Part 1「1回目の姫路空襲」から続く
※この章はTMRの内容と関係ありません。
ここで、B-29がどのような爆撃機だったのかを見ておきましょう。
B-29にはSuperfortress(スーパーフォートレス)、「超空の要塞」の愛称がつけられていました。
Wikipediaによると、1機あたりの納入価格は639,188 USドル。
Wikipediaによると、1機あたりの納入価格は639,188 USドル。
Boeing社のWebサイトによるB-29の仕様は、次の通りです。
▲B-29 Superfortress(Boeing社のWebサイトから転載)
全幅:約43m(141 feet 3 inches)
全長:約30.2m(99 feet)
総重量:約47.6トン(105,000 pounds )
最高速度:約587km/h(365 mph)
巡航速度:約354km/h(220 mph)
行動半径:約9,400km(5,830 miles)
上昇限度:約9,700m(31,850 feet)
エンジン:2,200馬力 ライト・ダブル・サイクロン・エンジン(Wright Double Cyclone engines) x4発
乗員:10名(「XX Bomber Command B-29 Combat Crew Manual」では、搭乗員の数を11名としています。)
武装:50口径機関銃 x12、 20mm機関砲 x1、9トン(20,000ポンド)の爆弾を搭載可能
初飛行:1942年9月21日
全長:約30.2m(99 feet)
総重量:約47.6トン(105,000 pounds )
最高速度:約587km/h(365 mph)
巡航速度:約354km/h(220 mph)
行動半径:約9,400km(5,830 miles)
上昇限度:約9,700m(31,850 feet)
エンジン:2,200馬力 ライト・ダブル・サイクロン・エンジン(Wright Double Cyclone engines) x4発
乗員:10名(「XX Bomber Command B-29 Combat Crew Manual」では、搭乗員の数を11名としています。)
武装:50口径機関銃 x12、 20mm機関砲 x1、9トン(20,000ポンド)の爆弾を搭載可能
初飛行:1942年9月21日
Youtubeでたまたま見つけた米軍のB-29パイロット教育用映画「Official Training Film T.F. 1-3353(1944)」によると、人が乗る部分はパイロット・コンパートメント《機長、副操縦士、爆撃主、航空機関士、航法士、無線士》、主翼のすぐ後ろ側にあるガン・コントロール・コンパートメント《左舷銃手、右舷銃手、上部銃手、レーダー手》、機体最後尾にあるテイル・ガナー(尾部銃手)・コンパートメント《尾部銃手》の3カ所(《》内は各コンパートメントに配置されている搭乗員を表している)。
(レーダー手はこの映像で紹介されていません。)
(レーダー手はこの映像で紹介されていません。)
www.youtube.com
▲"B-29 Flight Procedure and Combat Crew Functioning" AAF training film (full)
(全編英語。日本語字幕無し。36分31秒)
搭乗員が乗る空間は与圧されていて(pressurized)、高度9,140m(30,000フィート)までは、高度約2,440m(8,000フィート)と同じ気圧が保たれるようになっていました(ただし、高度10,000フィート以上では各コンパートメント内で1名は酸素マスクを着用する。上の動画の24:30あたりを参照)。
気圧の問題はこれで解決できますが、寒さに対しては暖房設備やヒーター付の上着で対応していました。
武装も革新的で、それまでの爆撃機では銃手が直接機関銃を操作していたものが、B-29ではリモコン操作になっています。
銃手が透明な出窓から外を見ながらバイクのハンドルのようなものを操作すると、それと連動して電動の砲塔が動きます。
また、一人の銃手が複数の砲塔を遠隔操作することも可能でした。
出窓を使うことで広い視野が得られ、遠隔操作で複数の砲塔を制御することで、少ない人員で効果的な攻撃が可能になっています。
しかも、弾道計算用のアナログコンピュータが搭載されていて、銃手は照準機を敵機に合わせるだけで良かったのです。それまでは、戦闘機の移動速度などを考慮し、敵機の未来位置を狙う見越し射撃をする必要がありました。
B-29 gun turret sighting system at Boeing Seattle Part 1
▲B-29の火器管制装置で砲塔を遠隔操作するデモンストレーション動画(全編英語。日本語字幕無し。1分34秒)
▲B-29の火器管制装置での照準について説明する動画(全編英語。日本語字幕無し。4分27秒)
B-29の機体内部の構造をWebで検索してみると、パイロット・コンパートメントとガン・コントロール・コンパートメントの間には爆弾倉があり、その中に乗員用の連絡トンネル(パイプ)があって、それを使って搭乗員はコンパートメント間を行き来し、ガン・コントロール・コンパートメント後部には、トイレとベッドがあったようです。
爆撃行程では、昼間はノルデン爆撃照準機というアナログコンピュータ式の照準機で正確に目視照準をし、夜間は爆撃手とレーダー要員が共同で照準を行うレーダー同期法が使われました。
爆弾は、B-29から投下された瞬間にその真下にある地点へ落ちるわけではありません。B-29の搭乗員から見るとまっすぐ落ちるように見えますが、地上から見ると爆弾(焼夷弾)は前へ進みながら落下します。
爆弾の空気抵抗や風、爆弾投下時のB-29の高度や速度が、爆弾が落ちる場所を決める要素になりますが、これらの要素を入力することでノルデン爆撃照準機が必要な計算を行い、狙っている場所に爆弾を落とすためには、いつ投下すればよいかを算出してくれるのです。
ノルデン爆撃照準機はB-29の自動操縦装置と連動していて、爆撃行程に入ると、パイロットではなく爆撃手が機体の操縦を行っていました(パイロットは機体の姿勢、高度、スピードを維持するための操作は行う)。
目視照準の場合は、爆撃照準機のスコープで地上を見ながら爆撃手が機体の方向を制御するので、正確に爆弾を投下できます。
レーダー同期爆撃の場合は、レーダー手がパイロットと爆撃手に適宜指示を与えて機体の向きを調整し、爆弾を投下します。
▲東京空襲をモデルにしたレーダー同期爆撃の説明。レーダー手と爆撃手がインカムでやりとりをしながら爆弾を投下する様子が説明されています。(全編英語。日本語字幕無し。8分35秒)
B-29はこのような最新装備を持っていたため、日本で一般的に行われていた灯火管制はほとんど意味がありませんでしたし、迎撃機にとっては、なぜ正確に自分に向けて弾が飛んでくるのか不思議だったことでしょう。
第2次世界大戦中の爆撃機と言えば密集編隊で飛行しているイメージがありますが、B-29搭乗員向けのマニュアル「XX Bomber Command B-29 Combat Crew Manual」によると、爆撃機が密集するのは、日本軍の迎撃機に集中砲火を浴びせることが出来、爆撃機どうしが互いを守りあう体制を取れるからという理由の他に、高射砲からみて標的の大きさが小さくなる(散開すると大きな的となり、損害を受けやすくなります)という理由もあったようです。
B-29に向けて高射砲による攻撃が行われていますが、高射砲について知らない方も多いと思いますので、簡単に説明しておきます。高射砲弾は、発射される前に爆発するタイミングがセットされ、発射後、設定された時間が経過すると自動的に爆発して破片を周囲にばらまきます。
つまり、B-29のいる高度まで上がったところで爆発するように時限信管をセットするわけです。高射砲は、敵機への直撃を狙う兵器ではありません。
Part 3「2回目の姫路空襲」へ続く