播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

護衛艦しらぬい(DD-120)見学@防衛・防災フェスタ in 兵庫 2022

本日は、神戸市の摩耶埠頭で一般公開された護衛艦「しらぬい(DD-120)」の見学に行ってきました。


▲護衛艦しらぬい(DD-120)

要目
基準排水量:5,100トン
満載排水量:6,800トン
全長:151m
最大幅:18.3m
深さ:10.9m
吃水:5.4m
機関:COGLAG方式
主機:LM2500IECガスタービンエンジン×2
   電動機×2
軸数:2軸
出力:62,500PS
推進器:スクリュープロペラ×2
速力:最大30kt
兵装:62口径5インチ単装砲×1
   高性能20mm機関砲(CIWS)×2
   90式SSM 4連装発射筒×2
   Mk.41 VLS(32セル)×1
   3連装短魚雷発射管×2
搭載機:SH-60K哨戒ヘリコプター×1
C4ISTAR:OYQ-13情報処理装置
レーダー:OPY-1 多機能型×1
     対水上用
ソナー:OQQ-24艦首装備式×1
    OQR-4曳航式×1
電子戦:NOLQ-3D-2統合電子戦システム
対抗手段:Mk.137 6連装デコイ発射機×4
その他:曳航具4型 耐魚雷デコイ
    投射型静止式ジャマー(FAJ)4連装発射機×1
    自走式デコイ(MOD)4連装発射機×1
(出典:Wikipedia)


▲護衛艦しらぬいの62口径5インチ単装砲の砲口栓

イベント名称: 防衛・防災フェスタ in 兵庫 2022
公開される艦艇: 護衛艦 しらぬい(DD-120)
日時: 2022年11月19日(土)10:00~16:00
    2022年11月20日(日)10:00~16:00
    ※雨天決行・荒天中止
場所: 摩耶埠頭の南東
備考:

  • 19日(土)のみ陸上自衛隊の車両が展示されます。
  • 駐車場はありません。車両は自転車を含めて一切入場できませんし、駐輪場もありません。
  • JR摩耶駅からシャトルバスが運行されます。
  • 雨天時に傘を差して見学することはできません。レインコートが必要です。(現地での販売や貸し出しはありません。)
  • お手洗いは艦内にありません。一般公開会場の入口と最奥に仮設トイレがあります。

JR摩耶駅からシャトルバスに乗るか、阪神電車の西灘駅から徒歩で現地に移動するか悩んだのですが、シャトルバスは乗車定員と運行本数が不明で、場合によっては長時間待たされる可能性がありますから、西灘駅から歩いて行くことにしました。(本日確認したところ、シャトルバスには観光バスが使われていました。)

08:09
敦賀行の新快速がJR姫路駅を発車。

08:45
神戸駅に到着。向かいのホームに到着する米原行の快速電車に乗り換えます。

08:47
快速電車が神戸駅を発車。

08:49
元町駅で電車を降り、阪神電車の元町駅へ移動。
運賃は¥990。

09:02
大阪梅田行の阪神電車が元町駅を発車。

09:09
西灘駅に到着。運賃は¥150。

西灘駅の東を南北に走る道路を歩道橋または横断歩道で渡って道路の東側の歩道を南へ進みます。
歩道橋を2つ渡り、「摩耶ランプ南」交差点を渡ってさらに南へ。

「摩耶ランプ南」交差点から450mほど南へ進んだ所にある二股の分岐を左へ(道路上の案内標識では「摩耶ふ頭東口」方面へ)入り、200mほど進んだところにある三叉路を左折。

三叉路から東へ進んだ後、道なりに南へ向きを変えて歩いて行くと、今回の一般公開会場である摩耶埠頭の南東に到達します。


https://goo.gl/maps/EtdKk37CQ9yJVzgq5
▲護衛艦しらぬい見学会場の位置

09:35
護衛艦しらぬい一般公開の会場に到着しました。西灘駅からおよそ2km。

すでに入場待ちの行列ができていました。


▲入場待ちの行列に並んだ

行列に並んでいる間に「入場者確認票」と題されたA4サイズの用紙1枚に記入を求められます。

そこには住所や氏名、連絡先を記入するほか、日本国籍を有していること、反社会的勢力に属していないこと、新型コロナウイルスに感染していたり、濃厚接触者になっていないことを確認するチェックボックスがあります。

