山歩きでは、季節によって虫に悩まされることがあり、その対策として「携帯防虫器」(強力な蚊取り線香)を使ってきました。
携帯防虫器は頼りになる道具ですが、人の多い山に行く場合、煙が他の方の迷惑になる可能性があります。
そこで、人が多い環境でも使えそうな道具がないか探してみたら、愛読しているアウトドアブログ「自転車とアウトドアライフ(遊び)」(http://www.morikatu.jp/article/500007542.html)でかっこいい虫よけグッズが紹介されているのを見つけ、衝動買いしてしまいました。
それが、今回紹介する「Light Repel(ライト・リペル)」です。
▲デイパックに取り付けた「Light Repel」
概要
昔ながらの「蚊取りマット」を使う携帯型の虫よけ器です。
電源は内蔵していないため、別途モバイルバッテリーなどから給電して使用します。
www.youtube.com
▲メーカー公式動画
同じメーカーからバッテリー内蔵型の製品も売られていますが、私は「バッテリーの劣化で製品自体が使えなくなること」が大嫌いなので、バッテリーのないこの製品を選びました。
仕様
▲Light Repelのパッケージ
製品名: Light Repel(ライト・リペル)
メーカー: FLEXTAIL Technology Co.,Ltd.(中国)
サイズ: 98mm×48mm×28mm(カタログ値)
重量: 42g(カタログ値)
給電ポート: USB Type-C
定格電圧: 5V
定格電力: 5W
対候性: IPX4
生産国: 中国
カラー: ブラック、グリーンの2色展開
定価: ¥3,280(税込)
購入価格: ¥2,980(税込)
購入先: amazon.co.jp
備考: 電源(モバイルバッテリー)と蚊取りマットは別途用意する必要があります。
※この記事で使用しているLight Repelはグリーンの製品です。
▲パッケージ内容(左から取扱説明書、Light Repel本体、給電用USBケーブル)
外観
(この記事掲載時点では)Light Repelはブラックとグリーンの2色が販売されていますが、私が購入したのはミリタリー感がたまらないグリーンの製品。
価格が高いのに衝動買いしてしまったのは、見た目がかっこよすぎるからです。
本体表面には、黒いメッシュパネルと押しボタンスイッチ、そして動作状況を示すランプが付いています。
上端にあるのは、スタンドにもなるカラビナ。
▲Light Repel本体
裏面は黒いメッシュパネルだけで、スイッチや動作状況を示すランプはありません。。
▲本体裏面(ブランド名や製造国、電圧、消費電力が浮き彫りされている)
片方の側面には、給電用のUSB Type-Cポートがあります。
▲給電用のUSB Type-Cポート
カラビナは下の画像の角度で止まるようになっているため、スタンドとして使用できます。
▲カラビナをスタンドにして立てて置くことができる
基本的な使い方
まずは、蚊取りマットをドラッグストアなどで購入します*1。
有名な蚊取りマットにはアースとベープ(フマキラー)の2種類がありますが、私が使っているのはベープマット。
特に深い理由は無く、近所のドラッグストアにはベープしか置いてなかっただけです。
山歩きで使う場合、匂いの強いタイプのマットをお勧めします。
山の中を歩いているときや食事休憩の際、フワッと蚊取りマットの匂いが漂ってくると「蚊よけのバリアが張られてる!」と実感できるからです。
匂いがしない場合は、風向きが悪いとか、マットから薬剤が蒸発しきっているとか、Light Repelが虫除けの役割を果たしていないことが明確に分かるというわけ。
▲別途購入した蚊取りマット(60枚入りで千円未満)
▲蚊取りマットは1枚ずつアルミパックに密封されている(3枚が一続きになっているものを、1枚ずつ切り離して使う)
蚊取りマットを用意したら、Light Repelについている黒いメッシュパネルを爪で引き抜きます。
カッチリ留まっているわけではないため簡単に外れるのですが、これはアウトドアで使うときには不安。
