播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

護衛艦こんごう(DDG-173)一般公開@大阪港

このブログは、本来山歩きの記録を公開するために作ったものですが、最近は暑くてブログに載せられるような山歩きはできませんから、代わりにイベントに出かけることにしました。

海上自衛隊にとって初めてのイージス艦*1、「護衛艦こんごう(DDG-173)」の一般公開です。


▲護衛艦こんごう(一般公開会場で撮影)

主要要目
基準排水量: 7,250トン
主要寸法: 長さ161m、幅21.0m、深さ12.0m、喫水6.2m
主機械: ガスタービン4基2軸
馬力: 100,000 PS
速力: 30kt
主要兵装: イージス装置一式、VLS装置一式、高性能20ミリ機関砲×2、SSM装置一式、54口径127ミリ連射砲、3連装短魚雷発射管×2、電波探知妨害装置一式、対潜情報処理装置一式
乗員: 約300人
(出典:海上自衛隊ホームページ)


▲護衛艦こんごう(DDG-173)一般公開の会場入口

イベント名称: 護衛艦こんごう一般公開
日時: 2023年08月26日(土)13:00~14:30
    2023年08月27日(日)09:00~11:30、13:00~15:30
場所: 大阪港中央突堤北岸壁(大阪メトロ「大阪港」駅から約600m)
備考: 事前申し込みは不要。手荷物検査が行われます。


https://goo.gl/maps/KVUgNeBBYkYph3Ap8
▲護衛艦こんごう一般公開会場の位置

JRの新快速で自宅の最寄り駅である姫路駅を出発し、大阪駅で内回りの環状線に乗り換えて弁天町駅へ。
弁天町駅で大阪メトロに乗り換えて大阪港駅へ向かいました。

JRは今日もダイヤが乱れていたため、当初の予定通りの時刻に会場に着くことができませんでしたが、それでも12:30には会場となる大阪港中央突堤北岸壁に到着。

12:30
突堤にはBMWの建物があって、その東端が一般公開会場の入口になっています。
行列はそこを先頭に建物に沿って西へ延びており、すでに長さ150mほどの行列ができていました。

「最後尾」のプラカードを持った隊員さんのところに並び、直射日光にあぶられながら公開が始まるのを待ちます。

その間にも、行列はBMWの建物西端付近から東向きに折り返してぐんぐんと伸びていきます。


▲一般公開待ち行列の様子(12:30時点)建物の長さが約110mあります

13:00
一般公開が始まる時間ですが、行列は全く動きません。後で聞いた話では、13:00から来賓の挨拶のような行事が行われ、それが終わってから見学客の入場が始まったそうです。

13:15頃
ようやく行列がじりじりと動き出しました。
私が最初に並んだのはBMWの建物の西端付近でしたが、少しずつ私の前の列が短くなり始めました。

ふと南を見ると、BMWの建物の長さ(約110m)と同じ長さの行列がさらに3列出来上がって長さ100m以上の行列が合計4本になっていました。

13:30頃
ようやく一般公開会場入り口付近(BMWの建物の東側)までやってきました。100m進むのに15分かかったことになります。

ずーっと直射日光に当たり続けていたため、全身汗だく。私だけではありません。周りを見ても皆さん暑そうです。

この頃には、来場者に対して「受付時間の関係で、乗艦いただけない可能性もありますがよろしいですか」と隊員さんが来場者に声をかけ、それでも並ぶという方が行列の最後尾に並んでいくという状態。