鉛筆は貸してもらえますし、空いている時間帯なら机で記入できますが、混雑している時間帯だと立ったまま記入しないといけません(私はスマホをクリップボード代わりに記入しました)。

ここまで厳重な確認をされたのは初めてかも。

最初の受付で確認票を手渡し、内容を確認された上で一般公開会場の中へ。

続いて手荷物検査の行列に並ぶのですが、並んでいる間は護衛艦しらぬいの外観を眺めたり六甲山塊を眺めたりできるため、あまり退屈しません。

待っている間は、しらぬいの外観を撮影するチャンスでもあります。
まずは艦首ですが、艦番号がロービジ塗装(遠くから目立ちにくい色合い)になっています*1


▲しらぬいの艦番号(以前の護衛艦は白で艦番号が書かれていましたが、今は目立ちにくい色合い)

続いては艦橋とその上部の構造物。これらは乗艦すると見づらいので、岸壁にいる時に撮影するのがベスト。


▲しらぬいの艦橋(OPY-1は捜索、対空ミサイルの誘導などに使用する大小2つが1セットになったレーダーで、合計4セットで全周をカバー。NOLQ-3は電波探知妨害装置。RWSは遠隔操作の50口径機関銃架。OPS-48は潜水艦の潜望鏡を探知するためのレーダー。CIWSは高性能20mm機関砲。)

しらぬいの外観を眺めている間に手荷物検査の順番がやってきました。
検査はしっかりしており、鞄の内部を見られるだけでなく鞄を隊員さんが実際に手に持ち、不審な点がないかどうかを確認するという徹底ぶり。

飲み物を持っている場合は、それが危険物でないことを証明するために隊員さんの前で一口飲んで見せないといけません。

手荷物の検査を受けた後は、金属探知機で全身を調べられます。


▲手荷物検査の様子

10:18
ようやく乗艦できました。

しらぬいは右舷を岸壁に着けた状態で停泊しており、艦の中央付近の舷梯から乗艦します。


▲乗艦用の舷梯

甲板に上がってからまず見学するのは、5インチ単装砲が鎮座する前甲板です。
やはり単装砲の砲塔が目立っていますが、マニアらしき人はしっかりとVLS*2の写真も撮っています。


▲62口径5インチ単装砲

62口径5インチ砲
性能要目
砲身長・・・62口径(7.82m)
高さ・・・約3.2m
長さ・・・約10m
幅・・・約3m
重量・・・約22800kg
発射速度・・・20/分
射程・・・約24km
旋回角・・・±170°
俯仰角・・・-15°~65°

【説明】
・62口径5インチ砲は、米国のBAE Systems社が、開発したMk45 Mod4  Naval Gunを(株)日本製鋼所がライセンス生産したもので、全天候、夜間、対地、対水上及び対空戦闘任務が可能です。
・Mk45 Mod4は、米海軍の新型弾薬(ICM)を発射可能な唯一の艦船搭載用火砲です。
(出典:現地のパネル)


▲VLS(32個のフタがある。ミサイルの発射時はフタが開き、真上にミサイルが撃ち出される。)


www.youtube.com

垂直発射装置 -VLS-
(Vertical Launching System Mk41 Mod33)
【説明】
 VLS Mk41 Mod33からは対空ミサイルと対潜水艦用ミサイルを発射することができ、目標の方位や艦の進路に左右されることなく短時間で多くのミサイルを発射することができます。
(出典:現地のパネル)


▲CIWS

高性能20mm機関砲 -CIWS-
(Close In Weapon System)

性能要目
発射速度:4500発/分
有効射程:約2000ヤード(約1800m)
砲身数:6本
砲身長:79インチ(200cm)
任 務:敵航空機、対艦ミサイルの撃破

【説明】
・高性能20mm機関砲は、近接防御武器(CIWS)として米国(Raytheon社)で開発されました。
・CIWSは、敵の捜索、追尾、攻撃、撃墜までを完全自動で行うことができます。
(出典:現地のパネル)

艦橋の左右にはRWSが搭載されており、その説明が書かれたパネルもありました。


▲艦橋の左右に設置されているRWS(岸壁から撮影)

