播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

愛媛観光(道後温泉・鉄道歴史パーク編)

松山(愛媛県)出張時の観光について、前の記事では松山城とその周辺の事を書きましたが、本記事では道後温泉と伊予西条駅前にある鉄道歴史パーク in SAIJOについて紹介します。
 
私が泊まっていたホテルはJR松山駅近くだったので、道後温泉までは数キロの距離があります。
徒歩でも問題ないと言えばないのですが、出張中の空き時間にさっと観光をするには、徒歩で無駄に時間を使いたくありませんし、タクシーを使うと時間は節約できますがお金がもったいない。
 
路面電車を使えば片道わずか¥160なので、松山駅前の電停(路面電車の停留所)から道後温泉まで路面電車で出かけました。
 
その前に、松山市内で鉄道好きの方に人気のあるスポットがあることを知った(※)ので、そこを紹介します。
※路面電車に乗っているとき、運転士さんが「踏切よし」と喚呼している声が聞こえ、「路面電車に踏み切りなんてあったかな?」と窓の外を見て、別の線路が左右に延びているのに気づき、「なんだこれは!?」と思ってホテルの部屋に戻った時に検索したところ、有名な場所だったと分かりました。
 
そのスポットとは、「ダイヤモンドクロス」と呼ばれる場所。
JR松山駅から徒歩数分の距離にあります。
 
下のURLをクリックすると、Googleマップでダイヤモンドクロスの位置が表示されます。
ストリートビューも見られます。
 
何がクロスしているのかというと、鉄道の線路です。

地図で見ると線路が交差している地点というのはあちこちにありますが、それらはほとんど立体交差。
ダイヤモンドクロスのすごいところは、2本の鉄道路線が垂直に平面交差している点です。
 
しかも、一方は路面電車の軌道ですが、もう一方は通常の鉄道路線なので、踏切があるのです。
タイミングが合えば、路面電車が踏切待ちをするという、何とも奇妙な光景を見ることができます。
 
単純に線路が交差しているだけのところは他にもあるそうですが、踏切がある平面交差は全国でもここだけのようです。
 

▲ダイヤモンドクロスを通過した路面電車
 
では、道後温泉と鉄道歴史パーク in SAIJOを見物したときの様子を紹介します。
道後温泉へは、JR松山駅前の電停から5系統の路面電車に乗って行きました。
 

▲路面電車の道後温泉駅
 
道後温泉駅は路線の終点になっているので、車両を上下の路線で入れ替えるためのポイントが設置されています。
 

▲路面電車を入れ替えるための分岐
 
道後温泉駅を出たら、目の前に坊ちゃんカラクリ時計がありました。
毎正時に派手な動きを見せてくれるようですが、私が行ったときは30分前。それまで待つ気になりませんでしたし、YouTubeに動画が何本もあり、それを見ていたので写真だけ撮って素通り。
 

▲坊ちゃんカラクリ時計
 
道後温泉駅から北を見ると、アーケードのある商店街があります。
商店街の中を北へ歩き、ローソンのある角を右へ曲がると、「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルになったとされる道後温泉本館があります。
 

▲商店街から見た道後温泉本館
 

▲冠山から見た道後温泉本館
 
時間があまりないので外観だけを見て次の観光スポットへ移動。
 
商店街から道後温泉に突き当たると、右前に山の上へ続く坂道(山上の駐車場への道路)があります。
この山が冠山で、上に載せた写真は冠山の上から撮影したものです。
 
冠山の山頂には、湯神社があります。
 

▲湯神社
 
 祭神は、道後温泉を開いた大己貴命と少彦名命の二神である。
 当社は、延喜式内社で、社伝によれば、景行天皇が皇后八坂入姫と供に行幸の際に鷺谷の大禅寺の前に創建したと伝えられている。その後舒明天皇行幸に際し勅命により社殿を新築した。
 その後、国司、領主の尊崇を受け、神田や弊帛の奉献があったと伝えられている。
 大永7(1527)年の地震で温泉が埋没した際に、須佐之男命と稲田姫命を祀る延喜式内社出雲崗神社境内(現在の冠山)に移され、いつしか合祀して四社大明神と呼ばれるようになったという。
 湯神社では、地震などで温泉が止まるたびに、神楽を奉納して祈願してきた。宝永4(1707)年の地震では藩主の名で「湯祈祷」が行われ、以後中断しつつも今日まで続けられており、正月の初子の神事とともに世に知られている。
 松山市教育委員会
(出典:現地の案内板)
 
冠山の山頂から南へ石段を下り、下りきった所(「道後温泉ふなや」の前に下りる)で東へ行くと、かなりの高さがある石段に出会います。
 
これが続いての目的地である伊佐爾波(いさにわ)神社への石段です。
 
この石段の直前で、路上(お店の前)で豚がえさを食べているのに遭遇しました。
ヒモでつながれ毛布がかけられているので、そのお店のペットなんでしょうが、石段の高さより、まずこちらに驚きました。
 

