播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

Surefire社製フラッシュライトのエントリーモデル:G2X Pro

懐中電灯は英語で「flashlight(フラッシュライト)」ですが、日本のライト好きの間では、普通の人が懐中電灯と聞いて思い浮かべる「暗い電球を使用する、ちょっと大きめの懐中電灯」を「懐中電灯」、「軍用や警察用の小型で強力な懐中電灯」をフラッシュライトと呼んで区別されています。
 
今回紹介するのは、日本でフラッシュライトと呼ばれているジャンルの製品。

フラッシュライトに興味のある人なら必ず知っていると言ってもいいアメリカのSurefire(シュアファイア)社が2010年の夏に発売した製品の内の一つです。
 
Surefire社はアメリカの警察や米軍にフラッシュライトを納入しており、警察官や兵士の絶大な信用を得ているメーカーですが、それゆえ製品の品質は高く、価格も品質・性能に比例して高くなっています。
 
1本の値段が数万円(数百ドル)するのが当たり前のSurefire製品。
しかし、この夏に発売された最新モデルの中には、実売価格が1万円を切るモデル(定価は65ドル)があります。
一流品を作っているメーカーが値段を下げるとどんな製品になるのか興味が湧いたので、購入してみました。
 

▲G2X Pro
 
拡大画像はこちら http://shimiken.my.coocan.jp/zoomify/g2xpro.html をクリックすると表示されます(Zoomify 要Flash)
 
メーカー:SureFire, LLC.(アメリカ)
製品名:G2X Pro
全長:5.2インチ(約13cm)カタログ値
重量:4.4オンス(約125g)カタログ値(電池含む)
電源:SF123A(CR123A) x2本
光源:LED x1(Lowモード:15ルーメン、Highモード:200ルーメン)
ランタイム:Lowモード:45時間、Highモード:2時間(カタログ値)
耐候性:日常生活防水
材質:アルミ(ベゼル、テイルキャップ)、ポリマー樹脂(本体)、ポリカーボネート(レンズ)
日本定価:¥11,261
米国定価:$65.00 USD
 
届いたライトのパッケージは、ブリスターパッケージでした。つまり、厚紙の台紙に製品をかたどった透明なプラスチックのカバーが貼り付いており、その中に製品が入っているという形状。
販売価格が安い製品でよく使われている、高級感も何もない、(破らないと開封できないので)開封と同時にゴミになるパッケージです。売り場では目立って良いのかも知れませんが、高級品には見られない梱包です。
 

▲G2X Proのパッケージ
 
パッケージは残念でしたが、ライト自体はやはりSurefire製の高級感を感じます。

本体はポリマー樹脂(ナイトロロン)なので、冬場に触っても冷たさを感じません。デザインと滑り止めを兼ねた凹凸があり、握りやすい。
(ただ、本体が短くベゼルはアルミ製なので、ベゼルに触れる部分(右手の小指側)には冷たさを感じます。)
 

▲G2X Proの本体(樹脂部分)
 
フラッシュライトは、警察や軍では相手の目をくらませて動きを封じ込めるための光の「武器」として使われていますが、アルミ製の冷たいベゼルが「武器」らしい雰囲気を醸し出しています。
安いエントリーモデルでもこれだけの質感があるのは、さすがSurefire。
 

▲アルミ製のベゼル
 
私が買ったのは「G2X Pro」ですが、「G2X Tactical」というモデルもあります。ProとTacticalの違いは、スイッチと明るさです。
 
TacticalはSurefire製品の伝統的な動作モード、つまりボタンを押すと押している間だけ点灯(間欠点灯)。そして、テイルキャップをねじ込むと常時点灯(緩めると消灯)というスタイルで、明るさは200ルーメン。
 
