播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県姫路市の明神山(667.8m)

姫路城の天守部分を真上から見ると、いびつな長方形の南東隅に大天守があり、他の3つの頂点には小天守があります。

この姫路城を周囲から見ると、必ず大天守といずれかの小天守がセットで見えて、その組み合わせが美しい姿をしています。

姫路市夢前町(ゆめさきちょう)の明神山も姫路城に似ていて、大きく目立つ山頂の周囲にいくつか小ピークがあり、姫路城の大天守・小天守と同様、周囲の山からは明神山の山頂と小ピークが必ずセットで見える特徴的な山容を持っています。

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▲山頂と小ピークがセットになっているため、どこから見ても分かりやすい明神山

そんな特徴的で美しい山容をもつ明神山は、どこから見ても「明神山だ」と分かる存在感があって展望も良く、私のお気に入りの山の一つですが、最近全く登っていないことに気づきました。

というわけで、本日は久しぶりに明神山に行ってきました。

ルートは、Cコースで上り、Aコースで下るというごく一般的なもの。

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▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「寺前」「前之庄」

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▲カシミール3Dで作成したルートの断面図

09:15
姫路市街の自宅を車で出発。

夢前川沿いの県道67号線を北上し、中国自動車道をくぐったすぐ先にある「前之庄西(まえのしょうにし)」交差点を左折します。ここからは県道23号線。

中国自動車道沿いの県道23号線を西へ進むこと約3km、「明神山 2.7km→」と書かれた標識のある三叉路に出会うので、そこを右折。

750mほど進んだ所で左に分岐する道(道標があります)に出会うので、その分岐を左へ入れば、後は道なりに進んでいくと「夢やかた」の駐車場にたどり着けます。

途中で道が細くなって不安になるかも知れませんが、大丈夫。

https://goo.gl/maps/pZnVVhSP2ZJPg68M6

▲夢やかたの駐車場の位置

09:53
夢やかたの駐車場に到着(地図中「P」)。

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▲夢やかたの駐車場

10:06
準備が整ったので出発。

駐車場に入る直前に渡った橋を越えたら、「遊歩道入口」の看板に従って左へ曲がります。
そのまま小さな川(岩谷川:いわやがわ)沿いの舗装道路を北へ進んで下さい。

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▲橋を渡ったらすぐに左に曲がる

間もなく舗装道路は山荘のような建物に突き当たって右へ曲がり、次に左に曲がりますが、この左カーブの位置にCコースの登山口があります。
舗装道路を離れ、Cコース登山口のプレートが奥に見える未舗装の道に入ります。

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▲山荘のような建物に突き当たって右に曲がると、Cコース登山口はすぐ先

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▲Cコースの登山口

10:11
Cコースの登山口に到着(地図中「Cコース登山口」)。
「火の用心」と書かれた小型の赤いプレート*1が立つ場所から、小さな尾根に取り付きます。

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▲赤い「火の用心」プレートの位置から尾根に登る

後は山頂まで、ほとんど一本道のようなものです。

10:16
Cコース登山口の少し北に「観音滝」という普段は水が流れていない滝があるのですが、そこからCコースへつながる遊歩道が左から合流する丁字路に出会いました(地図中「観音滝分岐」)。

方角だけを考えると北(観音滝方面)に進みたくなりますが、ここは「長谷池(明神山登山道 分岐)0.60km」と道標に書かれている方向へ進んでください。

10:18
観音滝からの道が合流する地点から2分ほど登ると、明神山山頂から南東に延びる尾根(Cコース)に乗りました(地図中「長谷池分岐」)。
ここも丁字路になっていて、左は明神山の山頂、右は東麓の長谷池へ下山するルートです。