水上艦用機関銃架(遠隔操作型)
-RWS(Remot Weapon Station)-
【説明】
 艦船に搭載可能な遠隔操作式の無人銃架であり、銃架に取付けられた電子工学照準装置の撮像映像を操作員が艦内のモニターで確認しながら、搭載した12.7mm重機関銃で射撃することができる装置であり、日本製鋼所が開発、製作し、本艦から搭載された。
(出典:現地のパネル、原文まま)


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/shiranui20221119-1/index.html
▲護衛艦しらぬいの前甲板で撮影した全天球パノラマ

前甲板からは左舷の通路を通って艦尾へ向かいます。


▲甲板の外側の通路は左右どちらも一部がシールドに覆われていて艦内に入っていくような雰囲気になっている


▲通路の様子

この室内のような通路の途中にあるのは、短魚雷の発射管。


▲水上発射管QS-303

水上発射管QS-303 -OTST-
(Over The Side Torpedo)
性能要目
寸法・質量
 幅:約950mm
 高さ:約1390mm
 長さ:約3800mm
旋回角度
 右舷発射管:0~45度
 左舷発射管:360~315度
所要空気圧力:8.90~12.0(Mpa)
【説明】
・水上発射管からMK46MOD5魚雷、97式及び12式魚雷を発射することが出来ます。
・発射時には45°に旋回して、高圧空気(8.83~11.8Mpa)の力を利用して発射します。その後、魚雷は自分で敵潜水艦を見つけ出し攻撃します。
(出典:現地のパネル)

水上発射管の先で屋根の無い通路に出ました。

ここには洋上補給で使用するスライディングパッドアイと、90式艦対艦誘導弾の発射機があります。


▲スライディングパッドアイ(海上で補給艦との間にロープを張り、物資の受け渡しを行う)

写真を撮り忘れましたが、上のスライディングパッドアイの背後にはFAJの発射機がちらっと見えています。

投射型静止式ジャマーランチャー -FAJ-
(Floating Acoustic Jammer)
性能要目
幅:約1700mm
高さ:約1400mm
重量:約1700kg
動力:電気(作動時間:約7分)
投射距離:約1000m
作動範囲:旋回左右130度
     俯仰上下5~80度
【説明】
 FAJランチャーから発射、飛翔し、海中で妨害音を発音することにより、魚雷に対し音響的に妨害する。
(出典:現地のパネル)

大半の見学者の方はスライディングパッドアイもFAJにも興味を示しません。それもそのはずで、対艦ミサイルが存在感を放っているのです。

説明のパネルが掲示されていましたが、射程も速度も機密。


▲90式艦対艦誘導弾

90式艦対艦誘導弾 -SSM-1B-
(Surface to Surface Missile 1B)
性能要目
重量:約660キロ
全長:約5メートル
最大飛翔距離:水平線の彼方、想像を絶するほど遠くへ飛びます。
最大飛翔速度:目では追えない速度で飛びます。
【説明】
 90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)は、これまで主に使用されていたハープーンミサイル(RGM-84)に変わり、近年の海上自衛隊の艦艇に搭載されている、国産発の艦対艦ミサイルである。
(出典:現地のパネル、原文まま)

艦対艦ミサイルの先にあったのは、特に説明はありませんでしたが洋上で補給艦から給油を受けるためのホース。
かなりの太さです。


▲洋上で給油を受けるためのホース

前に補給艦の一般公開に出かけたこともあるので、その時の記事を参考のため紹介します。

給油用のホースの先で再び扉から艦内へ入ると、そこはヘリコプター格納庫。


▲ヘリコプター格納庫内の様子


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/shiranui20221119-2/index.html
▲護衛艦しらぬいのヘリ格納庫で撮影した全天球パノラマ

今回はヘリコプターの展示もありました。
しかもパイロットの方までおられて、飛行服姿のパイロットと一緒に記念撮影したり、質問ができるというサービスたっぷりの展示。


▲SH-60K哨戒ヘリコプターとパイロット

ヘリコプターは機体の下部から棒が出ていて、その棒を護衛艦の飛行甲板にある着艦拘束移送装置が挟み込むようになっています。

これは荒天で着艦する時など、艦が揺れるとヘリコプターが弾んだり滑って動いてしまうおそれがあるからで、護衛艦でしか見られない設備です。


▲ヘリコプターの下部にあった着艦拘束移送装置(ヘリから下へ延びる棒をしっかり掴んでいることが分かる)