▲並んでからおよそ1時間でようやく入口っぽいところに到達

なぜ上の画像の場所が一般公開会場の入口だと感じたのかというと、会場はフェンスで囲まれた空間になっており、上の画像の場所にゲートがあったからです。

フェンスの表示を見ると、ここは保税地域*2だから厳重に囲まれているようです。

保税地域を守るフェンスの内側に入り、BMWの建物の北側に回り込んだら、艦首を東に向けて停泊する護衛艦こんごうがその姿を表しました。

「おーすごい!」と感動すべきなのですが、感動したのは建物の北側にできた日陰。そこに入ると一気に涼しくなります。

護衛艦の姿より日陰に喜んでしまうとは…いや、それほど待機列に並ぶのが過酷だったのです。

この時期の屋外イベントには、日傘や冷たい飲料、適切な服装などの熱中症対策が欠かせません。

ちなみに、大阪のアメダスが記録したこの日の14:00の気温は34.1℃、湿度は52%でした。

13:45
BMWの建物の北側で、日陰に沿って形成された行列を西へ移動し、艦尾付近で金属探知機による身体検査と目視による手荷物検査を受けました。

あの金属探知機の検査って、正直に言うと「形だけのもの」かと思っていたのですが、他の見学客にしっかり反応しているのを今回初めて見て一安心。今まで疑っていて申し訳ありませんでした。


▲手荷物検査場の様子(テントの中にある机の上で鞄を開き、中を隊員さんに見せる)

手荷物検査のテントを抜け、ようやく乗艦できました。


▲乗艦用の舷梯(げんてい)は艦尾(右舷)に設置されていた

乗艦したところは、艦尾の飛行甲板
まずはVLS(Vertical Launching System=ミサイルの垂直発射装置)に出迎えられます。


▲飛行甲板近くの後部VLS

VLS
VLSとは日本語名で垂直発射装置と呼ばれ、それぞれの目標に応じたミサイルを発射することができる。
ミサイル自体は、四角い蓋(セル)の下に垂直な状態で装填されており、本艦には全部VLSに29発、後部VLSに61発の最大90発のミサイルを格納することが可能である。また、本艦で発射できるミサイルは下記のとおりである。

目標 ミサイルの種別 ミサイル名
弾道ミサイル 弾道ミサイル防衛用ミサイル Standard Missile 3(SM-3)
航空機 対空ミサイル Standard Missile 2(SM-2)
潜水艦 対潜ミサイル Vertical Launching Anti-submarine rocket(VLA)

(出典:現地のパネル)


▲VLSのセル・ハッチ(ハッチ一つにつき一発のミサイルが入る)


www.youtube.com
▲YouTube動画「【戦闘艦の必須装備!Mk41 VLS】トマホークやSM-3ミサイルを垂直発射!」(8分24秒)


▲飛行甲板の様子(ヘリコプターの格納庫は無い)


▲艦尾の自衛艦旗


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kongou20230826-1/index.html
▲飛行甲板で撮影した全天球パノラマ

飛行甲板の見学を終えたら、左舷の通路を通って艦首へ向かいます。

左舷側の通路に入ってすぐに出会うのは、3連装短魚雷発射管(HOS-302)。


▲左舷の3連装短魚雷発射管(HOS-302)1991年 渡辺鉄工株式会社製

HOS-302(短魚雷発射管)
潜水艦を攻撃する為に高圧空気により、発射する武器です。こんごうには、左右3本づつの6本が装備されております。

重量 約235kg
全長 2.59m
直径 約32cm
発射空気圧 10.3Mpa
(出典:現地のパネル 原文まま)

左舷側の通路には、救命浮環(浮き輪)とブイ、膨張式救命筏もありました。


▲救命浮環(16番)とブイ


▲膨張式救命筏の下を通る

救命いかだの下を通り抜けた先にあったのは、洋上補給で使用するスライディング・パッドアイ*3と、対艦ミサイルハープーンです。

ちなみに、この場所には熱中症対策のための給水所がありました。


▲スライディング・パッドアイとハープーンミサイル

ハープーンミサイル
 ハープーンミサイルは1969年から米国において水上艦艇を攻撃するため艦艇や航空機及び潜水艦からも発射できるよう開発されたミサイルである。

特徴
1.全天候性能
 昼、夜、雨、煙霧において発射が可能である。
2.発射後の自律
 アクティブホーミング誘導をおこなうことで複数の目標に対し、速やかな連続発射が可能である。
3.高い撃破率
 高い命中率を誇り、弾着時のミサイル運動エネルギーは100Km/hで走行する60トンの列車に等しく、敵艦艇に対し致命的な被害を与える。
4.多種発射装置性能
 航空機、水上艦艇、潜水艦(カプセル使用)から発射が可能である。
5.高信頼性
 ハープーンミサイルシステムは簡単で故障が少なく高い信頼性を有している。