そのための対策も後で紹介します。
▲黒いメッシュパネルを爪で外す
Light Repelの中に蚊取りマットを1枚入れたら、メッシュパネルを元通りに押し込みます。
▲蚊取りマットを本体内に置いてから黒いメッシュパネルをはめる
蚊取りマットは本体の両面に1枚ずつ入れられるので、最大で2枚入る構造。
単純に考えれば2枚にすると蒸散する殺虫成分が2倍になるので、使用する環境やコストを考えて、適切な枚数の蚊取りマットを使うとよいでしょう。
蚊取りマットを入れたら、USBケーブルでモバイルバッテリーをLight Repelに接続。
▲モバイルバッテリーを接続したLight Repel(写っているケーブルはLight Repelの付属品)
これで本体内のヒーターが発熱し、蚊取りマットにしみ込んでいる殺虫成分の蒸発が始まります。
電源のON/OFFはなく、電源に接続すると勝手に発熱が始まるのがちょっと不便。
この時、Light Repelのボタン横のランプは緑色になっていますが、これは取説によると「テントモード」で、ヒーターは110℃まで発熱します(消費電力は3W)。
▲「テントモード」時のランプは緑色
この状態でボタンを押すと、ランプが赤色になります。
これは「アウトドアモード」で、ヒーターは165℃まで発熱します(消費電力は5W)。
▲「アウトドアモード」時のランプは赤色
どちらのモードの時も、ヒーターが十分に温まるとランプが赤色で点滅し始め、温度が下がるとまたランプが緑色になって加熱が始まります。
アウトドアモードにしていても、赤色点滅の後はなぜか緑色(テントモード)になってしまうので、殺虫成分を強めにばらまきたい場合は、こまめに本体のランプを確認しないといけません。
ちなみに、マットがあろうがなかろうがヒーターは両面とも発熱するので、マットを入れる枚数は消費電力に影響を与えません。
アウトドアでの使い方
山歩きで使うときは、カラビナでバックパックに取り付けます。
たいていのバックパックは正面にループかデイジーチェーンのようなものが付いているので、カラビナで引っ掛けられると思います。
▲カラビナでバックパックに取り付けた様子
モバイルバッテリーは、バックパックのフロントポケットかサイドポケットに入れておくことになるかな。
付属のUSBケーブルは長さが24cm(端子部を除く)しかないため、長めのケーブルを別途購入した方が良いです。
▲USBケーブルは長めのものを別途購入した方が良い
既に書いた通り、黒いメッシュパネルは簡単に外れてしまうため、脱落・紛失防止のために輪ゴムを巻くと良いでしょう。(輪ゴムを巻くアイディアは、冒頭で紹介したブログ「自転車とアウトドアライフ(遊び)」からの受け売りです。)
Light Repel本体側面にある突起のおかげで、輪ゴムはズレたりしません。
▲山歩きで使うときは輪ゴムを巻くと黒いパネルを落とす心配がなくなる
上の画像で巻いているのは、アウトドア用(?)の緑色の輪ゴムです。
▲カモフラ柄の缶に入ったOバンド
▲輪ゴムは緑色
普通の茶色っぽい輪ゴムでも問題ありませんが、気分の問題で私は緑色の輪ゴムを使っています。
▲普通の茶色い輪ゴムを巻くとこんな感じ
趣味を楽しむには、こういった「どうでもいいようなところ」にもこだわることが大事だと思います(個人的な考えです)。
キャンプで使う場合は、殺虫成分が両面から効率よく拡散するように、カラビナをスタンドにして立てた状態で使います。
この使い方であれば、付属の短いUSBケーブルでも困りません。
▲キャンプのような状況では、このように立てて使うと両面のマットから殺虫成分を効率良く出せる
蚊取りマットは、殺虫成分が蒸発しきると色が薄くなります。
こうなったら交換時期。
▲未使用状態と使用後の蚊取りマット比較(左は未使用。右が使用済み。)
▲裏面の比較(左は未使用。使用済みのマットはヒーターに接していた部分の色が濃くなっている)
最後に
はっきり言って、Light Repelはデザインに魅力を感じられる方にしかお勧めできません。
