播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

夜の山歩きに便利?暗視装置

夜景を見るため夜に山に登ったり、日の出を見るために夜明け前の暗いうちから山へ登る時は、ヘッドランプで前方を照らしながら歩きます。

 

しかし、ヘッドランプで照らせる範囲はたかだか知れています。どうせなら、夜でも周囲の景色を見ながら歩ける方が楽しいですし、目の前の状況しか分からないヘッドランプだと、地形から現在地を知ることも難しい。

 

というわけで、夜でも昼間のように行動できる秘密兵器「暗視装置」を持っています。

 

 

製品名:NVS14
メーカー:Newcon Optik(カナダ)
増幅管:第2世代プラス
解像度:45~57線/mm
倍率:1倍
視野:40度
F値:1.17
焦点距離:25cm~無限大
射出ひとみ径:25mm
アイリリーフ:30mm
視度調節:プラスマイナス5ジオプター
耐候性:防水(水深2メートルで2時間)
電源:単3電池x1またはCR123x1本 (スペーサーの付け外しでどちらの電池にも対応)
動作時間:40時間(赤外線照射無し)、20時間以上(赤外線照射あり)
重量:350g
価格:ヒミツ

 

暗視装置とは、先進国の兵士が夜間戦闘の際に装備している光学機器です(パイロットは遠近感の分かる双眼タイプを使用していますが、歩兵は単眼タイプが主流です)。ニュース映像などで見る緑色のモノトーン画像が、暗視装置で見た闇の世界です。

 

ベトナム戦争の頃から暗視装置は存在しますが、当時の物は光の増幅率が低い上に画像にゆがみがあり、使用にあたってはかなりのストレスを感じるようです。
オークションや量販店で見かける数万円の暗視装置がこのベトナム戦争時代の暗視装置と同じようなレベルで、買った人の多くは後悔していると聞きます。
このベトナム戦争時代の暗視装置は、第1世代と呼ばれています。

 

それが第2世代、第2世代プラス、第3世代、第4世代と発展しています。

 

当然、世代が後になるほど性能が上がりますが、テロリストや敵軍の手に渡ると怖いという理由で、第3世代以降の製品は生産国が輸出規制をしています(第4世代は輸出禁止)。合法的に第3世代の暗視装置を輸入できるのは、日本の場合官公庁くらいでしょうか。
ちなみに、自衛隊は米軍のと同じタイプのものを国内で製造して使っています(NECが製造)。

 

しかし、どういうルートで手に入れたのか分かりませんが、オークションを見ていると第3世代以降の製品が普通に売られています。
アメリカ側の発表を見ると、輸出規制がかかっている製品を輸出しようとして罪に問われた日本企業や日本人がいたようですが、そういった製品を輸入することを取り締まる法律等は日本にあるのでしょうか?
法律やナントカ令とかはよく分からないので、個人で問題なく購入できる第2世代プラスの増幅管を装備したこの「NVS14」を、正規のルートで購入することにしました(購入時に身分証明が必要な場合があります)。

 

軍用の暗視装置の場合は、第2世代でも生産国の輸出許可が必要になる場合があります。



ややこしい話はこのくらいにしておいて、実機を見てみましょう。

 

スイッチはロータリー式で、OFFの次が増幅管の電源ON、その次が増幅管ON+赤外線LED ONです。

 


▲電源スイッチと赤外線LEDの位置。

 

下の写真は、夜間に真っ暗な山頂で撮影した写真です。

 


▲肉眼では真っ暗闇ですが、暗視装置を通すと山頂の地形がはっきり分かります。奧が白くなっているのは、市街地の明かりです。

 

カメラに暗視装置を取り付けて撮影するとピントを合わせるのが難しく、イマイチの画質ですが、実際に見た映像はもっとシャープです。
暗闇の中でも問題なく新聞が読めます。(←そんなことをする必要は全くありませんが)



問題は、どうやって暗視装置を携帯・使用するかです。
私のような使用目的(暗い中での地形・進路の確認)の場合に実用的なのは、暗視装置にネックストラップを付けて首から提げておき、普段はヘッドランプで前を照らし、必要なときだけ暗視装置を手に持って使うという方法かな。

 


▲ネックストラップを付けた様子。

 

見える映像はモノトーンですが、夜の山の中で色が分かる必要なんてありません(地形が分かれば良い)から、欠点にはなりません。



さて、暗視装置内部に液晶ディスプレイがあって、そこに映像が映っていると勘違いしている方をたまに見かけますが、液晶なんてありません。そんなものを使うと、単3電池1本で数十時間も駆動させることは不可能です。
仕組みはまったく分かりませんが、わずかな電力で暗視装置内を通る光を増幅しているのです。

 

暗視装置を通して明るい物を見ると暗視装置が壊れたり目がつぶれると誤解している人もいますが、そんなこともありません。明るい物を見ると真っ白く見えるだけです(増幅管の寿命は縮むかも知れませんが)。

 

まぁ、こんな物を買うハイカーは私くらいなものでしょう。普通のハイカーの皆さんにとっては全く役に立たない情報だとは思いますが、珍しい物なので紹介しました。