兵庫県の北部は天気が悪そうだし、北の方はクマに出会いそうだし、人の少ない山は蜘蛛の巣や蜂がまだまだ元気。
というわけで、兵庫県南部で私が住む姫路市に近く、人気はあるけれど人が少ないエリアもあって静かに昼食を楽しめそうな山を探したところ、2023年10月21日に歩いた善防山の隣にある笠松山を歩くことにしました。
今回は吊り橋から尾根伝いに笠松山へ向かい、その後笠松山南の小ピーク経由でいったん下山。それから馬の背尾根に登り、そこで昼食を食べてから駐車場へ下山するという行程です。
▲今回の昼食場所となる馬の背尾根
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「笠原」
▲カシミール3Dで作成したルートの断面図
10:00
姫路市街の自宅を車で出発。
国道372号線を東へ進み、姫路市と加西市の境界を越えておよそ3.5kmにある「善防(ぜんぼう)」交差点を左折します。
「善防」交差点から約1kmにある「王子町」交差点(三叉路)を左へ。
「王子町」交差点からちょうど1km(善防中学校の校門を過ぎて約100m)の三叉路を左折してまっすぐな道路に入り、およそ430m走った所で左側にある駐車場に車を置きました。
https://maps.app.goo.gl/DM5gZWSJsZzjatCD9
▲駐車場の位置
10:38
駐車場に到着(地図中「P」)。
靴を履き替え、GPS受信機の測位を待ちます。
この駐車場には、お手洗いも飲み物の自販機もありません。
▲駐車場の様子(およそ20台が止められる)
10:42
準備が整ったので出発。
駐車場を出て左に進み、簡易舗装の峠道を登ります。
▲1車線幅の簡易舗装道路を登る
峠(道路の最高地点)の頭上には小さな吊り橋がかかっており、切通しの断面に刻まれた磨崖仏(まがいぶつ)に関する説明が書かれた看板が立っていました(内容は後ほど紹介)。
10:49
峠の先へ少し下ったところにあるのが、今回の登山口となる「つり橋のぼりぐち」(地図中「吊り橋登り口」)。
▲「つり橋のぼりぐち」
10:51
吊り橋登り口から丸太階段の斜面を登りきると、左に吊り橋があります(地図中「吊り橋」)。
▲峠道の上をまたぐように架けられた吊り橋
距離は短いし、道路からの高さも低いですが、高所恐怖症の方はこの吊り橋でもかなり怖いとのことです。
もし何人かでこの山を歩こうとされている場合は、高所恐怖症の方がいないか確認した方が良いでしょう。もしいらっしゃるようなら、吊り橋を通らないルート設定をした方が安全です。
峠道で見た看板の磨崖仏ですが、吊り橋を南から北へ渡る途中で左下に見ることができました。
▲吊り橋から見た磨崖仏(3つの四角い穴は、磨崖仏を守るために付けられていた屋根の取り付け部)
切通しの参道の磨崖仏(まがいぶつ)この「切通し参道」は、明治32年に丹後国宮津の人で内山泰蔵氏がこの参道(切通し)工事を発起し往来を便利にしようと計画された。地元の人々の協力をもってこの切通しの参道が竣工した。
また、この「磨崖仏は切通しの参道が竣工した以降に彫られたものです。したがって、この磨崖仏は、古法華においては、一番古い磨崖仏となります。
この磨崖仏は切通しの参道上に立って彫られたもので現在の位置よりも低いところにあったのですが、昭和30年頃に古法華に石切場が出来たことにより、石材の運搬の安全を図るため参道幅を広くし又参道を滑らかにすると共に通行しやすくするため地面が相当下げられたことにより磨崖仏が現在の高い位置になったものと思われる。
石彫者は不明であるが、石仏に関心のある者が彫られたのではないかと想像できる。
拝観は参道の上を通っている「吊り橋」からしか見えないのが残念であるが、一度吊り橋からご覧いただきたい。
なお、吊り橋にも案内の看板を設置しています。
令和5年7月吉日古法華保存会(出典:峠道の看板 原文まま)
吊り橋を渡ったら、鎖が垂れた岩の急斜面を登って稜線へ。
稜線に出たら右へ進むのが正しいルートです。
▲吊り橋から笠松山へのルート概略
時々分岐に出会いますが、たどるべき稜線の形状を理解し、コンパスで進行方向を確認すれば迷う心配はありません。
▲稜線上は展望が良く歩きやすい道
道が西へ向きを変える手前には、吊り橋を渡った直後と同じような岩場があり、岩の斜面を登り切ってから進むべき方向が分かりづらくなっています。
進路は左寄りに変わりますから、左上を目指して岩場を登ると良いでしょう。
西向きの道は、一部で両側の雑木で展望が遮られたり、シダが生えた区間もありました。
笠松山の山頂直前では、また鎖のある岩場に出会います。
▲笠松山山頂直前の岩場
11:19
展望台のある笠松山山頂に到着(地図中「笠松山」)。
▲山頂の展望台
地形図に描かれている三角点*1は、展望台の真下に埋設されています。
▲展望台の真下にある三等三角点標石(点名:法華山)
展望台の上では、数名のグループが休憩中でした。
他人がくつろいでいるところに上がり込むのも気が引けるし、笠松山は今日の山歩きの目的地ではないので、展望台には上がらずそのまま素通りし、南の小ピークにある「あずまや」を目指しました。
ちなみに、展望台に上がると下のような景色を楽しめます。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kasamatsu20150627/virtualtour.html
▲笠松山展望台からの眺め(全天球パノラマ 撮影日:2015年6月27日)
笠松山山頂から南の小ピークへ続く道の入口に立っているのは、「大柳ダム方面 800m」と書かれた道標。
