播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

日本ハムの変わり種商品:陸上自衛隊の戦闘糧食

自衛隊や各国の軍隊が、食堂設備がない場所で任務にあたる際に配給される食料のことを「戦闘糧食」(いわゆる「ミリメシ」)と言います。

陸上自衛隊では「戦闘糧食II型」や「非常用糧食」、アメリカ軍では「MREMeal, Ready-to-Eat)」や、寒冷地用に「MCWMeal, Cold Weather)」と呼ばれる物が消費されています。

一般的に戦闘糧食は携帯性と保存性を考慮して作られているので、アウトドアで食べるのに戦闘糧食は便利(私の個人的な考えです)。

というわけで、私は山歩きの際にアメリカ軍の「MRE」を時々食べています。

自衛隊のも食べてみたいのですが、自衛隊員が官品*1を民間に横流しすると大変な目に遭ってしまうので、自衛隊の戦闘糧食(官品)を手に入れるのは極めて困難。

しかし、自衛隊に戦闘糧食を納めているメーカーが民間向けにパッケージを変えて販売していることがあり、そのような商品なら正々堂々と購入できます。

前置きが長くなりました。
今回は「自衛隊の戦闘糧食を作っているメーカーが、戦闘糧食と同じレシピで作った食品を民間向けに市販した商品」を紹介します。

概要

陸上自衛隊に「戦闘糧食II型」「非常用糧食」の一部メニューを納入している日本ハムが、2022年に一般向けに発売した*2戦闘糧食を紹介します。

商品は、全部で4種類。

常温で製造から5年半の賞味期限をもつため、非常時に備えた備蓄用としても最適な商品だと思います。


▲日本ハムが市販した「陸上自衛隊戦闘糧食モデル」(4種類)

4種類のメニューは、次の通りです(JANコード順)。

  • ポークソーセージステーキ
  • 煮込みハンバーグ
  • やきとり
  • 鶏と根菜のうま煮

これらの商品は、2022年5月31日(火)に放映された「マツコの知らない世界 自衛隊メシの世界」でもちらっと紹介されました。

注:2022年2月1日付で、自衛隊の糧食の仕様が改正されました。この記事に書かれている官品に関する情報は、新旧の仕様が混在している可能性があります。

ポークソーセージステーキ

仕様


▲ポークソーセージステーキのパッケージ表面

名称: 加圧加熱ボロニアソーセージ(ブロック)
原材料名: 豚肉(アメリカ産)、豚脂肪、食塩、結着材料(大豆たん白、卵たん白)、砂糖、香辛料/加工デンプン、カゼインNa、リン酸塩(Na)、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸Na)、(一部に卵・乳成分・小豆・大豆・豚肉を含む)
殺菌方法: 120℃で4分間加熱
内容量: 110g
賞味期限: 製造から5年半
保存方法: 直射日光を避け、常温で保存してください。
販売者: 日本ハム株式会社
製造者: 南日本ハム株式会社
JANコード: 4902115379520
召し上がり方: 温めずにそのまま召し上がれます。
 お湯で温める場合…熱湯で4分湯煎
 電子レンジで温める場合…500W 1分20秒・600W 1分10秒(皿に出してラップをかける)

栄養成分表示(100g当たり)
熱量: 221kcal
たんぱく質: 15.2g
脂質: 16.0g
炭水化物: 4.0g
食塩相当量: 2.1g
(サンプル品分析による推定値)

特徴

ポークソーセージステーキは、直径9cm、厚さ1.5cmほどの円盤状のソーセージです。


▲山歩きで食べたときの様子(ご飯は別途用意した物)

