播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

イギリスの固形燃料ストーブ:Mk2 Crusader Cooker(外観編)

購入の経緯

何年も前ですがイギリス軍のクッカー一式を入手し、ブログに載せない近所の山での散歩でラーメンを食べる時に使っていました。

「Crusader Cooking System(クルーセイダー・クッキング・システム)と呼ばれるそのクッカー一式は、こちらの記事からご覧いただけます。

これの欠点は、ストーブがイマイチというところ。
防風性能が悪い上にゴトクが低すぎて固形燃料しか使えず、アルコールストーブは使えません。


▲Crusader Cooking System(初代)のストーブ。底部の燃料皿には50mlほどのアルコールを入れられる。

ストーブ内には燃料皿があるため、「ここに直接アルコールを注いで使えば良いかも」と考えて試したところ荒れ狂ったようにアルコールが高く燃え上がり、クッカー用の樹脂製フタが熱で溶けてしまいました。


▲燃料皿に直接アルコールを入れて燃やしたら、炎が大きくなりすぎてクッカーのフタ(樹脂製)の縁が溶けてしまった(左が溶けたフタ。右は未使用新品。)

Webで検索したところ、Crusader Cooking Systemの2代目が「Mk2(マーク・ツー)として売られており、それに付属する固形燃料用ストーブならアルコールストーブが使えるとのこと。

防風性能も向上しているらしいので、Mk2のストーブ単品をイギリスのアウトドアショップから通販で購入してみました。

概要

この記事で紹介するストーブは、イギリスのBCBという会社がもともとイギリス軍向けに作った*1(しかし採用はされていない)固形燃料用ストーブで、同社が販売する「Mk2 The Crusader Cooking Set」や「Dragon Cooking System」に含まれるものです。

ちなみに、前者は冒頭で紹介した「Crusader Cooking System」のクッカーとストーブ、収納ポーチがMk2に置き換えられたもので、後者は初代「Crusader Cooking System」のストーブと収納用ポーチだけをMk2に置き換えたものです。

日本では調理用のフライパンや鍋をクッカーと呼び、ガスストーブ等をクッカーとは呼びませんが、イギリスではストーブがクッカーと呼ばれるらしく、製品名は「Mk2 Crusader Cooker」です。

この記事内では分かりやすくするため、「Mk2 Crusader Cooker」を「Mk2ストーブ」と呼ぶことにします。

仕様


▲Mk2ストーブのパッケージ

製品名: Mk2 Crusader Cooker
メーカー: BCB International Ltd.(イギリス)
重量: 約142g(実測値)
材質: アルミ(硬質アルマイト処理)
定価: 12.00ポンド
購入価格: 10.79ポンド(当ブログ記事掲載時点で1ポンドは約203円)
購入先: Survival Aids(イギリス)

この記事で紹介するアイテム

今回購入したのはMk2ストーブ単体ですが、初代Crusaderに含まれていた物品と組み合わせて使用するため、この記事ではシステム全体として以下のアイテムを紹介します。

・樹脂製カップ(英軍官給品)
・樹脂製水筒(英軍官給品)
・ステンレス製クッカー(英軍官給品)
・クッカー用樹脂製フタ(民生品)
・Mk2ストーブ(民生品)

外観

樹脂製カップ

初代Crusaderに含まれていた英軍官給品のカップは約500mlの容量を持った黒い樹脂製で、上から見るとソラマメ型をしており、後述する水筒の上にすっぽり被さるように作られています。

重さは約145g。

凸面側には次の内容が凸刻印されています。

KEEP AWAY FROM
HEAT OR FLAME

CAT No 973-6904
15
OSPREY


▲樹脂製カップの凸面


▲樹脂製カップの凹面(金属製で折り畳み式の持ち手が付いている)

冒頭の2行はカップが樹脂製であるために書かれた注意書きで、「熱源または炎に近づけないこと」という内容です。

3行目の「↑」はブロードアロー(broad arrow)と呼ばれる記号で、イギリス軍の官給品であることを示すもの。

4行目のCAT Noはカタログナンバーという意味で、米軍であればNSNNATO Stock Number)と表記されるものです(本物の軍用品には必ずNSNが設定されています)。