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▲長谷池分岐の様子

長谷池分岐から北へ進むと、岩の壁の脇を通過するところに出会います(地図中「屏風岩」)。
現地のプレートによると、この岩壁は「屏風岩」。

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▲屏風岩

10:27
巨大な岩の中に縦に通っている溝を通り抜ける場所に出会いました(地図中「観音岩」)。

溝の幅はそれほど広くないので、一眼レフカメラを入れた鞄を肩に斜めがけしている私は、その鞄を岩に擦りながら登る羽目になりました。

トレーニング目的などで大きな荷物を背負って歩く場合は、要注意です。

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▲観音岩

今回登りに使ったCコースも下りに使ったAコースも、大半が自然林に挟まれて展望のない道ですが、こういうアクセント的な岩場が所々にあるので楽しめます。

10:40
くじら岩を通過(地図中「くじら岩」)。
距離は極めて短いですが、鯨の背中のような岩の上を歩けます。

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▲くじら岩(中央奥に山頂が見えている)

10:45
「五合目」のプレートがぶら下がっている地点を通過(地図中「Cコース五合目」)。

五合目地点から数分登ったところにある岩の斜面には驚かされました。
安全のためか、岩に穴を開けて金属製の杭を立て、そこにロープが張られているのです。

なんだかやり過ぎのような気もしますが、安全のためと言われれば仕方がないのかな。

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▲金属の杭が立てられた岩場

10:52
また金属杭が打ち込まれた岩の斜面に出会い、それを登り切った所には「合掌岩」と書かれたプレートが架かっていました(地図中「合掌岩」)。

10:55
「六合目」のプレートがかかった場所に出会いました(地図中「Cコース六合目」)。
展望が良く、丸太のイスがあって休憩できるようになっていましたが、そのまま素通り。

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▲Cコース六合目の様子

Cコース六合目以降は、トラロープがたくさん張られた急斜面が続きます。
「こんなところにロープがいるか?」と思うような所もありますが、「助かるわー」と思える場所が大半。

かなりロープの扱いに長けた方が設置されたようで、複雑な張り方になっているところもあります。

急斜面を登るのに疲れたら、ロープの張り方を観察しながら小休止するのも面白いでしょう。

11:05
「がまん坂」と書かれたプレートに出会いました(地図中「がまん坂」)。
名前の通り、キツイ上り斜面が続きます。

11:09
「きつい、しんどい、かんべんしてくれ」と独り言を言いながら急斜面を登り切ったところは、地蔵岳(七合目)でした(地図中「地蔵岳(七合目)」。

小ピークの頂上なので少し広くなっていて、丸太のベンチで休憩ができます。

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▲地蔵岳(七合目)の様子

地蔵岳の北では、短い距離の間に2つの鞍部を通過します。

1つめは山城跡の堀切*2のような細くて深い鞍部。2つめの鞍部からの登り返しは、尾根に立ちはだかる巨岩の右を巻く道。

その後、植林の谷間を左に見ながら登って行くと、岩が散らばっている斜面になります。

11:26
「八合目」のプレートのかかる場所を通過(地図中「Cコース八合目」)。
何の変哲も無い道ばたにプレートがあるだけで、休憩できる場所ではありません。

八合目から数分上った所では、「八丁坂」のプレートに出会いました。
プレートから先は「胸突き八丁」にちなんで名付けられた斜面で、トラロープに頼らないと安全に通過できないような急坂が続きます。

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▲八丁坂の途中の難所(中央の平らな岩の上へ登る)

11:31
八丁坂がいつ終わったのか分かりませんが、今度は「明神のクサリ場」に出会いました(地図中「明神のクサリ場」)。

怪獣の背びれのような岩の間を登ったり、岩ばしごのようなところを登ったり、岩場が好きな人にとってはスリリングで楽しいところです。

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▲明神のクサリ場の看板

11:36
「九合目」のプレートに出会いましたが、どう考えても位置がおかしい。もう山頂は目の前です。

11:39
山頂に到着。
もっとも高い場所には三等三角点標石(点名:明神山)と小さな祠、そして目立つ看板が立っています。

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▲山頂の最高所の様子(三角点標石は祠の裏にある)

