2022年2月26日に再訪しました。この記事に書かれていない道が新たにできていますので、下のリンクから新しい方の記事をご覧ください。
2020年5月26日付の神戸新聞に「『ビシャゴ岩』で絶景堪能を 赤穂・国内最大級のカルデラ跡」と題した記事があり、兵庫県赤穂市の「ビシャゴ岩」が紹介されていました。
展望が良いとのことなので、「山の上で景色を楽しみながら食事とゆったりした時間を楽しむこと」を山歩きの目的にしている私にとっては、ぜひ行ってみたい場所です。
しかし、新聞で紹介されてしまうと来訪者が増えそう。
私は山の上で静かにのんびり過ごしたいので、他の登山者がいない方がありがたい。
それなら、平日に登るのがベストです。
そこで本日、休日に出勤した分の振替休日を利用してビシャゴ岩に行ってきました。
ビシャゴ岩へのルートについては、登山者向けのWebサービス「YAMAP」でG-taroさんが公開されている記事を参考にさせていただきました。
ビシャゴ岩という名前の由来は、前述の神戸新聞の記事によると「ビシャゴはタカ科の鳥・ミサゴの地方での呼び名。岩の名前は、かつてこの上でビシャゴが捕まえた魚を食べていたことに由来すると言われる。」とのこと。
▲ビシャゴ岩(ドローンで撮影)
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「備前三石」
▲カシミール3Dで作成したルートの断面図
当初考えていたのは、JRで備前福河駅へ行き、そこから徒歩で登山口を目指すという行程。
しかし、家を出る直前にテレビ(NHKのニュース)から「JR赤穂線が信号トラブルのため運転見合わせ」という声が聞こえました*1。
家を出る前に分かって良かった。
というわけで、移動手段を鉄道から自家用車に急遽変更。
08:15
姫路市街の自宅を車で出発。
山陽自動車道を西進し、赤穂インターで山陽自動車道を下ります。
料金所の先で丁字路に突き当たったら、左折。
丁字路から300mほど南下したところにある「新田」交差点を右折し、国道250号線に入ります。
国道250号線を西へ進むこと6km弱で登山口に到達するのですが、そのすぐ脇は路肩が広くなっているというか、ちょっとした空き地になっています。
そこに車を駐めました。
車を駐めた場所は、東西にのびる道路の北側。
私のように東から西へ進んでいる場合は、Uターンしないといけません。
タイミングによっては車が多い(しかも、みんなかなり飛ばしてます)ので、ちょっと大変かも。
https://goo.gl/maps/te8azSub44FwhCN66
▲登山口の位置
09:10
登山口に到着(地図中「P」)。
▲国道250号線沿いの登山口の様子
すぐ横をトラックなどが猛スピードで通過し、そのたびに揺れる車の中で靴を履き替えたりして準備を整えました。
09:20
準備が整ったので出発。
登山口から、地形図では破線で描かれている林道跡に入ります。
▲林道跡へ入る
林道跡なので、斜度は緩やかですし道幅が広く、歩きやすい。
▲なだらかな林道跡を登る
林道跡歩きは10分ほどで終わり、道は山道らしくなります。
その後、道が少し分かりづらい場所にも出会いますが、適度な間隔で設置されたピンクテープに従って歩けば大丈夫。
この山道を整備されている方は、山歩きの上級者なのでしょう。
今回歩いた全行程で、ピンクテープは「ここぞ」という場所に付けられています。
▲頼りになるピンクテープ
09:34
道が直進と左折に分かれる場所に出会いました(地図中「愛宕神社方面分岐」)。
直進する(下の画像の矢印方向へ進む)と愛宕神社(本日の下山ルート)、左折する(下の画像で下/手前方向へ進む)とビシャゴ岩へのルートです。
▲愛宕神社方面を指す道標
▲ビシャゴ岩を指す道標
