播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

家島諸島の西島にあるコウナイの石見学

本日は、以前からずっと行ってみたかった家島諸島の西島にあるコウナイの石(頂ノ岩)へ行ってきました。
 
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「西島」
 
下のURLをクリックすると、Googleマップで西島の位置が表示されます。
 
西島は採石場の島で定期航路がないため、島へ渡るには船をチャーターする等の方法しかありませんし、そもそも実際に稼働している採石場なので、事故防止のためにも採石業者の許可を得ないと上陸できません。
 
上陸が難しい西島ですが、一島三角点がありますし、その脇にはコウナイの石(頂ノ岩)と呼ばれている奇岩があるため、ずっと興味はあったのです。
 
コウナイの石へ行く方法はないものかと色々検索していると、JTBのツアーで「パワースポット!国​生みの地・天の御柱『​コウナイの石』見学と​、前どれ魚料理」というのがあったので、家島の割烹旅館に集合、そこで解散という、姫路からの交通費を含まないのに1人¥8,000という金額でしたが、即申し込んでしまいました。
 
本日がそのツアーの日。
参加者は私も含めて6名。
 
ツアーの集合時刻は、家島の割烹旅館志みずに10:00ということでしたが、ちょうど良い時間の船がありません。
割烹旅館志みずは、家島の真浦港ではなくその東にある宮港が最寄りの港です。そこから徒歩で5~10分かかるのですが、10:00ちょうどに宮港に着く便では遅刻してしまいます。
 
しかし、その1本前の便は8:53宮港着。集合時間まで1時間以上ありますが、遅刻して他の方に迷惑をかけるわけにはいかないので、8:18姫路港発、8:53宮港着の高福ライナーに乗ることにしました。
 
今回は親戚が1人同行するので、その家族に姫路ポートセンター(家島行きの定期航路が出ている)まで車で送ってもらいました。
 
 
▲姫路ポートセンター
 
下のURLをクリックすると、Googleマップで姫路ポートセンターの位置が表示されます。
 
姫路ポートセンターの券売機で高福ライナーの切符を買うのですが、券売機の位置が「罠か!」と思うような場所。入口を入った後、振り返らないと見えないところにありました。
姫路から宮港までは、大人1人片道¥1,000です。
 
切符を買い、トイレを済ませて売店で飲み物を購入して準備は万端。

券売機脇の乗り場案内に書かれているとおり、5番乗り場へ向かいました。
 
 
▲姫路ポートセンター前の乗り場に停泊中の高福ライナー
 
8:18
高福ライナーが姫路港を出港。
 
客室内にエンジンの轟音が響き渡り、多少の揺れがあるので、普通の人にとっては乗り心地が悪いかも知れませんが、私にとってはこれが面白い。
 
 
▲高福ライナー客室内の様子
 
8:45
家島の真浦港で大半の乗客を降ろし、引き続き宮港へ向けて船が出発。
 
8:53
宮港に到着。
 
 
▲宮港にある待合所
 
割烹旅館志みずへは、宮港から道路に出て左(東)へ進みます。
 
 
▲宮港から割烹旅館志みずへの道の様子
 
家島島内はどこでもそうですが、広くても2車線幅(ただし中央線はない)しかなく、原チャが多い。
 
途中、海神社や水難者供養塔、延命地蔵尊、不動の滝等を見ながら歩いていると、目の前に綺麗な湾(家島漁港)の風景が広がります。
 
 
▲家島漁港のある湾の様子
 
その湾の砂浜の前に割烹旅館志みずはあります。
増築を繰り返したのか、複数の建物がくっついた不思議な外観。
 
 
▲割烹旅館志みず
 
まだこの時点で9時過ぎだったので、この周辺をちょっと散策したり、旅館の前でパノラマ撮影をしたりして時間つぶし。
 
割烹旅館志みずで撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年11月16日)

パノラマ画面左上のリストから、この旅館前のパノラマや1階のフロント、2階の201号室のパノラマを切り替えて表示出来ます。
フロント前と客室のパノラマは、ツアー終了後に旅館のご主人の許可を得て撮影したものです。
 
