播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ストームクッカー用純正ガスストーブ:Gas burner GB74

アルコールバーナーを使って効率的に調理ができる、トランギアの「ストームクッカーS」を山歩きで使っていますが、やはりアルコールバーナーでは火力不足を感じることがあります。

そこで、トランギア純正のオプションパーツであるガスバーナーを購入してみました。


▲ストームクッカーSにガスバーナーをセットした様子

ちなみに、ストームクッカーとはどんな道具なのか気になる方は、下のリンクからご覧いただけます。

重要!

日本とオーストラリアでは、トランギアのガスバーナーの正規ルートでの取り扱いがありません。

日本の場合は、おそらくこの製品がガス検*1に通らないことが理由だと思います。また、海外のアウトドア愛好家の掲示板を見ると、オーストラリアで売られていないのも同様の理由のようです。

正規ルートでの取り扱いがない日本国内で、この製品を使用したことによって事故が発生した場合は、使用者本人の責任になると考えられます。

不安がある方は、絶対に購入や使用をしないでください。

仕様


▲Gas burner GB74のパッケージ

製品名: Gas burner GB74(BF742527)
メーカー: Trangia AB(スウェーデン)
重量: 約180g(カタログ値)
燃料: プロパン/ブタンガス
ノズルの穴の直径: 0.37 mm
出力: 2,130 W/6,700 btu
ガス消費量: 150g/時間(最大火力の場合)
沸騰時間(1リットル): 3分30秒(環境、燃料により異なる)
生産国: EU内
定価: 60.72 ユーロ
購入価格: ¥7,500(税込)
購入先: amazon.co.jp

パッケージ内容


▲箱に入っている内容物

紙製の化粧箱の中には、専用の収納ポーチとGas burner GB74本体、そして多言語*2で書かれた説明書が入っています。

外観

ガスバーナー本体は、プレヒート用のパイプが付いた分離式ストーブの燃焼部分だけのような外観をしています。


▲ガスバーナー本体を横から見たところ

特徴的なのは、梨地のような処理をされた遮熱板
これによって、輻射熱からホースが保護されます。


▲遮熱板

バルブは黒い樹脂製のつまみをひねるタイプで、プリムスのロゴが入っています。

つまみは最大で2回転(720度回る)しますが、実際に使用する際は半回転(180度)分だけ開ければ十分な火力が得られます。


▲バルブには「PRIMUS」のロゴ

使い方

この製品の説明書は11か国語で書かれていますが、その中に日本語はありません。しかし英語なら読めるので、使い方を簡単に紹介します。

まずは使用するガス缶から。
バルブにはPRIMUSのロゴが入っているため、同社のガス缶を使うように書かれています。

取り扱い上の注意として書かれているのは、次の項目です。

  • ホースをねじらない。
  • ガス缶を接続する前に、Oリングに異常がないか確認すること。
  • 屋外で使用すること。
  • 平らな場所で使用すること。
  • 可燃物の近くで使用しないこと。
  • ガス缶の脱着は、他の人がいない、火気のない安全な屋外で行うこと。
  • ガス漏れの有無を確認するときは火を使わず、石鹸水を使うこと。
  • Oリングが劣化していたり、ガスが漏れている状態では絶対に使用しないこと。
  • 使用中は目を離さないこと。
  • 空焚きをしないこと。
  • 使用中、または使用直後のガスバーナーに触れないこと。
  • 使用しないときは、ガス缶を外しておくこと。
  • 本来の使用目的以外には使用しないこと。
  • ガスバーナーは丁寧に扱い、落とさないこと。

説明書に書かれている使い方は、次の通りです。

1)バルブのつまみが完全に閉じた状態になっていることを確認する。

2)ストームクッカーのベース(下段)天面の穴からバルブを通し、側面の大きな穴からバルブを引き出してから、ガスストーブ本体を固定する。


▲ホースをストームクッカーのベース(下段)に通す


▲ガスストーブ本体を、アルコールストーブ用の穴にセットする


▲ガスストーブをセットするときは、固定用の板バネを指で狭めて穴に通す

3)ガス缶を立てた状態でバルブにねじ込む。締めすぎないように注意。


▲ガス缶をバルブにねじ込んだ様子(プリムスのガス缶を使っているのは、バルブがプリムス製で、説明書にもプリムスのガス缶を使うように書かれているからです)

4)ガス漏れの音がしないかどうか確認する。ガス漏れを調べるために火を近づけてはいけない。ガス漏れの位置を確認するときは、石鹸水を使う。
ガスが漏れる音がしたり、ガスの匂いを感じる場合はガスバーナーを使用しないこと。

5)使用時は平らでしっかりした地面に置き、ホースを伸ばしてガス缶をストームクッカーから遠ざける。

6)バルブのつまみを反時計回りに回してガスを出し、すぐに点火する。


▲首が長いライターなどを使って点火する(ここで使用しているのは、SOTOの「スライドガストーチ ST-487」)

7)火力はバルブのつまみで調節する。

8)使用中はストームクッカーやガス缶を動かさない。不用意に動かすと、大きな炎が出る場合がある。

9)使用後はバルブのつまみを完全に閉じる。

収納

ガスバーナーは、付属の専用ケースに入れて持ち運ぶことができます。


▲ガスバーナーを専用ケースに入れた様子

この専用ケースは、ガスバーナーを入れた状態でトランギアのケトル(0.6リットル)の中に何とか押し込むことができます。


▲トランギアのケトル(0.6リットル)に押し込んだ様子

ケトルの蓋は浮いてしまいますが、そのままストームクッカーに収納できます。


▲ケトルの蓋はきちんと閉じないが、ストームクッカーへの収納に支障は無い

ガスバーナーとアルコールバーナーの比較

ガスバーナーとアルコールバーナーで、500mlの水を沸かすのにかかる時間にどれほど差が出るか、実験をしてみました。

実験環境は、次の通りです。

機材: ストームクッカーS(ブラックバージョン)
気温: 15℃前後
相対湿度: 80%前後
沸かす前の水温: 15℃前後
環境: 微風の屋外


▲アルコールバーナー使用時の計測の様子

結果は、下図のようになりました。

アルコールバーナー(火力調節フタ無し)では沸騰までに10分近くかかったのが、ガスバーナーでは4分弱で沸騰しています。


▲沸騰時間のグラフ

最後に

このガスバーナーを使うと、アルコールバーナーより強い火力によって短時間でお湯を沸かすことができ、とろ火での調理も可能になるため、ストームクッカーの汎用性が一気に高まります。

こんなに便利なのに、日本では正規の取り扱いがない製品ですので、使用をお勧めできないのが残念。

長所

  • ストームクッカーと組み合わせた場合に得られる純正品ならではのフィット感と一体感。
  • とろ火から強火まで、細かい火力調節が可能。
  • 遮熱板があることで、熱によるホースの劣化を抑えられる。

短所

  • 日本の検査基準に適合していないため、正規の販売ルートがない。
  • ガスバーナーをストームクッカーに固定する板バネの縁が丸められていないため、素手で不用意に操作すると、ケガをする可能性がある。
  • ストームクッカーは風防で覆われていて炎が見えないため、火力調節は燃焼音に頼るしかない。

*1:一般財団法人 日本ガス機器検査協会(JIA)が行う適合性検査のこと。

*2:英語、スウェーデン語、ドイツ語、フランス語、フィンランド語、ノルウェー語、オランダ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、デンマーク語の計11か国語で書かれています。