播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

パノラマVR撮影機材(2011年夏現在)

先日はパノラマVR(上下左右全方位を見渡せるパノラマ)を作成するソフトと操作手順を紹介しましたが、今回はパノラマ作成に使用する写真を撮影するためのハードウェアを紹介します。
(以前にも紹介していますが、当時と比べて変更があるので、再度掲載します。使用している画像結合ソフトは、以前はPanoweaverでしたが、現在はPTGuiです。)
 
ちなみに、パノラマVRとは下のようなものです。 
 
パノラマVRの例(大山のユートピア避難小屋近くで私が撮影したもの)
 
 
パノラマVR用の写真を撮影するために必要なのは、以下の道具です。
 
1)パノラマ撮影用の雲台
2)三脚
3)デジタル一眼レフカメラ
4)魚眼レンズ(通常のレンズでもかまいませんが、魚眼レンズの方が撮影枚数が少なくて済みます)
 
(これらを使わず、手持ち撮影だけでパノラマVRを作っている方もおられますが、手持ち撮影だと後処理が大変なので、これらの道具を使うことをお勧めします。)
 
2009年に私が一度紹介した装備は、以下の通りでした。
 
 
▲2009年当時の装備(三脚に付属していた3ウェイ雲台にパノラマ雲台を乗せている)
 
1)パノラマ撮影用の雲台: Nodal Ninja 3 MK2 (2は本来ローマ数字)
2)三脚: Velbon ULTRA LUXi L
3)デジタル一眼レフカメラ: Nikon D90
4)魚眼レンズ: Nikon AF DX Fisheye-Nikkor 10.5mm f/2.8G ED
 
現在も基本的には同じ道具を使っていますが、1)のパノラマ撮影用雲台にオプションを追加しています。
 
 
現在は2009年時点の環境に、さらにゴテゴテと部品を追加しています。
それらの部品を下から順に紹介していきましょう。
 
 
▲回転部分のクロースアップ
 
まずは三脚にくっついている、青いダイヤルの目立つ部品から。
これは、パノラマ雲台を簡単に水平にするためのEZ-Leveler 2($109.95 USD)と言うパーツで、日本語でいうと「整準台」となります。
 
 
▲EZ-Leveler 2(整準台)
 
青い3つのダイヤルを回すことで台が微妙に上下し、容易に水平出しをすることが出来ます。
機械を水平に保つのが重要な測量作業でも、これと同じ仕組みの道具が使われています。
 
 
▲整準台を下から見たところ(アダプタを使うことで、2種類のネジサイズに対応している。写真はアダプタを入れて細いネジに対応出来る状態。)
 
パノラマ撮影時に雲台が傾いていると写真の結合がうまくいかないことがあるので、水平出しは重要です。
 
2009年当時は、三脚に乗せた3ウェイ雲台を使い、パノラマ雲台の水準器を見ながら調整をしていましたが、3ウェイ雲台は微調整には不向きで、調整に手間取っていました。

EZ-Leveler 2を使えば、いとも簡単にパノラマ雲台を水平にセットできます。
ただ、整準台の可動範囲は限られているため、傾斜地や荒れ地に三脚をセットする場合は、三脚の脚の長さを調節してある程度水平を出しておき、最終調整として整準台を使わないといけません。
 
 
▲軽量化のために三脚付属の雲台を取り外し、三脚に整準台を直接取り付けています
 
パノラマ雲台の下にある、細かい数字が書かれた円筒形の部品はローテータ(rotator)で、漢字で書くと回転台とでもなるでしょうか。
 
 
▲整準台とパノラマ雲台の間に付けるローテータ(型番:RD8)
 
この部品の役割は、パノラマ雲台を一定の角度で回転させることです。
といっても、これ自体にモーターが入っている訳ではなく、撮影者が手でパノラマ雲台を操作するのですが、例えば60度刻みでパノラマ雲台を回転させたいときには、60度回す度にクリックストップがかかるように出来ているのです。
 
