播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

インドネシア海軍練習帆船「Bima Suci」艦艇一般公開

本日は、神戸市にある阪神基地隊に出かけてきました。
目的は、インドネシア海軍練習帆船「Bima Suci(ビマ・スチ)」艦艇一般公開です。

Bima Suciは叙事詩「Mahabharata(マハーバーラタ)」に登場する人物で、その名にちなんで名付けられたこの船は、2016年に進水、2017年に就役しました。

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▲阪神基地隊に停泊するインドネシア海軍練習帆船 KRI*1 Bima Suci。

イベント名称: インドネシア海軍練習帆船「Bima Suci」艦艇一般公開
日時: 2019年8月23日(金)13:00~16:00
    2019年8月24日(土)10:00~15:00
    2019年8月25日(日)10:00~16:00
場所: 海上自衛隊阪神基地隊(神戸市東灘区魚崎浜町37番地)
備考: 駐車場はありません。公共交通機関を使用して下さい。基地へ入るにあたり、手荷物検査があります。

https://goo.gl/maps/MBxJ6Hv5aYTFDYUA9
▲海上自衛隊 阪神基地隊の位置

私の最寄り駅である姫路駅から目的地の御影駅へは、私鉄を使えば乗り換え無しで行けるのですが、私はJRの通勤定期を持っています。

通勤定期が使える区間は運賃がかからないため、それを利用しないと交通費がもったいない。というわけで、JRと私鉄を乗り継いで姫路から阪神電車の御影駅へ向かいました。

10:46
阪神電車の御影駅に到着。

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▲阪神電車 御影駅

御影駅から阪神基地隊までは、私はいつもレンタサイクルを利用しています。

駅を出たら高架沿いに東へ進み、HELLO CYCLING(シェアサイクルサービス)の阪神御影駐輪場へ。

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▲HELLO CYCLING阪神御影駐輪場

自転車のカギは電子錠になっており、自転車を予約するとメールで届く暗証番号を入力することで解錠できます。

ここで借りられる自転車は電動アシスト付きなので、魚崎駅西の川を渡る橋や、東魚崎大橋を渡るときの坂道がまったく苦になりません。

私が自転車で御影駅から阪神基地隊へ向かうときに使っているルートは、以下の通りです。

  1. 御影駅から阪神電車の高架沿い(高架の南側)を東に進む。
  2. 阪神電車の住吉駅を過ぎたら、高架の北側に移って東へ進む。
  3. 魚崎駅を過ぎておよそ800mにあるスーパーマーケット「マンダイ」のある交差点を右折する(踏切を渡る)。
  4. 道なりに南下し、東魚崎大橋を渡ってさらに南へ進む。
  5. 「兵庫県自動車整備会館」に突き当たったら左折する。
  6. 東へおよそ400m進んだところで、阪神基地隊への案内に従って右折し、南へ進む。
  7. 400mほど南下すると、阪神基地隊に到達する。

阪神電車の御影駅から阪神基地隊までの距離は、ここに書いたルートで移動した場合、およそ4kmです。

一般的には、神戸市バスの路線バスを利用される方が多いようです。
その場合の行き方は2種類あります。

  • JR摂津本山駅の北にある「JR本山駅前」バス停から34系統のバスに乗り、「魚崎車庫前」バス停で下車(「魚崎浜町東」バス停まで行くバスの場合は「魚崎浜町東」バス停で下車)。その後、徒歩で阪神基地隊へ行く。
  • JR住吉駅の南にある「JR住吉駅前」バス停から35系統のバスに乗り、「魚崎車庫前」バス停で下車(「魚崎浜町東」バス停まで行くバスの場合は「魚崎浜町東」バス停で下車)。その後、徒歩で阪神基地隊へ行く。

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▲海上自衛隊 阪神基地隊へのアクセスに便利なバス停の位置

※神戸市バスの時刻検索は、「KOBE乗継検索」が便利です。
https://kobe.jcld.jp/KobeCityTransport/RouteFinder/

※「魚崎車庫前」バス停から阪神基地隊までの距離は、およそ850m。「魚崎浜町東」バス停から阪神基地隊までの距離はおよそ100mと近くて便利ですが、「魚崎浜町東」バス停まで行くバスは本数が少ないので、ご注意ください。

他に、阪神電車の青木駅から2kmの道のりを徒歩で行くという方法もあります。

11:05頃
阪神基地隊に到着。

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▲阪神基地隊

門を入ったところに自転車を止めさせて頂き、金属探知機による身体検査と手荷物検査を受けます。

今まで何回も自衛隊関連のイベントに出かけましたが、今日は初めて金属探知機に引っかかりました。
探知機が反応したのは、私のスマホ。

ポケットからスマホを出して再度検査を受けた後、続いては鞄の中を見せる手荷物検査を受けましたが、荷物を少なくしていたのですんなりと通過。

Webサイトでは身分証明書が必要とされていましたが、提示は求められませんでした。

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▲手荷物検査場(手前のテントの中で男性が鞄の中のチェックを受けている)

手荷物検査のテントを抜けた先で右に曲がると、船尾でものすごい大きさのインドネシア国旗をはためかせた、巨大な帆船が視界に飛び込んできました(冒頭の画像参照)。

インドネシア海軍の練習帆船「Bima Suci(ビマ・スチ)」です。

Bima Suciは、阪神基地隊の南側の岸壁に、船首を西に向けて停泊していました。

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▲船尾側から見たKRI Bima Suci

諸元(出典:甲板上に掲示されていた看板。ただし、『』内は当ブログ管理人による追記。)

