このブログに時々登場する、周囲だけでなく天地も見られるパノラマ画像、いわゆるパノラマVR(Virtual Reality)ですが、撮影には三脚を使うため、どうしても「地」の部分には三脚が写ってしまいます。
これがイヤで、なんとかならないかとPhotoshopで加工していました。
このブログだけではなく、360cities.netというサイトにもパノラマを掲載しています。
興味のある方は、こちらへどうぞ↓
http://www.360cities.net/profile/dfm92431
地面が草地や土、砂だけなら良いのですが、歩道のようにタイル張りだったり、山頂でよくある地面が岩になっている状況では、綺麗に三脚を消すのは至難の業です(どうしても消した跡が目立つ)。
ところが、パノラマVRについて調べていてたまたま辿り着いた「写真道場(http://www.dowjow.com/)」というサイトの「360度パノラマを楽しむ」というコーナーで、三脚を見事に消し去る手順が紹介されているのを見つけました。
大変ありがたいことに、プロのカメラマンが、ノウハウを惜しげもなく公開して下さっています。
私もやってみたいと思い、そこで使われていた「PTGui」というソフトのProバージョンを購入(2011年4月現在、個人ライセンスで149ユーロ、3台までのコンピュータにインストールできる法人向けライセンスは349ユーロ)。
下位バージョンでは三脚を消すのに便利なMask機能が使えないので、三脚をキレイに消したい場合は、Proバージョンを購入する必要があります。
パノラマVRの例(大山のユートピア避難小屋近くで私が撮影したもの)
三脚を消すには、三脚が写っているところに本来見えているべき地面を撮影する必要があります。
それを行うために私がやっている方法は、まず通常通りの手順で魚眼レンズを使い周囲6枚と天地各1枚の計8枚を撮影した後で、
1)パノラマ撮影用雲台の垂直バーを180度逆向きに取り付け、カメラ(レンズ)の真下にパノラマ雲台が来ないようにする
2)三脚を数十センチずらし、雲台の真下にあった地面を撮影する。
▲三脚で隠れていた部分を撮影する時のセットアップ
3)三脚の写り方や影の出方を考慮して三脚の位置を調整し、もう1枚撮影する。
4)PTGuiで画像の変形、重ね合わせを行い、三脚が写っている画像から三脚(と影)の部分を透明化する(高低差のあるもの(段差やベンチなど)が2)と3)で写した写真に写っている場合は、視差のためうまく画像が繋がらなくなるので、追加で撮影した「地」の写真の段差部分なども透明化する)。
4)PTGuiで画像の変形、重ね合わせを行い、三脚が写っている画像から三脚(と影)の部分を透明化する(高低差のあるもの(段差やベンチなど)が2)と3)で写した写真に写っている場合は、視差のためうまく画像が繋がらなくなるので、追加で撮影した「地」の写真の段差部分なども透明化する)。
という方法です。
このやり方だと、通常の手順で必要な8枚+追加の地2枚の合計10枚を使います。
▲三脚のないパノラマVR作成に使う写真の一例(周囲6枚+天1枚+地1枚+三脚消去用の地画像2枚)
通常の手順で撮影した「地」の写真と、前述の2)~3)で撮影した2枚の「地」の写真を見比べると、それぞれ他の写真では三脚の陰になっている部分が写っており、これらの写真を重ね合わせて三脚の部分を透明化すると、三脚のない「地」画像が出来上がることがお分かり頂けるでしょう。
▲「地」を写した3枚の画像の比較
三脚のある部分を透明にしても、地を写した他の写真にその部分の地面が写っているので、出来上がったパノラマ画像に透明な部分(穴)が出来ることはあまりありません(実はこの機関車内部のパノラマでは、小さいですが穴が出来てしまったので、Photoshopで穴を塞いでいます)。
詳細は「写真道場」をご覧頂くとして、作業の様子を録画した動画をアップロードしてみたので、興味のある方はご覧下さい。
こちらをクリックしてYouTubeのページで閲覧すると、HD画質で細かい部分も見ることが出来ます。
流れは
1)「Load Images」ボタンで画像の読み込み
2)「Align Images」ボタンで画像の変形・整列
3)「Optimizer」タブで追加の「地」画像の「View Point」にチェック(この2枚だけ撮影視点が他の画像と異なることをソフトに教える必要がある)
4)「Run Optimizer」ボタンで追加の「地」画像を精度良く整列
5)「Mask」タブで画像右下隅に映り込んでいる雲台の一部と三脚を消去(透明化)
6) 「Create Panorama」ボタンで縦横 1:2のパノラマの元画像を出力
1)「Load Images」ボタンで画像の読み込み
2)「Align Images」ボタンで画像の変形・整列
3)「Optimizer」タブで追加の「地」画像の「View Point」にチェック(この2枚だけ撮影視点が他の画像と異なることをソフトに教える必要がある)
4)「Run Optimizer」ボタンで追加の「地」画像を精度良く整列
5)「Mask」タブで画像右下隅に映り込んでいる雲台の一部と三脚を消去(透明化)
6) 「Create Panorama」ボタンで縦横 1:2のパノラマの元画像を出力
というものです。
この作業で出力されたパノラマの素材画像を、FlashやQuickTime形式に変換するソフト(PanoweaverやPano2VR)で拡張子SWFやMOVのファイルに出力したものが、パノラマVRです。
パノラマVRの作成方法を疑問に思われていた方や、私と同じように三脚の消去に困っていた方の参考になれば幸いです。