写真のローテータはNodal Ninja用のRD8($149.95 USD)という製品で、20度、24度、30度、36度、45度、60度、90度、120度の8種類(だから製品名がRD8。他にRD4やRD16もあります。)の角度刻みでクリックストップを掛けられます。
 
パノラマ雲台にも標準でローテータが付属していますが、それはちゃちな構造でがたつきが大きいため、このオプションのローテータと交換しました。
 
構造は簡単で、8種類の高さでそれぞれ一定間隔でくぼみを付けた円柱形の部品と、それに精度良くすっぽり被さるカバーで構成されています。

このカバーには、中の円筒に付けられた8列のくぼみに対応する高さにねじ穴があり、そのねじ穴に、先端にバネが付いたネジをねじ込むことで、目的の角度ごとにクリックストップを作動させるようになっています。
 
 
▲RD8の構造
 
画像を見ての通り、青いネジは2本ついています。1本はすでに書いたとおり角度選択用のネジですが、もう一本は、ローテータが回転しないように固定するためのロックネジです。これは何に使うのかよく分かりませんが、後述する底面撮影時に使用しています。
ネジには紛失防止用のワイヤーが付いています。
 
続いて、Nadir Adapter($39.95 USD)を紹介します。
 
パノラマVRは、上下左右全方向を撮影します。しかし、地面を写すとどうしても三脚が写ってしまうため、三脚が真下に来ないように、パノラマ雲台のアームを逆向きに取り付けて地面を撮影する方法を先日紹介しました。
 
しかし、正直に言ってこれは面倒なんです。カメラを取り付けたままのアームを取り外し、向きを変えて付け直すのですが、うっかり手を滑らせるとカメラとレンズが間違いなくご臨終です。
 
そのような危険と手間をなくすための部品がNadir Adapter、日本語で書くと「底面撮影用アダプタ」かな。
通常の撮影時は下の写真の状態。
 
 
▲Nadir Adapter通常時の様子
 
地面を撮影したいときは、ロックネジを緩めてアダプタを展開します。
写真では分かりにくいかも知れませんが、ロックネジを支点に、アダプタの上半分が180度回転します。
 
この状態で三脚をカメラの底部(三脚穴のある面)が向いている方向(写真の例だと右)に数十センチずらすと、三脚の真下にあった地面を撮影できるようになります。
 
 
▲Nadir Adapter展開時の様子
 
三脚の中心から重心が遠くなるためパノラマ雲台がたわみ、再度水平出しをする必要がありますが、EZ-Leveler 2のおかげで簡単に水平状態を作り出せるため、アームを取り外して向きを変える方法に比べると、手間は格段に少なくなります。
 
ただ、ローテータにかかる負担も大きくなってたわむらしく、ローテータのクリック感がほとんど無くなってしまいます。そこで、ローテータのロックネジを締めてぐらつかないようにしています。(底面撮影時にパノラマ雲台を回すことは無いので問題ありません。)
 
最後に、これらパノラマ撮影機材一式を持ち運ぶのに使っている鞄も紹介しておきます。
私が使用しているのは、カナダのArc'teryx社製メッセンジャーバッグ「Mistral(ミストラル) 16」(オープン価格。実売1万円台半ば。)です。

デザインがシンプルで比較的頑丈、ポケットがあちこちに付いているというのが気に入っています。
 
 
▲非常にシンプルなデザイン
 
このバッグの中に、下の写真のように道具を収納しています。
 
 
▲鞄の中身は、上から三脚、パノラマ雲台、カメラ(その横は魚眼レンズ)
 
パノラマ撮影機材が一式無駄なく収まり、しっかりしたショルダーストラップのおかげで背負い心地(肩に斜めに掛けるので背負うわけではありませんが)が良いのが利点。
 
これらのオプションパーツのおかげでパノラマ撮影が楽になりましたが、重量と体積が大幅にアップしたのが辛い。