播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

陸上自衛隊 姫路駐屯地 創立71周年記念行事

本日は、陸上自衛隊姫路駐屯地の創立71周年記念行事に出かけてきました。
私は生まれも育ちも姫路ですから、子供の頃から親しんできたイベントです。


▲陸上自衛隊姫路駐屯地の正門

イベント名称: 陸上自衛隊 姫路駐屯地 創立71周年記念行事
日時: 2022年11月27日(日)9:00~15:00
場所: 陸上自衛隊 姫路駐屯地(兵庫県姫路市峰南町1-70)
プログラム:
09:00~15:00 装備品展示
10:00~14:00 野点
10:20~11:00 観閲式
11:10~11:55 訓練展示
12:30~12:45 太鼓演奏
12:45~13:00 格闘展示
13:00~15:00 装備品試乗
13:00~13:15 マッチョコンテスト
13:15~13:40 レンジャー展示
備考:

  • 駐車場はありません。(駐屯地内に自動車を駐める場所はありません。)
  • 駐輪場はあります。
  • 新型コロナ感染症対策のため、飲食の模擬売店は出店しません。


https://goo.gl/maps/X3DwbEmWpUbbSH538
▲陸上自衛隊 姫路駐屯地正門の位置

10:15
自転車で姫路駐屯地に到着。
手荷物検査を受け、駐輪場に自転車を止めました。


▲駐輪場の様子(時間が早かったのかガラガラ)

グラウンドを見ると、既に車両と隊員さんが整列しています。

10:20
予定通りに観閲式(かんえつしき)が始まりました。


▲グラウンドに整列している隊員

10:25
観閲官による巡閲(司令官が自分の配下の部隊を見て回ること)が行われました。


▲制服姿で車両に乗り、立ったまま敬礼しているのが観閲官

ここからは来賓の方々の挨拶が続きます。

11月下旬ですがこの日は結構暑く、グラウンドで微動だにせず整列している隊員さん達が気の毒。

11:00
ようやく来賓の紹介などが終わり、整列していた隊員さん達がそれぞれの車両に乗り込みました。
続いて行われるのは観閲行進。

観閲行進の前に、グラウンド北側の来賓席前(車両が通過する部分)に水が撒かれていましたが、今までこんなことしてたかな?

グラウンドの中央で第3音楽隊が祝典ギャロップの演奏を始めると、各部隊が司令官や来賓の前を通り過ぎていきます。


▲祝典ギャロップを演奏する第3音楽隊

祝典ギャロップがどんな曲なのかは、次のYouTube動画でご確認ください。


www.youtube.com

この音楽に合わせて、第3特科隊の各部隊の各種車両が来賓席の前を通過していきます。

車両に停止、または発進の指示を出しているのは、来賓席の横に立つ櫓(やぐら)の上にいる隊員でした。
赤と白の手旗を振って観閲部隊に指示を出しています。


▲手旗で車両に合図を送る隊員(櫓の上)

例年、観閲式や訓練展示が行われるグラウンドは北側中央に来賓席があり、その左右に招待者席がありますが、北側のそれ以外の場所と東側、そして南側の東半分が見学可能な場所になっていました。

ところが今回はグラウンドの南は大部分が立入禁止。そのため北側から見学したのですが、人が多すぎてあまりグラウンドが見えません。

観閲行進は車両の屋根が他の観客の頭越しに見える程度。


▲観閲行進する車両の上部だけを眺めた

観閲行進の後は、第3音楽隊がポップスとアニメ映画のテーマ曲の2曲を演奏しましたが、その間にグラウンドでは散水が行われます。
これは、訓練展示でヘリコプターや車両が巻き上げる砂埃を抑えるため。


▲散水の様子(給水車が水を撒きながら走り、ヘリが来る辺りはホースで入念に水が撒かれた。)

11:25
訓練展示が始まりました。

敵地を偵察するために、ヘリコプター(UH-1)からレンジャー隊員が降下します。


▲UH-1からロープで降下するレンジャー隊員(散水の効果で砂埃は少なめ)

続いて、87式偵察警戒車とオートバイが偵察のために登場し、30口径の同軸機銃(主砲と同じ方向を向く機関銃)を仮想敵陣地に向けて射撃します(もちろん空砲です)。


▲87式偵察警戒車(見えている機関砲ではなく、その同軸に装備された機関銃を撃っていた)


▲仮想敵陣地

87式偵察警戒車とオートバイがグラウンドから出て行ったと思ったら、今度は82式指揮通信車がグラウンドに入ってきました。

82式指揮通信車は高射特科部隊(対空ミサイル)を配置する場所を偵察するためにグラウンド東端を走ってから普通科隊員(歩兵)を降車させ、最後は12.7mm重機関銃M2の空砲を敵陣地に向けてぶっ放します。

