播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ハート・ロッカー鑑賞

6部門でアカデミー賞を取って有名になった「ハート・ロッカー」。
最初は「Heart Rocker」かと勝手に思い込んでいましたが、正しくは「Hurt Locker」なんですね。
カタカナでハート・ロッカーと書かれると、元がなんだか分かりません。

Hurt Lockerの意味ですが、調べてみてもイマイチはっきりしませんでした。
イギリスBBCのサイトでこの映画のタイトルについて説明があったので読んでみましたが、ちょっと曖昧な感じがします。
元は米軍のスラング(俗語)で、2004年にイラクで従軍記者をしていたこの映画の脚本家の話では、「棺桶」という意味に取れそうです。

"If a bomb goes off, you're going to be in the hurt locker. That's how they used it in Baghdad," http://news.bbc.co.uk/2/hi/8555318.stm?ls (英文)から引用
和訳「もし爆弾が炸裂したら、hurt lockerに入ることになる。バグダッドでは、(hurt lockerという言葉を)こんな風に使っていた。」

しかし、今ではHurtはダメージ、Lockerは逃げ出すのが難しい場所の意味で使われていて、つまり苦痛を味わい続けなければならない場所(状況)という意味でしょうか。
今ではスポーツの世界でも使われているとのことです。(前述のURLを参照)


英語を母国語としている人にすらなじみのない言葉をタイトルにしたこの映画が見たくなり、三宮のシネフェニックスに行ってきました。
13:40からの上映でしたが、観客は100人もいない感じ。

登場人物の1人は戦争のむなしさを最後に語りますが、主人公は戦争が人生で唯一の楽しみといった様子。
つまり、反戦映画でも戦意高揚のための映画でもありません。どう感じるかはあなた次第といった映画です。

最初から最後まで、ほとんどが緊張感あふれるシーンばかり。
見ているこちらにまで、登場人物が味わっているであろうストレスが伝わってきます。

でも、やっぱり大スクリーンと大音量のサラウンドスピーカーで楽しむ映画は最高。
特に、戦争系の映画だと爆発音や銃声の迫力がたまりません。なので、私は恋愛映画など、アクションや戦争物以外の映画は映画館で見ないことにしています。大きな映像と迫力あるサウンドの意味がありませんから。

さて、この映画の中では、傭兵が「IRAQI Most WANTED Playning Cards(イラク指名手配トランプ)」を見せて主人公達に自分たちの手柄(捕虜)について説明するシーンがあります。
捕虜のことをハートの9だとかクラブのジャックだとか説明しても、普通の観客はこのトランプのことを知らないでしょうから、何のことか分からないはず。

ちなみに、映画に登場していたこのトランプ、現物はこんな感じです。



▲IRAQI Most WANTED Playning Cardsの箱と表面(もちろんスペードのエースはサダム・フセイン)



▲IRAQI Most WANTED Playning Cardsの箱と裏面

米兵がトランプで遊びながら容疑者の顔を覚えるために作られたもので、表面には容疑者の写真(写真のない人は黒いシルエット)、裏面は3Cデザート迷彩になっています。

私の趣味の一つにマジック(手品)があり、一時期このトランプもマジシャン向けのお店で売られていたため、私の手元に本物があるのです。

映画の中で傭兵が捕まえたとされるイラク人容疑者は、次の2人。



▲ハート・ロッカーに「傭兵に捕まえられた捕虜」として登場した人達。

その他にも、ミリタリーの知識がないと見ていてよく分からないところが多々あると思います。

娯楽映画ではないかも知れませんが、脚光を浴びにくいEOD(Explosive Ordnance Disposal unit:爆発物処理班)を主役にし、イラクで米兵が味わっている苦痛の一端を教えてくれる(「自分が米兵の立場だったら、イラク人に対して登場人物達と同じような態度を取るだろうな」と思わされる)という点で、普通の戦争映画とは違う迫力を感じられる秀作でした。