標高150m付近で両側をシダに挟まれた道を通ることになりますが、その後は空が開けた場所に出ます。
▲シダに挟まれた区間の様子
標高150m~200mあたりの等高線間隔が広い区間はなだらかで、空が開けていてビシャゴ岩のあるピークを眺めることができました。
▲なだらかな区間から見た311mピーク
なだらかな区間には道沿いに小さな流れがあり、場所によっては湿地のようになっています。
靴やズボンを汚したり、足を滑らせる危険があるので、慎重に歩いてください。
動物の蹄の跡がいくつもあったので、動物たちの通り道、あるいは水飲み場にもなっているのかも。
なだらかな区間を過ぎると、斜度がきつくなります。
場所によっては、登山道整備のために伐採した木々を利用した丸太階段が設置されていますが、これもまた、ピンクテープと同様に「ちょうどいい間隔」で設置されています。
業者が遊歩道に設置する、歩きづらいだけの擬木階段とは雲泥の差。
この丸太階段の良さは、下りの際によく分かります。
▲丸太階段が設置された急斜面
この急斜面の道では、振り返ると福浦の町並みと海を見られます。
10:04
主稜線に出ました。
311mピークのすぐ北です。
ここには「ビシャゴ岩←」の道標が立っています。
▲主稜線に立つ道標
道標に従って主稜線を南に…と思ったら、道は尾根の中心から東にはずれたところに付けられています。
▲10:04に出会った道標からビシャゴ岩までの道の様子
展望はないし、下っていくし、「何この道?これで合ってるのか?」と思いながら進んでいくと、唐突に目の前の視界が開けました。
ビシャゴ岩です。
10:06
ビシャゴ岩に着きました(地図中「ビシャゴ岩」)。
▲ビシャゴ岩
「ビシャゴ岩」と書かれた看板が立ち、南東方面の展望が大きく開けた場所。
しかも、切り立った岩場のため高度感があり、気持ちいい。
▲ビシャゴ岩(ドローンで撮影)
ツバメがビュンビュンと飛ぶ中、ビシャゴ岩の先端でしばらく景色を楽しみながら、汗だくの体を冷ましました。
ビシャゴ岩からの展望や、ビシャゴ岩そのものの姿は、以下の全天球パノラマでご覧下さい。
パノラマ画面左上のリストで「ビシャゴ岩からの展望」を選ぶと、ビシャゴ岩に立ったときに見える景色を、「空撮」を選ぶと、ビシャゴ岩が写る場所でドローンを使って撮影した全天球パノラマをご覧いただけます。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/bishagoiwa20200603/virtualtour.html
▲ビシャゴ岩で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2020年6月3日)
ビシャゴ岩を撮影しようとドローンを用意していましたが、ドローンを飛ばす際は国交省の「ドローン情報基盤システム」への事前の登録が必要で、そこに私が登録した飛行開始時刻は11:00。
まだまだ時間があります。
新型コロナウイルスの影響で山歩きを自粛していたため、体が鈍っていることを予想して登山口からビシャゴ岩まで90分ほどかかると見込んでいましたが、予想外に早く着いてしまいました。
時間つぶしに、三脚を立てて全天球パノラマを撮影。
それでも11時までの残り時間は30分弱。
イラついてきたので「事前登録の時刻を変えてやろう」と思い、スマホでドローン情報基盤システムを操作しようとしても、どうもうまく動きません。
「ああでもない、こうでもない」とスマホを触っているうちに11時になったので、ドローンの操縦を20分ほど堪能。
続いては、私の山歩きの目的である食事です。
本日の昼食は、日清の「キーマカレーメシ」。
久しぶりの山歩きなので、椅子と机を用意して豪華な気分で昼食を頂きました。
この机を山で使うのは今回が初めてでしたが、これは良い!
