播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

暗い場所で便利な腕時計:Luminox 3001RH

大学在学中や卒業後しばらくは屋外で働くアルバイトをしていたため、当時はミリタリー(軍用)腕時計を使用していました。普通に市販されているミリタリーの腕時計ではなく、米軍に納入されている本物の軍用腕時計を、G-Shockよりも珍しいのと視認性の良さが気に入って愛用していたのです。

 

しかし、本物の軍用腕時計はオモチャのような質感です。
全体がプラスチック製で風防もアクリル、バックルはちゃちなプレス成形品で、このバックルはすぐに汗で錆びるし、風防はアクリルなのであっという間に傷だらけ。研磨剤で傷は消えますが、やはりすぐまた傷だらけになります。
マニア以外の人が見ると、子供用のオモチャの時計か?と思われそうなシロモノです。

 

それでも使っていたのは、放射性物質のトリチウムを使った蛍光管が文字盤と針に埋め込まれ、夜間でも高い視認性が確保されている(蓄光ではなく常に発光し続けている)ことと軽さが素晴らしかったからです。

 

民間用の腕時計で、この「電池を消耗せず、ボタン操作も必要無い」発光システムを搭載した腕時計は、(少なくとも当時の私の知る限りでは)存在しなかったはずです。

 

そんな時、アメリカのルミノックスというメーカーが、海軍特殊部隊SEALs(シールズ)向けに開発した腕時計を市販するという情報を知りました(こういった宣伝文句は大抵眉唾ものです・・・)。
(2015/2/21追記 本物のSEALs隊員だった人物が書いた自伝「American Sniper」を電子書籍版で読むと、こう書かれています。「ON MY WRIST, I'D WEAR A G-SHOCK WATCH.THE BLACK WATCH and its rubber wrist band have replaced Rolex Submariners as standard SEAL equipment.」SEALsの隊員が使用する腕時計は、G-SHOCKだそうです。それまではロレックスのサブマリーナがSEALsの標準装備だったとか。追記ここまで)

 

画像を見ると、それは当時私の欲しかった米軍の「SANDY P650」という軍用腕時計を真似た外観で、これなら日常的に着用しても恥ずかしくなさそうと思い、日本での発売後まもなく購入しました。

 

しかし、映画やドラマの登場人物がルミノックスの腕時計を着用したため人気が出てしまい、ルミノックスを腕にはめている人を多く見かけるようになってしまいました。
そんなわけで、ブームに乗ってルミノックスを買ったように思われるのも嫌なので、購入から数年で手放してしまいました。

 

それ以来ルミノックスの腕時計は買っていなかったのですが、日常生活や自転車に乗るときのために視認性が良く、軽くて着け心地の良い腕時計が欲しくなり、6~7年ぶりにルミノックスを購入してみました。

 

前置きが長くなりました。

 

今回購入したのは、最もシンプルなデザインで、なおかつ現時点で最新版である「3001 RH」(日本向け正規品)です。
私が昔使用していたのも3001でしたが、今回のモデルは型番に「RH」が付いています。これは「Red Hand」、直訳すると「赤い針」となり、長針と短針は白ですが、秒針のみ赤色に塗装し、秒単位での計時を行いやすくしたモデルであることを表しています。
また、RHモデルは文字盤のアラビア数字が蛍光塗料(蓄光)で印刷されており、光に当てておけば、暗い中で数字もしばらくの間は光ります。

 


▲撮影のために竜頭(リュウズ)を引き出しています

 

製品名:ネイビーシールズ ダイブウォッチ 3001RH
メーカー:LUMINOX(アメリカ)
サイズ:ケース幅 44mm x ケース厚 11mm(カタログ値) ラグ幅 22mm
重量:27g(ベルト含まず。カタログ値)41g(ベルト含む実測値)
耐候性:200m防水
ムーブメント:Ronda515(クオーツ)
電池寿命:約4年(カタログ値)
国内定価:\34,650
アメリカ定価:$275.00 USD

 


▲ジッパーで開閉するセミハードケースに入っていました

 

私は腕時計の裏面(大抵はステンレス)が手首に直接触れるのが嫌(汗をかくと不快感があり、肌が赤くなる)なので、普段なら購入後すぐにバンドを交換し、軍用腕時計のようにケース背面が直接手首に触れないようにするのですが、今回は購入時の状態そのままで使うことにしました。
というのも、ケース裏面がプラスチックになっていたからです。昔はステンレス蓋だったような記憶があるのですが、今回購入したモデルはケースだけでなく裏蓋も樹脂製(ケースはポリカーボネート/カーボン製と表示されています)。しかも、バンドが柔らかく、装着感が非常に良いのです。

