播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

小型軽量な山歩き用GPS:GARMIN eTrex 32x

山歩きの際、歩いたルートの記録にはGARMINの「Oregon 550」を使用していました。
2009年後半に購入しましたから、11年以上使ってきたことになります。

しかし、最近は「電源が入らない」「新しい電池を入れても5分ほどで電源が落ちる」という症状が出るようになってしまいました。ついに寿命を迎えたようです。

新しいGPS受信機を買わないといけなくなったのですが、何を買うかが問題です。

スマホをGPS受信機として山歩きに使う方も多いようですが、晴天下で画面が見えず、手袋をすると操作ができず、落とすと簡単に壊れ、バッテリー持続時間が短く、高温になると動かなくなるような脆弱な機械を、たとえ日帰りの低山歩きであっても、私はGPS受信機代わりに使う気になりません。

どの分野でも共通して言えることですが、何かをしたい場合は、その目的のために作られた専用機を使うのが最適

山歩きでGPSを使うなら、「アウトドア用に設計された専用のGPS受信機を使うべき」というのが私の考えです。

アウトドア用のGPS受信機といえば、パッと思いつくのはアメリカのGARMIN社の製品(私はGARMIN信者です)。

GARMINのGPS受信機には、OregonシリーズやGPSMAPシリーズ、eTrex Touchシリーズ、eTrexシリーズ等があります。

eTrex Touchシリーズや最近のOregonシリーズは、スマホと同じような静電容量方式のタッチパネルを搭載している(手袋をはめていたり、手が濡れていると正しく操作できない。)ので、購入対象から除外*1

GPSMAPシリーズはずいぶん前に使っていましたが、物理ボタンで操作するため手袋をはめていても問題ないし、測位性能も優れていました。しかし、大きくて重いし、ディスプレイの解像度が低いため、いざというときに地形図を確認しづらい。

「Touch」が付かないeTrexシリーズは、他のシリーズより小型軽量ですし、物理ボタンで操作できますし、ディスプレイ解像度がOregonシリーズより低いですがGPSMAPシリーズより高い

以上のことから、TouchではないeTrexの中で、2021年前半時点で最新の「eTrex 32x」を購入することにしました。

GarminのeTrexシリーズは、2015年にアメリカ軍がeTrex 10を購入しようとしたことがあるくらいなので、性能と信頼性に間違いはありません*2(私は軍用品マニアです)。

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▲eTrex 32x(バックライトをオフにしているが、半透過型液晶のため直射日光下で画面が見えている。)*3

概要

GPS受信機の分野では老舗のGARMINが販売している、小型軽量のアウトドア向けGPS受信機です。

eTrex 30の後継機ですが、内蔵メモリの容量が増えたこと以外、性能や機能に違いはありません。


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仕様

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▲eTrex 32xのパッケージ

製品名: eTrex 32x(「eTrex」は「イートレックス」と読む)
メーカー: GARMIN CORPORATION(アメリカ)
サイズ: 5.4cm × 10.3cm × 3.3 cm(カタログ値)
重量: 148g(バッテリーを含むカタログ値)
ディスプレイ: 2.2インチ半透過型 TFT液晶(240×320px)
タッチパネル: なし
電子コンパス: 3軸
高度計: 気圧センサー搭載
内蔵メモリ: 8 GB
外部メモリ: 32GBまでのmicroSDに対応
インターフェイス: miniUSB、ANT+
電源: 単3形電池×2本(アルカリ、ニッケル水素、リチウム)
動作時間: 最大25時間
耐候性: IPX7
地図: 日本詳細地形図2500/25000(約3.6GB)が内蔵メモリにインストール済み
対応する衛星: GPS、GLONASS、みちびき(GPS補完)
定価: ¥65,780(税込)
購入価格: ¥56,082(税込)
購入先: amazon.co.jp

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▲eTrex 32xのパッケージ内容(左から本体、USBケーブル、保証書とクイックスタートマニュアル)

外観

本体の周囲にボタンがあり、画面の右上にはスティックが付いているのが特徴。
「GARMINのeTrexシリーズと言えばこれ」というデザインです。

ミリタリー好きな私にとっては、ミリタリー感のある落ち着いた色合いも魅力。

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▲eTrex 32x本体

本体周囲には、液晶画面の右に2つ、左に3つの合計5つのボタンが付いています。

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▲本体右側面のボタン

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▲本体左側面のボタン

eTrex 32xの裏面には、GARMINのColoradoシリーズのGPS(2008年に発売。今は廃盤。)あたりから採用された、「マウントアングル」と呼ばれるレールがついています。

