播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

兵庫県姫路市の雪彦山

4/12の土曜に出勤したため、その振休として本日休みを取りました。
日曜は天気が今ひとつだったので山に入っていませんでしたが、今日は降水確率0パーセント。というわけで、本日は山へお出かけ。

 

鉾立山から南へ賀野神社まで続く破線が地形図に書かれていますが、この道が前々から気になっていました。
誰もWebでこの道を歩いた記録を公開していないと言うことは、地形図お得意の間違いかな。あるいは、昔は道があったのかも。

 

昔の人たちが通っていた道の形跡でもあれば面白そうなので、この破線道を探索することにします。ついでに、普段は下山でしか利用しない旧下山道をよじ登ってみたいという欲求もあったので、賀野神社から旧下山道で登り、地形図の謎の破線で下山するという計画を立てました。

 


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「寺前」

 

8:30
姫路市街の自宅を出発。
県道67号線をひたすら北上し続け、山之内橋(右手に駐在所がある)を渡って県道504号線に入ります。山之内小学校の脇を通ってしばらく行くと、丁字路に突き当たります。ここを右折すると雪彦山の坂根登山口へ行けます。

 

今回は賀野神社に車を置く予定なので、坂根登山口を素通りし、1.5~2車線幅の舗装林道を登っていきます。

 

9:25
賀野神社に到着。ここにはトイレもあります。

 

9:30
準備を整えて出発。
舗装林道は緩やかな上り坂なので、ウォーミングアップにはちょうど良い。

 

9:40
あずまやのある林道のヘアピンカーブに到着(地図中「あずまや)。
ここのガードレールの切れ目から丸太階段が下っています。ここが今回の登山口。

 


▲本日の登山口となる丸太階段の道の入口(ガードレールの切れ目)

 

ここから丸太階段を下り、普通のハイカーなら下山にしか使わないルートと合流します。

 

合流地点には「大曲」と書かれた道標がありますが、旧下山道を登るには、虹ヶ滝へ進みます。

 


▲本来は雪彦からの下山に使われるルートで虹ヶ滝へ向かう

 

道の様子は、北向きの区間は両側が植林で暗く、斜度もややきつめ。
しかし、進路が西向きになると明るくなり、斜度も緩やかになってきます。

 

ベンチのある休憩所(峰山への分岐もある)から急な坂を下ると、虹ヶ滝です。

 

9:56
虹ヶ滝(地図中「虹ヶ滝」)に到着。
沢を渡って対岸へ向かいます。この沢を渡りきったところが、旧下山道の終点(今日はここから登るので出発点)です。

 

目の前に鎖がぶら下がったちょっとした岩場があります。ロッククライミングの心得がある方なら易々と登れるでしょうが、私のようなハイカーは鎖に頼って登らざるを得ません。

 

旧下山道は、地形図で等高線が密集している場所に付けられた道です。そのため、とにかく急です。緩やかな岩場でも斜度が40度、稜線近くにある最長の鎖場はほぼ垂直な断崖です。

 

ロープや鎖に頼って登るので、腕力勝負の面があります。そのため、このルートは高齢者や女性には絶対にお勧めできません。転落・滑落するとヘリを呼ぶ羽目になります。(「救助」でなく「収容」になる可能性も高い)

 

ハイカーではありませんが、実際2日前(2008/4/13)には、雪彦で転落事故が発生しています(転落したのはクライマーで、この転落により死亡しました)。
安全のための装備を持って練習を積んでいるクライマーでも危険なのに、(ハーネスやロープなど)何の装備も持たない普通のハイカーが垂直な岩場をよじ登ったり下ったりするのは非常に危険です。
おもしろ半分で挑戦することは絶対におやめ下さい。(私も人のことは言えませんが・・・)

 

10:42
なんとか無事に登り切り、旧下山道最上部の道標に出ました。
最上部近くの垂直岩場は途中に倒木があり、登る場合は非常に邪魔です。仕方がないので、垂直岩場の右側の岩場をよじ登り、倒木の上に出てから這い上がりました。それにしても、こんな倒木はあったっけかなぁ。最近倒れたのかも。

 


▲旧下山道最上部の道標と警告看板

 

10:44
大天井岳から三角点雪彦へ続く縦走路に合流しました。
ここからは北へ向かいます。
南へ行くとすぐに大天井岳へ行けますが、今回は下山ルートの様子が全く分からないので、時間に余裕を持って行動する必要があります。というわけで、大天井岳はパス。

 

10:50
838m標高点の少し南で、「新下山道」が右へ分岐する場所を通過。ここは、岩に毒々しいピンクのスプレーで「三角点」、「新下山道」と書かれています。
(新下山道は、旧下山道に比べると安全な下山道です。)

 


▲新下山道分岐

 

10:52
838m標高点に到着。きれいな図根点標石が埋まっています。
ここで、腕時計の高度計を補正しました。

 

838m標高点から北は、両側が植林のあまり面白くない道です。
単調な上り坂を歩くこと20分、三角点雪彦山に到着。

 