NO. CHARACTER KRI BIMA SUCI
1 Name『船名』 BIMA SUCI
2 Title『艦船接頭辞』 KRI (Indonesian Warship)
3 Type of Tall Ship『船種』 3 mast Barque
4 Class『等級』 Training Ship
5 LOA『全長*2
Beam『全幅』
Height (DWL)『海面上高さ*3
Draft『喫水』
111.20 meter
13.65 meter
51.87 meter
5.9 meter
6 Displacement『排水量』 2,500 ton
7 Number and wide of Sail『帆の数と面積』 26 sail / 3352 m2
8 Propulsion『機関』 1 main engine MAN + 2 thruster (bow-stem)
9 Diesel Generator『ディーゼル発電機』 2 Main DG + 1 emergency
10 Max Speed engine / wind power『最高速度 エンジン/帆走』 12 knot / 15 knot
11 Endurance『航続時間』 30 days
12 Capacity『定員』 203 persons
(120 cadets + 83 crew/trainer/VIP)
13 Facility『設備』 Commandant & Reception Saloon Class Room

Bima Suciの任務(下にある「THE MISSION」の内容)

  1. インドネシア海軍士官学校の士官候補生のための練習船。
  2. インドネシアの文化、魅力を知ってもらうための使節団。
  3. 国際関係の構築。

THE MISSION
1. Training ship for Indonesian cadet from Naval Academy.
2. Indonesian ambassador for culture and tourism and acquaint Indonesia.
3. Establish international relationship.
(出典:甲板上に掲示されていた看板)

Bima Suciは、インドネシアの海軍士官学校(Indonesian Naval Academy)の練習帆船ですから、これに乗っているのは主に若い士官候補生たち。

士官候補生なので、卒業後は指揮官として現場で働くわけです。体力があるだけでは務まらないため、以下のような厳しい条件を満たした若者しか海軍士官学校には入学できません。

体格の制限があるため、船上で見かけた乗員は男女ともスラッとしていて格好良いし、高い学力も求められているため、表情からは知的な雰囲気も漂っていました。

インドネシア海軍士官学校の入学資格

  1. 信仰心のあるインドネシアの市民であること。
  2. 17歳9ヶ月~22歳であること。
  3. 高校で科学を専攻して卒業していること。
  4. 高校卒業時の最終試験の平均点が6.5以上であること。
  5. 男性は身長167cm以上、女性は身長160cm以上であること。
  6. 海軍で10年は任務に就く意欲があること。
  7. 両親の同意書を提出すること。
  8. 士官学校の入学試験(学力テスト、健康診断、体力テスト、心理テスト)に合格すること。

(参考:Bima Suci船内で配付されていたIndonesian Naval Academyのパンフレット。英語で書かれたパンフレットの内容を、当ブログ管理人がおおざっぱに訳した文章です。)

さて、帆船の船首像といえば女性のイメージがありますが、Bima Suciの船首像はなかなか迫力がある姿。これが伝説に出てくるBima Suciなのかな。

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▲Bima Suciの船首像

右舷中央に舷梯が設置されており、乗船も下船もそこを通るようになっていました。

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▲Bima Suciの舷梯

見学出来るのは甲板上だけですが、帆船に乗れる機会自体が貴重なので、楽しいですよ。

見上げると数え切れないほどのロープが張りめぐらされており、満船飾*4のため多数の信号旗もはためいています。

この迫力は、ぜひ以下の全天球パノラマで味わって下さい。

パノラマ画面内左上のリストで、4ヶ所のパノラマを切り換えられます。

▲インドネシア海軍練習帆船「Bima Suci」で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2019年8月24日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/BimaSuci20190824/virtualtour.html

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▲船橋*5の外観

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▲船橋前の舵輪

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▲中央のマストに付けられている銘板

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▲役職名が書かれ、その役職の乗員が船内にいるかいないかを示す木製のボード。「MASUK」は船内にいるという意味。

Bima Suciには大量の木材が使用されていますが、この船の建造に関わったスペインのOliver Design社のWebサイトによると、使用されている木材はインドネシアの熱帯雨林のものだそうです。

The interiors are of particularly high quality, and the most representative areas of the vessel feature fine wood from the tropical rainforests of Indonesia in floors, carvings and furniture.
(出典:Oliver Design社のWebサイト)

甲板上は見尽くしたので、船内も見てみたいなと思ってキョロキョロすると、いくつか船内に入れそうな扉があって、中には開きっぱなしの扉もありました。
しかし、入って良いのかどうかは分かりません。

というわけで、見たことのないデザインのパッケージから取り出した煙草を今まさに吸おうとしていたインドネシア海軍の年配の将校に尋ねたところ、「乗員専用だからダメ」とのこと。

船内は見られませんでしたが、見学者が少ない快適な環境で、じっくりと帆船の美しさを楽しめました。

適度な風が吹き、巨大なインドネシア国旗を含めて旗がきれいに広がっていたので、Bima Suciの姿をより美しく感じられたのも良かった。

11:45
船を下り、自転車で御影駅へ。

12:05
シェアサイクルの阪神御影駐輪場に自転車を返却。料金は1時間14分で¥300。

阪神電車とJRを乗り継いで姫路に戻りました。

*1:「インドネシア共和国の船」を意味する「Kapal Republik Indonesia」の頭文字をとったもの。

*2:Length Overall

*3:DWLはDesign Waterline

*4:信号旗を連ねて掲揚し、船を飾ること。万国旗ではありません。

*5:せんきょう。船の操縦を行う場所のこと。