播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ヤマサ蒲鉾の工場見学

せっかくの雨が降っていない休日ですが、空気が霞んでいて山に登っても楽しくなさそう(私にとっては山の上からの展望が大切)。
 
どこか面白いところは無いかなと調べていたら、ヤマサ蒲鉾の夢前(ゆめさき)工場で工場見学が出来る(予約不要)ことが分かり、出かけてきました。
 
ヤマサ蒲鉾株式会社夢前工場の位置は、下の地図でご確認ください。
 
 
工場見学について
施設名称: ヤマサ蒲鉾株式会社夢前工場
住所: 兵庫県姫路市夢前町置本327-16
工場見学開始時間: (平日)10:00、14:00の1日2回。(日曜・祝日)9時~15時の毎正時(12時は除く)
工場見学不可の日: 毎週土曜、その他毎月5~7日程度の平日。ヤマサ蒲鉾のWebサイトで確認できます。
(注)2015年6月現在の情報です。変更になる可能性があるため、行かれる場合は必ず事前に確認してください。
 
夢鮮館(直売所)について
施設名称: かまぼこ工房 夢鮮館
住所: 兵庫県姫路市夢前町置本327-16
営業時間: 9:00~17:00
定休日: 無休(年末年始は休業、営業時間の短縮あり)
(注)2015年6月現在の情報です。変更になる可能性があるため、行かれる場合は必ず事前に確認してください。
 
姫路市街の私の自宅からは車で20分程度です。
そのため、12時頃に出かけようと思い立ち、準備をして出発しても、13時からの工場見学に十分間に合うというありがたさ。
 
姫路市街の自宅から西へ進み、夢前川左岸(東側)を南北に走る県道67号線に入って北上。
山陽自動車道の高架をくぐってからおよそ1.3km、道は左へカーブして山富橋を渡りますが、そこを左へ曲がらず直進し、夢前川の左岸をさらに1.4kmほど北上し続けると、ヤマサ蒲鉾の夢前工場入口です(「夢鮮館(ゆめせんかん)→」という看板がある)。
 
 
▲夢鮮館
 
夢鮮館の前に駐車場がありますが、今日は日曜なので来場者が多く、乗用車用の枠は一杯で観光バス用のスペースにも乗用車が止まっていました。
 
この夢鮮館の入口右側が、工場見学者の集合スペースになっています。
予約不要なので、見学開始時間の数分前にここに集まればOK。
 
夢鮮館の中では、ヤマサ蒲鉾の各種製品が色々と販売されていますが、今日は13:00からの工場見学に参加したいので、のんびり中を見ている余裕はありません。
とりあえず車を降りてトイレに行き、自販機でジュースを買って一休みしてから集合場所に並びました。
 
工場見学の参加者は非常に多く、私が参加した回は40名近く。
 
ヤマサ蒲鉾の夢前工場をGoogleマップの航空写真などで見ると、赤い屋根の大きな工場が3つ並んでいます。
南から第一工場、第二工場、第三工場の順になっていて、それぞれ以下の製品が作られているとのこと。
 
第一工場:カニ風味蒲鉾(一日の生産量:約30万パック)
第二工場:かまぼこ・ちくわ(一日の生産量:約30万パック)
第三工場:揚げかまぼこ(天ぷら)(一日の生産量:約40万パック)
 
夢鮮館の玄関に集合した後、案内の方に続いて第二工場へ歩いて行きました。
 
 
▲第二工場の北側へ回る(左は第三工場、右が第二工場)
 
第二工場の北側にある入口前で注意点や見学ルートの説明を受け、工場の中へ。
 
第二工場に入ったところにあるのは、竹輪の製造設備。
 
なお、見学路は工場の作業場とは隔離された通路になっていて、ガラスの窓越しに作業の様子を見学する形になっています。
 
ガイドさんがスピーカーで説明してくれますが、人数が多いと列が長く延びてしまい、後ろの方は説明が聞こえませんが、随所に説明が書かれたパネルがあり、自動音声の説明もあるので、説明が聞こえなくても何とかなると思います。
 
まずは材料を混ぜ合わせる擂潰(らいかい)と呼ばれる工程の作業場があり、その次には竹輪を成型する設備があります。
 
 
▲竹輪成型工程の様子(ステンレス棒に巻かれたすり身が大量に坂を上っている)
 