11:11
三角点雪彦山に到着。
測量作業のために三角点周辺の木々が伐採され、上空が非常によく見えるようになっています。(GPS測量のために空がよく見えるようにしてある)
以前の薄暗い雰囲気とは打って変わって、とても明るい山頂になっています。でも、展望は相変わらず皆無。

 


▲三角点雪彦山の様子

 

ここから進路は右へ90度変わります。
地形図の通り、稜線に沿ってアップダウンを繰り返して鉾立山へ向かうのですが、この稜線上の道も何だか明るくなっています。

 

地籍測量用の基準点が道に沿って打ち込まれているのですが、その測量作業のため、基準点から次の基準点が見えるように伐採をしたのかも知れません。

 

11:23
虹ヶ滝方面への分岐のある鞍部(地図中「虹ヶ滝分岐」)を通過。

 

11:32
鉾立山の山頂に到着(地図中「鉾立山」)。

 


▲鉾立山山頂の様子(北向きの展望が開けている)

 

ちょっと早いですが、北方面の展望を楽しみながら昼食を食べることにします。
本日のメニューは、ジェットボイルのフライパンで作る「エスプレッソパスタ」。

 


▲本日の昼食、エスプレッソパスタ(きのこソースのペンネ)

 

真正面に氷ノ山が見えますが、まだまだ三の丸~山頂にかけては雪で真っ白に見えます。
展望図のおかげで、簡単に山の名前が分かります。私はいつまで経っても山の形を覚えられないので、いつもカシミールで作った資料とコンパスを頼りに同定をしていますが、ここの展望図は手書きの絵なのに、非常に分かりやすい。
説明書などでも、写真ではなく線画が多用されていますが、場合によっては写真よりも絵の方が分かりやすいこともあるんですね。

 

12:15
まだまだボ~っとしていたいのですが、下山にかかる時間が分からないので、念のため早めに出発。

 

鉾立山から東へ進むと、すぐに南向きに展望の開けた場所に出ます。ここには南向きの展望図があるので、簡単に山座同定が楽しめます。

 

12:22
942m標高点に到着。ここは三叉路になっており、北へ行くと峰山、鹿ヶ壺方面、南が虹ヶ滝への下山、西が歩いてきた道(鉾立山、三角点雪彦山方面)です。

 


▲942m標高点の様子

 

ここから倒木が片付けられた道を南へ進みます。すると、すぐに道が90度右へ折れ曲がり、そこには「虹ヶ滝」へ案内する道標が付いています。

 

しかし、今日の私の目的は、そのまま尾根伝いに進むことです。
よく見ると、倒木の向こうに、確かに南へ尾根伝いに延びる道があるように見えます。藪を覚悟していたので、ちょっと拍子抜け。(でも、内心ホッとしました。やっぱり藪より道がある方が良い。)
地形図の破線は正しかったのか。
(読図技術の低い人やGPSを持っていない人は、素直に虹ヶ滝へ下ることをお勧めします)

 

しっかりした道で、地籍調査用の赤テープが木々に付けられています。
ふとコンパスを見ると、ずいぶん進路が東によっています。GPSで確認すると、破線道から外れている。というわけで慌てて逆戻り。
地形図の破線道に乗るには、傾いた境界標石の場所(地図中「要注意分岐」)で進路を変える必要があります。この分岐は、よほど注意深く見ないと、今回の目的の方向に道があるように見えません。

 

道というのか踏み跡というのか切り開きというのか、よく分かりませんが、一応尾根に沿って道が付いています。
地形図では848m標高点の北の鞍部付近から稜線をはずれ、斜面を下っています。

 

12:44
848m標高点北の鞍部に到着。
正面(尾根沿い)に道はないように見えますが、左手の斜面を見ると、何となくソマ道のようなものが見えなくもありません。コンパスで方向を定め、適当に斜面を下ってみますが、道があるように見えるだけで、実際は道などありません。杉の落ち葉や枝打ちされたものが散乱しているため、非常に歩きにくいです。

 

仕方がないので、GPSの画面を見ながら、地形図の破線を忠実にたどることにします。
すると、境界標石が斜面に埋まっているのを発見。視線を上げると、道が見える!この道の跡(?)に沿って進むと、次から次に境界標石に出会います。地形図の破線は、境界標石にそって付けられた道だったようです。

 


▲植林の斜面を下る

 

小さな谷をいくつか渡っていくうちに、破線道をはずれて進路が東によってしまいました。しかし、境界標石は破線道ではなく私が歩いている方向に向かって埋められています。
破線道の正体が分かったので、もう満足です。歩きにくい植林の中を歩くのはもう嫌なので、倒木だらけの沢(これも歩きにくい。何度かしりもちをつきました)を下って林道に出ました。

 

13:17
舗装林道に出ました。そこには「史跡 船堀」と書かれた標柱が立っていました(地図中「船堀の標柱」)。

 

後は舗装林道を歩いて賀野神社へ向かうだけです。
地形図の破線道と林道の合流地点を見ましたが、道らしき物はありませんでした。私が歩いたルート(標石沿い)が正しかったのかも。

 

13:40
賀野神社に到着。

 


▲本日のルートの高低差を表したグラフ(カシミール3D)