播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

アメリカの映画やドラマで見かける薬入れ:ピルケース

高血圧やらその他、体の不調があるため食事の前後に薬を飲んでいるのですが、その薬の携帯方法に悩んでいました。

必要な分量だけ切り離したPTP包装シート*1は小さすぎて、ポケットなどに入れておくと他のものに紛れて取り出しづらいですし、毎日毎食使うもののため、耐久性のないジッパー付きの小袋だとすぐに傷んでしまい、頻繁に袋を交換しないといけません。

その小袋も鞄の中で行方不明になりやすいですし、しかも開閉が面倒。
100円ショップで売られている薬の小分け容器は大きすぎたり、デザインが気に入らないものばかり。

良い携帯方法は無いかと悩んでいたら、アウトドアショップの米軍放出品コーナーで(私にとって)完璧な容器を発見しました。

それが、今回紹介する米軍ピルケース(薬入れ)です。

概要

米軍放出品とされている樹脂製の薬入れです。

アメリカでは薬品を入れる容器として一般的で、例えばアメリカのウォルマートの通販サイトでは、(別メーカーですが)今回紹介するのと同じサイズの製品が100個で50ドル未満といった安い値段で売られています。

今回紹介する容器は、(この記事掲載時点で)まったく同じデザイン、サイズのものがアメリカのアウトドア用品販売サイトで「U.S. Military Surplus Plastic Pill Bottles, 100 Pack, New」として100個入が$12.99で売られているので、アメリカ軍の放出品だと考えて差支えなさそうです。

仕様

国内のWebサイトで同型のピルケースの情報を探しましたが、メーカー名などが分かる情報は見つかりませんでした。

そこでアメリカの医療関係通販サイトなどを探し*2、まったく同じと思われる製品を見つけたので、その製品情報を記載します。

間違っている可能性もありますので、その場合はお知らせいただけましたら幸いです。


▲米軍ピルケース

製品名(日本語): デッドストック 米軍ピルケース
製品名(英語): 8Fluid Dram US Amber PerfectPak Vial PP
メーカー: Berry Global Inc.(アメリカ)
サイズ: 本体 直径約25mm×高さ約65mm、キャップ 直径約33mm×高さ約10mm(実測値)
重量: 本体 約5g、キャップ 約3g(実測値)
容量: 約31.5ml(8.5 Fluid dram)
材質: ポリプロピレン(本体、キャップ)
生産国: 本体 カナダ、キャップ アメリカ
カラー: アンバー(Amber:琥珀色)
購入価格: ¥275/1本(税込)
購入先: Y's Camp Market(兵庫県神崎郡市川町)

外観

本体は半透明な琥珀色の樹脂でできた円筒形容器で、開閉の方法が印刷された白いキャップがはまっています。


▲米軍ピルケース(単3形電池はサイズの比較用)


▲キャップに書かれた開閉方法(印刷された文字は、簡単にかすれたり消えたりします)

子供が誤って薬を飲まないよう、キャップはチャイルドレジスタントになっています。
そのため、キャップを開閉するための手順がわざわざキャップに文字で書かれているわけです。

「PUSH DOWN WITH PALM WHILE TURNING」と書かれていますが、これは「手のひらでキャップを押し込みながら回す」という意味。

押し込みながらキャップを回さないと開閉できない仕組みは、容器上端の突起とキャップ内側の突起の形状を見れば一目瞭然です。


▲容器の上端

キャップに印刷されている文字は、摩擦などによって比較的簡単に消えてしまいます。
文字を残しておきたい場合は、キャップを操作するときに縁だけをさわるようにしてください。

キャップの内側には薄い半透明の板(パッキンの役割を果たす)があり、それが若干上下に動くようになっています。


▲キャップの内側(突起が見やすくなるよう画像を加工しています)

容器の底面には、材質や容量を示す文字が浮き彫りされています。


▲容器の底面(左は材質がポリプロピレンであることを、下は容量が8.5ドラム(1ドラムは約3.7ml。8.5ドラムは約31.5ml)であることを示す。「8A」が示す内容は不明。)

使い方

アメリカでは、薬局などでこの容器に錠剤やカプセルを直接入れて患者に渡すようです。

ちなみに、2023年7月16日~9月17日に放映された日曜劇場「VIVANT」の序盤で、二階堂ふみが演じる女医が主人公たちに薬を渡すシーンでも、同種の容器が一瞬写っています。


