播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ブラタモリ「姫路城」の回で紹介された「飾磨エリア」を歩いてきました。

2019年12月14日(土)に放映されたNHKの人気番組「ブラタモリ」のテーマは、「姫路城」でした。
姫路城の姿を毎日のように見て育ってきた一姫路市民として、見逃すわけにはいきません。

放映された番組を見ると、テーマは「姫路城~姫路城で江戸城のロケをするのはあり!?~」というもの。

江戸城と姫路城の共通点が色々と紹介されたほか、現在も残る姫路城を築いた池田輝政が入封した頃に、港町として発展した「飾磨(しかま)」エリアも紹介されました。

姫路城は様々なテレビ番組で取り上げられてきましたが、どれも同じような内容でした。
しかし、「ブラタモリ」は今までの番組とはまったく異なり、姫路城と江戸城の共通点を探るという視点だったため、目新しい情報が満載。

その姫路城ネタも良かったのですが、私がもっとも興味を引かれたのは、飾磨に水軍の港があったという点。

そこで、JR姫路駅北口にある観光案内所で「ブラタモリ ひめじロケ地めぐりマップ」*1を入手。

本日は、それを頼りに飾磨の水軍基地跡を見てきました。

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▲ブラタモリ ひめじロケ地めぐりマップ

飾磨エリアで「ブラタモリ」一行が歩いたルート

飾磨エリア
姫路城から南へ5km、古くから飾磨津と呼ばれたこの町は池田輝政の播磨入封後、姫路城の外港・軍港として発展しました。今も歴史ある町並みが所々に残っています。江戸から離れたこの地に大きな城郭があったのはナゼ?タモリさんが歩いたルートをたどって探ってみましょう!
(出典:ブラタモリ ひめじロケ地めぐりマップ)

https://goo.gl/maps/osc5BQb2WXQwk8jc7

▲ブラタモリ一行が歩いたと思われる「飾磨エリア」のルート

「ブラタモリ」の番組内で飾磨エリアを紹介する際、タモリさん一行が歩き始めたのは「宮堀橋」交差点(上の地図に描かれている点線のルートの左端)。

「宮堀橋」交差点から国道250号線の北側につけられた歩道を東へ70mほど進むと、歩道橋の下で左前方へ分かれる古い道があるので、その道に入ります。

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▲歩道橋の下を左へ入る

ここは、番組内でタモリさんが「この道は、なんか古そうですね。」とおっしゃり、案内人の千田嘉博氏(城郭考古学者)が「はい。この道はですね、江戸時代からほぼそのままの道でありまして…」と答えておられた場所。

この道に入るとすぐ、赤い欄干の橋(御幸橋:ごこうばし)に出会います。
これは、番組内でタモリさんが「おっ!良いとこじゃないですか。」とおっしゃった後に、飾磨エリアの案内人、大谷輝彦氏(姫路市教育委員会 文化財課)が登場された場所です。

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▲御幸橋(西から撮影)

橋の下を流れる宮堀川は、番組内のナレーションによると、海からの物資を城下まで運ぶためのもの。

この橋の北で宮堀川は左へUターン気味にカーブした後、国道250号線沿いに西へ延び、船場川(姫路城のすぐ西を北から南へ流れている)につながっているのです。

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▲御幸橋の下を流れる宮堀川(橋から北向きに撮影)

御幸橋のすぐ東には、株式会社 長谷工コーポレーションの発祥の地があります。
番組とは関係ありませんが、今では東京に本社を置く大企業の発祥の地*2がこんなところにあったことに驚きました。

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▲長谷工発祥之地記念碑公園

御幸橋から東へ進み、屋台蔵のある御幸公民館に突き当たったら左折。

そして、90mほど北へ進むと知宝寺に突き当たります。ここは右折。

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▲知宝寺に突き当たったら右折

林田アナウンサーにいつ頃からお城が好きだったのか尋ねられたタモリさんが、「そんなに好きじゃないよね…」と返すといった会話があったのがこの辺り。

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▲知宝寺前から東へ延びる通りの様子

上記の会話の後、画面が切り替わってタモリさんが「堀ですか?」と確認するのは、知宝寺から東へ200m弱進んだ場所。

野田川(上流は外堀川や三左衛門堀と呼ばれている。)に突き当たる地点で、野田川防潮水門があります。

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▲野田川に突き当たる場所

野田川防潮水門

ゲート形式 鋼製プレートガーダローラゲート
純径間×有効高 14.0m×5.35m
門数 1門
開閉速度 電動時:0.3m/min
     エンジン時:0.1m/min
     急降下時:1.0m/min
扉体重量 60.0ton
製作年月 平成9年3月
施主 兵庫県
施工 川崎重工業株式会社
(出典:西側の防潮水門の銘板)