これに従って急斜面を下ります。
▲この道標に従って進んだ
▲大柳ダム方面へ下る道は急角度で歩きづらい(見上げて撮影)
下りきった鞍部には、地形図の通りに峠道が通っていました。
この鞍部を直進して南の小ピークへ登り返します。
▲登山道の交差点になっている鞍部の様子(今回は直進して斜面を登った)
11:31
あずまやに到着(地図中「あずまや」)。
▲あずまや
荒れている様子はありませんが、木々に囲まれているため展望は期待できなさそうですし、何より蜂の巣があると怖いので、中には入りませんでした。
あずまやの手前で左に下っていく道があったので、そこまで戻って南東向きの尾根に付けられた道を下ります。
最初の内は路面が白っぽい丸太階段の道。
▲南向きに下る道の様子(前半)
下っていくと路面は赤土っぽくなり、滑りやすくなってきました。
場所によっては悪意さえ感じる段差の丸太階段もあり、膝と腰に負担がかかります。
▲南向きに下る道の様子(中盤以降)
▲南向きに下る道に設置された障害物…じゃなくて丸太階段
私は赤土の斜面で一回しりもちをつき、階段がある区間では丸太階段の残骸から飛び出ている鉄筋に一回つまづきました。
ここを歩かれる際は、十分にご注意ください。
▲笠松山からあずまやを経て南へ下るルートの概略
11:42
車道に下りてきました(地図中「車道合流」)。
▲ここに降りてきた
ここからは、馬の背を目指して車道を西へ進みます。
およそ180m進んだところで、下の画像の場所(橋がある)に出会ったら、橋の手前を左折。
▲橋の手前で左(地形図の実線道)に入る(写っているのは、たまたま居合わせたお散歩中の方)
11:45
地形図の実線道に入ってすぐ左手に丸太階段の道が分岐しますが、これが馬の背に続く道の入口です(地図中「馬の背登山口」)。
▲丸太階段の道に入る
この登山口には新しいプレートがかっていましたが、字が違うような気がする…
インターネット検索でも「背」と「瀬」がごちゃ混ぜになってますね。
▲馬の背登山口のプレート
登山口から山に入ってすぐ二股の分岐に出会いますが、左は遊歩道で右が馬の背への登山道です。
小さなプレートもかかっていますし、方角を考えても間違える心配はないでしょう。
馬の背へ続く道はすれ違うのも困難なほど道幅が狭く、しかも急斜面で昼ご飯前の体には堪えました。
▲馬の背に続く道の様子
11:58
馬の背尾根に出ました(地図中「馬の背」)。
▲馬の背
木々がない場所なので予想はしていたのですが、思った以上の風強でした。
体感では、風速5m~10m/秒といったところ。
私の場合、景色の良い場所でのんびり食事をするのが山歩きの楽しみ方ですから、このくらいの風なら食事ができる準備をしています。
いつも使っている机と椅子は、風で飛ばされるだろうと思ってそもそも持ってきていません。
ストーブは、風にあおられて倒れないよう低重心のもの。強風を防ぐことができるとんでもない重さの風防も用意しました。
耐強風装備で作る本日の昼食は、具だくさん大盛り豚汁と白ご飯です。
豚汁は、生の豚肉を持ってくるのに抵抗があったのでベーコンを使用。
強風下で炊飯は難しいのとコスト削減のため、あらかじめ家で炊いたご飯を保温容器で持ってきました。
▲本日の昼食(豚汁というかベーコン汁と白ご飯)
豚汁のベーコンが思いのほか美味しい!ご飯が進みます。
豚汁は冷めても温めなおせるから、強風で体が冷えても豚汁で温まって最高。
私がこの食事を頂きながら楽しんだ馬の背尾根からの展望は、下の全天球パノラマでご覧ください。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kasamatsuyama20120122/virtualtour.html
▲馬の背尾根からの眺め(全天球パノラマ 撮影日:2012年1月22日)
▲いつもなら大きく見える笠形山は、今日は雲の中
▲明神山はくっきり
12:46
そろそろ寒くなってきたので、下山開始。
馬の背尾根から東へ向かいます。
ここから先は稜線上の一本道で、なだらかなアップダウンが続くだけの、展望が良い快適な道。
▲下山ルートの概略(2015年6月27日撮影の全天球パノラマから切り出した画像で作成。)
13:02
善防山から西へ延びる縦走路に合流しました(地図中「縦走路合流」)。
▲縦走路との合流地点に設置されている道標
縦走路に突き当たった所は丁字路。左に行けば吊り橋で、右に行けば善防山です。
今回は駐車場の北へ下りられる下山道を使う予定にしていたので、ここは右へ。
(地形図ではわかりづらいですが、馬の背からの道は北へ延びる尾根の少し西に出ます。)
すぐに「下山道」と書かれた道標の立つ三叉路に出会うので、その「下山道」へ入りました。
▲縦走路から下山道(北へ延びる尾根)に入る道の入口
この「下山道」は、一部だけ開けた所がありますが、全体的にはあまり展望のないなだらかな山道。
路面の状態があまり良くないので、何も考えずただ黙々と慎重に下るだけです。
▲下山道の様子
13:18
車道に出ました(地図中「下山地点」)。
▲ここに降りてきた
後は、南へ250m歩けば駐車場です。
13:23
駐車場に到着。
交通アクセス
公共交通機関では、北条鉄道の播磨下里駅が最寄り駅です。
今回紹介した「つり橋のぼりぐち」までの距離は、2km強。
*1:誤解している方が多いですが、三角点は単なる測量の基準点であり、山頂を示すものではありません。測量従事者ではない登山者が三角点にこだわる必要はありません。ただ、スタンプラリー的に「〇〇市の三角点をすべて回る」というような山歩きの目標にするのはアリだと思います。