人は、せっかく背中の暑さが快適になっても、音のせいで寝付けないという可能性があります。

収納

夏場以外で風眠が必要ない季節は風眠をどこかに収納しておく必要があるのですが、その点はよく考えられていて、送風管を軸に風眠をクルクルと丸め、専用の収納袋に入れられるようになっています。
 
シーツとコントロールボックスやケーブル類は別途保管する必要がありますが、これらは紛失しないように要注意。

最後に

(感じ方に個人差はあると思いますが、私にとっては)劇的な涼しさはありませんし、動作音が静かとは言えず、中に入っているスペーサーの存在が鬱陶しく感じるような状況もあるため、諸手を挙げてお勧めすることは出来ません。
 
しかし、仕組みや特性を理解した上で、ご自分の就寝環境が風眠に合っている(風眠があっても問題ない)という方なら、挑戦してみてもよいのではないでしょうか。