薄味のスパムという印象ですが、スパムよりずっと美味しく感じます。

一口目は「味が薄いな…」という印象でしたが、逆に二口目、三口目と食べて進んでも飽きが来ず、食べれば食べるほど美味しく感じるという絶妙な味付け。

そのおかげで、200gのご飯を食べきるのにポークソーセージステーキひとつで充分でした。

官品との違い

官品のポークソーセージステーキは重量が150g(市販品は110g)で、200gの白飯と200gの山菜飯と一緒に配給されます。

煮込みハンバーグ

仕様


▲煮込みハンバーグのパッケージ表面

名称: ハンバーグ
原材料名: 食肉(牛肉(オーストラリア産)、豚肉)玉ねぎ、つなぎ(パン粉、液卵白、卵白末、でん粉)、植物油、食塩、乳等を主要原料とする食品、香辛料/調味料(アミノ酸)、ソース[野菜(玉ねぎ、にんじん)、中濃ソース、牛脂肪、トマトペースト、還元水あめ、砂糖、赤ワイン、乳等を主要原料とする食品、食塩、しょう油、酵母エキス、水あめ/増粘剤(加工デンプン)、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)]、(一部に卵・乳成分・小麦・牛肉・大豆・豚肉・りんごを含む)
殺菌方法: 気密性容器に密封した後、加圧加熱殺菌
内容量: 115g 固形量: 90g
賞味期限: 製造から5年半
保存方法: 直射日光を避け、常温で保存してください。
販売者: 日本ハム株式会社
製造者: 南日本ハム株式会社
JANコード: 4902115379537
召し上がり方: 温めずにそのまま召し上がれます。
 お湯で温める場合…熱湯で4分湯煎
 電子レンジで温める場合…500W 1分40秒・600W 1分20秒(皿に出してラップをかける)

栄養成分表示(100g当たり)
熱量: 201kcal
たんぱく質: 12.5g
脂質: 12.1g
炭水化物: 10.4g
食塩相当量: 1.2g
(サンプル品分析による推定値)

特徴

小ぶりな楕円形のハンバーグです。


▲職場で昼食時に食べたときの様子(ご飯とポテトサラダは別途用意した物)


▲煮込みハンバーグを箸で切った断面

ソースは若干の酸味があるタイプでさっぱりしており、マルシンハンバーグより肉肉しくて美味しい。

ただ、保存食臭というか、缶詰のソーセージを食べたときに感じるような独特の風味が僅かに感じられます。

官品との違い

官品の煮込みハンバーグは重量が170g(市販品は115g)で、200gの白飯と200gのドライカレーと一緒に配給されます。

やきとり

仕様


▲やきとりのパッケージ表面

名称: やきとり
原材料名: 鶏肉(ブラジル産)、しょうが、しょう油、砂糖、清酒、植物油脂、食塩、大豆たん白、乳たん白、卵たん白、/増粘剤(加工デンプン、キサンタンガム)、トレハロース、カラメル色素、ピロリン酸ナトリウム、調味料(アミノ酸等)、甘味料(カンゾウ抽出物)、(一部に卵・乳成分・小麦・大豆・鶏肉を含む)
殺菌方法: 気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌
内容量: 110g
賞味期限: 製造から5年半
保存方法: 直射日光を避け、常温で保存してください。
販売者: 日本ハム株式会社
製造者: 南日本ハム株式会社
JANコード: 4902115379643
召し上がり方: 温めずにそのまま召し上がれます。
 お湯で温める場合…熱湯で4分湯煎
 電子レンジで温める場合…500W 1分10秒・600W 1分(皿に出してラップをかける)

栄養成分表示(100g当たり)
熱量: 185kcal
たんぱく質: 18.8g
脂質: 10.1g
炭水化物: 4.8g
食塩相当量: 0.9g
(サンプル品分析による推定値)

特徴

缶詰で売られているタレ味の焼き鳥をイメージしていましたが、味も食感も違いました。


▲職場で昼食時に食べたときの様子(ご飯と味噌汁は別途用意した物)