このレールはeTrex 32xを各種マウントに取り付ける際に使うものですが、山歩きでも使えそうなベルトクリップやカラビナクリップも、純正アクセサリとして別売で用意されています。

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▲裏面には専用マウントに対応するマウントアングルがある(底部の穴はストラップホール)

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▲GARMIN純正のカラビナクリップ(別売)*4

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▲純正カラビナクリップをeTrex 32xの背面に取り付けた様子

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▲純正カラビナクリップを取り付けたeTrex 32x

このマウントアングルとその周辺の黄土色の部分全体が電池カバーになっており、マウントアングル上部のDリングを反時計回りに90度回すと、取り外せるようになっています*5

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▲電池カバーを取り外した様子

電池ボックス部分にmicroSDカードスロットがありますが、地形図は本体内蔵メモリにプリインストールされているので、microSDカードを使うことはなさそうです。

山歩きの軌跡データ(GPXファイル)をパソコンに取り込む際は、付属するUSBケーブル(一方はUSB A、もう一方がmini-B)を使ってパソコンと接続します。

eTrex 32x本体側にminiUSBポートがあるのですが、その位置は電池カバーの上部。

指で押さえておかないと閉じてしまうため、見苦しいですが私の指が大きく写った画像で紹介します。

それにしても、今時miniUSBというのもすごい。USB Type-Cのような新しい技術より、枯れた技術の方が安心ということでしょうか。

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▲miniUSBポートは防水カバーの中にある

操作方法

GARMINのアウトドア用GPS受信機に慣れた方なら、説明書を見なくても問題ないと思います*6

右手でeTrex 32xを保持した場合、基本的な操作は親指だけで可能です。

項目の選択、カーソル移動は親指でクリックスティックを前後左右に倒すだけ*7

クリックスティックをまっすぐ押し込むと、「決定」の操作になります。

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▲クリックスティックは本体から飛び出しているため指先で操作しやすい

私がeTrex 32xを右手で持つと、下の画像のようになります。

親指でクリックスティックとbackボタン、人差し指でズームイン/ズームアウトボタン、中指でmenuボタンが押せるようにボタンが配置されていることがお分かり頂けるでしょう。

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▲eTrex 32xを右手に持った状態(画面保護用のフィルムを貼った状態で撮影)

「前の画面に戻りたい」と思ったら、親指で「back」ボタンを押します。

人差し指、または中指で押せる「menu」ボタンには、Windowsパソコンでいうところの「右クリック」の役割があります。

つまり、開いている画面に関する細かい設定メニューなどが表示されるわけです。


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使用感

操作を行った際の反応速度は、一言でいえば「モッサリ」

特に、地図のスクロールをした際の描画の遅さはシャレになりません
間違っても、eTrex 32xの地図画面で地図をスクロールさせることはしない方が良いでしょう。

ただ、そんな動作速度の遅さも、私にとっては問題ありません。

私の場合、GPS受信機の使用目的は移動した軌跡を取得することなので、山歩きの最中に画面を見ることはほとんどありませんし、周辺の地形を確認するために地図をスクロールすることもないのです。

よほど困ったときや不安なときに、地図画面で現在地を確認するだけ。

周辺の地形を確認したい場合は、GPS受信機やスマホの小さな画面では見づらいだけですから、紙に印刷した地形図を見ます。

eTrex 32xに初めからインストールされている地図がどのようなものか、また縮尺ごとの表示範囲がどの程度の広さになるのかは、下の画像でご確認ください。

私の感覚では、200m縮尺か300m縮尺が見やすいです。

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▲山歩きをしている最中のeTrex 32xの画面イメージ(たつの市の新龍アルプス北部を歩いた際のログの一部を表示してスクリーンショットを撮り、現在地を示す三角形のアイコンを合成して作成)

以上の理由から、私の使い方ではeTrex 32xの動作速度の遅さは問題にならないのです。

むしろ、専用機ならではの測位性能の高さと電池の持ちの良さ、直射日光で温められても、真冬の低温下でも問題なく動いてくれることの方が大切。

私とは逆に、山歩きの最中にGPS受信機を頻繁に操作し、各種機能を使い倒している方には、eTrex 32xはお勧めしません

eTrexシリーズの購入を考えている方は、(一緒に山に行く人が持っている等)実機に触れる機会があれば、購入前に操作感を確認することをお勧めします。

私の使い方

私が行う操作と言えば、歩き始めで電源を入れて測位を待ち、「きれいな軌跡」を取得するために過去の軌跡を削除すること。

下山が完了したら、電源を切るだけ。

自宅に着いたら、パソコンにGPS受信機を接続して軌跡データ(GPXファイル)を転送して終わり。

具体的には、以下の操作をおこなっています。

出発前

保存されている前回の山歩きの軌跡を、以下の手順で消去します。
(重要!この操作で、eTrex本体に保存されている軌跡は全て消去されます。必要な軌跡をパソコン等に転送した後に実施して下さい。

