播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

砥石で有名なランスキーが作ったナイフ:レスポンダー クイックアクションナイフ

山歩きではナイフが役に立ちます。

レトルトパックやインスタント食品の袋がうまく開けられなかったときに袋を切ったり、卵の殻を割るときにナイフの刃で卵を叩いたり、火力を上げるためにカップ入り固形燃料を切って表面積を増やしたり、箸を忘れたときに木の枝を削って箸にしたり、ヤマビルを体からはぎ取って突き殺したり…

山歩きに出かける時は気分によってバックパックを変えるのですが、ナイフを移し換えるのを忘れてしまい、山で「ナイフが無い!」と気づいて慌てることが多々あります。

忘れては困るものを小さなポーチにまとめ、バックパックを変える時はそのポーチを必ず移し換えていますが、折りたたみナイフやツールナイフを収納できるほどのスペースがないため、超小型のツールナイフを入れています。

この対策により、たとえナイフを家に忘れても刃物が無い状況は避けられるのですが、それなりの大きさがあるナイフの方がやっぱり使いやすい。

そこでナイフを忘れないようにする方法として、バックパック一つにつきナイフを1本中に入れておくことにしました。

これならナイフを移し換えなくて済むため、山に行くときナイフを家に忘れることがありません。

自分の物忘れのひどさのせいでナイフを買い足す必要が生じたのですが、予算的に高価な物は厳しいため、安価で見た目も機能性も良さそうなナイフを買うことにしました。

それが今回紹介するLansky Responderです。

概要

砥石で有名なLansky(ランスキー)が販売している折りたたみナイフです。
これをデザインしたのは、デンマークのナイフメーカーであるMikkel Willumsen氏。

氏のデザインの元になっている考え方は「Urban Tactical」、つまり日本語にすると「街中(まちなか)ミリタリー」。ゴツいだけではない、日常使いできる洗練されたミリタリー風デザインということかな。

Mikkel Willumsen氏は、アメリカの刃物専門ショッピングサイト「KnifeCenter.com」がYouTubeで公開しているインタビュー内で、「Urban Tacticalはハードコアなミリタリーデザインだけれど、ポケットに入れて毎日持ち歩きたくなるナイフでもある。」*1と語っています。

仕様


▲Lansky Responderのパッケージ(最近のパッケージは、ナイフとしては珍しいブリスターパック。発売当初の製品はクラムシェルパッケージ)

製品名(日本語): レスポンダー クイックアクションナイフ
製品名(英語):
 Responder
メーカー: Lansky Sharpeners(アメリカ)
サイズ: 展開時全長 20cm、収納時全長 12cm、刃渡り 9cm(カタログ値)
材質: 刃 9Cr18MoVステンレス鋼、ハンドル グラスファイバー入りナイロン樹脂(G-10ではありません)
重量: 170g(カタログ値)
生産国: 中国
アメリカでの定価: $24.99 USD
国内定価: ¥4,620
購入価格: ¥4,620
輸入代理店: 株式会社 飯塚カンパニー(東京都)
購入元: ハイキングサポート アドスポーツ(兵庫県姫路市)

Responderと比較できそうなナイフで私が持っているものは、Spyderco社の「Para Military 2」。

アメリカでの定価が200ドル以上のナイフですから価格差が大きすぎてResponderと比較するのは酷ですが、ここに書いているのはPara Military 2と比べての印象ですので、あらかじめご了承ください。