一般的には充電式の方が好まれるでしょうから、バッテリーをケーブルで接続しないと使えないLight Repelは、私のような特殊な好みを持った人にしか向いていないと思います。
虫除け効果に関しては定量的に測定できないため書けませんが、これを使っていると蚊は寄ってこないような気がします。
液体式の蚊取り器が発売されるまで、長い間にわたって蚊取り線香や蚊取りマットが使われていましたから、虫除けの効果は高いのでしょう。
AC100V→USB変換アダプタ(商品には付属しません)を使えば、Light Repelは家庭用の蚊取り器としても使えます。
▲家庭の電源に接続したLight Repel
山歩きで使うときは匂いが強めのマットが良いと上で書きましたが、室内ではマットから蒸発した成分の匂いが籠りますから、室内用としては匂いが少ないマットをお勧めします。
Light Repelのヒーターは、テントモードだと110℃までしか発熱しません。
ところが、コンセントにつなぐアースやベープ(フマキラー)の純正ヒーターは、160℃まで温度が上がるそうです*2。
そのためかLight Repelではマットの色が薄くなる(薬剤が尽きる)までに、マットのカタログスペックよりも時間が長くかかるので、経済的と言えば経済的。
逆に、薬剤の蒸発量が少なすぎて、換気が良すぎるアウトドアだと力不足ではないかと心配にもなります。
▲テントモード(緑ランプ)時のヒーターの温度(使用時はこの上にマットを載せて黒いパネルをはめ込む。本体もヒーターの近くは熱くなるが、火傷や周囲のものを損傷させる可能性は低い。)*3
私の場合、食事中はバックパックを近くの木に引っ掛けて*4、少し離れた場所でご飯を食べることがあります。
そんな時、自分が座っている近くの地面にLight Repelを置くのですが、ミリタリー感のある色合いのため地面に溶け込んでしまい、その存在をうっかり忘れて蹴ったり踏んだりすることも…
蹴飛ばすだけならまだしも、踏んづけて地面にめり込むと黒いメッシュパネルに土や泥が入り込んでしまい、掃除が大変。
ミリタリー感のある色とは、言い換えると「山の中で見落としやすくするための色」です。
Light Repelは2色展開ですが、どちらもミリタリー感がある色ですからご注意ください。
長所
- バッテリー内蔵型ではないため、バッテリーの劣化を心配する必要がない。
- 小型で軽量。
- スタンドを兼ねたカラビナが使いやすい。
- 純正より安価なアースやベープマットも使える(メーカー推奨の使い方ではありません)。
短所
- 色がアウトドア環境に溶け込みやすいため、地面に置いて使うとうっかり置き忘れたり蹴飛ばしたり踏んづけたりしてしまう。
- バッテリーを別途用意する必要がある。
- 「アウトドアモード(165℃)」で連続動作させることができない(ヒーターが温まると「テントモード(110℃)」に戻ってしまう)。
- 付属のUSBケーブルは短すぎるため、長いケーブルを買い足す必要がある。
- 蚊取りマットを押さえる部品が外れやすいため、対策をする必要がある。
- IPX4の対候性はあるものの、マットが濡れると使えず、給電中にUSB端子内に水が入るとショートの恐れがあり、本体の防水性は無意味。(そもそも雨が降ると蚊は出てこないため、雨の中を歩く山歩きではLight Repelが使えなくても問題無い。)
*1:FLEXTAILブランドの純正蚊取りマットも売られていますが、価格的にはアースやベープのマットの方が安いですし、何より手に入りやすいです。
*2:日本家庭用殺虫剤工業会のWebサイトに、「一定温度以上にならないよう自動温度調節機能がついていますが、使用中は、発熱部分が160℃前後(マット式)や140℃前後(液体式)にもなります。」と記載があります。
*3:ヒーターは光沢のある金属で、そういった素材は周囲の物体の温度を反射するため、非接触の温度計では正確に温度が測れません(光沢面に反射している測定者の体温や壁、天井の温度等が表示されてしまう)。その対策として、黒体テープを貼って測定しました。
*4:地面がぬかるんでいる場合や、アリなどの虫が多い場合、汚れの付着や虫の侵入を防ぐためにそうしています。