Proはボタンがクリックスイッチになっており、クリックされる手前でボタンを押すのを止めると、ボタンから手を離すまで15ルーメンで点灯(間欠点灯)。
ボタンをクリックすると15ルーメンで点灯し、もう一度クリックすると消灯(Tacticalではテールキャップをねじ込んだり緩める動作に相当)。
 
Tacticalは軍用や警察用の仕様です。必要な時にパッと点灯出来て、必要が無くなればすぐに消灯出来、捜索などで長時間点灯させておきたいときはキャップをねじ込むという使い方がメイン。手元を照らすよりは、遠くの相手を見つけたり、相手の目をくらませるのが目的なので、明るさは強力な200ルーメン。
 
いくら軍用品が好きな私でも、これだと使いにくいのでProを購入しました。
 
Proは使いやすいように前述したとおりクリックスイッチを使い、さらに明るさを15ルーメンと200ルーメンの2段階に変更できるようになっています。
 
明るさの切り替え方法が少し変わっています。

間欠点灯の場合は、ボタンを軽く押して15ルーメンで点灯させ、その後ボタンを離します。そして、2秒以内にもう一度ボタンを軽く押すと、200ルーメンでの間欠点灯になります。
この状態でボタンを離すと、次にボタンを押したときはまた15ルーメンです。
 
常時点灯の場合は、一度クリックして15ルーメンで点灯させてからもう一度クリックしてOFF。2秒以内にもう一度クリックすると、200ルーメンでの常時点灯になります(消灯すると、次に点灯したときにまた15ルーメンに戻っている)。
 

▲G2X ProのLEDとリフレクタ(反射鏡)
 
民間用途で実際にライトを使う場合は、15ルーメンで十分なことがほとんどなので、スイッチを入れるととりあえず15ルーメンで光るという動作で、実用上全く問題はないでしょう。
 
G2X Proのスイッチは、一見するとSurefireの従来製品と同じボタンに見えるのですが、触るとグニョッと変形します。つまり、ボタンに見える部分はゴムのカバーになっており、その中にクリックタイプのスイッチが入っている構造です。
 

▲テイルキャップのスイッチ
 
先日紹介したLeathermanのMonarch500は100ルーメンの明るさ。あれでも光量は十分だと感じていたので、200ルーメンはすごすぎます。

日常生活のどういった状況でこの光量が必要になるのか、今のところ想像できません。
山歩き中に洞窟や坑口に出会ったとき、入口から奥の様子を探るくらいか。
 
プロ用機材は、機械としてみた場合の性能や使いやすさに優れていても、運搬や保管のしやすさが考慮されていない場合が多々あります。

今回購入したG2X Proもプロ用(何の?)機材なので、大光量のライトとしては優れていますが、持ち運び用のケースや、ベルトに付けるためのクリップ、首から提げたり紛失防止に使うためのストラップホールといったものは一切付属しません。(このライトを必要とする警察官や兵士なら、ライトを入れるためのポーチ類を持っているでしょうし、クリップは携帯時に便利でも、ライトを握るとき(使用時)は邪魔です。)
 
ランニングコストもすごい。
電源としてCR123A電池を2本使いますが、オンラインの激安店で購入しても2本で¥500弱。普通のホームセンター等では、1本¥600~¥700で売られています。
 

▲Surefire純正のSF123A(CR123A)電池2本パッケージ(実売$5~8 USD)
 
200ルーメンで点灯させた場合のランタイムが2時間(明るさが200ルーメンから50ルーメン未満へ落ちるまでの時間)なので、安い電気店で2本¥1,000でCR123Aを買ったとして、1分の照射にかかるコストは¥8。
15ルーメンでも¥0.4/分程度になります。

警備などの仕事で使うには、コストパフォーマンスが悪すぎです。
 
でも、この質感と明るさには惚れ惚れしてしまうので、ライト好きの方にとっては、コレクションに加える価値はあると思いますよ。

今まで当ブログで紹介した山道具の一覧を公開しています。興味のある方はどうぞ。
山道具一覧←クリック