その一段下の削平地には何方かが設置してくださったイスがあり、南方面の景色を楽しみながら食事ができるようになっています。

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▲ドローンで南から撮影した山頂の様子(中央が最高所。その左に削平地が写っている。2021年9月撮影・追記。)

さらにその西に下った場所は、木々が生えて岩がゴロゴロした空間で、南側だけ展望が開けています。

木陰になっていてイス代わりの岩があるので、私が山頂に到着した時点では、ハイカーのグループがそこで休憩中でした。

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▲山頂西側の様子

昼食にはまだちょっと早いかなと思い、まずは全天球パノラマを撮影しました。

今日は空気が澄んでいて好展望が期待できたので、高画質で撮影するために(全天球カメラ「THETA Z1」を使わず)一眼レフカメラで撮影。

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/myojinsan20191102/virtualtour.html

▲明神山の山頂で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2019年11月2日 撮影機材:Nikon D7100、AF DX Fisheye Nikkor ED 10.5mm F2.8G)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/myojinsan20210929/index.html

▲明神山山頂の真上で、ドローンを使って空撮した全天球パノラマ(撮影日:2021年9月29日)
※左上のリストで、「山名あり」を選ぶと、主要な山に名前が表示されます。

パノラマ撮影完了後、三角点のある最高所の一段下にある削平地で、南側の展望を楽しみながら昼食をいただきました。

本日のメニューは、ニチレイの冷凍炒飯と味の素の冷凍シュウマイ(ザ★シュウマイ)。
炒飯はフライパンで炒め、シュウマイはメスティンに金網を敷いて蒸しました。
どちらもメチャメチャ美味。

特に、味の素冷凍食品の「ザ★シュウマイ」は最高。個人的には、この世で一番美味しいシュウマイだと思っています。

スズメバチから見てもこのシュウマイは魅力的だったようで、私が食事をしていると、携帯防虫器にセットしたパワー森林香(業務用の強力な蚊取り線香)の煙が立ちこめているのにスズメバチが近づいてきて、シュウマイにたかろうとし始めました。

しかし、風上側に置いたパワー森林香の威力は強力で、シュウマイを置いた小型テーブルの周囲は「バリアでも張っているのか?」と思うような状態。スズメバチはシュウマイに近づいては引き返し、近づいては引き返しを何度か繰り返した結果、諦めて飛び去りました。

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▲本日の昼食(冷凍炒飯と冷凍シュウマイ)

食後は周囲の展望を楽しみ、単独の男性ハイカーと少し雑談をして過ごしました。

13:00
展望と食事をたっぷりと楽しんでリフレッシュできたので、下山開始。

下りは、山頂から南西に延びる尾根(Aコース)を選びました。
東へ下るDコースやEコースは歩く人が少なく道が不明瞭な上に駐車場から離れた場所に下山してしまいますし、Bコース(標高450m付近でAコースから別れる)は谷間で展望がなく、途中の滑滝周辺は滑りやすくて危ないので、Aコースが最適と判断しました。

山頂の西から南へ急斜面を下ります。
Cコースは険しかったですが、Aコースも険しい。

トラロープに手をかけ、慎重に下りました。

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▲下ってきたAコースの急坂を振り返る

13:06
九合目のプレートがかかった地点を通過(地図中「Aコース九合目」)。

13:13
「神種・夢やかた」*3と「莇野・馬谷」*4方面への分岐に出会いました(地図中「莇野分岐」)。

ここは当然「神種・夢やかた」方面への道に入ります。

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▲莇野分岐の様子

13:24
Bコースが左下へ別れる場所を通過(地図中「Bコース分岐」)。
ここはAコースの七合目でもあります。

Bコース分岐を過ぎてからは、今まで急な下りだった道がなだらかに変わります。

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▲Bコースが左へ分かれる分岐の様子

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▲Aコースのなだらかな区間の様子

13:33
442m標高点のすぐ南で、「夢展望岩」と書かれたプレートのかかる場所に出会いました(地図中「夢展望岩」)。

前之庄方面の展望が開けています。

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▲夢展望岩から楽しめる景色

13:43
「大熊の頭」と書かれたプレートが設置された小ピークを通過(地図中「大熊の頭」)。

「大熊の頭」の少し手前には「←明神山へ 1.15km・夢やかたへ 1.58km→」とやけに細かい距離が書かれた道標が立ち、そこには「Aコース六合目」のプレートもかかっていました。