▲店先で飼われていた豚
 

▲伊佐爾波神社へ続く石段
 
この石段をあえぎながら登り切ると、目の前に奇妙な建物が現れます。
これが伊佐爾波神社の拝殿。
 

▲伊佐爾波神社
 
伊佐爾波神社の珍しいところは、八幡造(はちまんづくり)と呼ばれる建築様式です。
八幡造は、屋根が二つ連続しているのが特徴で、Wikipediaによると日本に3例しかないそうです。
 

▲八幡造の特徴である屋根
 
日が落ちて暗くなりかけてきたので、道後温泉駅にあるお土産物屋さんでお土産を購入し、路面電車で松山市街へ戻りました。
 


 
松山から姫路へ帰る際は、岡山駅まで特急しおかぜに2時間50分ほど乗らないといけません。
3時間近くも特急の座席に座り続けるのは退屈なので、途中の伊予西条駅で下車し、鉄道歴史パーク in SAIJOを見ることにしました。
 
ダイヤモンドクロスと同様、ここも当初は見る予定ではなかったのですが、往路の特急車内で案内放送かドアの上に流れる文字の案内かのいずれかで存在を知り、帰りに寄ろうと決めたところです。
 
松山駅から伊予西条駅までは、特急で1時間ほど。
伊予西条駅を出ると、すぐ右にそれはあります。
 
駅のすぐ東に跨線橋があり、その先に十河信二記念館、そのさらに東隣に四国鉄道文化館 北館があります。
 

▲四国鉄道文化館 北館(左)と十河信二記念館
 
四国鉄道文化館
開館時間: 9:00~18:00
休館日: 水曜
入館料: 大人¥300 小人¥100
 
十河信二記念館
開館時間: 9:00~18:00
休館日: 水曜
入館料: 無料
 
0系新幹線が展示されているという四国鉄道文化館 北館に先ずは入ってみました。

靴を脱いでスリッパに履き替えて入口の券売機でチケット(切符)を買い、入口を入ったところの受付でチケットを渡すと入鋏(にゅうきょう)してもらえるという鉄道関連施設ならではの受付方法です。
 
入ったところに0系新幹線(後部が切り落とされて短くなっている)とディーゼル機関車のDF50が展示されています。
 

▲四国鉄道文化館 北館内部の様子
 
0系新幹線(0系新幹線電車「21-141」)
 昭和39年(1964年)10月1日、東京~新大阪間の新幹線開通時に登場したのが0系新幹線電車です。最高210km/hの高速運転を行うため、本格的な流線形車体になり1435mmの標準軌の採用に伴って車体幅は在来機に比べ約40cm広く、車体長も25mに大型化されました。昭和61年(1986年)まで、総計3216両が順次、生産されました。
 車体は、アイボリーホワイトを主体に、窓周りとスカート部分は新幹線ブルー、上屋根は銀色に塗られています。
 この「21-141」車両は、昭和51年(1976年)に製作され、大きな窓が特徴です。平成12年(2000年)10月の引退時は、JR博多総合車両所に所属し、山陽新幹線の「こだま号」として活躍していました。その走行距離は約1020万kmで、地球を約255周したことになります。
 平成12年12月、JR四国がJR西日本から譲り受け、多度津工場で保存・展示したあと、西条市がJR四国から借り受けて、四国鉄道文化館に展示しています。
(出典:鉄道歴史パーク in SAIJOのパンフレット)
 
DF50 1(DF50形ディーゼル機関車「1号機」)
 鉄道車両の近代化や輸送量の増加に対応するため、蒸気機関車に替わる主力機関車として、昭和32年(1957年)に登場しました。直列8気筒ディーゼルエンジンで発電機を動かし、その電力で100kwモーター6基を回して走ります。昭和38年(1963年)までに138両が作られ、運用が停止される昭和58年(1983年)まで、予讃本線や土讃本線をはじめ、北海道をのぞく全国各地の路線で客車や貨車をけん引して活躍し、鉄道の無煙化やスピードアップに貢献しました。
 このDF50形1号機は、昭和32年に新三菱重工三原製作所で作られ、高松機関区に配属された車両で、その後、敦賀、長野、米子の各機関区を経て、昭和42年(1967年)に再び、高松機関区に配置されました。
 昭和58年9月25日、大勢のフアンに惜しまれながら「さよならDF50土佐路号」として最終運転されるまで、地球を約67周する260万kmを走りました。
 日本でただ1台、走行可能な状態で保存されているこの1号機は、昭和58年に「準鉄道記念物」に指定された大変、貴重な車両です。
(出典:鉄道歴史パーク in SAIJOのパンフレット)
 
楽しいのは、0系新幹線もDF50も、両方とも運転台に入ってレバーやスイッチを操作できるところ。
子供がいれば出汁に使って自分も楽しむのですが、スーツ姿の単独おやじが嬉しそうに運転台に座っていると子ども達が怖がって逃げてしまいそうなので、人がいなくなった瞬間を狙ってパノラマ写真を撮るだけに留めました。
 