NSNは13桁ありますが、このカップには7桁しか書かれていません。
それは、このカップがイギリス軍の個人装備であることが明らかだから。

NSNの先頭4桁はその装備品のカテゴリーを表すもので、個人装備は「8465」と決まっています。また、イギリス軍の装備はその次の2桁(国コード)が「99」になると決まっているため、前半の6桁は省略できるわけです。

NSNの全ての桁を書くと「8465-99-973-6904」ということになり、このNSNに該当する物品をNSNのデータベースで検索すると「CUP,WATER CANTEEN(「水筒用カップ」の意)」が見つかります。

「15」は製造年(2015年)で、OSPREYはメーカー名。

樹脂製水筒

容量約1リットルの黒い樹脂製で、カップと同様の注意書きが凸面側に凸刻印されています。

重さは約212g。

水筒に凸刻印されている番号は「STOCK No 973-6665」。
カップの時と同様に先頭の6桁が省略されているため、この水筒のNSNの全ての桁を表記すると「8465-99-973-6665」となります。

このNSNで登録されている物品は「BODY,WATER CANTEEN(「水筒本体」の意)」です。


▲樹脂製水筒

キャップの内側には、水漏れを防止するために赤いパッキンが取り付けられています。


▲キャップの内側には赤いパッキンがある

キャップは本体と別にNSNが設定されており、キャップ上面の凸刻印を見るとNSNは「8465-99-973-6908」で、名称は「CAP,WATER CANTEEN(「水筒のキャップ」の意)」です。

ちなみに、この水筒は偽物が出回っているらしいので、購入を考えている方は信頼できる販売店を選んでください*2

ステンレス製クッカー

ステンレス製クッカーは水筒本体の下半分にかぶさる形状をしており、カップや水筒本体と同様、凸面に刻印が入っています。

容量は800ml強で、重量は約270gです。


▲ステンレス製クッカーの凸面

打刻されているNSNは「721-3131」。省略されている部分を含めると「8465-99-721-3131」になります。このNSNで検索して見つかるのは「CUP,WATER CANTEEN(「水筒用カップ」の意)」(樹脂製カップも同じ品名です)。

凹面には、米軍のキャンティーンカップと同様に金属棒でできた折り畳み式の取っ手が付いています。


▲ステンレス製クッカーの取っ手

凸面の刻印をよく見ると、「0.5L」と「0.25L」の文字と短い線が見えます。
2本の短い線はクッカーの内側からも見えるよう深めに打刻されており、この線を目安に適切な量の水を入れられるため、ラーメンを調理する場合などに便利。


▲水量を示す目盛り(外側)


▲内側から見た目盛り

クッカー用樹脂製フタ

クッカー用のフタは透明な樹脂でできているため、中に入っているお湯の沸騰状況や、ラーメンが吹きこぼれそうかどうかなどが分かりやすくて便利。

樹脂製のため高温に弱く、冒頭でも書きましたが炎が大きくなると縁が溶けてしまいます。

耐久性に難があるためか、これは官給品になっていません。

重量は約32g。


▲樹脂製フタ(右側の切り欠きは湯切り口)

中央にある括弧のような形をしたものは、横から見ると突起になっていることが分かります。

これは、フタを持ち上げる時に使うツマミ。


▲中央の「) (」型のものは突起

このツマミを持てば、素手でも火傷をすることなくフタを開け閉めできます。


▲フタは突起を使って持ち上げる

Mk2ストーブ

ようやくMk2ストーブの紹介です。

硬質アルマイト処理されたアルミ板で作られた固形燃料ストーブで、ステンレス棒のゴトクが付いています。

重量は、約142g。

個人的には、デザインがカッコいいと思います。


▲Mk2ストーブ(正面)


▲Mk2ストーブの背面を見ると、ゴトクが起こせる構造になっているのが分かる


▲ゴトクを起こした状態(燃料を入れる時などにゴトクを起こす)

