播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

Spydercoのベストセラーナイフ:Para Military 2

購入の経緯

私の場合、山歩きではレザーマン社製のツールナイフを愛用しています。
 
あるとき、海外のアウトドアマニアが作った商品レビュー動画を見ていたら、紹介する商品とは別に、飾り(?)としてナイフが映っていましたのですが、あまりの格好良さに物欲が思い切り刺激されてしまいました。
 
「どこかで見たことがある形だな。Spyderco(スパイダルコ)だったかな。」と思い出しながら検索してみると、私の記憶が正しかったと判明。
同じものかどうかは分かりませんが、似たデザインのナイフを通販で購入しました。
 
それが、今回紹介するSpyderco社のPara Military 2(パラ・ミリタリー・2)です。
 
 
▲Spyderco Para Military 2の化粧箱
 
 
▲Spyderco Para Military 2(収納状態)
 
 
▲Spyderco Para Military 2(展開状態)
 
製品名: Spyderco Para Military 2 Camo G-10 Black Blade
メーカー: Spyderco, Inc.(アメリカ)
サイズ: 展開時全長 210mm、収納時全長 122mm、刃渡り 87mm、刃の厚み 3.5mm(カタログ値)
材質: 刃 CPM S30Vステンレス、ハンドル G-10
重量: 111g(カタログ値)
現地定価: $224.95 USD
国内定価: 不明
購入価格: ¥20,580
購入先: ナイフショップ グローイング!(神奈川県)

概要

Spyderco社はアメリカのコロラド州にあるナイフメーカーで、一見するだけで同社製品だと分かるような製品を販売しています。
 
同社の製品で多いのは、親指を使って素早く展開できる折りたたみナイフ。
ずんぐりむっくりした刃と、親指をかけるために刃に開けられた大きな穴が特徴です。
 
Para Military 2もそんな折りたたみナイフの一つで、2004年に発売されたPara Militaryの後継モデルとして2010年に発売されました。

外観・使い方

ブレード(刀身)は表面が真っ平ら。

通常、ナイフはブレードの真ん中辺りから刃に向かって斜めに削られているものですが、Para Military 2はフラットグラインドと呼ばれる仕上げになっていて、刃の背から刃先までが平面になっています。つまり、刃の断面は薄いV字型。
 
刀剣関連の専門用語でいうところの平造(ひらづくり)に相当するのかな。
 
ハンドル(柄)は、グラスファイバーをエポキシ素材で固めたG-10と呼ばれる素材で、私のPara Military 2のハンドルは、アメリカ軍のUCP(Universal Camouflage Pattern)と呼ばれる迷彩模様。
ざらざらした質感で、滑りづらくてナイフが扱いやすい。
 
2枚のフレームの間に刃が取り付けられており、フレームの間はスカスカ。
 
 
▲Para Military 2のグリップを横から見たところ
 
ハンドルにはランヤード(提げヒモ)を通すための穴が開いていますが、これの内径が妙に大きい。
エアガン用のBB弾が通り抜けるので、最低でも内径が6mmあります。
 
これだけ太いと、ミリタリー好きの人なら大抵は持っているパラシュートコードをストラップ代わりに取り付けるのも簡単。
 
刃の根本付近に開けられた穴は親指を引っかけるためのもので、直径はおよそ14mmあります。
この穴に親指を当て、弧を描くように親指を動かすと、一瞬で刃が飛び出します。

バネが入っているわけではありません。ユーザーが指を動かすことで刃が出るのですが、非常に素早く行えるのです。
 
刃を展開すると自動的にロックがかかり、刃が閉じないようになっています。
ロックは自動でかかりますが、当然その解除は意識的な操作をしないとできません。

ロック解除用のレバーは、ハンドルの背に付いています。
 
 
▲収納状態でのPara Military 2のロック部分(下側のグリップ手前縁の突起)
 
 
▲展開状態でのPara Military 2のロック部分(解除用レバーが上がっているのが分かる)
 
この解除用レバーを右人差し指で押さえながら手首のスナップをきかせてナイフの刃を振ると、慣性で刃は折りたたまれます。(収納状態まで畳まれることもあれば、途中で止まることもあります。途中で止まった場合は、刃を収納状態まで右手の指で押して閉じます。勢いが強すぎると、いったん閉じた後に跳ね返って少し開きます。)
 
つまり、刃を出すのも閉じるのも、右手だけで可能なのです。

特に刃を出す動作は見ているだけで楽しいので、何の意味も無く刃を出し入れしてしまいます。
 
上から親指を当てて刃を開くほかに、下から中指の先を穴にひっかけ、刃を勢いよくはじき出して開くこともできます。

中指で開く方が親指で開くより速く、何もしていないのに突然刃が開いたように見えて面白いです。
文章だけでは分かりづらいと思うので、刃を出し入れする様子を動画で撮影してみました。
 

海外のナイフマニアによる詳細な動画レビューがたくさんあります。

数十分におよぶ長いものから、数分の短いものまで色々ありますが、Para Military 2がどれほど頑丈かがよく分かり、刃のロック機構など細かい説明のある動画がありましたので、紹介します(全編英語)。
 

クリップの位置について

Para Military 2では、クリップの位置を4箇所から選択することが出来ます。
 
ポケットに入れたりベルトに着ける際、刃先を上に向けるか下に向けるか、そして左利きか右利きかによって4通りの位置にクリップを付けられるのです。
 
 
▲Para Military 2のクリップ
 
クリップの位置の変更には、T6サイズのトルクス(Torx)ドライバーが必要です(ナイフには付属しません)。
 
 
▲クリップ位置を変更するのに必要な工具
 
クリップの位置を変える手順は、以下の通りです。
 
(1)タオルかマウスパッドを作業台に敷き、その上に刃を閉じた状態のナイフを、クリップを上にして置く。

(2)ナイフをタオル/マウスパッドにしっかり押しつけながら、トルクスドライバーを回してクリップを留めているネジを3本とも緩める(タオル/マウスパッド無しでは、このときにナイフが回転してしまい、作業が難しくなります)。ただし、ネジは紛失防止のためクリップから抜かない。
 
