はじめに(このカテゴリー内の全記事共通)
私が住む姫路市には、世界に誇る文化遺産、姫路城が聳えています。
その姫路城の美しい姿を眺めるのにふさわしい場所で、「誰でも自由に行ける」「お城を取り巻く方向にある」という条件を満たす場所を1994年に姫路市が公募し、1995年1月号の「広報ひめじ」で「世界遺産姫路城十景」が発表されました。
ブログに載せるネタが少ない時期の「埋め草(うめくさ:とりあえず余白を埋めるためのネタ)」として、この世界遺産姫路城十景を全10回のシリーズ(不定期)で紹介していくことにします。
前述の「広報ひめじ」では、世界遺産姫路城十景(以下「姫路城十景」)には番号が振られていないのですが、それぞれの場所に立つ看板では、姫路城十景が番号とともに記載されているので、その番号順に紹介することにしましょう。
姫路城十景
(1)大手前通り(JR姫路駅前)
(2)三の丸広場
(3)城見台公園
(4)美術館(前庭)
(5)シロトピア記念公園(ふるさとの森)
(6)男山配水池公園(山頂)
(7)景福寺公園
(8)名古山霊苑高台
(9)手柄山(緑の相談所広場)
(10)増位山(白国増位山線のポケットパーク)
(出典:姫路城十景の各地点に設置されている看板)
姫路城十景「名古山霊苑高台」の概要
名古山は山全体が巨大な墓地公園になっていて、南麓には斎場が、その東には葬祭センターもあります。
そんな名古山の上にあるのが、姫路城十景の一つである「名古山霊苑高台」(現地の案内標識では「展望台広場」)。
名古山
ここからは、眼前に広がる市街地越しに西方からの姫路城の美しさを見ることができます。
(出典:展望台広場にある姫路城十景のプレート)
▲名古山の展望台広場にある姫路城十景のプレート(撮影日:2018/03/17)
姫路城十景「名古山霊苑高台」の位置
姫路城の西、1kmほど離れたところにある小高い山が名古山で、広い山頂部の西側には仏舎利塔が、東側には現地の標識の名称で「展望台広場」、姫路城十景の名称では「名古山霊苑高台」とされる場所があります。
仏舎利塔と展望台広場の間には花壇(以前は地球儀型の噴水があった)があり、その周囲はロータリーになっていて、車が通る部分以外は駐車場になっています。
▲仏舎利塔と名古山霊苑高台の間にある花壇(地球儀噴水池跡地)(撮影日:2018/03/17)
花壇の東側で下の画像の標識を探し、標識が示す先にある階段を登って下さい。
▲姫路城十景を示す案内標識(撮影日:2018/03/17)
以下のURLをクリックすると、Googleマップで上の画像の標識の位置が表示されます。
階段を登り切った先にあるのは、下の画像のような展望の良い広場。
この広場の東端に姫路城十景のプレートが設置されています。
以下のURLをクリックすると、Googleマップで名古山霊苑高台にある姫路城十景のプレートの位置が表示されます。
▲「名古山霊苑高台」の様子(撮影日:2018/03/17)
一見すると2つの石の間に姫路城が見えるのかなと思いますが、そうではなく、2つ並んだ石の右側にお城が見えます。
以下の全天球パノラマから、展望台広場の全景をご覧いただけます。
名古山霊苑高台で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2018/03/17)
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/nagoyama_castle_view/virtualtour.html
姫路城十景「名古山霊苑高台」周辺の見所
「名古山霊苑高台」への登り口の南には「須弥山(すみせん)」と書かれた標柱があり、その標柱から階段を登った先に塔が立っています。
塔の下部はぽっかり開いており、中にはお釈迦様の像が祀られていますが、かなり不気味な雰囲気です。
怖いもの好きな方以外は、近づかない方が良いかも。
この塔は、昔は下の斎場からの煙を出すための煙突でした。
つまり、山の下にある火葬炉の煙は山の中を通り、山の上にあるこの塔からもくもくと出ていたのです。