タレは缶詰ほど甘くなく、鶏肉はレトルト食品と思えないほどの食感で、「ローストチキンをほぐした物」という印象。

缶詰の焼き鳥は内容量が75gしかないため、110g入りのこの商品だと量は充分です。

官品との違い

官品のやきとりは重量が150g(市販品は110g)で、200gの白飯と200gの五目飯と一緒に配給されます。

鶏と根菜のうま煮

仕様


▲鶏と根菜のうま煮のパッケージ表面

名称: 鶏と根菜のうま煮
原材料名: 野菜(ごぼう、れんこん、しいたけ、にんにく)、鶏むね肉(タイ又は日本)、しょう油、砂糖、小麦粉、発酵調味料、卵たん白、還元水あめ、植物油、たん白加水分解物、香辛料、乳たん白/増粘剤(加工デンプン)、調味料(無機塩等)、リン酸塩(Na)、カラメル色素、香料、(一部に卵・乳成分・小麦・大豆・鶏肉を含む)
殺菌方法: 気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌
内容量: 100g
賞味期限: 製造から5年半
保存方法: 直射日光を避け、常温で保存してください。
販売者: 日本ハム株式会社
製造者: 南日本ハム株式会社
JANコード: 4902115379650
召し上がり方: 温めずにそのまま召し上がれます。
 お湯で温める場合…熱湯で4分湯煎
 電子レンジで温める場合…500W 1分・600W 50秒(皿に出してラップをかける)

栄養成分表示(100g当たり)
熱量: 97kcal
たんぱく質: 10.7g
脂質: 1.2g
炭水化物: 10.9g
食塩相当量: 1.1g
(サンプル品分析による推定値)

特徴

大きな鶏胸肉がごろっと入っており、鶏肉が美味しいだけでなく、根菜や椎茸の食感もしっかりしており、保存食とは思えない出来映えです。


▲職場で昼食時に食べたときの様子(ご飯と味噌汁は別途用意した物)


▲鶏と根菜のうま煮

ただ、これだけでは200gのパックご飯を食べるためのおかずとしては不十分な印象。

官品との違い

官品の鶏と根菜のうま煮は重量が110g(市販品は100g)で、200gの白飯と200gのドライカレー、そして「おかかふりかけ」と一緒に配給されます。

最後に

私の個人的な感覚では、4つのメニュー全てが薄味です。
最初は物足りなさを感じますが、そのおかげで最後まで飽きずに美味しく完食できます。

ガツンとくる濃い味の食べ物は、一口目や二口目は美味しいんですが、そのうち食べ進めるのが苦痛になってきます(私の個人的な感覚です)から、絶妙な味付けなんだと思います。

価格が高い(日本ハムProUseショップでは同一メニュー20パックで¥12,000。単品売りをしている業者はいくつもありますが、それらのお店では1パック¥550程度。)ですが、製造から5年半も常温保存ができる特殊な商品なので仕方ないですね。

スーパーやコンビニで150~300円ほどで売られているパウチ入りの総菜類は、安い代わりに賞味期限が短かったり、常温で保存できなかったりしますから、備蓄には向きません。

商品の特性を理解し、そこに魅力を感じられる方でないと買っても満足できないと思いますから、購入を考えている方はご注意ください。

常温でもそのまま食べられますが、やはり温めた方が美味しいです。非常食として備蓄する場合は、加熱用機材の準備もお忘れなく。

*1:かんぴん。自衛官に対して国が支給(貸与)する物品のこと。自衛隊が任務に使用するために税金で購入された物ですから、国の所有物です(装備品などは退職時に返還します)。そのため、隊員が官品を勝手に売ったりすると横領や窃盗にあたり、罰せられる場合があります。過去には戦闘糧食や装備品を横流しした自衛官が懲戒免職、書類送検される事例が発生しています。

*2:正確な発売日は分かりませんが、陸上自衛隊の公式Twitterアカウントから2022年1月14日に「#陸上自衛隊の #戦闘糧食 モデルのレトルト食品が #日本ハム 様から販売されました」と発表がありました。