 
▲クリップを外すためにネジを緩める様子
 
(3)全てのネジが緩んだら、ネジを落とさないようネジの頭を指の腹で押さえながらクリップを持ち上げ、ロックタイトのようなネジ留め剤をネジに塗る。
 
 
▲ネジを指の腹で押さえながらクリップを持ち上げる
 
(4)クリップを取り付けたい位置に置き、中央のネジだけを軽く締める。そして、残り2本もネジ穴にはめ込んで3本ともしっかりとネジを締める。このときも、ネジを抜いたときと同様にナイフをタオル/マウスパッドに押しつけ、ナイフ自体が回転しないようにする。
 
 
▲新しい位置にクリップを置き、ネジを締める
 
※この手順は、SpydercoのWebサイトに書かれている説明を要約したものです。

偽物について

この製品は人気があるため、中国製の偽物が出回っているようです。

パッケージまで完全にコピーされていて、一見すると本物と区別できない程の品質ですが、グリップ周囲の研磨(面取り)品質と、グリップ後端のストラップホールの作りが、コピー品では粗雑だそうです。
 
オークションなどで安いモノに手を出すと、偽物を掴まされるかも知れないのでご注意を。
 
本物と偽物の区別の仕方についても、やはり海外のマニアが人柱になって動画を公開してくれています(全編英語)。
 
 
内容を簡単にまとめておきます
 
00:00~02:15 パッケージ外箱の違いについて
 外箱だけで本物か偽物かを区別するのは難しいとのこと。
 ただ、偽物の紙箱は扱いが悪いのか、新品の状態で表面が傷だらけだったりへこんだりしているそうです。
 弧を描いている銀色の帯の模様は、中央付近が最も明るい色で、両端が濃くなっています。この色の変化(グラデーション)が、本物は両端で最も色が濃くなるのに対し、偽物は端に達するまでに黒になってしまい、そのまま端まで黒一色。ただ、本物の紙箱でもロットによってはグラデーションが美しくない場合があるので、色合いで真贋を判定するのは困難。
 
02:15~04:01 バーコードの違い
 バーコードのバーが数字に接触していなければ偽物。
 
04:01~06:48 内箱のマットの違い
 中の黒いマットの厚み・サイズに本物と偽物では差があります。
 偽物のマットは色が薄く、サイズが大きい。マットと内箱の底面のサイズがぴったり合っていれば偽物。本物はマットが箱より少し小さい。
 
06:48~07:50 ロック周辺の仕上げの違い
 ロック周辺の縁が尖っているのが偽物。本物は丸みがある。
 
07:50~08:29 グリップの素材の手触りの違い
 グリップを指の腹で擦ると、偽物はなめらかに滑り、本物はかなり引っかかりやすい。
 
08:29~09:49 グリップ周囲の仕上げの違い
 本物は指の腹で押さえると角張っている感覚があり、偽物の方が丸みを感じる。偽物は、指でグリップの周囲を擦るとなめらかに指が滑る。
 
09:49~10:19 グリップの模様の違い
 偽物の方がカモフラージュのパターンが細かい。
 
10:19~13:10 ストラップホールの違い
 11:50辺りで3本のPara Military 2が並んでいますが、右端が本物。
 偽物はストラップホール内の金属パイプの素材が分厚かったり、グリップから端が飛び出しすぎている。
(分解されているナイフは、偽物のPara Military 2。偽物の動きが悪かったので手入れをしようと分解したものの、ネジを落として紛失し、元に戻せなくなったもの)
 
13:25~16:38 クリップの違い
 13:28辺りで3本のPara Military 2が並んでいますが、右端が本物。
 本物は仕上げが丁寧。
 偽物は切断面の研磨が不十分。
 蜘蛛のロゴの位置は識別の役に立たない。
 
16:38~17:52 ロック周辺の仕上げの違い
 本物は、ロック脇の角張った部分(G-10素材)も丸みがある。
 
17:52~20:00 ネジの違い
 本物(右)は、レンチを差し込む穴がつぶれたような形状をしている。これは、レンチをネジの穴に差し込みやすくするための加工。
 偽物はそういった加工がない。
 
20:00~21:31 フレームの違い
 本物はフレームの中が2箇所、大きくくりぬかれている。
 偽物の方は、くりぬかれている部分の面積が小さい。
 
21:31以降
 偽物の部品を使った説明。(23:50辺りからはピンの太さの違い、25:10辺りからは刃の比較)
 オークションでPara Military 2を買うときに、この動画の投稿者は本物と偽物の差が大きい部分の写真を出品者に要求すると説明しています。

最後に

初めてツールナイフ以外でまともなナイフを購入しましたが、1本目としてこのナイフを選んだのは正解でした。
携帯性に優れ、質感が高く、刃の出し入れが容易で使いやすい。
 
変に大きなナイフや、安くて品質の低いナイフを買っていたら、実際に使ってみて「やっぱりツールナイフの方がいい」と感じていたと思います。
 
「結局これを何に使っているか」ですか?
 
私の場合、山の中で木を削ったり薪を割ったりなんてことはしません。
食品のパッケージを開けたり、ちょっと食材を切ったり、刃の背の部分で卵の殻を割ったり、ヒルを駆除する程度です。はい。
 
高いナイフである必要はないのですが、どうせ使うなら自分が気に入って買った物を使いたいだけです。

趣味の道具は、そういうところが大切だと思うのです。