播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

平らに収納できて便利な「ヘキサゴン・ウッド・ストーブ」

東京出張に行ったときに、下北沢のアウトドアショップに寄り道。

そこにこのヘキサゴン・ウッド・ストーブのチタン製とステンレス製のものが両方置いてあり、重さを比べることが出来ました。
 
もちろん、チタン製の方が明らかに軽かったのですが、財布の中身と相談した結果、ステンレス製の方を購入。
 
 
▲Hexagon Wood Stove(ステンレス)
 
製品名: Hexagon Wood Stove(ヘキサゴン・ウッド・ストーブ)ステンレス
メーカー: Vargo(アメリカ)
サイズ: 約85mm(上部直径)×約140mm(底面直径))×約105mm(高さ)(実測値)
重量: 209g(本体のみ)、229g(ケース含む)(実測値)
アメリカ定価: $39.95 USD
国内定価: ¥6,800(税込み)
購入先: Bozeman(東京都世田谷区)の店頭

外観

ストーブ本体は平らに折りたたまれた状態で、専用のソフトケースに収納されています。
 
 
▲ケースに入れた収納状態(ケース表面)
 
ケースの口はベルクロ留めで大きく開くようになっているため、出し入れは簡単。
 
 
▲ケースの口は大きく開く
 
取り出したストーブは、六角形の板に台形の板が重なったような形状です。
 
 
▲折りたたんだ状態のストーブ
 
台形の板は6枚あり、そのうち1枚の底辺と六角形の板がちょうつがいで連結されていて、台形の板同士も斜辺同士がちょうつがいでつながっています。
六角錐の展開図と同じような形。
 
底板には、通気用の穴が開いていますが、その穴の形まで六角形なのが面白い。
 
 
▲ストーブを展開した様子
 
六角形の底板の周囲に台形の底辺をセットしていくのですが、2箇所だけスリットと爪が付いています。
一つは単純な爪とスリットですが、最後に留める場所は爪が外れにくい形状をしています。
 
ただ、この外れにくいはずの爪が実際は簡単に外れるらしく(私はそう感じたことがないのですが、個体差やステンレス製/チタン製で差があるのかも知れません)、ヘキサゴンウッドストーブ愛用者のWebサイトやブログでは、外れにくくするための工夫が紹介されています。
 
 
▲底板とつながっている板から数えて3枚目にあるスリット
 
 
▲同5枚目の板のスリットには、しっかりした爪がはまる(ネットではこれが外れやすいと言われている)
 
組み上がると1枚目の写真の形状になるわけですが、底板につながっている台形の板の隣にある板は燃料投入口になっていて、自由に開閉が出来る構造。
 
この板は、開けた/閉じた状態でロックする仕組みはありません。板の重みでその位置に留まるだけです。
 
 
▲燃料の投入口を開けた状態

機能

本来は名前の通り木や落ち葉を燃やすためのストーブですが、ネットで見る限り、この製品が最も活用されていると思われる使い道は、アルコールストーブ用のゴトクとして使うことです。
 
トランギアのアルコールストーブを中にセットしてみましたが、上の開口部は狭すぎてアルコールストーブを上から入れるのは難しい。
 
空の状態でアルコールストーブを立てて中に入れ、底板の上に置いてからアルコールを入れるのが良いのかな。
 
 
▲トランギアのアルコールストーブを中に入れた様子
 
 
▲弱火用のフタを被せた様子(燃料投入口を開け、そこからフタを飛び出させる必要がある)
 
これにクッカーを載せると、下の写真のようになります。

一人用のクッカーに最適なサイズで、安定感が高い。
 
 
▲モンベルのアルパインクッカー14を載せた様子
 
 
▲ユニフレームの山クッカー角型(鍋13)。取っ手の断熱材は私が付けたもので、標準ではついていません。
 
トランギアの上部からクッカー底面までの距離は、約5cm。
 
「『アルコールストーブ燃焼実験』アルコールストーブに最も効率のいい高さは?…」と題された記事(https://plus.google.com/+2008YORIKI/posts/Thh6Mh4Z5kb)を見ると、4~5cmくらいがちょうど良いとのこと。
 
英語のサイトですが、「Ultralight hiking : Trangia Stoves!」(http://www.ultralight-hiking.com/stoves-trangia.html)でも、距離を離すほど沸騰までの時間が短くなることがグラフで示されています(このサイトでは、ストーブ上端とクッカー底面の距離38mmまでしか実験していません。クッカーの材質の違いによる沸騰時間の差も検証されています)。
 
海外の掲示板「Trangia burner - Backpacking Light」(http://backpackinglight.com/forums/topic/63847/)では、1.75インチ、つまり4.5cmが最適と書かれています。
 
つまり、このヘキサゴン・ウッド・ストーブは、偶然かも知れませんがトランギア・アルコールストーブに最適なサイズになっているようです。

性能

このストーブとアルコールストーブの組み合わせで、ラーメン作りに必要な500ccのお湯を沸かすのにかかる時間を測ってみることにしました。
 
我が家にはトランギアのアルコールストーブの他に、エバニューのチタン製アルコールストーブもあるので、性能を比較することにします。
 
性能比較の方法概要:
 500ccの常温の水が沸騰するまでの時間を測定する。
 
測定環境:
 気温 セ氏約15度
 相対湿度 約50%
 ほぼ無風の屋外(我が家のベランダ)
 500ccの水道水(セ氏約15度)を使用
 
測定方法:
アルコールストーブに60ccの燃料用アルコール(メタノール95%、エタノール5%)を入れ、点火と同時にストップウォッチをスタート。

クッカーにセットした温度計がセ氏100度を示したところで、ストップウォッチを停止。
 
測定結果(水温15度から100度までにかかった時間):
 トランギア・・・・・・約7分
 エバニューEBY254・・・約6分20秒
 
燃焼終了までの時間(燃料が燃え尽きるまでの時間):
 トランギア・・・・・・約13分
 エバニューEBY254・・・約11分

注意点

上の開口部がそれほど大きくないため、アルコールストーブの炎がクッカー底面に一点集中に近い形で当たるかと思っていました。
 
しかし、実際は熱が籠もるためかアルコールストーブの火力は強くなり、その結果、上に載せたクッカー底面に当たった炎は勢い余ってクッカーの側面を舐めるように広がって、クッカーの取っ手がかなり熱くなります(取っ手の断熱用ゴムなどがクッカー側面近くまであるタイプのクッカーでは、断熱材が溶ける場合がある)。

最後に

本来は木片等を燃やすためのストーブですが、アルコールストーブ用の風防一体型ゴトクとしても非常に優秀ですし、固形燃料用のゴトクとしても使えます。
 
アルコールストーブが密封されるような形になりますが、底板の穴から空気が供給されるせいか想像以上の火力で、上に書いたとおり10分かからずに500ccのお湯を沸かすことが出来ました。
 
寒い時期でなければ60ccのアルコールがあれば袋麺の調理がしっかりできますし、30ccのアルコールがあれば、とりあえず500ccのお湯を沸かすだけなら可能なようです(カップ麺が作れる)。
 
木の枝等を燃やして使う場合は、底板の穴から灰や火の付いた燃えがらが地面に落ちるので、直火禁止のキャンプ場では使えませんし、山の中で使う場合も注意が必要です。
 
ヘキサゴン・ウッド・ストーブとアルコールストーブの組み合わせを使う利点は、「音が静か」「比較的コンパクト(重さはありますが...)」くらいしかありませんが、この道具には「使いたい」と思わせる不思議な魅力があるように感じます。