性能項目
誘導方式:アクティブ・レーダーホーミング
推進方式:ターボジェット+ブースター
射程:100km以上 全長:4.58m 翼幅:0.91m
(出典:現地のパネル)


www.youtube.com
▲YouTube動画「RGM-84 Harpoon Anti-Ship Missiles」(56秒)


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kongou20230826-2/index.html
▲左舷中央付近(給水所前)で撮影した全天球パノラマ

ハープーンミサイルの下を通ってさらに艦首の方へ進むと、壁と天井に覆われた通路に入ります。日陰になっているため涼しい~。


▲日陰になった通路

通路内にはいろんなものがありましたが、目を引いたのはリアカー
陸上自衛隊の駐屯地でよく見かけますが、船の上でも使うんですね。


▲通路に立てかけられたリアカー

室内のような通路を通り抜けた所は、54口径127ミリ連射砲が鎮座する艦首です。
正面にはVLS54口径127ミリ連射砲があり、振り返ると高性能20ミリ機関砲もあって、まさに兵器だらけの空間です。


▲艦首の兵装(前部VLSと54口径127ミリ連射砲)


▲54口径127ミリ連射砲の左側面


▲護衛艦といえばこのアングル

実際に127ミリ砲弾(訓練用)の重さを体験することもできました。


▲訓練用の127ミリ砲弾と薬莢


www.youtube.com
▲YouTube動画「Mad minute with OTO-Melara 127mm/54 Compact naval gun in JMSDF destroyer」(41秒)


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kongou20230826-3/index.html
▲艦首で撮影した全天球パノラマ

これで一般の見学客が見られる範囲は一通り見終わったことになります。

14:10頃
右舷側の通路を艦尾に向かって進み、中央付近にある舷梯から退艦。
見学に要した時間は、およそ25分でした。


▲退艦用の舷梯はハープーンミサイルの位置にあった

私が分かる範囲で護衛艦こんごうの装備を示す画像を作りましたので、興味のある方はどうぞ。

間違っているところがあれば、お知らせいただけると幸いです。


▲護衛艦こんごうの装備*4

毎回思いますが、訓練などで忙しい中、しかもこの猛暑の中でイベントを円滑に実施し、来場者に対して親切・丁寧な対応をしていただく自衛隊員の皆様には感謝しかありません。

なお、自衛隊大阪地方協力本部(大阪地本)のX(旧Twitter)への 2023年8月27日午後6:36付の投稿*5によると、「2日間の乗艦者数は約6,500名でしたぁー」とのことです。

*1:イージスシステムと呼ばれる武器システムを搭載した艦艇のこと。邪気を払うイージスの盾が名前の由来です。同時に多数の目標を追尾し、脅威度が高い目標を自動的に判断してそれらの目標を複数同時に攻撃する能力を持つシステムです。

*2:日本から輸出、あるいは輸入する貨物を保管する場所で、税関の管轄下にあります。密輸入が行われないようにフェンスで厳重に囲まれており、防犯用のセンサーなどで警備されていることもあります。

*3:スライディング・パッドアイの柱に沿って上下に動く部品にロープの一方を結び、反対側を輸送艦に結び付け、柱に沿って部品を上げると補給艦側のロープが低くなるため荷物が補給艦へ、逆に部品を下げると補給艦から護衛艦に荷物が届くロープウェイの役割を果たします。

*4:「54口径127ミリ連射砲」は「速射砲」の誤りだと思うのですが、このブログ記事掲載時点では海上自衛隊ホームページに「連射砲」と表記されているため、それに合わせています。

*5:Xでのアカウント表示名は「自衛隊大阪地方協力本部@公式」、ユーザー名は「@osaka_pco」です。