播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

兵庫県姫路市の伊勢山でドローンデビュー

アウトドア用の新しいオモチャを手に入れたので、出かけたくて仕方ありません(子供か!)。
手に入れたのは、マルチコプター型の空撮用ドローン「Mavic Pro」です。
 
自宅からそう遠くないところで、ドローンで遊んでも時間を気にしなくても良いショートコースの山で、なおかつドローンでないとうまく撮影できないような場所はないかな、と考えて思いついたのが姫路市内の「伊勢山」でした。
 
伊勢山の西側にある岩屋の森に車を止め、空木(うとろぎ)城跡を見てから伊勢山の西峰で昼食。
ドローンを飛ばし、峻険な伊勢山西峰の姿を間近から撮影してみようという計画です。
 
下山は西峰から直接岩屋の森へ下る最短ルートを使うことにします。
 
空木城については、都道府県別 日本の中世城館調査報告書集成 第15巻に詳しく書かれています。
 
空木城(姫路市林田町上伊勢)
【城史】『播磨鑑』には「城主八喜多野新左衛門忠助、赤松伊豫守義雅の臣代居」とある。『揖保郡史』には土人の言として、嘉吉元年(1441)赤松の別将小野七郎右衛門之に居るとあり。『日本城郭全集』には両説をあげて前者を応永年間(1394~1427)のこととしている。両者とも時代を違えて居住していたのであろう。
【現状】但馬街道を北上して伊勢の入口で分れて、大津茂川に沿うてのぼると上伊勢に出る。この道と林田への間道の分れ道をさらに北上すると右手に城山が見える。標高110m、山頂には広い削平地があり中央部北の縁に大きな岩があってこの削平地を2分している。東半分は24.6m×10.3m、西半分は7.3m×12mある。西の方へは2.9mの斜面の下に16.5m×11.5mの削平地がある。その下にも階段状に次第に低くなっていく3つの削平地がならんでいる。主郭から東の方へも33.5mという下り斜面の下に9.2m×4mの削平地がある。直線的階段式多郭型というべき縄張りである。
 
(出典:都道府県別 日本の中世城館調査報告書集成 第15巻、兵庫県教育委員会・和歌山県教育委員会編(2003)pp180-181)
 
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「安志」
 
伊勢山がどんな山なのか、本日ドローンで撮影した動画で紹介します。(音声はありません)
 
 
10:00
姫路市街の自宅を車で出発。
 
国道29号線を北上し、二股の分岐になっている「下伊勢」交差点を右に入ると、国道29号線を離れて県道413号線に入ります。
 
下伊勢交差点から右に入った道を少し北へ進むと、右側の山の斜面に太陽光パネルが大量に設置されているのですが、パネルの色つやと斜面に設置されている影響で、巨大なダンゴムシのように見えてしまいます。
 
不気味な太陽光パネル群を過ぎ、伊勢小学校も過ぎてさらに北へ走ると、県道519号線が西から合流する場所があります。

その三差路の先に「伊勢岩屋の森 案内図」と題した大きな看板があるのですが、そのすぐ先の1車線幅の林道のような道へ入り、最初の分岐を右にとってからまっすぐ進むと、今回の登山口である岩屋の森に到着です。
 
 
▲県道413号線から岩屋の森へ入る道と、その手前にある看板(赤矢印の方向へ入る)
 
10:30
岩屋の森に到着しました(地図中「P」)。
適当なところに車を止め、GPSの測位完了を待ちながら靴を履き替えます。
 
 
▲岩屋の森の様子
 
以下のURLをクリックすると、私が車を止めた岩屋の森の位置がGoogleマップで表示されます。
 
 
伊勢岩屋ふれあいの森
 私たち「姫路里山クラブ21」は、ここ姫路市林田町上伊勢字岩屋地区の豊かな森を守るため、兵庫県の事業を活用して、里山林の整備活動を実施しています。
 この里山は、自然に育った様々な樹木や草類の観察、森に住む野鳥や虫など小動物の観察、きのこ類の育苗、間伐材を利用した木工体験をとおして、多くの人々や子供たちが森と親しみ、森の持つ自然の力を感じ、自然環境の保全を考える拠点であります。
 季節によっていろんな表情を見せる森のなかで、ゆったりとした気持ちで豊かな自然を味わってみませんか。
姫路里山クラブ21
活用事業名:平成20年度 里山ふれあい森づくり(住民参画型)
(出典:現地の看板)
 
10:35
出発。
 
東へ進むと、地形図通りすぐに分岐に出会います(地図中「分岐1」)。
道標は左を指して「空木城跡 0.95km」となっているので、ここは左へ。

右は下山時に使う伊勢山への直行ルートです。
 
 
▲最初に出会う分岐(空木城跡へ向かうために道標に従って左の道へ)
(注)冒頭の地図内には分岐が数字と共に記載されていますが、実際の分岐の数と数字は一致していません。分岐の数を数えながら歩くことはせず、必ず道標の内容を確認し、各自で適切に判断して歩いて下さい。
分岐を左に入ってすぐ「神坐の水 飲まないで下さい」と書かれた水道の蛇口が設置されています。
私は山の中で生水を飲むなんてとんでもないことだと考えているので、仮に「飲まないで下さい」と書かれていなくても絶対に飲みません。
 
