播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県姫路市の氷室山

家族がまたまた事故を起こして車が使えなくなってしまった(事故を起こした本人は無事)ので、公共交通機関で行ける山を選ばないといけなくなりました。
せっかく公共交通機関を使うのですから、登山口と下山口が近くなるようなルートにする必要はありません。そこで、前から歩いてみたかった木馬道(そうめん滝キャンプ場奧から北へ延びる谷:以前半分ほど歩いていますが)と氷室山へ行くことにしました。

 


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「姫路北部」

 

8:18
姫路駅前を81系統の神姫バスに乗って出発。

 

8:40
上砥堀バス停に到着。ここで降りたのは私だけ。
神姫バスの通勤定期を持っているので、定期の区間に関係なく、土日はこれを見せると1回の乗車が100円になります。
ありがたいシステムです。

 

車道を少し南へ進み、「そうめん滝」と書かれた看板に従って2車線幅の車道を北へ進みます。

 

8:45
道路の右側に「権現山古墳」と書かれた案内板があります。
せっかくなので見てみることにしましょう。公園の中に小さな丘があるだけにしか見えませんが、東側に回ると大きな石室が口を開けていました。

 

再び車道へ戻り、そうめん滝へ向かいます。
ただでさえ道順が単純なのに、進路が変わる地点には道標までついているので、そうめん滝へ行くのに迷う人はいないでしょう。

 

8:51
地形図に書かれている墓地を通過。
ここから道路の幅が狭まります。

 

1車線の車道を歩いていると、東南寺というお寺がありました。地形図には地図記号だけが書かれています。このお寺を過ぎてすぐ、ハイキングコースの入口に出会いました。車道歩きはつまらないので、このハイキングコースに入ってみることにします。

 

8:58
石仏が乗っかった巨岩がハイキングコースの入口です。

 


▲そうめん滝ハイキングコースの入口

 

歩く人が少ないらしく、笹に軽く覆われています。しかも雨で濡れているためズボンがびしょ濡れ。

 

道なりに歩いていると、川縁を歩く羽目になりました。本当にこれがハイキングコースかと思っていたら、目の前にそうめん滝が現れます。

 

9:09
そうめん滝に到着。そうめんのように細い滝という意味ではなく、昔の領主がそうめん流しをしたのが名前の由来だとか。

 


▲そうめん滝

 

ここでハイキングコースは終わるらしく、車道に出ます。

 

ここからは再び1車線幅の車道歩き。またまた右側にハイキングコースの入口が現れました。しかし、どんな荒れた道に連れ込まれるか分からないので、素直に車道を歩くことにします。

 

車道は川の右岸についていますが、左岸にきれいなハイキングコースが見え隠れしています。ハイキングコースの方へ入っておけば良かった。

 

9:21
そうめん滝キャンプ場に到着。
キャンプ場に入ってまもなく、二股の分岐に出会います。これを左に進むと一本松峠、右に進むと本日の目的である木馬道へ入ります。

 


▲木馬道の様子

 

木馬道とは、材木などを木馬と呼ばれる「そり」に載せて運搬するための道です。
この広峰にある木馬道は材木の搬出と言うよりは、炭の製造、搬出のための道だったのでしょうか。木馬道沿いには炭焼きがまの跡がたくさん見られます。

 

重い荷物を載せたそりを引くための道ですから、ある程度の幅があり、平らに均されています。
序盤の徒渉地点を見ると、橋がかかっていたらしく、石積みが見られます。

 

何度も徒渉を繰り返し、沢の左右を行ったり来たりしながら、北へ延びる谷を進みます。

 

途中には左手方向へ分岐する道が何本か現れますが、基本的に分岐はすべて右に進むのが正解です。

 

9:57
9回目くらいの徒渉地点を越えたところで道が二股に分かれます。(地図で「つながっている?」と書かれている青い破線の道との分岐)

 

それまでの分岐は右側の方がしっかりしているのですが、この分岐は左右が両方とも同じくらいよく踏まれています。この分岐は左右どちらに進んでも、結局は広峰~須加院の縦走路に出ることが出来ます。
私は谷を忠実に北へたどりたかったので、ここを右へ進みました。

 

石積みの小規模な堰堤を2つほど見ながら斜面を登り切ると、峠に出ます。

 

10:09
この峠を北へ下ると須加院の池、東へ登ると東の鉄塔へ行けるようです。
今日は氷室池に行くのが目的なので、西へ登っていきます。
木馬道で最後に出会った分岐を左へ進んだ道と思われる小径が左手から合流してきます。(ここには巡視路標識あり)

 

少し登ると露岩の道になり、この辺りだけは展望が楽しめます。光り輝く播磨灘を見ていると、目に残像が焼き付いてしまいました(すぐに消えますが)。明るい物を長時間見るのは目に悪いですね。

 

10:21
この斜面を登り切ると、以前は姫路市、夢前町、香寺町の境界が集まっていた小ピークです。
明確な道が南西方面に向けて伸びていますが、これは広峰神社へ通じる一般的な縦走路。