 


▲ケース裏面のようす

 


▲ケースやバンドの厚み

 


▲バンドにもLUMINOXのロゴが

 

全体の軽さ、ケースの薄さ、ケースの適度な大きさ、バンドの柔らかさが相まって、着け心地は素晴らしい。

 

時計としての使い心地も優秀です。
文字盤はアナログで、アラビア数字がプリントされています。ローマ数字や単なる棒がインデックスとして使われている時計を見かけますが、見やすさという点ではアラビア数字が最高です。
ただ、LUMINOXロゴやその他のマーキングがちょっと目障りです。

 

長針と短針は太くて白い針で、黒い文字盤に対してよく目立っています。この色の組み合わせも、私が軍用腕時計を気に入っていた理由の一つです。
秒針は赤くて細いため、通常は時刻を読み取る際に目立ちにくくなっており、時間が読みやすい。
秒単位の計測をしやすくするために赤く塗装しているとメーカーは謳っていますが、黒(文字盤)と赤(秒針)という対比では、真っ白な長針と短針に比べて秒針が目立ちません。まぁ日常生活で秒単位の計測はほぼ必要無いので、この色の組み合わせはなかなか良いと思います。

 

ベゼルの数字も大きくて読みやすく、逆回転防止機構も「カチカチッ」というクリック感がしっかりしており、値段だけのことはある印象です。
ちなみに、本来こういったベゼルはダイビング時、潜水開始から何分経ったのかを知るために使いますが、日常生活でもインスタントラーメンを作るときや、有料の駐車場に車を止めた時に便利です。

 

肝心のトリチウム蛍光管ですが、12時位置はオレンジ色で他は全て薄い緑色。長針、短針、秒針にも蛍光管があり、回転ベゼルの12時位置にも薄い緑色の蛍光管が付いています。これは昔から変化していないようです。
日本の法律では放射性物質の規制が厳しいため、海外モデルに比べて日本向け正規品(文字盤の4と5の間に「T25」とプリントされているのが日本の基準に適合した正規品)の蛍光管の発光は弱いはずですが、実際に闇の中で見てみると、充分な明るさだと感じます。

 


▲暗い場所ではこのように見える(数字は蓄光なので、時間が経つと見えなくなります)
目盛りは見えませんが、9時1分29秒を指していることが分かります。

 

蛍光管の中央に長針が来ていると、その場所にある数字x5の分を表し、蛍光管の両端はそれぞれ1分前と1分後の位置にあります。そのため、暗闇の中でも、長針の指す位置を見れば分単位で時刻が読み取れます。蛍光管と蛍光管の間を長針が指している場合は、どちらの蛍光管に近いかで何分かが分かります。

 

欠点は、組立精度の低さ。秒針の動きと文字盤の目盛りの位置関係が怪しいのです。
クォーツなので、機械式腕時計と違って秒針は1秒ごとに一気に6度進み、いったん止まります。秒針が止まるときに、秒針の先端と文字盤の目盛りがピッタリ揃いません。個体差はあると思いますが、これで出荷時の検査に合格するのはどうなんでしょう。
日本製の1万円程度のクォーツアナログ時計でも、秒針と目盛りはピッタリ一致していますから、3万円以上の値段を付けるのであれば、もう少しきちんと作って欲しい。日常生活で秒針をまじまじと見ることはないし、実用上問題はないんですけどね。

 

若干の不満はあるものの、ルミノックスの腕時計を使うのはやっぱり快適です。装着感が良く不快感がないためいつも手首に着けておけますし、就寝時は枕元に置き、暗闇の中でも時間が分かるようにしています。

 

日付表示と時刻表示しかなく、大部分が樹脂製の腕時計がこの価格というのは賛否分かれそうですが、このデザインと発光システムに魅力を感じる方なら、買って損はないと思います。



余談ですが、本当に米軍や自衛隊の地上部隊で使用されている腕時計はG-Shockです。自衛隊のイベントで隊員の時計を見ても、米軍のイベントで米兵の時計を見ても、大半はG-Shock。米軍だと、数人だけSUUNTOを見かけました。

安くて頑丈(壊れにくいし、安ければ万一壊れたり無くしても悲しくならない)、多機能なので、フィールドで使うのならG-Shockが一番良いんでしょうね。