分岐1から分岐2までは1車線幅の林道で、所々に簡易舗装の跡が見られます。
林道なので斜度は緩いし、道幅は登山道と比べて遥かに広いし、快適に歩けました。
 
 
▲分岐1~分岐2間の林道跡の様子
 
10:44
私が歩いて来た方向を指して「空木城跡 0.7km」と書かれた道標に出会いました(地図中「分岐2」)。
私が向いている方向を指す道標には「神座の窟 0.9km」とあります。
 
「空木城跡を目指して歩いて来たはずなのに、どうなっているんだ?」と思って少し引き返すと林道跡のヘアピンカーブの頂点から登山道が分岐しているのを見つけました。
 
 
▲林道のヘアピンカーブ頂点から分岐する登山道の様子(赤矢印が登山道)
 
10:45
空木城跡へ登るルートが2つに分かれる分岐に出会いました(地図中「分岐2」のすぐ先)。
道標によると、左は「空木城跡(健脚向けルート)0.4km)」右は「空木城跡(標準ルート)0.7km)」となっています。
 
どちらへ進んでも城跡には行けるので、楽な「標準ルート」を選びました。
 
健脚向けルートは距離が短いですが、大半が丸太階段です。
それに対し、標準ルートはつづら折れのなだらかな道。
 
10:51
健脚向けルートと合流する地点を通過(地図中「分岐3」)。
 
10:55
空木城跡への最後の登りは丸太階段ですが、その階段が始まる直前にまた分岐に出会います(地図中「分岐4」。
 
 
▲分岐4の様子
 
この分岐を右に入ると、空木城跡の東側にある「分岐5」に行けるようです。
 
段差の大きな丸太階段をあえぎながら登ると、削平地が階段状に並ぶ場所に出会いました。
山城に興味の無かった頃は何も思わず歩いていましたが、今では削平地を見るだけで何故か嬉しくなってしまいます。
 
 
▲空木城跡西側斜面の郭跡(複数ある)
 
10:59
空木城の主郭跡に到着(地図中「空木城跡」)。
主郭跡の西側には一段低い郭跡があるのですが、丸太階段を登り切るとその低い方の郭跡に出てきます。
 
 
▲丸太階段を登り切った所にある一段低い郭(奥が主郭跡)
 
空木(うとろぎ)城跡(標高273m)
 空木城跡は、別名「赤松遠見の城」とも呼ばれています。つくられたのは1394~1428年頃だそうです。
 城の最頂部やその周囲には削平地が、また東側の尾根を下ると大きな堀切や、土塁を築いた横堀が見られるようです。
 この城跡からは、塚本向山構(夢前町塚本)、窪山城(姫路市林田町林田)、城山城(新宮町下野田・馬立)、梶山城(揖保川町市場)の4つの城跡が見えるそうです。
 
[城郭研究家 木内内則氏の資料等を一部改変して作成]
(出典:現地の看板)
 
 
▲主郭跡南西の盾のような岩(現地の看板の図では、この岩の脇を通って主郭南西へつながる通路が描かれている)
 
 
▲主郭跡南側の竪堀を真上から見下ろす
 
 
▲上の竪堀の上端は石積みで補強されている
 
 
▲主郭跡北側に残る土留めの石
 
11:05
空木城跡であちこちを観察していると、中高年の団体が伊勢山方面から城跡に来られました。
団体さんは城跡で昼食を摂るとのことだったので、私は団体さんと入れ替わるように伊勢山へ向けて出発。
 
城跡なので、東側も西側と同様に急な斜面になっています。
その斜面を慎重に下ると、堀切跡がありました。堀切りの手前には土塁の跡らしきものも見られます。
 
堀切跡には道標が立っていて、分岐になっていました(地図中「分岐5」)。
 
 
▲道標が立っている場所は堀切跡
 
ここからは南西方面に向けてなだらかな尾根歩き。
伊勢山西峰に近づいてくると、シダが出てきました。
 
 
▲突然シダが出てくる
 
 
▲目的地である伊勢山西峰が良く見える場所もある(洞窟のような神座の窟(しんざのいわや)もよく見える)
 
11:19
下山に使う道が右へ分かれる分岐(地図中「分岐6」)を通過。
 
分岐6からはロープが張られた急斜面です。
ロープや木の幹、木の根を頼りに登る必要があります。
 
▲西峰への登りは急斜面
 
神座の窟は伊勢山西峰の峻険な岩峰の中がすっぽり崩れ落ちて出来た洞窟のような場所で、急斜面を登り切った所にある岩の隙間から中に入れます。
 
 
▲神座の窟への入口
 
神座の窟の中がどんなところかは、下の全天球パノラマでご覧下さい。
 
11:25
伊勢山西峰の山頂(神座の窟の真上)に到着。
 
 
▲伊勢山西峰の山頂から空木城跡を見る(矢印の位置)
 