 

目的の氷室山への道はひっそりと北へ延びています。「アドヶ岳」(注:氷室山のこと)とナタ目の入った哀れな木が目印。

 

ここから氷室山まではアップダウンの繰り返しです。
分岐も何もない一本道で、所々で枝越しに北東方面の展望が楽しめます。

 

山頂の直前で丁字路に突き当たりますが、これを右に曲がると氷室山の山頂。左は今日下山に使う予定のルートです。

 

11:00
何度も偽ピークに騙されながら、目的の氷室山に到着。
三等三角点標石(点名:狼谷)と「大切にしましょう」のプラ杭が埋まっています。それ以外は小さな山名板があるだけで、すっきりとした山頂です。
北には明神山、南には播磨灘が輝いて見えます。
南東を見ると、明石海峡大橋の橋脚が2本とも肉眼で見えます。

 


▲氷室山山頂からの展望(北から時計回りに南西までを撮影した写真)

 

今日の昼ご飯はアルファ米のきのこご飯とフリーズドライの豚汁。
雨が降ったおかげで空気中のチリが洗い落とされたのか、くっきりした展望を楽しめます。こんな景色を見ながら食べるご飯はすばらしい。

 

食事を終えたところで、金属音が聞こえました。「こんなところに私以外に人がいるはずはない」と勝手に思いこんでいたのでえらく驚きましたが、まもなく単独の男性ハイカーが登ってこられました。
氷室池から来られたとのこと。これはラッキー。ちょうど私が下ろうと思っていたルートを登られたようです。せっかくなのでルートの様子を確認し、他にも周辺の山についておしゃべりをしていると、12:30を回っていました。

 

12:35
単独男性と別れて山頂を西へ下ります。
道は比較的はっきりしていますが、登りに使った道と違って左右から伸びている雑木の枝が邪魔で歩きにくい。

 


▲氷室山から西へ下る道の様子

 

等高線で表現されていない小さなコブがいくつかあるため、現在地がどこなのか分かりづらい。
景色の見える場所できちんと現在地を確認しないと、自分が思っている位置が実際の位置と異なるため、見えている道が信用できず、妙な方向へ進みたくなってしまいます。

 

所々で道が不明瞭になりますが、地形と方角を考えれば道の続きを簡単に見つけられます。

 

13:05
播磨空港の建設用に埋設された2級基準点標識に出会いました。(地図で右側の基準点)

 


▲空港建設用の2級基準点標識 (保護石とコンクリートの土台で守られています)

 

ここからは尾根伝いに南西へ下りますが、南向きの尾根の途中から90度変針して西へ進む地点があります。ここも要注意。「そろそろ方向が変わるはず」と注意しながら歩いていれば、見落とす心配はないでしょう。逆に、方角も地形図も確認せず道なりに歩いていると、そのまま南へ行ってしまうかも知れません。

 

西へ下りきると、地形図で実線道の終点になっている峠です。

 

13:31
峠に到着。左右に道が延びており、何やら石積みのような物も見られます。この峠には何か人工物があったのかも知れません。

 

13:38
峠から登り返すと、手すり状に張られたコードが道の右側に現れました。何のための物か、まったく見当が付きません。この手すり(?)の側でまたまた2級基準点に出会います。(地図で左側の基準点)

 

ここから少し下って登り返すと、境界杭の打たれた小ピークです。
ここから南へ下るのが今日の予定のルート。姫路市のアドスポーツで手に入れた地図に書かれていたルートです。(西へも道が延びていますが、どこへ通じているのか不明です)

 

赤と白のビニールヒモがマーキングとして取り付けられているので、迷う心配はなさそうです。

 

尾根はやがて二股に別れます。マーキングと道の様子から考えると、右側(西側)の尾根に乗るのが正しいルートのようです。

 

雑木の枝を払いのけながら下っていくと、道が突然右に90度以上の鋭角で曲がります。その先にはとてもわたれそうにない丸太橋。橋は使わず、下におりて対岸へ。

 

ここからは遊歩道のような幅広の快適な道が続きますが、まもなく笹に軽く覆われた道に変わり、石積みの段差を下ります。
ここにはさび付いた「砂防指定地」の看板が立っています。氷室池の北岸で、地形図にも書かれている堰堤を左手に見ながら小径を西へ進みます。

 

14:15
民家の脇を通って橋を渡り、地形図の実線道に出ました。

 

実線道をたどっていると、自然歩道の道標があり、そこから階段で山冨団地へ入れるようになっていました。バス停へ少しでも近道が出来るので、山冨団地内に入り、西へ進みます。

 

14:40
県道67号線に出て山富橋を渡り、書写ゴルフ場前バス停に到着。

 

14:46
姫路駅行きのバスがほぼ定刻にやって来たので、これに乗って自宅へ帰りました。

 

このバス停はバスの本数が少ないので、利用される方はあらかじめ時刻表を調べておくことをお勧めします。

 

カシミールによる分析表示