風の無い日は、かつてこの塔の上に巨大な黒煙の塊ができていましたが、今では考えられない光景ですね。
私は名古山のすぐ南の山の上にある中学校に通っていましたが、北風が吹くとその煙が学校にも届き、強烈な悪臭が校内に立ちこめることがしばしばありました。
現在この塔は煙突としては使われておらず、火葬炉からの煙は再燃焼されて透明になり、斎場の屋根にある排気筒から排出されています。
▲須弥山(木の向こうに塔が見えている)(撮影日:2018/03/17)
名古山の上には、昭和29年にインドの故ネール首相から贈られた仏舎利を納めるために建てられた仏舎利塔(ぶっしゃりとう。昭和35年竣工。)があり、その周辺は日本とは思えない雰囲気が漂っています。
以下のURLをクリックすると、Googleマップで仏舎利塔の位置が表示されます。
名古山霊苑「仏舎利塔」
名古山霊苑は、世界遺産国宝姫路城の西1kmに位置する日本で最初の墓地公園です(公園面積は29.4ha)。
春には桜、ツツジ、フジ、バラの花々が咲き誇り、夏には木々の緑、秋にはイチョウの黄色など、四季折々の色が楽しめる姫路の名所です。
この塔の設計は、当時の建築学の権威であられた故大岡実博士の設計によるものです。
鉄筋コンクリート造の白亜の連立式ドームで、高さは36.7m、仏舎利塔を中心に四方に納骨堂、北に石仏堂、南には噴水池が配置されています。この見事な配置は全国数ある中でも日本一の仏舎利塔です。
仏舎利塔周辺からの眺望は素晴らしく、市街地を見渡すことができます。
(出典:仏舎利塔内を見学する際にもらえるパンフレット「姫路市名古山霊苑 仏舎利塔」原文まま)
仏舎利塔・縦覧案内
期間・時間 1月1日~12月28日 8:40~16:30
料金 大人(13歳以上)200円、小人(5歳以上13歳未満)100円
▲仏舎利塔外観(撮影日:2018/03/17)
▲仏舎利塔内部(撮影日:2018/03/17)
2011年に仏舎利塔前と仏舎利塔の内部で全天球パノラマを撮影したことがありますので、その時のパノラマを掲載します。
仏舎利塔で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2011年6月14日)
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/bussharitou20110614/virtualtour.html
パノラマ画面左上のリストで、仏舎利塔の外観と内部のパノラマを切り換えてご覧ください。
仏舎利塔は、昭和35年に竣工し、内陣の荘厳は、昭和38年に完成しました。天井までの高さは27mで、中央には直径3.5mの蓮の花弁型の「天蓋(てんがい)」がかかり、左右には全長10mの2羽の「鳳凰」が舞っています。
昭和29年4月、インドの故ネール首相から当時の石見元秀姫路市長に、人類永遠の平和と幸福の祈願をこめて 仏舎利が贈られました。
(出典:仏舎利塔内を見学する際にもらえるパンフレット「姫路市名古山霊苑 仏舎利塔」)
仏舎利塔内部の中央には、真上から見ると六角形をした金色の厨子があり、その中心に仏舎利が納められています。
仏舎利を取り囲む像は、十二神将。
▲十二神将の像に守られた仏舎利の容器(撮影日:2018/03/17)
仏舎利塔の内部には様々な像や絵が飾られています。
最下段の周囲にあるのは、各宗派の開祖の座像。
その上には仏伝壁画。
さらにその上には、釈迦如来像を中心に十大弟子の立像が仏舎利を見下ろすように祀られています。
仏舎利塔の東側には、陸軍墓地があります。
しかし、墓石はピラミッド状に積まれていて、墓地という雰囲気はありません。
▲陸軍墓地(撮影日:2018/03/17)
陸軍墓地の南端には、殉職した消防士を祀る「消防之碑」もあります。
祀られているのは、昭和17年から平成24年の間に殉職された19名の消防士の方々。
平成24年の殉職者は、全国ニュースになったのでご存じの方も多いかも知れませんが、「日本触媒姫路製造所」の消火活動中に亡くなった方です。
▲消防之碑(撮影日:2018/03/17)
