購入の経緯
ある日、近所のアウトドア用品店に行くと「MSRのステンレス製クッカー」を紹介されました。
形がかわいいし、MSRブランドだから品質に間違いは無いでしょう。
買おうかどうか悩んでいたら、「最近の丸い袋ラーメンだったら、割らなくても入りますよ。」と私が悩んでいた所を店長さんに見事に突かれ、それならばと購入してしまいました。
▲アルパインストアウェイポット 775mlを使い、山の上で豚汁(豚肉の代わりにベーコン)を作っている様子
概要
高品質なアウトドア用品を販売しているMSRブランドから出ている、ステンレス製のクッカーです。
アルパインストアウェイポットにはサイズが475ml、775ml、1.1L、1.6Lの4種類ありますが、大きさが異なるだけで形と機能は同じです。
今回紹介するのは、775mlサイズの製品。
仕様
▲アルパインストアウェイポット 775mlは、本体にラベルが直接貼られた状態で販売される
製品名(日本語): アルパインストアウェイポット 775ml
製品名(英語): Alpine Stowaway Pot 775mL
メーカー: Cascade Designs, Inc.(アメリカ)
サイズ: 14.0cm × 6.2cm
容量: 775cc(カタログ値)実際は900cc以上
重量: 365g(カタログ値)
材質: ステンレス
生産国: タイ
定価: 4,290円(税込)*1
購入先: アドスポーツ(兵庫県姫路市)
本体に直接ラベルが貼られていますが、ラベルは紙ではなく薄い樹脂製フィルムのため、簡単に剥がれます。
▲ラベルは剥がしやすく作られている
収納袋は付属しません。クッカー単体での販売ですから、収納用の袋が必要な場合は適当な大きさのものを各自でご用意ください。
100円ショップのダイソーで売られている「アウトドア用メッシュバッグ」に収まりますが、名前の通りメッシュ生地のため、ススで汚れるような使い方をする場合はメッシュではない他の生地でできた袋が必要です。
外観
丸っこくてなんだか可愛いデザインの本体に、アウトドア用品らしいワイヤーハンドルと、蓋を固定するための無骨なラッチが付いています。
▲ラベルを剥がしたアルパインストアウェイポット775ml
蓋と底面にはMSRのロゴの他、Seagull(シーガル)のロゴがあります。
SeagullはタイのThai Stainless Steel Co., Ltd.のブランド名で、同社は会社名の通りステンレスの加工を得意としており、アルパインストアウェイポットと似た形状のフードキャリアがロングセラー商品になっています。
アルパインストアウェイポットは、MSRがThai Stainless Steel Co., Ltd.社と共同で製造・販売している製品というわけです。
▲蓋に刻印されたMSRとSeagullのブランドロゴ
▲底面のロゴ
持ち手は、折りたたむと蓋をしっかり押さえつける構造になっており、持ち手の先端は頑丈なラッチで固定する仕組み。
持ち運ぶときに、蓋が浮いてガチャガチャと鬱陶しい音が出ることがありません。
ただ、このラッチは汚れると洗いにくいですし、使用中は固定できないためカチャカチャうるさくて気になるかも知れません。
▲持ち手の先端はラッチで固定されている
使用するときはラッチを外し、持ち手を広げます。
▲ラッチを外した状態
持ち手は長さが十分にあるため、焚火で使用してもある程度安全に扱えるそうです(私は焚火をしないのでわかりませんが、冒頭のYouTube動画の中ではそのように語られています。)。
▲持ち手を広げた様子
広げた持ち手は、ちょうつがいに付けられた爪状の部品によって軽く固定されます。
ボタンを押さないと解除できないようなしっかりしたロック機構ではありませんが、実用上は問題ないでしょう。
▲持ち手の付け根部分
クッカー本体と蓋の内側は、持ち手やラッチなどを取り付けるためのスポット溶接の跡がある以外、特に何もありません。
水量を知るための目盛りもないのは、好みが分かれるところだと思います。
よく使う分量で水をクッカーに入れ、スポット溶接の位置と水面の関係を覚えておけば問題ないかも知れません。
▲クッカー本体と蓋の内側
蓋は下半分がすぼまっており、クッカーの内側にはまり込む形になっています。
そのため、クッカーが多少傾いても蓋が滑り落ちることはありませんし、ある程度の密封性が確保されます。
▲蓋は下半分がすぼまっておりクッカー本体の中に入る構造
他の製品では蓋がフライパンとして使える場合が多いですが、このクッカーの蓋は、本当に蓋としての機能しかありません。
私の場合、アルミやチタンクッカーのフライパンを兼ねた蓋ではまともに調理ができないです(焦げ付く)から、クッカーの蓋をフライパンとして使うことはほぼ無く、個人的な感覚では特に不便だとは思いません。
クッカーの大きさ
クッカー本体の大きさは、従来型の四角い袋麺がギリギリ入らないサイズ。
麺が昔ながらの四角い形をしている場合は、最初に大部分をお湯につけて柔らかくなってから押し込むことになります。
▲麺が四角い袋麺とのサイズ比較
▲麺の角が2カ所引っかかるが…
▲箸で押せばすぐに麺全体がお湯に入る
チキンラーメンのように麺が丸い製品の場合は、難なくクッカー内に入ります。
▲麺が丸い袋麺とのサイズ比較
インスタントラーメンを作り慣れている方なら、この製品に書かれている「775mL」という容量がラーメンの調理には小さすぎると感じられるでしょう。
しかし、その点は大丈夫。
アルパインストアウェイポット 775mlの容量ですが、実際には900mlほどあるため、ラーメンの調理には何の問題もないのです。
例えば、下の画像はお湯が500ml必要な「マルちゃん カレーうどん」(具材としてほぐしたサラダチキンも入っています)を調理している様子ですが、クッカーの容量はちょうど良いと思いませんか?