先ほどの30口径(7.62mm)とは迫力が違います。久しぶりに生で聴いた12.7mmの銃声に興奮してしまいましたが、周りの観客も同じだったようです。


▲12.7mm重機関銃の空砲を撃つ82式指揮通信車

82式指揮通信車が出て行った後は、2種類の対空ミサイル、そして対空レーダーが登場。


▲82式指揮通信車の後にグラウンドへ入った車両(前から81式短距離地対空誘導弾、93式近距離地対空誘導弾、79式 対空レーダ装置 JTPS-P9)

82式指揮通信車が偵察した場所(グラウンドの東端)に対空ミサイルとレーダーが展開を始めました。

その間にまた82式指揮通信車がグラウンドに入ってきますが、今度は軽装甲機動車2台を引き連れており、特科部隊(大砲)を配置する場所を偵察するためグラウンド内に普通科の隊員(歩兵)を下ろします。

特科部隊の配置場所を偵察し終えたら、対砲レーダ装置 JTPS-P16と姫路駐屯地名物の155mmりゅう弾砲 FH70が8門も登場。6門は中砲けん引車に引かれ、2門は自走です。


▲対砲レーダ装置 JTPS-P16(敵の砲弾を追跡し、敵砲兵の位置を特定するためのレーダー)


▲グラウンドへ入る155mmりゅう弾砲 FH70(左は中砲けん引車に引かれ、右は自走している)

8門の155mmりゅう弾砲 FH70は来賓席の前で南北方向に一直線に、砲口を西に向けてずらっと並んで射撃準備を整え、中砲けん引車はグラウンドから出て行きました。

対空警報が発令され、準備を終えた対空ミサイルとレーダーが、西から飛んできた敵ヘリコプターに対して攻撃を行います。
ただし、ミサイルに空砲はありませんから、ロケットモーターの音をスピーカーから出すだけです。


▲準備が整った79式 対空レーダ装置 JTPS-P9(左)と93式近距離地対空誘導弾

敵のヘリコプターを撃墜し、いよいよFH70(大砲)で敵陣地に対する「攻撃準備射撃」*1の開始です。


▲射撃準備を整えたFH70

スピーカーから発射の合図が出されると、8門がほぼ同時に発砲!

おそろしい轟音と、マズルブレーキ(砲口から出るガスを受け止めて横へ噴き出させる装置。反動を減らすために使われる。)から出る爆風に全身が包まれます。


▲FH70の空砲射撃の様子

例年は4門ほどだったのに、今年は倍増です。
とにかく「すごい!」の一言。

敵砲兵部隊からの反撃があったという想定で、対砲レーダ装置 JTPS-P16が敵砲兵の位置を特定します。


▲対砲レーダ装置 JTPS-P16

敵砲兵陣地に向けて「効力射」*2を行うため、再びFH70が発砲。


▲FH70がまた火を噴く

続いては「突撃支援射撃」*3

合計で何発発砲したか分からないほどドカンドカンと撃ちまくっていました。
相変わらず姫路駐屯地はFH70の空包射撃が圧巻です。

最後はグラウンドの南から進入してきた87式偵察警戒車と軽装甲機動車、普通科の隊員(歩兵)が敵陣地に突撃。突撃支援射撃をかいくぐった残敵を制圧し、敵陣地を占領しました。

これで訓練展示は終了です。


▲敵陣地を制圧する87式偵察警戒車(最奥)と軽装甲機動車(中央)、普通科の隊員(右)

訓練展示中はFH70を真横から見る位置にいたので8門もあるように見えませんでしたが、少し移動するだけで8門が並ぶ砲列を見ることができました。

壮観な光景です。


▲訓練展示終了後に撮影したFH70の砲列

11:55
訓練展示に使用した各種装備をグラウンド内に残したまま、格闘展示と太鼓演奏が始まりました。


▲太鼓演奏の様子

太鼓演奏の最後は、なんとFH70の空砲。
「太鼓演奏の最後に空砲の射撃があります。大きな音にご注意ください。」というアナウンスはあったんですが、帰り支度が忙しいみなさんは聴いていなかったのか、空包射撃後に「やめてよー」「油断してた」など口々に文句を言ってましたが、なんだか楽しそう。


▲太鼓と大砲の共演

太鼓演奏が終わったらFH70の出番は終わり。

8門全て、最後は自走でグラウンドから出て行きました(自走できるようスバルの1800ccエンジンを搭載しています)。


▲自走してグラウンド北西へ向かうFH70(自走時は画像で右側にあたる部分が前になる)

今回は新型コロナ感染症対策のため、飲食の模擬店が出ません。
そのため、例年模擬店が出ている広場(グラウンド北、木造隊舎の北にある広場)が装備品の展示会場になっていました。


▲装備品展示会場の様子

訓練展示の時に航空自衛隊の迷彩服を着た方の姿があって、「マニアが空自の迷彩服を着て見学に来たのかな?そもそもそれって法律的にいいのかなぁ」と思っていたのですが、装備品展示を見て納得。

