購入の経緯
マルチコプター型のドローンを購入し、当初は航空局からの許可や承認が不要な場所で遊んでいましたが、それでは物足りなくなり、航空局から許可・承認を受けようと思ってドローンスクールに通うことにしました。
(ドローンスクールに通わなくても許可・承認は受けられますが、操縦技能を正しく身につけておいた方が飛行禁止空域を飛ばす際には望ましいですし、許可・承認の審査もスムーズに進むことを期待したというわけです。)
ドローンスクールでの実技教習で補習を受けずに修了したいし、許可・承認を受けた後は、事故を起こさないために日頃から操縦練習をしておくべきと考え、パソコンでリアルな操縦体験が味わえるラジコンのシミュレータを、スクールを修了する前に購入。
▲Real Flight 7.5の外装
製品名: Real Flight 7.5(リアルフライト 7.5)インターリンクエディション
販売者: 双葉電子工業株式会社(千葉県)
動作環境: OS:Windows Vista/7/8/8.1/10 CPU:Dual Core 2.4 GHz以上推奨 メモリ:2GB以上推奨 HDD空き容量:6.0GB以上 DVDドライブ必須 プロポ接続用にUSBポート必須 ライセンス認証やアップデートのためにインターネット環境が必要 グラフィック機能が重要なので、ノートPCやチップセット内蔵グラフィックを利用するPCは非推奨
定価: ¥29,000(税抜)
概要
元はアメリカのKnife Edge Softwareという会社が作ったラジコン飛行機やラジコンヘリのシミュレーターで、双葉電子工業が日本語マニュアルをセットにしたパッケージを日本国内で販売しています。
▲パッケージ内容(ソフトウェア、日本語マニュアル、USB接続のプロポ)オマケの機体データも付属していますが、画像には含まれていません。
インターリンクエディションにはUSB接続のプロポが付属しており、操縦感覚は本物のラジコンに限りなく近くなっています。
▲付属するUSB接続のプロポ
ラジコン飛行機やヘリの機体データだけでなく、マルチコプター型ドローンのデータもあり、名前こそ実在する機体と異なっていますが、DJIのPhantomシリーズと同じような外観の機体データも収録されていて、ドローンの操縦練習にも活用できます。
Phantomもどきのドローンは、GPSを切った状態を再現できる(スティックを中立に戻しても止まらず、慣性で動き続けるようにできる)ので、良い練習になると思います。
▲Phantomシリーズを思わせる機体
機能
日本語マニュアルは付属していますが、画面は日本語化されておらず、英語表示のまま。
しかし、特別難しい単語が使われているわけでもないので、よほどの英語嫌いの人でなければ問題はないでしょう。
私の場合は日本語マニュアルを全く読まずに使っていますが、なんとか使えています。
さて、ドローンの操縦技術を磨く、あるいは維持するのであれば、ドローンの操縦をシミュレートする機能だけ使えば良いと思われるかも知れません。
しかし、ドローンスクールのインストラクターさんによると、ドローンの操縦技術を手っ取り早く磨くのに効果的なのは、ラジコンヘリの操縦練習だそうです。
ラジコンヘリはドローンより遥かに不安定で、かなり俊敏な動きをします。
そんなラジコンヘリを、機首がどの方向を向いていようが安定してホバリングさせられるようになれば、ドローンを操縦するときに頭の中がこんがらがって訳の分からないスティック操作をしてしまうということがなくなるというわけ。
ラジコンに詳しくない人からすれば、「そんなに難しいの?」と疑問に思われるかも知れません。
確かに、機首が自分から見て前を向いた状態(操縦者がラジコンヘリのお尻を見ている状態)であれば操縦は簡単です。
しかし、機首が手前を向いていれば上下以外の全ての操作が逆になりますし、機首が横を向けば、操縦者から見て前後の動きを、プロポの左右の操作で行うことになるわけです。
(トイドローンと呼ばれるジャンルの安価なドローンでは、「ヘッドレスモード」と呼ばれる操作モードがあり、機首の方向に関係無く、操縦者から見た前後左右を基準にした操縦が可能な場合があります。)
慣れるまでは、どちらのスティックをどの方向へ倒せば機体がどう動くのか、頭の中でいちいち変換しながら操作しないといけないのですが、ラジコンヘリは動きが素早いため、頭の中で無意識に変換できるようにならないと、すぐに訳の分からない方向へ飛んで行ってしまったり、墜落したりします。
▲ヘリのホバリング訓練は、メニューの「Training」→「Heli Hover Trainer」から実行する
▲「Heli Hover Trainer」の画面
ラジコンヘリで、機首の向きを問わずにある程度安定したホバリングが出来るようになれば、ドローンがどの方向を向いていようが思い通りに飛ばせるようになります。