Mk2ストーブの底部には燃料皿がスポット溶接されています。

縁が持ち上がったお皿の形をしているため、燃えるとダラッと広がるゼリー状の燃料等を安全に燃やせて便利。


▲Mk2ストーブ底部の燃料皿

ちなみに、この燃料皿にはトランギアのアルコールストーブが(ちょっときついですが)ハマります

燃料皿の底からゴトクまでの距離は、およそ65mm。
固形燃料からアルコールストーブまで、幅広い熱源に対応できる高さです。


▲燃料皿の底からゴトクの上までは約65mm

トランギアのアルコールストーブをセットした場合、ストーブ上面からゴトクの上までの距離は約24mm。


▲アルコールストーブ上部からゴトクまでは約24mm

アルコールストーブの効率がもっともよくなるのは、ストーブからクッカーの底面までの距離が3~4cmの時ですから、ちょっと低いかも知れません。

過去に検証した記事がありますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。

お湯を沸かすときは、下の写真のようになります。


▲Mk2ストーブと初代Crusaderのクッカーを組み合わせて使う様子(凸面側)


▲Mk2ストーブと初代Crusaderのクッカーを組み合わせて使う様子(凹面側)

スタッキング

クッカー用のフタを除いて、一式は重ねて収納できます。一応…

まずは水筒をクッカーの中に入れます。


▲クッカーに水筒を入れる

次に、カップを水筒に被せます。


▲カップを水筒に被せる。

最後に、これら水筒一式をMk2ストーブの上に載せます。


▲水筒一式をMk2ストーブに載せる

「重ねる」ではなく「載せる」のは、クッカーがMk2ストーブの中に入らないから。
Mk2ストーブのゴトクを起こしてクッカーを押し込むと、Mk2ストーブの上端がクッカーの取っ手を押し広げてしまい、その取っ手を閉じようとするとMk2ストーブの上部が歪んでしまうのです。


▲Mk2ストーブのゴトクを起こしてクッカーをストーブに押し込むと、クッカーの取っ手が矢印の方向へ広がってしまう

そのため、クッカーをMk2ストーブに載せるだけという収納方法になってしまいます。

クッカーをMk2のものに変えても状況はあまり変わらないらしく、海外の方のレビューを見ると「Mk2クッカーがMk2ストーブにハマらない」という不満がたくさん見つかります。

ちなみに、Mk2のクッカーは材質がアルミになっています*3

私はアルミ製クッカーの熱伝導率の高さが苦手(ラーメンを食べる時、縁が熱すぎてスープが飲めない)なので、初代Crusaderに付属していたステンレス製のクッカー(英軍官給品)を使い続けたいと思い、今回ストーブだけを買い替えました。

重ねて収納できなくても、とりあえず載せて「ひとまとめ」にはできます…(最初に「一応…」と書いたのは、これが理由です。)

これらを収納するためのポーチが問題です。

初代Crusader用のポーチとMk2ストーブ一式の高さを比べると、収まらないのは明白。


▲Mk2ストーブを含めた一式は初代Crusaderのポーチ(左)には収まらない

どうしても従来のポーチに収納したい場合は、樹脂製カップを使うのを諦め、水筒本体にMk2ストーブを被せれば高さを低く抑えられます。


▲樹脂製カップを使わなければ一式の高さが低くなる

Mk2用のポーチは高さが伸びているそうですが、ポーチだけをまたイギリスから買うのは面倒なので、手持ちの道具の中に使えそうなのがないか探してみました。

それらについては、次回「機能編」で紹介します。今回は「外観編」ということで、ここまで。

「機能編」は、下のリンクからどうぞ。

*1:同社のWebサイトでは「Originally designed to meet the changing requirements of the future combat solider.(「当初、今後変わりゆく兵士の要求を満たすように設計された」という意味)」と書かれています。

*2:偽物は、水筒中央付近の段差の上に付いている小さな突起の形状が全く違います。本物はこの突起の幅が狭く、偽物は広いです。

*3:Mk2のクッカーは英軍の官給品として採用されていません。