▲アメリカでの利用イメージ*3

日本では、錠剤やカプセルをこのような容器に直接入れて病院や薬局が患者に渡すことは無いと思います。

薬が入ったPTPシートを適当な大きさに切ってピルケースに入れて使うことになりますが、どのくらいの薬を入れられるのか見てみましょう。


▲漢方薬のパックを入れるには不向き


▲一般的な錠剤なら2粒ずつのサイズでPTPシートを切り離せば問題ない(ここに写っているのは、ロキソニンのジェネリック医薬品が入ったPTPシート)


▲錠剤を6粒(2粒入ったPTPシートを3枚)入れた様子

容器の性能

メーカーが公開している製品紹介資料には、「Compliant with USP "Light and Tight" requirements」とあります。

USPはUnited States Pharmacopeiaの略で、日本語にすると「米国薬局方」。

薬品の梱包について定めた仕様があり、「Light」はその中にある「Light-resistant container(遮光容器)」を指していると思います。

「Tight」は、仕様にある「Tight container」のことだと思われ、輸送中や客が取り扱う状況で、外部からの液体や固体、蒸気の侵入から内容物を保護し、内容物が白華、潮解、蒸発しないように密封でき、開封後も再度密封できるようになっていると考えられます。

どの程度の密封性があるのか調べるため、中に水を入れて激しく振ってみました。
すると、細かい水滴が周囲に飛び散る結果に。

さらに、容器を強い力で握って(変形させて)振ると、より多くの水が飛び散りました。

ただ、中に何も入れない状態で水につけても、容器から気泡は出てきませんでした(容器の中に水は入り込まなかった)。

これらのことから、無茶な扱いをしない限りは防水性と気密性が保たれることが分かります。

この商品は米軍放出品ということで、いつ製造されてどんな状況で保管されていたのか分からない容器ですから、たとえメーカーが謳っている通りの性能が発揮できなくても文句は言えないでしょう。

最後に

ただの円筒形の容器なんですが、アメリカらしいデザインになっているだけでかっこよく見えるから不思議です(個人的な感想です)。

この容器に薬を入れるようになってからは、派手な色のため鞄の中で容器を見つけやすくなり、手探りでも簡単に鞄の中から取り出せるため、食事の前後に薬を飲むのが楽になりました。

飲む薬の数が多い方は、使用する容器を朝昼夜で各1本ずつ用意するといった方法で対応できると思います*4

サプリを飲んでいる方にもお勧め。

サプリは薬ではないため飲むタイミングが商品ラベルに記載されていませんが、食事の前後のタイミングで飲むと効果が高まる可能性があり、出先での食前・食後にサプリを飲む方もおられると思います。

サプリの容器は大きいですから、出先で飲もうと思えば小分けして持ち運ばないといけません。そんな時、湿気などからサプリを保護できるピルケースは最適。

上に掲載した「アメリカでの利用イメージ」の画像でピルケースに入っているのは、実は私が普段飲んでいるサプリです。

薬やサプリに縁のない健康なアウトドア好きの方は、マッチケースとして使っても良いかも。
ピルケースはマッチ箱より耐久性がありますし、マッチを湿気から守れます。

この場合は、マッチ箱から切り取った側薬(マッチ棒をこすりつける茶色い部分)を一緒に入れておくか、通販で購入できる側薬のシールを貼り付け、マッチ棒先端の火薬(頭薬)が割れないように綿を入れるといった工夫が必要です。


▲マッチ棒、マッチ箱とのサイズ比較

Amazonでも似たようなピルケースが売られていますので、興味がある方は検索してみてください。

*1:PTPはPress Through Packの略で、錠剤やカプセルが入っているプラスチック部分を押し込み、アルミシートを破って取り出す包装のことをPTP包装と呼びます。

*2:米軍が使用するものは基本的にアメリカ製のため、アメリカのサイトを探すのが近道なのです。

*3:実際には容器の表面に患者の氏名や薬の名前、飲み方、有効期限などを示すラベルを貼付します。ここでは、中に錠剤を直接入れていることを分かりやすくするため、ラベルを貼っていません。

*4:表面にテプラを貼るなどして、どの容器がどのタイミングで飲むための薬なのか分かるようにする必要があります。テプラの位置や大きさを変えることで、手触りでも容器の判別が可能になるかも。