航空自衛隊のペトリオット発射機が展示されていて、本物の航空自衛隊員がいらっしゃいました。グラウンド近くで見かけたのは、その本物の隊員さんだったようです。


▲装備品展示:ペトリオット(PAC-3)発射機


▲発射機について


▲装備品展示:94式水際地雷敷設装置


▲装備品展示:94式水際地雷敷設装置(側面)


▲94式水際地雷敷設装置について


▲装備品展示:81式短距離地対空誘導弾


▲装備品展示:93式近距離地対空誘導弾

装備品展示で人気があったのは、やはり大迫力の轟音を響かせていた155mmりゅう弾砲 FH70です。

人だかりが凄い。


▲装備品展示:155mmりゅう弾砲 FH70


▲砲弾の重さを体験することができた


▲装備品展示:87式偵察警戒車

第3偵察隊
87式偵察警戒車

略称 RCV
全長 6.4m
全幅 2.5m
車両重量 15t
最高速度 100km
武装 25mm機関砲
   74式車載機関銃
乗員 5名
 87式偵察警戒車は偵察隊等に装備されており、対地火力の脅威の中で、主として路上機動により、偵察警戒任務に使用する。
(出典:現地のパネル)

装備品展示を見た後は、駐屯地内の売店(コンビニと装備品を扱う専門店)で買い物をしようと思っていたのでそちらへ移動。

売店が入っている厚生センター前には、くじやスーパーボールすくいといった屋台が出ていました。


▲飲食以外の模擬店は出店していた

肝心の厚生センターですが、ものすごい混雑で店に入るだけでも大変そうだったため、買い物は諦めました。


▲厚生センターの入口(中の混雑が酷かった)

旧日本軍から現代まで各種の展示がある資料館も大混雑。
入館はしたものの、嫌になり人混みの隙間を縫ってすぐに出口へ向かいました。


▲史料館

旧日本軍時代のものかも知れない古い立哨台の前を通り過ぎ、木造隊舎へ。


▲古い立哨台


▲歴史のある木造隊舎

木造隊舎の北側の路面には、訓練用と思われる足形が描かれています。
ここに足を置いて、集団行動の練習をするのでしょう。


▲路面に描かれた訓練用の足形

12:40
マッチョコンテストやレンジャー展示、太鼓演奏(訓練展示後のものとは別)などを見ていませんが、お腹が空いていたので帰路につきました。

例年のイベントに登場し、体験搭乗でも活躍していた74式戦車ですが、退役が進んでいるためか今年は姿がありませんでした。

姫路駐屯地で戦車が見られる機会は、もうないかも知れません。


陸上自衛隊 姫路駐屯地への交通アクセス

姫路駐屯地でイベントが行われる際は、駐屯地内に自動車を乗り入れることはできません。

地元の方は徒歩や自転車で来場されますが、遠方の方は公共交通機関をご利用ください。

鉄道の場合はJRの「野里駅」が最寄りで、駅から駐屯地の正門まで約1kmです。

バスの場合は、JR姫路駅の北8番のりばを出る路線番号が「3」のバスが利用できます。
駐屯地の正門近くにある「自衛隊前」バス停で下車してください。

近隣の商業施設に駐車する常識の無い人もいますが、そもそも立派な営業妨害ですし、お店の方に通報されるなど痛い目に遭う可能性もありますので、非常識な行動はしないことをお勧めします。


姫路駐屯地の記念行事を見学される際のヒント

  • 写真やビデオ撮影をしたい方は、耳を保護するため耳栓を持っていくことをお勧めします。
    カメラなどを持たずに訓練展示の見学を楽しんでいる方は両手で耳をふさげますが、カメラなどを持っていたら耳をふさげません。
  • 客席の最前列など、グラウンドに近い場所は砂埃を浴びることがあります。砂が目に入ったり、カメラのレンズに付着して汚れる場合がありますので、その対策もあった方が良いでしょう。
  • 駐屯地内の売店は、訓練展示前の早い時間帯に行くことをお勧めします。例年私はそうしていたのですが、今年はうっかりしていました。訓練展示後の売店は大混雑です。
  • (新型コロナ感染症が無かった頃は)飲食の模擬店で昼食を買えますが、訓練展示後はやはり大行列になります。早めに買っておいて冷めた物を食べるか、行列に並ぶか、または自分で用意して行くかは、ご自身の性格や忍耐力で判断してください。

*1:敵を攻撃する前に、敵を弱体化させるための攻撃。

*2:大砲の標的は遠くにあって直接見えないため、通常はおおよその見当をつけて撃ち、前方の観測班が着弾地点を確認。観測班からの無線連絡で微調整を行います。その調整後、あるいは敵陣地の正確な位置が分かった上で、本格的な攻撃を加えるために行うのが「効力射」です。

*3:攻撃対象の敵陣地に砲弾を撃ち込んで制圧し、味方が突撃しやすくするための砲撃。