着艦拘束移送装置について説明する動画がYouTubeにありますので、転載します。(動画の3分30秒~3分53秒がしらぬいの着艦拘束移送装置と同型のものの説明です。)


www.youtube.com

この着艦拘束移送装置がレール上を動き、ヘリコプターを格納庫へ移動させたり、発艦のために飛行甲板へ出したりします。


▲着艦拘束移送装置が通るレール(フタがされている)

護衛艦に搭載されている哨戒ヘリの役目は、敵の潜水艦を見つけ出すこと。

そのために、特殊な装備を搭載しています。

右後部に付いているのは、ミサイルと間違えられがちな磁気探知機(MAD)。
ワイヤーを伸ばしてこれを空中で引っ張りながら飛び、海中の磁気(敵潜水艦)を探知します。


▲AN/ASQ-81D(V)-4 磁気探知機

機体の中に搭載されているのは、吊下式のソナー。
これはワイヤーで機体の下に吊り下げて海中に入れ、敵潜水艦が発する音を探知するための装備です。


▲機内に搭載されている吊下式ソナー

ヘリコプターが狭く、しかも動いている護衛艦の飛行甲板に着艦するのは難しいので、管制官がパイロットに指示を出します。

無線が使えない場合等は、格納庫の上にある着艦誘導灯でパイロットに指示を与えます。


▲着艦誘導灯(水平指示灯は横長の棒状になったライトで、船の傾きに関係無く常に水平な状態を保つ。)

パイロットに指示を出したり、着艦誘導灯を操作するのは、発着艦指揮所に座る管制官です。


▲飛行甲板の右舷前方にある発着艦指揮所


▲発着艦指揮所の内部(イスが会社などで使われる事務用のイスだったことに驚きました)


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/shiranui20221119-3/index.html
▲護衛艦しらぬいの飛行甲板で撮影した全天球パノラマ

10:50
一般公開の範囲は一通り見終えたので、右舷後方寄りの舷梯から退艦しました。

続いては、展示されていた陸上自衛隊の車両見学。
※陸自の車両展示は11月19日(土)だけです。


▲陸上自衛隊の車両展示の様子(飛行甲板から撮影)

展示されていたのは、次の車両と装備品です。
・オートバイ(偵察用)
・1/2tトラック
・高機動車
・1 1/2t救急車
・82式指揮通信車
・87式偵察警戒車
・野外炊具1号
・野外手術システム
・浄水セット
・給水車

そうこうしていると、哨戒ヘリのローターを展張するデモンストレーションを実施するという放送が聞こえてきました。

岸壁から飛行甲板を見ると、ヘルメットをかぶった隊員さん達が何人かでローターを固定する部材を取り外しています。


▲ローターを固定する部材を取り外している様子

ローターが自由になったら、モーター音のような音が鳴り、ローターブレードが自動的に展開されました。

ローターブレードは手動ではなく電動で展開されるようです。
最後はローターブレードがロックされていることを隊員さんが目視で確認し、展張作業は完了。


▲ローターブレードがロックされているかどうかを確認する様子

11:00
最後は護衛艦しらぬいの艦尾を眺めてから帰路につきました。


▲護衛艦しらぬいの艦尾(ラッパ状の2つの穴は、魚雷攻撃を受けた際に囮を出すためのもの)

11:30
阪神電車の西灘駅に到着。

都市部でのイベントのため見学者の数が多かったですが、対応されている自衛官の皆さんはどなたもテキパキと各自の仕事をこなし、見学者には優しく親切。おかげで快適に見学を終えることが出来ました。

訓練や任務で大変な中、このようなイベントの準備、運営をされた自衛隊の皆様には感謝しかありません。


▲しらぬいの艦橋の後ろに掲げられていた信号旗の意味は「Welcome」(信号旗は1枚1枚にアルファベットが割り当てられています)

*1:「ロービジ」は、英語の「low-visibility=目立たない」を略した言葉です。

*2:垂直にミサイルを撃ち出す発射機。