実際にドローンを飛ばしていると、例えば山の谷間や崖の近くでGPSの受信状況が悪くなり、機体が位置を保てずにホバリング中にフラフラと動いたりしますが、Real Flight 7.5のHeli Hover Trainerで技術を磨いておけば、適切な操縦を素早く行うことができて、勝手に動いたドローンが木や崖に接触して墜落という事態は免れます。
ただ、ラジコンヘリ未経験者はHeli Hover Trainerの余りの難しさに愕然とすること間違いなし。
何度やっても数秒で墜落するか、遙か彼方へ飛んで行ってしまうことになり、プロポをパソコンの液晶ディスプレイに投げつけたくなること請け合い。
私もラジコンヘリは触ったことがなかったので、「こんなに難しいのか!」と衝撃を受けましたが、ゲーム好きなのが幸いし、自宅のパソコンの前で練習するのはあまり苦になりませんでした。
私の場合は、リアルなラジコンヘリのシミュレータとして練習をしつつ、ドローンの操縦練習も平行して進めました。
ドローンは雨が降ると飛ばせませんし、安全な場所まで練習に出かけるのは時間的に厳しいこともよくありますが、Real Flight 7.5の中でドローンを飛ばして練習すれば、それらの問題は解決。
▲サッカー場の中央に立ってPhantomもどきのドローンを操縦している状況をシミュレートした画面
▲「View」→「Camere Type」から「Live FPV Feed」を選ぶと、ドローンに搭載されたカメラの映像を見ながら操縦している気分を味わえる。
Real Flight 7.5で空撮の練習をする動画がYoutubeにあったので、紹介します。
実際のPhantomシリーズではできませんが、Real Flight 7.5なら、ドローンのカメラ映像に戦闘機のヘッドアップディスプレイのような情報を表示することも可能。
▲「Live FPV Feed」でヘッドアップディスプレイ表示を有効にした画面
そう簡単に操縦を体験できない大型ドローンの機体データも収録されており、大型ドローンを操縦している気分も味わえます。
▲8発の大型ドローンを操縦している画面
Youtubeを見ていると、こんな面白い使い方も見つかりました。
飛んでいるラジコン飛行機等をドローンで撮影するという使い方です。
ラジコン飛行機等は予めReal Flight 7.5内で飛行させてそれを記録しておいたもの。
実機でこれをやろうとしたら、ラジコン飛行機を操縦してくれる人も必要ですし、衝突したら大変。
でも、Real Flight 7.5なら何回ぶつかろうが墜落しようが平気ですし、一人でできます。
最後に
本来は、墜落させると高額な費用負担が発生するラジコン飛行機やラジコンヘリを、実際に飛ばさずに練習するためのシミュレーターですが、ドローンの機体データも収録されていることから、ドローンシミュレーターとしても使えるソフトです。
このソフトでラジコンヘリの操縦を体験すると、ドローンの操縦がいかに簡単かがよく分かります。
ドローンの操縦が簡単すぎて物足りず、ラジコンヘリや飛行機の方へ手を出すことになるかも。
私が購入したのはモード1対応で、右スティックにバネが入っておらず、手を離しても右スティックが中立に戻らない(※)ことから、ドローンに付属のプロポしか触ったことのない人にとっては操縦しづらいかも知れません。
※モード1では右スティックの前後の動きが出力調整(スロットル)で、右スティックを上げきった状態が出力100%、下げきった状態がアイドリング。ドローン付属のプロポのように勝手に中立位置に戻ると、ラジコン飛行機やヘリの場合は出力が50%になってしまいます(バネがあるとアイドリング状態を維持するためには常に右スティックを押さえておかなければならず、実用上問題がある)。そのため、右スティックにはバネが入っていないのです。
逆に、ラジコン飛行機やラジコンヘリを楽しんでいる人がドローンの操縦を体験してみる場合は、何の違和感もなく楽しめるはず。
空撮業者さん等、常日頃からドローンを飛ばしている方には不要だと思いますが、私のように実機の操縦頻度がそれほど高くない方には、練習用として便利なソフトだと思います。
購入を考えられている方は、モード1とモード2の2種類のパッケージがある(モード2は左スティックのバネがない)ので、間違えないようにしてください。
どうしてもバネのないスティックの違和感が気になる場合は、メーカー純正品ではありませんが「REAL FLIGHT USBコントローラー用フルスプリングパーツセット DRONE&RF 5~7.5対応」なるものが販売されている(2017年10月時点でAmazonにて¥1,500)ので、それを購入してプロポを改造してください。