播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

水筒やハイドレーションシステムを素早く乾かす方法

私はハイドレーションシステムを愛用していますが、あれは使用後に乾燥させるのが大変

専用のスペーサーなどを入れて吊していても、自然に乾燥するまでにはかなりの時間がかかるのです(リザーバーは数日で乾きますが、チューブの中は1週間経っても乾かないこともあります。)。

そこで、布団乾燥機の温風をハイドレーションシステムのリザーバーに送り込む方法を使っていました。

布団乾燥機から出る温風の風圧でリザーバーを膨らませると、リザーバーから温風がチューブ内を通って飲み口から出ることになり、リザーバーもチューブも短時間で乾くという仕組み。

しかし、これには「布団や靴を乾かす装置で飲み水を扱う道具を乾かすことへの心理的な抵抗感」「布団乾燥機の騒音」「面倒な準備」「布団乾燥機の普及率の低さ(そもそも持っていない人も多い)」という問題があります。

より手軽な乾燥方法を探していたら、ハイカー向けのSNS「YAMAP(ヤマップ)」で面白い方法を見つけました。

上の記事を書いた方が参考にされたのは、以下の記事。

濡れた容器内に熱帯魚などの水槽に使うエアーポンプで空気を送り込み、短時間で乾燥させるというアイディア。

海外のアウトドア愛好家向けのインターネット掲示板を見ると、以前から存在していた乾かし方のようです。

エアーポンプは動作音が静かですし、準備も簡単。値段が安いため新品を買いやすく、新品を使えば衛生面の心配も無用。

布団乾燥機を使う場合の問題点が全て解決できるわけです。

f:id:dfm92431:20201207222303j:plain▲熱帯魚などの飼育に使用するエアーポンプ

「水槽用のエアーポンプ程度のパワーで乾燥させられるのかな?」と疑いつつ、ホームセンターのペット用品コーナーで適当なエアーポンプ*1を購入して実験してみました。

実験方法は以下の通りです。

  1. 500mlサイズの空のペットボトルを2本用意し、どちらもお湯を沸かしたヤカンの口から吹き出る水蒸気を充満させて内側を結露させる。
  2. 一方のペットボトルにはエアーポンプから伸びるホースを中程まで差し込み、もう一方は何もせず、2本を並べて寝かせる。
  3. じっと観察し続けるのは大変ですし、何分くらいで乾くのか見当も付かないので、ビデオカメラで2本のペットボトルを撮影し、撮影した動画を後から見て乾き方を確認する。

下の画像が実験の様子で、左側のペットボトルにエアーポンプからのホースが差し込んであります。

どちらも同じくらい内側が結露しているのですが、光の当たり具合で水滴が見づらいです。

赤枠内の部分はどちらのペットボトルも水滴が見えやすいので、この部分に注目してください。

f:id:dfm92431:20201207222334j:plain▲実験の様子(ビデオカメラで撮影した動画から切り出した画像)

30分後、驚くべきことに左側のペットボトルの内側の水滴はほとんど消失していました。

赤枠の中を見て下さい。左側のペットボトルは水滴が消えて透き通っているのが分かります。

f:id:dfm92431:20201207222355j:plain▲30分後の様子(ビデオカメラで撮影した動画から切り出した画像)

というわけで、水槽用のエアーポンプと言えども、小さめの容器を乾かすには充分な性能を持っていることが分かりました。

続いて、ハイドレーションシステム*2の乾燥にも有効なのか検証。

普段カレンダーを掛けているフックに、ハイドレーションシステムをぶら下げてみました。

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▲ハイドレーションシステムを乾燥させるためのセットアップ(全体)

エアーポンプのホースをハイドレーションシステムの飲み口に差し込み、エアーポンプからの空気がハイドレーションシステムのチューブ内を通過してからリザーバに入るようにしています。

ハイドレーションシステムでもっとも乾きにくいのはチューブ内ですから、このようにセットするのが最適。

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▲エアーポンプのホースをハイドレーションシステムの飲み口に差し込んだ

2時間後、チューブ内の水滴は消滅しましたが、リザーバ内の水滴はまだ残っていました。

3時間後、リザーバ内の目立つ水滴も全て消えていました。

しかし、リザーバの周囲できちんと広がっていなかった部分の水は乾いていませんでした。

リザーバ全体がきれいに広がるように吊してやれば、もっと早く乾くかも知れません。

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▲リザーバには専用の乾燥用パーツをセットし、内部が貼り付かないように広げていたが、周囲はきれいに広がりづらい

何にしても、(私の個人的な経験では)通常なら1週間干していても乾かないハイドレーションシステムのチューブが、たった数時間で乾いてしまったのには驚きです*3

注意事項

エアーポンプには性能があります。

値段が安い物は「吐出量」の値が小さい、つまり単位時間当たりに送り出す空気の量が少ないため、乾燥にかかる時間が長くなるかも知れません。

最後に

ハイドレーションシステムをお持ちでない方でも、プラティパスやモンベルのフレックスウォーターパックのような、通常ではなかなか乾いてくれない「口が小さな折りたたみ式容器」を乾かす際に活用できます。

f:id:dfm92431:20201207223024j:plain▲折りたためるタイプの容器の乾燥にも便利

冒頭で紹介した方々のアイディアの受け売りですが、乾燥が大変な容器類を乾かす方法として、ぜひお試しください。

家庭の水槽用エアーポンプの能力が充分にあることを知って、私は布団乾燥機を使う方法をやめました。

それにしても、こういうアイディアを最初に思いつく方はすごい!

長所

  • 必要な機材を安価にそろえられる。
  • 使用する機材が小さいので、小さなスペースで乾燥させられる。

短所

  • 水槽用エアーポンプは、思っているほど静かではない(電源を入れたまま寝室に置いておけるようなものではない)。

*1:この記事では、吐出量が約0.5~1.5L/分の可変式「GEX e~AIR 2000SB」を使っています。

*2:ここで使用しているのは、キャメルバックの「クラックス 2.0L リザーバー」です。

*3:今回の実験は、気温セ氏29度前後、相対湿度65%前後の環境で実施しました。