やっぱり机があるのは便利。しかも高さがあって使いやすい。
▲本日の昼食はキーマカレーメシ(Helinoxのタクティカル チェア ミニとテーブルオーを使用)
ビシャゴ岩には大量の小さな羽虫やハエがいたのですが、それを狙うツバメが私のすぐ横をビュンビュン飛んでいくのが面白い。
ツバメが来ると虫たちはどこかへ姿を隠すのですが、そうなるとツバメもどこかへ行ってしまいます。
するとまた羽虫がどこからともなく現れ、ツバメがまたそれを狙って飛来するという光景が何度も繰り返されました。
12:08
2時間もビシャゴ岩で過ごし、下山開始。
往路を引き返します。
急斜面の丸太階段は、下山の時に本領を発揮。
歩いていると、「ここに丸太を設置したのはこのためか!」と感心します。
下りの際、ちょっと怖いなと思うような場所にちょうど丸太があるのです。
ピンクテープの付け方といい、丸太階段の設置のしかたといい、この登山道を整備した方の人柄やセンスの良さが感じられます。
ただ、この丸太階段は耐久性に不安があるなぁ。
12:30
愛宕神社方面の分岐まで戻ってきました。
「愛宕神社方面下山口」と書かれた道標に従って堰堤を渡り、沢の左岸を少し下ると、地形図に記載のある池に出会いました。
▲堰堤の上端を歩いて沢の左岸へ渡る
防水シートが張られた池で、道は池の北側を東へ進むように付けられています。
▲防水シートが張られた池
池の東端には、地形図では破線道が描かれていますが、実際はそんなにはっきりした道はありません。
竹林の中の道で、ピンクテープが無ければどこをどう進めば良いか分からないようなところです。
▲ピンクテープを頼りに竹林の中を南へ進む
竹林の尾根を南へ進んでいると、石とコンクリートで出来た奇妙な遺構を見つけました。
これを囲むように、丸い縁石のようなものもあります。
▲竹林の中にあった謎の構造物の遺構(高さは1.5mほど)
雑木混じりの竹林の中を下っていくと、段々畑(あるいは棚田)跡に出会いました。
▲階段状に平坦地が並んでいるのがおわかりでしょうか
下の方の削平地には、墓石や「先祖代々之碑」と刻まれた大きな石碑があります。
竹林を抜けると明るい芝生の広場のような場所が突然現れ、すぐ先で愛宕神社に出会いました。
広場と神社の間には、防獣ゲートがあります。
▲謎の広場
▲愛宕神社の裏にある防獣ゲート
12:45
防獣ゲートを抜け、愛宕神社前に出ました(地図中「愛宕神社」)。
手を合わせ、今日一日楽しませていただいたお礼を言ってから下山を再開。
▲愛宕神社
愛宕神社から先の道は、両側が雑木混じりの竹林なのは今までと同じですが、道がはっきりしています。
▲愛宕神社から南へ延びる道の様子
間もなく道は右へ直角に折れ曲がり、また段々畑跡のような地形の中を通過。
▲国道250号線に出る直前の様子
12:51
国道250号線に下りてきました(地図中「愛宕神社登山口」)。
▲愛宕神社側から登る時は、この場所から山に入る
この場所には、「赤穂コールドロン」について書かれた看板が設置されています。
ちなみに、「コールドロン」とは「カルデラ」の一種で、赤穂コールドロンは西端が備前市、東端は相生市に達する巨大な噴火口跡で、赤穂市の市街地が噴火口の中心部にあたります。
ビシャゴ岩は、噴火口の北西の縁。
赤穂コールドロンは
約8200万年前の火山噴火で出来た
(9回の噴火が)巨大カルデラ跡東西約21キロメートル
南北約16キロメートルの
大きさと推定される熊本の阿蘇(長径約25キロメートル)
鹿児島の姶良(長径約20キロメートル)
に匹敵する備前福河駅の北西約500メートルの山肌には
カルデラが陥没した際に出来たとみられる
急斜面を見ることができる
(出典:現地の看板)
国道250号線を西に進み、駐車場所へ。
12:57
駐車場所に到着。
帰りも山陽自動車道を利用しました。
14:00頃
自宅に到着。
ビシャゴ岩へ行く登山者向けの駐車場は見当たりませんでした。
当初私が考えていたように、JRで行くのが良さそう。
交通アクセス
公共交通機関を使われる場合は、JRの「備前福河」駅が最寄り駅になります。
備前福河駅から今回の登山口まではおよそ1km、下山地点から備前福河駅までは、およそ700mです。
*1:JRのWebサイトを後日確認したところ、当日の6時42分頃に相生駅で発生した信号トラブルにより、JR山陽線と赤穂線の一部区間で運転見合わせ。7時57分に運転が再開されましたが、列車の遅れや運転の取りやめが発生したようです。