本日はパノラマ撮影機材を持っていかなかったので、2011年に撮影したものを掲載します。
パノラマ画面左上のリストから「神座の窟」を選ぶと、神座の窟の中も見られます。
 
 
伊勢山西峰山頂と神座の窟内部で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2011年11月20日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/iseyama20111120/virtualtour.html
 
寒いですが、展望第一主義の私はここで昼食。
メニューは、レスキューフーズのカレーライスです。
 
 
▲本日の昼食
 
化学反応で発熱するヒーターとレトルトご飯、レトルトカレー、スプーン、お手ふきが入ったセット。
 
説明書によると加熱に20分、蒸らしに10分かかるということで、待っている間にドローンで遊ぶことにしました。
 
寒さのためバッテリーの温度が低下して警告表示が出ていたので、バッテリーを温めるためにプロペラを回して数分間アイドリングをしてから離陸。
 
 
▲プロペラを回してアイドリング中のドローン「Mavic Pro(マビックプロ)」
 
 
▲ドローンを使った記念撮影。伊勢山西峰頂部に私が立っています(左下は神座の窟)。
 
ドローンで遊んでいたら、あっという間に30分が経過しました。
(もちろんずっと飛ばしているとバッテリー切れになるので、どう飛ばそうか悩む度に西峰山頂に着陸させていました)
 
ということで、出来上がった熱々のカレーで昼食。
 
 
▲本日の昼食
 
ドローンを着陸用パッドの上に載せたままカレーライスを食べていると、空木城跡で出会った団体さんが西峰山頂に戻って来られました(空木城跡は伊勢山から往復するのが一般的なのです)。
 
記念撮影をされるということで、邪魔にならないように団体さんの後ろでしゃがみ、ドローンを片付けました。
 
やはりドローンは興味の有無にかかわらず注目を集めるらしく色々と聞かれましたが、ドローンに好意的な方ばかりで良かった。
 
12:20
下山開始。
 
ロープを頼りに急斜面を下って分岐6まで戻り、西峰の岩峰の真下を南向きに下ります。
すぐに道は西へ向きを変え、植林の中をつづら折れに下っていきました。
 
 
▲植林の中をつづらに下る
 
伊勢山西峰の西側斜面上部は、山頂付近から崩落してきた岩が散らばっていて荒々しい雰囲気。
標高が下がると自然林の中を下るようになり、麓が近づくとまた植林の中を歩くことになります。
 
12:38
石碑に出会いました(地図中「石碑」)。
 
施主である「伊勢村在郷軍人会及青年会」の文字ははっきり読み取れましたが、重要な正面の文言がほとんど読み取れません(最後の「成婚紀念」は分かるのですが)。
 
▲山中にある石碑(施主の名前は反対面に彫られている)
 
12:43
登山道から少し右に外れたところに巨岩と看板があったので近づいてみると、石積みもあることに気づきました(地図中「神社跡」)。
神社跡のようです。
 
ここには看板が設置されていて、以下の通り書かれています。
 
 ここの巨岩の周辺には、石仏がいくつか奉られています。岩場の神座の窟にもあります。
 また、ここには石碑が1基転がっていました。「八丁」と書かれています。
 このように数字が書かれた石碑が、この森のほかの所にもあるといわれています。
(出典:現地の看板)
 
 
▲神社跡(映っている看板の背後に巨岩がある)
 
石仏は3体見つけました。
 
 
▲神社跡にある石仏その1
 
 
▲神社跡にある石仏その2(巨岩の上に祀られている)
 
 
▲神社跡にある石仏その3
 
神社跡から先の道は、林道跡です。
 
 
▲神社跡から岩屋の森へ続く林道跡
 
12:54
駐車場所に戻ってきました。
 
ドローンのバッテリーは、伊勢山西峰山頂での飛行でほぼ使い切っていましたが、予備も持ってきていたのでこの駐車場からも飛ばして遊ぶことに。
 
 
▲ドローンを使い、駐車場所の上空から真下を見下ろして撮影した画像(中央付近に私の車が写っている)
 
ドローンを飛ばしていると、猛禽類が何羽か集まってきて、ドローンの周囲で円を描くように飛び始めました。
 
「対人・対物保険は入っているけど、機体保険(車で言う車両保険)には入っていないから勘弁してくれ」と心の中で祈りながら着陸させると、パラパラと雨が降ってきました。
雨はドローンの大敵ですから、今日はこれでおしまい。
 
今までは景色を見ながら食事を摂るのが山歩きの目的でしたが、今後はドローンが主目的になるかな。