ここから川の対岸に見えているのが、番組の中で池田輝政の指示で作られたと言われていた、南北およそ400m、東西およそ200mの人工島「向島(むかいじま)」です。

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▲水門の近くから見た向島

「ブラタモリ ひめじロケ地めぐりマップ」によると、池田輝政が城主だった時代の向島には、大小合わせて219艘の船(当時の戦艦である安宅船は7艘)があったそうです。

「ブラタモリ」でメディアに初めて公開されたという、最近発見された向島の古地図では、ここから見える向島の西岸(野田川の左岸)に桟橋状の地形がたくさん描かれています。

そこに多くの船が並んでいた様子をイメージしながら眺めると、当時の面影が何も残っていないただの川縁の風景ですが、見え方が変わってきます。

では、向島へ渡りましょう。

野田川に突き当たる少し手前に戻ってからおよそ200m北上し、向島橋で野田川を渡ると、向島へ入れます*3

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▲向島橋

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▲向島橋を渡ってすぐ野田川沿いに南へ進む

向島橋を渡りきってすぐ右折し、100mほど南下したところには、番組内で「L字型の堀」として紹介されていた場所の北端部分があります。

番組では触れられていませんでしたが、ここには「史蹟 𦾔姫路藩御舩役所之址」の碑が立っています。

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▲「史蹟 𦾔姫路藩御舩役所之址」の碑

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▲「L字型の堀」の北端部分だけは堀として残っている

L字型の堀の跡地は私有地ですので、番組で紹介されていた「御船登せ浜」の斜面を見学することはできません。

以上が、「ブラタモリ」一行が歩いた飾磨エリアのルートです。

せっかくなので、野田川排水機場*4の建物を見てから帰路に就きました。

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▲野田川排水機場

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▲野田川排水機場近くから見た野田川防潮水門

飾磨エリア周辺の交通アクセス

注:ここに記載している情報は、当記事掲載時点のものです。

番組内で飾磨エリアを紹介するルートの始点となった「宮堀橋」交差点へ公共交通機関で行く場合は、路線バスが便利です。

JR姫路駅の北側、神姫(しんき)バスの1番のりばから出る「姫路港」行の路線バス*5に乗り、「恵美酒神社前」バス停で下車。

神姫バスの「1番のりば」は、JR姫路駅の北口を出た後すぐ左に曲がり、駅の建物沿いに西へ90mほど進んだ所にあります。

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▲神姫バスの「1番のりば」

以下のURLをクリックすると、Googleマップで神姫バスの「1番のりば」の位置が表示されます。

https://goo.gl/maps/5ZdpKynWwA7yiatQ9

「恵美酒神社前」バス停で下車し、南へおよそ140m歩いたところに「宮堀橋」交差点があります。

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▲「恵美酒神社前」バス停

以下のURLをクリックすると、Googleマップで「恵美酒神社前」バス停の位置が表示されます。

https://goo.gl/maps/qECT1uCictHjAtbD8

向島まで歩いた後は、向島橋から100mほど西へ進んだ突き当たりを右に曲がり、170mほど北へ進んだところにある山陽電車の「飾磨駅」を使うのが便利です。

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▲山陽電車 飾磨駅

以下のURLをクリックすると、Googleマップで山陽電車 飾磨駅の位置が表示されます。

https://goo.gl/maps/XEcDJYHgrc8FMJpq5

最後に

私がこの記事を書くに当たって実際に歩いた際の所要時間は、以下の通りです。

11:00 姫路駅北の神姫バス1番乗り場を路線バスで出発。
11:12 「恵美酒神社前」バス停に到着。
11:16 御幸橋を通過。
11:24 野田川に突き当たる。
11:31 向島橋を通過。
11:33 「史蹟 𦾔姫路藩御舩役所之址」の碑に到着。
11:50 山陽電車 飾磨駅に到着。
11:56 姫路行きの直通特急で飾磨駅を出発。
12:00 山陽姫路駅に到着。

番組では、当時の水軍の軍港跡である「向島」にスポットが当たっていてあまり触れられていませんでしたが、古民家が何軒も残っている飾磨の町並みも魅力的ですよ。

「ブラタモリ」ファンの方は、是非タモリさん一行が見た風景を追体験してみてください。

*1:発行・企画:(公社)姫路観光コンベンションビューロー 姫路フィルムコミッション 発行部数:10,000部 配布開始:2019年12月17日(火) 無料

*2:石碑の碑文によると、昭和12年に長谷川武彦氏がここに長谷川工務店を創業したそうです。

*3:野田川防潮水門の通路を渡っても向島に入れますが、今回は「ブラタモリ」一行が歩いたルートをたどることを目的にしていたため、向島橋で野田川を渡りました。

*4:排水機場は、津波などを防ぐために防潮水門を閉じた後、水門の内側に溜まった水を水門の外へ強制的に排水するための施設。

*5:平日・土日祝とも1時間当たりの運行本数は2本または3本。運賃は¥250。定刻で走れば所要時間は11分。