旅館の前でパノラマ機材を片付けていると、「あなたたちも西島へ?」と妙齢の婦人に声をかけられました。
そのご婦人とご主人も西島へ行かれるとのこと。
 
9:55
旅館に入ると、ご主人の高島氏(ツアーのガイドさん)に出迎えていただきました。
 
ツアー会社から送られてきたPDFファイルを印刷したものを手渡し、他の参加者が揃うのを待ちます。
ご主人によると、参加者は総計6名。

私たち2名と先ほどのご夫婦2名。あともうお二方参加されるようですが、まだ姿が見えません。
 
ご主人が「まだ10分ありますし」とおっしゃったので、「あぁ、聞き間違えじゃなかったのか。」と思い出しました。
実は、旅行会社から最終確認の電話があったとき、「集合時間は10:10、場所は割烹旅館志みず」と言われたのですが、メールなどでは集合時間が10時と書かれていたので、その電話の時も脳内で10:10を10:00に変換していました。
 
船の時間を考慮して、集合時間を調整していたのかな。
というわけで、10時ちょうどに宮港に到着したと思われるお二方が、10時過ぎに来られました。
 
10:10
全員揃ったので、西島へ向けて出発。
旅館の目の前にある桟橋からチャーター船に乗り込みます。
 
 
▲西島へ行くチャーター船
 
 
▲今回のツアーの移動経路
 
ガイドさんは何度もコウナイの石へ行かれていますし、その都度いろんなお客さんと一緒に歩かれているため、様々な知識と経験をお持ちです。
 
西島に着くまでの約15分の間にも様々なお話を伺いましたが、ここで書いてしまうともったいないので、是非現地で実際にお話を聞いてみて下さい。
 
 
▲チャーター船から見えたコウナイの石
 
10:30
西島の北西付近に着岸しました。
船首から下船しましたが、目の前は採石場の事務所(?)のような場所。
 
 
▲西島に到着(船首から降りた)
 
ここからは採石場内のダンプやブルドーザー、パワーショベルが走る道を徒歩で進みます。
何故ブルドーザーやパワーシャベルが走る道だと分かるかというと、ゴムのキャタピラの破片が道に落ちていたからです。
 
 
▲採石場内の道を上る
 
 
▲採石場はかなりの規模
 
10:54
振り返るとコウナイの石が見えました。しかし、まだまだ遠い。
 
 
▲途中で振り返ると頂上にコウナイの石が見えた
 
岩がゴロゴロしていたり、雨水でえぐられた深い溝ができた区間もありました。
 
 
▲岩がゴロゴロしている場所の様子
 
 
▲道がえぐられている場所の様子
 
ススキやシダが両側に生えた場所を通過すると、コウナイの石はまもなくです。
 
コウナイの石がある山頂は標高187.0m。登山口は標高ほぼ0m。
標高差187mは知れていますし、未舗装とはいえ車両が登る道ですから、楽に歩けます。
しかし暑い。
 
夏にもツアーがあったようですが、この季節のツアーに参加して良かった。
 
11:15
コウナイの石に到着。
 
 
▲コウナイの石
 
遠くから見るともっと高いように見えたのですが、近くで見ると、高さは目測で5mほど。
近づくと岩の上部が見えないので、小さく見えるのかも知れません。
 
もう一つの目的、一等三角点標石を探すと、コウナイの石のすぐそばにありました。
白い標示杭があるので、すぐに分かります。
 
 
▲一等三角点標石(点名:家島)
 
これでコウナイの石を間近で見て、普段は近づくことの出来ない一等三角点(点名:家島)を写真に撮れたので、目的はほぼ達成。残るは、家島の前どれ魚の料理だけです。
 
三角点より先に気になったのは、真新しい石像。
何処かの宗教団体が設置したんでしょうか。
 
 
▲コウナイの石近くの真新しい石像
 
ガイドさんの案内で、コウナイの石の周囲をぐるりと回ってみました。
南面には見られませんでしたが、岩の西面と北面の日当たりの悪い場所は、岩の表面が赤くなっていました。
鉄分が多いためだと言われているそうですが、コケのように見えます。
 
 
▲コウナイの石の表面にある赤い部分
 
コウナイの石の北東付近は、コウナイの石本体から剥がれ落ちたのか、岩がゴロゴロしていて、通るのに一苦労。
私は首から提げていたカメラを岩にぶつけ、傷を付けてしまいました。
目立たないところなら良いんですが、上面の液晶周囲なので、目立って仕方ありません。
 