▲アルパインストアウェイポット 775mlで袋麺を調理している様子
「775mL」が何を表しているのかが謎です。
▲「アルパインストアウェイポット 775ml」に500mlの水を入れた様子
ストアウェイポットはステンレスでできているため熱伝導が悪く、ラーメンが茹で上がってもクッカーの縁が熱くなりません。ですから、縁に口を付けて簡単にスープが飲めるのも魅力。
アルミのクッカーだと、こうは行きません(縁まで熱くなり、口を付けられない)。
続いて、クッカーの中に何が収納できるのかを見てみます。
MSRのガスストーブ「ポケットロケット2」と110サイズのガス缶が入るか実験。
110サイズのガス缶を入れるだけで、ほとんど空きスペースがなくなります。
ポケットロケット2は専用ケースに入れるとクッカーに収まりませんでしたが、むき出しであれば楽に入れられました。
▲ポケットロケット2は、ケースに入れなければ110サイズのガス缶と一緒に収納可能
▲実際に山に行く時は、ナイロン袋等でガスストーブとガス缶を傷や汚れから守る
他にも入れられそうなものをいろいろ試してみたのですが、しっくりくるものが見つかりません。
私がこれを購入したアウトドアショップの店長さんが「トランギアのストームクッカー(Sサイズ)のソースパンと同じようなサイズですよ」とおっしゃっていたのを思い出し、トランギアのケトル0.6リットル(TR-325)を入れてみたところ、ピッタリ。
この組み合わせに利点を見いだせる方は少ないかも知れませんが…
▲ケトル0.6リットルはピッタリ収まる
最後に
繊細なコーティングが一切なく、丈夫なステンレスでできているため、取り扱いにほとんど気を使う必要がありません。
私はしませんが、焚火に放り込むといった過酷な使い方をしても問題なさそう。
テフロンコーティングの鍋やフライパンは、コーティングを傷つけないようにするため木製、または樹脂製のヘラや箸との組み合わせで使わないといけませんが、コーティング無しのステンレス鍋なら、傷がつこうが焦げ付こうが問題ありません。
アウトドアでガンガン使いたい方は、簡単にベコベコにゆがむチタン製のものや、コーティングがあって取り扱いに気を使わないといけない製品ではなく、このようなステンレスクッカーを使ってみてはいかがでしょうか。
長所
- 頑丈。
- コーティングがないため、温度の上がりすぎを気にせず使える(テフロンコーティングは、260℃以下で使う必要がある)。
- 持ち運びの際に、蓋をしっかりと固定できる。
- 熱伝導率が低く縁まで温まりにくいため、クッカーの縁に口を付けてラーメンスープを飲むのが簡単。アルミのクッカーだと、熱すぎてそもそも唇をクッカーに当てられない。
短所
- 重い。
- 蓋をフライパンやお皿として使えない。
- 使い方によっては、食材が焦げ付く(炒め物や焼き物には不適)。
- 使用中、ラッチがカチャカチャと鳴る音が鬱陶しい。
- 専用のケースが付属しない。焚火で使うと表面がススで汚れるため、そういった使い方をする方は、別途ケースを用意してください。
- 持ち手が細いワイヤーのため、食事中にクッカーを持ったままだと手が痛くなる。
▲(分かりにくいですが)取っ手が食い込んだ部分が痛くなる
*1:この記事掲載時点の定価です。私が購入した時は税込みで三千円台でした。