外観

お店の展示品を見た時、ツートンカラーのグリップに一目惚れしました。(私の個人的な感覚ですが)格好良いです。

グリップの緑色の部分に入れられたロゴは、デザイナーであるMikkel Willumsen氏の名前の頭文字、MとWを図形化したもの


▲刃を開いた状態のResponder


▲刃を閉じた状態のResponder

見た目が特徴的なグリップですが、ポケットクリップが付いている裏面は黒一色


▲Responderのグリップ裏面


▲刃を開いた状態のResponderの裏面

ポケットクリップの取り付け位置は右利きの利用者向けに最適化されていて、取り付け位置は2ヵ所。

工場出荷時のクリップ取り付け位置は、ポケットにナイフを入れた時に刃先が上を向くようになる位置(tip-up:ティップアップ)です。

クリップの位置の変更には、T-6サイズのトルクスレンチネジ留め剤が必要ですが、これらは各自で用意しないといけません。

刃の形状はドロップポイント
厚みがあり、まるでナタのような迫力。

刃を開いた時のResponderは「へ」の字型になっているため、握ると刃先が下を向いているような印象を受けます。

冒頭に書いたような私のナイフの使い方では影響を感じませんが、料理で食材を切るような使い方の場合は、刃の厚みもあって使いづらいかも。


▲握ると刃先は下を向く

グリップの尾部も特徴的な形状をしています。
非常時に車の窓を割るための工具のような形ですが、メーカーのWebサイトを見ても特に説明はありません。

ガラスを割る工具にしては丸みが強いので、ただの飾りかな。


▲グリップの尾部

なお、Responderのグリップはグラスファイバー入りのナイロン樹脂で、Para Military 2のようなG-10素材(グラスファイバー入りのエポキシ樹脂)ではありません。

刃の開き方・閉じ方

注:Responderの刃にはサムスタッド(親指で操作できそうな位置にある鋲)のような突起が付いていますが、これは刃を開いた/閉じた状態で刃がそれ以上動かないようにするためのストッパーで、刃の開閉に使うものではありません。

刃を閉じた状態のResponderは、グリップの背に突起があります。
この突起を右人差し指で手前に引くと、ナイフの刃が回転して出てきます。


▲突起の動きと刃の動きの関係

実際に操作すると、下の画像の様になります。


▲右人差し指を突起にかけ、強く引きながら手首を振る


▲突起が押される力に加えて、手首の動きによる慣性で刃は開く

突起を人差し指で押すだけでは刃が開き切らないため、手首を振って刃を開かないといけませんが、簡単な動作ですから、初めての方でも数回練習すればコツが掴めると思います。

この辺りは、刃の動きが滑らかなナイフと大きく異なる点です。
刃の動きの滑らかさはナイフの価格と多少は関係があるように思うのですが、安くても滑らかに刃が開くナイフもあります。

開いた刃は、ライナーロックにより固定されます。

ライナーロックの「ライナー」は英語の「liner」で、内張りという意味。
ナイフの柄の内側にある金属プレート(ライナー)が刃をロックする仕組みなので、ライナーロックと呼ばれています。


▲ライナーロックがかかっておらず、刃が自由に動く状態


▲ライナーロックがかかった状態


▲ライナーロックの仕組み(左は刃が自由に動く状態、右はライナーロックが刃を押さえてロックされた状態)

Responderは片手で素早く開けますが、閉じるのはちょっと手間。
刃を閉じるときは、右親指でライナーロックを押し下げながら、左手で刃を折りたたみます。

あるいは、右親指でライナーロックを押し下げながら、右人差し指で刃を収納することもできますが、両手を使った方が閉じやすいです。


▲刃を閉じる様子

Spyderco社の「Para Military 2」もライナーロック(Spydercoではコンプレッションロックと呼ばれている仕組み。「COMPRESSION LOCK」はSpydercoの登録商標。)ですが、ロックの位置がResponderとは反対側の位置にあり、刃の動きが滑らかなため片手で簡単に閉じられます。

刃の動きの滑らかさに重要な役割を果たしそうなワッシャーは、Responderのはナイロン樹脂製で、Para Military 2は銅製。

こういう細かい部分にも価格の違いが出ています。


▲Responderのワッシャーは樹脂製(左右で大きさが異なる)

最後に

刃の動きは滑らかと言えませんが、見るからに頑丈な刃とイカツイ見た目は、好きな人にははまると思います。
刃は安っぽい見た目に反して、それなりによく切れるのも魅力。

日常生活でもResponderとPara Military 2の両方を「宅配便などの開梱」「ビニール紐の切断(古紙廃棄時)」「段ボールを廃棄するときに小さく切断」「インスタント食品の開封」といった作業に使ってみましたが、切れ味にあまり差を感じません。

唯一差を感じたのは厚手のレトルトパックの開封時で、Para Military 2はスパッと切れたのに、Responderは刃が縁に食い込みづらく、滑りやすい印象を受けました。

日本での定価は¥4,620(税込)ですが、アメリカでは20ドル未満で手に入るようです(定価は$24.99)。それに合わせて¥3,000弱くらいで売られていれば、破損をおそれずアウトドアでガンガン使える名品になったかも。

*1:インタビューにおける文言は(私の聞き取りが間違っていなければ)「Urban tactical is hardcore tactical, but also a tactical knife you wanna carry in your pocket every day.」。