13:48
「西の丸」と名付けられた小ピークを通過(地図中「西の丸」)。
ここで道は東へ向きを変えます。

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▲西の丸の様子

西の丸から東へ下って間もなく、五合目のプレートと出会いました(地図中「Aコース五合目」)。
ここはAコースとAuコースの分岐になっています。

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▲Aコース五合目の様子。Aコースは奥に見えるプレートの位置から左へ下る。

地形図ではこの付近の等高線間隔が狭くなっていますが、実際、登山道はかなり険しいです。

13:56
険しい道が終わり、ふと振り返ると「達磨岩」と書かれたプレートのある露岩がありました(地図中「達磨岩」)。
この岩を巻くために無理矢理付けられた道なのかな。

13:59
登りのCコースで見た「くじら岩」を巨大化したような岩場「マンモスの背」に出会いました(地図中「マンモスの背」)。

トラロープがあるので、岩の真ん中を下ってみましたが、やっぱり岩場は楽しい。

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▲マンモスの背を振り返る

14:07
またトラロープで下る露岩に出会いました(地図中「大黒岩」)。
プレートには「大黒岩」と書かれています。

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▲大黒岩

14:13
環境に溶け込むためか、緑色に塗られた播磨線78番鉄塔下を通過(地図中「播磨線78鉄塔」)。

鉄塔の直前から「ブーン」という虫の羽音のような音が聞こえていたのですが、犯人は虫ではなく、鉄塔の碍子付近から出ている音でした。

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▲播磨線78番鉄塔

一般的に、山中の送電線鉄塔を点検する作業員用として、麓から送電線鉄塔までの間に巡視路と呼ばれる道が作られています。

その巡視路に急な斜面があればプラ階段が設置されたり、沢には簡易的な橋がかけられたり、作業員が安全に山の中を歩けるようになっています。

この播磨線78番鉄塔の巡視路には急な砂の斜面があるのですが、安全に歩けるように、平らな石が階段状に埋められていました。

巡視路の整備として行われたのか、登山者向けか分かりませんが、こういった工夫は珍しいかも。

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▲砂の斜面に岩を埋め込んだ階段

尾根の先端付近では、登山道は尾根の先端に直接向かわず、いったん西へ振って谷に降りてから東へ向かうように付けられています。

14:21
Aコース登山口に降りてきました(地図中「Aコース登山口」)。
Cコース登山口に向かう途中に見た、山荘のような建物のすぐ横です。

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▲Aコース登山口の様子

山荘の前を通過し、そのまま南へ進めば駐車場に戻れます。

14:26
駐車場に戻ってきました。

15:15
自宅に到着。

山頂からの展望はいいし、尾根上のルートは時々出てくる露岩がいいアクセントになっているし、広い駐車場はあるし、思っていたほど人がいなくて静か(偶々かな)。

やはり明神山は良い!

*1:送電線鉄塔の点検に携わる人に、登山口を示すための標識。正式名称は分かりませんが、山歩きをする人の間では「巡視路標識」と呼ばれることが多いです。

*2:ほりきり。尾根伝いに城へ攻め込んでくる敵の進撃を食い止めるため、尾根を断ち切るようV字状に掘られた溝。峠の切り通しのようなイメージです。

*3:神種の読み方は「このくさ」。

*4:読み方はそれぞれ「あぞの」「もうだに」。