ステンレス棒に巻かれたすり身が焼かれて竹輪になるわけですが、その焼く前の工夫が面白い。
下の写真を見てください。
 
 
▲白い布で竹輪に何かを塗っている
 
竹輪の何カ所かに白い布で液体が塗られているのですが、その液体の正体は水。
水が塗られたところは焼き色が付かないため、あの茶色と白のツートンカラーになるというわけです。
 
竹輪は、中心温度がセ氏85度以上になるまでじっくり焼き、さらに300度~350度の温度で表面に焼き色を付けるそうです。
 
焼き上がった竹輪は、すぐさま氷点下セ氏10度の冷風が吹く冷却装置を通って、中心温度がセ氏10度になるまで一気に冷まされます。
 
これは、保存料を使わずに竹輪の保存性を高めるための工夫なのだそうです。
 
 
▲竹輪を冷やすフリーザー
 
最後に、重量や金属探知機による検査をくぐり抜けた竹輪が包装される様子を見学。
 
 
▲竹輪を包装する工程の様子
 
ここでは、真っ二つに切断された竹輪も包装されていましたが、それは弁当業者などが磯辺揚げとして使う竹輪だそうです。
 
北から第二工場に入った後は、南側の出口から外へ出ますが、その出口にはQ&Aコーナーなる掲示板があって、「一番よく使う魚は何ですか?」「蒲鉾は、なぜ「かまぼこ」という名前なの?」といった質問と、それに対する回答が書かれていました。
 
興味深かったのは、休憩に関する質問。

見学しているとき、次から次へ流れてくる竹輪等を包装している従業員を見た他の見学者が「あれだけ次から次へ来たら、ちょっとでもサボったらアウトやな」等と話していましたが、それに関して「包装工程の従業員は休憩しないのですか?」という質問がQ&Aコーナーに張り出されていたのです。
 
それに対する回答は「お昼休憩は時間帯をずらして行います。トイレ休憩時は、全ての仕事ができる従業員が、交代で入ります。」となっていました。

こういった仕事は私にとって未知の分野だったので、流れを止めずにトイレに行けるようにするため、誰の代わりでもつとまるオールマイティーな従業員がいるというのが驚きでした。
 
 
▲第二工場出口付近のQ&Aコーナー(内容は、是非現地で読んでみてください)
 
続いて第一工場へ入ります。

こちらはカニ風味蒲鉾の工場。
こちらも、入った所は材料を混ぜ合わせる擂潰(らいかい)工程の場所。
 
その次の成型工程がカニ風味蒲鉾の大切な作業です。
まずはパイプを通ってきたすり身がシート状に引き延ばされます。
 
 
▲すり身でシートを作る様子
 
続いて、そのシートをねじってロープ状にします。
 
 
▲すり身のシートをねじる様子
 
成型工程はさらに続きます。

カニ風味蒲鉾は、表面に赤いすり身が付いていますが、それをくっつける作業です。
トマト色素やパプリカ色素で赤く着色したすり身を、青いフィルムの上に薄くのばし、それを先ほどの白いロープ状のすり身に巻き付けるという工程。
 
 
▲表面の赤いすり身を加える様子
 
青いフィルムに包まれたかにかまを95度の蒸気でじっくり蒸し上げ、竹輪の時と同様にフリーザーで急速に冷却すると、あのカニ風味蒲鉾の出来上がり。
 
 
▲青いフィルムを剥がし、トレイに載せて包装する工程
 
第一工場の正面玄関から外へ出て、工場見学は終了。およそ25分かかりました。
 
せっかくなので、夢鮮館で色々と商品を購入し、揚げたて熱々のチーカマドッグ(チーズ風味蒲鉾をアメリカンドッグの甘くて厚い衣で包んで揚げたもの。1本税込¥150)をその場で食べて帰りました。
 
 
▲チーカマドッグ
 
夢鮮館の隣にはそば屋さんがあり、夢鮮館とそば屋さんの間には足湯まであってゆっくり休憩できるようになっていますし、さらにちくわや蒲鉾の手作り体験も出来ます(有料。火曜は不可)。
 
単なる工場直売所ではないので、ここへ行かれる場合は色々と楽しんでみてください。
 
おまけ
毎年芝桜の季節には、工場敷地内の芝桜広場が公開されています。
その時の様子を、古いですが2012年に作成した全天球パノラマでご覧下さい。
 
ヤマサ蒲鉾本社工場の芝桜(撮影日:2012年5月3日)