パノラマ撮影機材はリコーのThetaしか持っておらず、三脚も持っていなかったので、Thetaを立てられる平らな場所に置くことしか出来ず、画質・画角ともにいまいちですが、運転台の雰囲気は分かると思います。
 
0系新幹線は運転台の上に載せて撮影したパノラマと、運転代後方のラックの上の2ヶ所、DF50形は運転台の上に載せて撮影したパノラマと、運転席横の窓枠に乗せて撮影したパノラマの2枚、合計で4枚撮影しています。
 
0系新幹線の方は、ラック上はスリッパがあることに気づかなかったので、スリッパがアップで写ってしまいますがご了承ください。

0系新幹線の運転席とDF50形の運転席で撮影した全天球パノラマ(撮影:2014年11月。リコーのThetaで撮影。)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/matsuyama201411/virtualtour.html

 4ヶ所で撮影していますが、それらのパノラマは左上のリストから切り替えできます。

他に、鉄道模型のレイアウトやタブレット閉塞機、パンタグラフなども展示されていました。
 

▲四国鉄道文化館 北館の展示(タブレット閉塞機等)
 

▲四国鉄道文化館 北館のパンタグラフの展示(左側は0系新幹線のもの)
 

▲0系新幹線の運転席は床からかなりの高さがある
 

▲0系新幹線の運転台
 

▲0系新幹線の運転台
 

▲DF50形の運転席
 
続いて跨線橋を渡り、四国鉄道文化館 南館へ。
北館の切符を見せれば、南館にも入れます。
 

▲四国鉄道文化館 南館(跨線橋から撮影)
 
南館は、SLのC57とディーゼル車(急行形)のキハ65、ディーゼル機関車のDE10が展示されています。
 

▲C57(C57 44)(右)とキハ65(キハ65 34)
 

▲DE10(DE10 1)
 
C57は運転席に入れましたが、DE10は外観のみの見学、キハ65は客席のみ立入可能でした。
 
この建物の外に屋外展示場があり、そこには線路沿いで見かける線路諸標や信号機、機関車の動軸が展示されています。
 

▲線路諸表の展示
 

▲信号機の展示
 

▲車輪の展示
 

▲キハ65の客室
 

▲C57の運転室
 

▲ディーゼル車のピストン(サイズ比較用にiPhoneを置いています)
 
車両が展示されている建物の隣、南館の受付がある建物は資料館になっていて、パネル展示や大きな鉄道模型のレイアウトが置かれています。
 

▲資料館の鉄道模型
 
さて、南館の外観写真で気になっていた方も多いと思いますが、青い見慣れない車両が屋外に展示されています。
 
これはフリーゲージトレインと呼ばれる車両で、漢字では軌間可変電車と書かれます。
 
軌間可変電車(フリーゲージトレイン第2次試験車「GCT01-201」)
 フリーゲージトレインは、新幹線の標準軌(1435mm)と在来線の狭軌(1067mm)の異なる軌間(ゲージ)に車輪の左右間隔を自動的に変換して、直通運転を可能とする電車です。軌間の異なる路線館を直通運転できるため、乗り換えの手間がなくなり、所要時間の短縮を図ることができます。
 展示車両は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の委託によりフリーゲージトレイン技術研究組合が主体となって研究・開発された第2次試験車です。平成19年(2007年)3月にJR九州小倉工場で完成し、同年から平成21年(2009年)にかけて、九州内の在来線や九州新幹線において試験走行が実施されました。
 平成23年(2011年)6月からは新しい台車を装着して、予讃線の多度津~坂出間を試験走行し、同年8月から多度津~多喜浜間でカーブ区間を試験走行しました。
 平成25年(2013年)9月に試験走行を終えてJR四国多度津工場で保管されていましたが、当館建設を機に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から西条市に無償で譲渡いただきました。
製造年: 平成19年3月
製造所: 川崎重工業
主要寸法
 全長: 23075mm
 車体幅: 2945mm
 車体高さ: 4030mm
自重: 最大50.0トン
車体構造: アルミニウム合金製
台車方式: 平行カルダン駆動
目標最高速度
 新幹線区間: 270km/h
 在来線区間: 130km/h
(出典:鉄道歴史パーク in SAIJOのパンフレット)
 
JRの線路は在来線のレール幅と新幹線のレール幅が異なっているため、在来線の車両が新幹線用の線路を走ることは出来ませんし、逆も不可です。
その不便を解消するために、車輪間隔をレール幅に合わせて変えられる軌間可変電車を作り、テストを行っているようです。
 
ここに展示されているのは、GCT01-201という車両。(中には入れず)
 

▲フリーゲージトレインの車両番号
 

▲フリーゲージトレインの台車(日立製作所製GDT3A台車。車輪の間隔を変えられる仕組みがあるため、普通の車両とは台車の雰囲気が違う)
 
一通り展示内容を見るのにかかった時間は、1時間強。
特急しおかぜは1時間に1本しかなく、前のしおかぜが出てまだ間もない時間だったため、次のしおかぜを50分ほど待つことになりました。
 
普通電車も本数が少ないので、ここを見学する場合は、時計を見ながら時間配分に気をつけて見学してください。