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▲山歩きの出発直前には、前の山歩きの軌跡を削除する

出発後(山歩きの途中)

現在地を正確に把握する必要が生じた場合は、地図画面を確認します。

山歩き終了後

山歩きが終了したら、軌跡の記録を止めるために、すぐ電源を切ります。

帰宅後

帰宅後はeTrex 32xをUSBケーブルでパソコンと接続し、以下の操作でGPXファイルをカシミール3Dに読み込ませます。

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▲eTrex 32x本体メモリ内に保存される軌跡(GPXファイル)の場所

最後に

eTrex 32xに限らないのですが、GARMIN製のGPS受信機は晴天時の屋外でも画面が見やすく*8、測位精度も高く、バッテリーの持ちが良く、(一部機種を除き)単3形電池2本で動いているため、仮に電池切れになっても電池を入れ換えればすぐに使用を再開できます

やはり、専用機は汎用機(スマホ等)より優秀です。

GPS信号の受信に失敗して軌跡が一直線になるのを我慢し、バッテリー残量を心配しながらスマホを使って山歩きをされている方で、これからも山歩きを続けていこうと思われている場合は、GARMINのGPS受信機を購入することをお勧めします。

ただ、どんなに高価なGPS受信機を購入したとしても、スマホのような滑らかな操作感は得られません。
GPS専用機を初めて使う方は、その「モッサリ感」に驚くと思います。

私が購入を避けている静電容量方式のタッチパネルを搭載したOregonやeTrex Touchシリーズと、新しいGPSMAPシリーズは、新しい製品だけあって動作が速いです。

長所

  • 小型軽量なので、山歩きに持って行っても負担にならない。
  • クリックスティックとボタンの配置がよく考えられており、操作性は高い。
  • 物理ボタン操作なので、手袋をはめていても使用できる。
  • (GARMIN製GPS共通ですが)直射日光が当たるような明るい場所でも、画面は見やすい。
  • (GARMIN製GPS共通ですが)単3形電池2本で動くため、山歩きの途中で電池が切れても、電池を入れ換えればすぐに使える。

短所

  • eTrex 32xは旧モデルとの差がほとんどない(内蔵メモリ容量が大きくなっただけ)。つまり、2021年時点で最新の32xでも基本設計や性能が時代遅れ(現在地確認とログ取得だけなら性能は十分)。
  • とにかく動作が遅く、何をやっても待たされる。特に、地図の描画速度はスマホに遠く及ばない。
  • クリックスティックが出っ張っているので、画面の汚れを拭き取るために服にこすりつけようとすると、クリックスティックが邪魔になる。

*1:昔のOregonシリーズは感圧式タッチパネルを搭載していたため、手袋をしていても難なく操作できて便利でした。

*2:このときの米軍のSources Sought Notice(入札公告を出す前に、応じられる業者がいるかどうかの確認等を行うために出す通知)の番号は「W56KGZ15T9999」。 この時はGarminのForetrex 401の調達も予定されていた。

*3:一眼レフカメラを右手に持って撮影するため、eTrex 32xを左手で保持しています。eTrex 32xは、右手に持って操作するように設計されています。

*4:私が持っているのは、Oregon 550に付属していたものです。

*5:Dリングは電池カバーの開閉用の部品で、ストラップ等を取り付けるための場所ではありません。ストラップは、底部のストラップホールに通してください。

*6:製品には「クイックスタートマニュアル」しか付属しないので、説明書はWebで閲覧する必要があります。

*7:ThinkPadシリーズのトラックポイントをイメージする方もおられるかも知れませんが、倒す角度でカーソルのスピードが調整できるトラックポイントのように滑らかな動きはできません。eTrexの場合、クリックスティックを倒すと、その方向のマイクロスイッチが押し込まれるようになっているだけです。つまり、カーソルを動かすか止めるだけの操作です。

*8:スマホやパソコンの液晶画面しか知らない方にとっては意外だと思いますが、GARMIN製GPSの液晶画面は、明るい場所でも見やすいです(外から入ってきた光の一部を反射してバックライト代わりに使う構造になっている)。暗い場所では、バックライトを点灯させないと見えません。