山歩きをされている方なら、「名古山の三角点はどこだ?」と気になるかも知れません。
名古山には四等三角点(点名:市墓地)があるのですが、場所は非常に分かりづらいです。
陸軍墓地の北側に細長い空き地があり、その空き地の北端に祭祀台があります。
祭祀台の右側に三角点標石がある…はずなのに、見つかりませんでした。見つかったのは、白いプラ杭だけ。
▲名古山の四等三角点(点名:市墓地)があるはずの場所(白い杭は三角点を示すもの)(撮影日:2018/03/17)
仏舎利塔の南側には管理事務所があり、その事務所の南にある駐車場の東端に、斎場の西へ下る階段があります。
階段を下ったすぐ右にあるのは、「名誉えい地」なる場所。
▲仏舎利塔の南から斎場へ下る階段を下から見る(撮影日:2018/03/17)
ここには、全国的に有名な落語家のお墓があるので、落語好きの方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
その落語家とは、三代目 桂米朝氏。
兵庫県姫路市出身で、姫路市の名誉市民であるため、この場所にお墓が作られたのです。
墓石は変わった形をしていますが、これは真上から見た時「米」の字になるように作られているから。
▲桂米朝氏のお墓(撮影日:2018/03/17)
以下のURLをクリックすると、桂米朝氏のお墓の位置が表示されます。
参考情報(2018年3月現在)
姫路城十景「名古山霊苑高台」や仏舎利塔は姫路駅から遠く離れているため、観光客の方がここを目指す場合は、タクシーか公共交通機関を利用することになると思います。
利用できる公共交通機関は神姫(しんき)バス。
JR姫路駅北口にある神姫バスの2番のりばから「今宿(いまじゅく)循環」のバスに乗って下さい(バスは15分おきに出ています)。
下車するのは「車崎」バス停。運賃は¥210。
バスは後部のドアから乗車し(神姫バスで利用可能なICカードがあればカードリーダーにタッチ)、降車は前のドアから。運賃は降車時に支払う方式です。
神姫バスで利用できるICカードは、以下の通りです。
・PiTaPa(スルッとKANSAI)
・ICOCA(西日本旅客鉄道)
・Kitaca(北海道旅客鉄道)
・PASMO(パスモ)
・Suica(東日本旅客鉄道)
・manaca(名古屋交通開発機構及びエムアイシー)
・TOICA(東海旅客鉄道)
・はやかけん(福岡市交通局)
・nimoca(ニモカ)
・SUGOCA(九州旅客鉄道)
神姫バスは乗車距離に応じて運賃が変わる方式で、乗車したバス停を確認するための整理券発行機が後部ドア近くに設置されています。姫路駅始発のバスに姫路駅から乗る際は、整理券は出ません。整理券を持っていない人は、自動的に始発から乗ったとみなされます。
※姫路駅に帰る時もこのバス停からバスに乗りますが、その場合はどのバスに乗っても姫路駅に行けます(このバス停を通るバスは全て終点が姫路駅)。帰りにバスを利用する場合は、乗車したバス停を証明するために乗車時には必ず整理券を取るか、神姫バスで利用可能なICカードをカードリーダーにかざしてください。
車崎バス停で下車したら、少し西へ歩いて「車崎」交差点を右(北)に曲がります。
そのまま道なりに700mほど北へ歩くと、坂を上った先で花壇のあるロータリーに出ます。
ロータリー周辺は見通しが悪いため、道路を渡る際に注意が必要です。
車で行かれる場合は、仏舎利塔の南や花壇のあるロータリー周辺に車を止められます(無料)。
姫路城十景「名古山霊苑高台」の評価(5点満点。私、しみけんの個人的見解です)
交通アクセス: 2(公共交通機関での利便性)
お城の見え方: 2(お城の美しさや大きさ)
お勧め度: 2
コメント: 山全体が墓地という大規模霊園の中にあるため、雰囲気は独特です。南側に坂道もあるようですが、それを除くと展望台広場へ続く道は全て階段なので、車いす利用者や歩行が困難な方には不便。姫路城も小さく見えるだけなので、姫路城十景としては、あまりお勧めはできないかな。
ただ、桜の季節の名古山は綺麗です。