 
▲コウナイの石の北東付近の様子
 
コウナイの石の西側では磁場がおかしくなる(ゼロ磁場なる“似非”科学的な用語を使う人がいるようです。私はコンパスを持っていましたが、全く問題なし)、この石を取り除こうとした業者がさんざんな目に遭った、コウナイの石の北にある岩に刻まれた古代文字と呼ばれる文字を調査しに、研究者とテレビ局の一団が来たこともあるなど、いろんなお話を聞かせて頂きました。
 
ガイドさんはアメリカの大学で経営学などを学んだ方、つまり勉強好きの方なので、その手の話の信憑性はよくご存じなのでしょう。中立の立場でうまく説明をされていました。
信じるも信じないも、聞き手の自由。
 
11:45
コウナイの石を後にし、往路をそのままたどって船へ戻りました。
 
道の幅が広いのと、背の高い木々がないこと、採石のため広大な斜面が削り取られ、道の近くは絶壁が多いことから、とにかく展望が良い。
 
登るときは時々振り返って景色を楽しんでいましたが、下りはその景色が終始目に入るので、歩いていても楽しいのです。
 
コウナイの石の前と、採石場がよく見える場所をリコーのThetaで撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年11月16日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/ieshima20141116_theta/virtualtour.html

パノラマ画面 左上のリストから2箇所のパノラマを切り替えて表示出来ます。
 
12:25
割烹旅館志みずを目指し、チャーター船が西島を出発。
 
旅館に戻り、2階のレストランに参加者全員で集まりました。
程なく、テーブルに料理(前菜)が揃いました。
 
13:00
昼食開始。
 
 
▲前菜類
 
写真左下はキスの南蛮漬け。傷みやすくて苦い内臓まで美味しく頂くために、手間をかけて調理されているとのことで、丸ごと一匹ぱくっと頂きました。
全く内臓の苦みはなく、美味しい。
 
右下のお皿にはアサリのしぐれ煮、穴子の骨せんべい、ひじきなどが乗っていますが、どれもが美味しい。
 
目玉は、右奥のお皿(刺身)に乗っていたシャコ。なんと、生のシャコです。
食べてみるとトロトロで甘い。
 
とにかく、何もかもが美味しいのです。

過去にブログでも何度か書いたことがありますが、私は海産物があまり得意ではありません。
そんな私でも「美味しい」と感じながら食べられた料理ですから、海産物が好きな方なら間違いなく楽しめる料理でしょう。
 
姫路の酒蔵のお酒がたくさん置かれていたので、その中でも珍しい下村酒造のお酒を注文し、上に書いた絶品料理を当てに昼間っからほろ酔い。
 
13:30頃
メインディッシュの穴子重が出てきました。
 
 
▲穴子重と穴子のすまし汁
 
この穴子の肉厚がすごすぎて、一見すると鰻重です。
穴子を噛んでみると、適度な歯ごたえの後に爽やかな穴子の風味。これは美味しすぎる。
 
ご飯は全体にたれが見事に混ざっていて、全くムラがありません。
 
なんでも、焼くときに香りが出るようでは、うま味や風味を外へ捨てているのと同然ということで、ご主人(ガイドさん)は如何にうま味を逃がさずに素材を調理できるかを日々研究されているそうです。そのため、焼くのに5時間かかるような料理もあるとのこと。
 
本日の昼食がどれもこれも美味しいのは、その研究成果でしょう。
このおいしさが評価され、タイヤで有名な会社の書籍にも掲載される予定だとか。
 
ご主人のお話では、「自分が食べたいと思えるものを作り、お出ししたい」「自分ならこの料理にいくら出せるか、つまりその金額でも食べたいと思える料理を作りたい」「自分が楽しめることをやりたい」という方針で経営されているそうです。
 
穴子重とおすましを頂くと、もう満腹。

今回の料理をコースで普通に食べるだけでも8,000円かかってもおかしくないような料理でした。
 
料理に関しては、今回は特別に多かったようです。毎回こんなに出てくるわけではないそうなので、次回(いつか分かりませんが)のコウナイの石見学ツアーに申し込もうと思われた方は、ご注意下さい。
 
食事後は自由解散。
 
私と親戚は、ご主人の許可を頂いてロビーと客室でパノラマ撮影をし、生け簀(通常は非公開)の超巨大ワタリガニ(900g!)を見せて頂いてから、15:12宮港発(15:47姫路港着)の高福ライナーで帰路に就きました。
 
本日のツアーの様子を5分の動画でまとめてみました。