播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県宍粟市のやまめ茶屋~戸倉反射板

注意!
今回歩いたルートは、道がありません。国土調査のための切り開き等を利用しています。
初心者や読図の出来ない方は、道迷いの恐れがありますので挑戦しないでください。
その他の危険もありますので、マニアの方も単独での挑戦は避けてください。

 


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「戸倉峠」

 

今日は、2009年6月14日に歩いたルートから分岐していた道の確認に行ってきました。
その道は、氷ノ山の殿下コース登山口から少し東にある、南端がやまめ茶屋の裏にある尾根を通っているように見えました。
昔の殿下コースかも知れないとのことで、わーさんと一緒にその尾根を歩いてきました。

 

8:00
道の駅やまさきに集合。
国道29号線を北上します。

 

有名な滝流しそうめんの向かい側に広いスペースがあるので、そこに駐車。

 


▲国道29号線沿いの滝流しそうめん。この向かい側の空き地に駐車した。

 

9:00
出発。

 

国道29号線を西へ歩き、やまめ茶屋の看板を目印に北へ延びる道へ入ります。
まもなく、右手側に鎖がかかった橋があるので、それを渡ります。これは地形図の実線道。

 

川の左岸からやまめ茶屋の方を見ると、古めかしいボンネットバスが放置されているのが見えました。

 


▲放置されているボンネットバス

 

やまめ茶屋のすぐ裏まで伸びているとがった尾根から取り付くことにしていましたが、地形図の通り川を越える必要があります。川とは言っても幅が狭いので、飛び越えて渡り、尾根に取り付きました。(安全のため、防水の登山靴とスパッツで防御した上で、ザブザブと歩いて渡る方が良いと思います)

 


▲徒渉地点(地図中「徒渉地点」)

 

9:20
尾根の先端に取り付きました。
境界杭が埋まっており、測量用の紅白ポールが放置されていました。尾根に沿って測量のための切り開きがあると期待できます。

 

期待通り、尾根には明確な切り開きがありました。

 


▲尾根の切り開きの様子

 

この切り開きは一直線でかなり急です。いきなり汗だくになり、あえぎながら登っていきます。

 

標高800m付近まで登ってくると、ようやく斜度がゆるんできました。
稜線まで出ると、自然林や苔むした岩が現れ、疲れた体を癒してくれます。

 

10:12
938.5m四等三角点(点名:坂ノ下)に到着。
GPS測量のために木々が伐採されていますが、GPS測量ですから空に向けての展望だけが確保されており、周囲の展望は皆無です。

 


▲938.5m四等三角点(点名:坂ノ下)の様子

 

三角点から先も広い切り開きがあり、マニア向けのルートとは思えないほど快適に歩けます。

 

標高1000m付近から斜度がきつくなりますが、50~60mほどの標高差を我慢して登れば、あとはほとんど平坦な区間です。

 


▲平坦な区間に入る直前の急斜面

 

10:40頃
平坦な区間に入りました。植林の幅広尾根なので、どこでも好きなように歩けますが、境界杭に沿って歩いた方が快適です。

 


▲平坦な区間の様子

 

11:05
突然目の前の視界が開け、電波反射板に出会いました(地図中「戸倉反射板」)。
反射板自体は珍しい物ではありませんが、低山ではなく、標高の高い山奥で見たのは初めてかも知れません。

 

旧建設省が立てた反射板で、南東を向いています。電波反射板ですから、それが向いている方向は木々が伐採され、展望が楽しめます。ここが今回のルートで最初で最後の展望箇所でした。

 


▲戸倉反射板

 

ここから先も今までと同様の植林の中の道ですが、東西に延びる主稜線に近づくと、笹藪が現れます。
しかし、測量士が付けたと思われるマーキングや境界杭に沿って歩けば、笹藪の中の切り開きを通れるので、藪こぎの心配はありません。

 


▲笹藪の中に付けられた切り開き

 

11:25
2009年6月14日に歩いたルートに合流しました。
6月14日にこの分岐を見つけたときは「やまめ茶屋へ下るのだろう」という結論になりましたが、まさしくその通りだったようです。
ただ、東西に延びる主稜線上で見られた「殿下コース」のプレートが一切見あたらなかったので、今回歩いたコースが殿下コースだったとは考えにくい。

 

とりあえず今日の目的(6月14日に見た分岐の道がどこに続いているのかの確認)は達成できたので、引き返して反射板の下で展望を楽しみながら昼ご飯を食べることにします。

 

11:40
反射板まで戻ってきました。ここで昼食。
私の昼ご飯はコンビニおにぎりx2。暑いだろうから少しでも楽に歩けるようにと思い、荷物を徹底的に減らしてヒップバッグ(アークテリクスのQ10)で歩いたため、こんなシンプルなメニューになりました。

 

12:05
昼ご飯を食べ終わり、往路をたどって下山開始。

 

12:10頃
地図中の象のアイコン(GPSでは動物園を表すアイコン)のある場所で「クマや!」とわーさんの声。

 

私はまったく気づかず「何かの見間違いだろう」と思って気にせず前に進もうとしましたが、わーさんが笛を吹き、大声を上げると、前方数十メートルを子グマが右手の笹藪の中へ消えていきました。

 

あっけに取られていたため写真はありません。

 

気持ちを落ち着けて歩き出したところで、再びわーさんの声。見ると黒い物体が進行方向20~30m先の木の下にあります。
正体が分からないので望遠鏡代わりにカメラのファインダーを覗き、めいっぱい望遠側までレンズを回しましたが、オートフォーカスでピントを合わせようとしたら手前の木にピントが合ってしまい、肝心の黒い物体はぼやけたまま。

 

マニュアルフォーカスに切り替えようとしましたが、面倒だし、クマだったら逃げたはずなので「岩でしょう」と答えて進もうとした瞬間、黒い物体が動き、形がはっきり分かりました。2頭目のクマ(先ほどの子グマの母親?)でした。
クマの顔がこちらを向いた瞬間、反射的に逃げようとしてクマに背を向けてしまいましたが、わーさんに「背中を見せたらアカンやろ」と言われて「そう言えばそうだ」と納得して再びクマの方を見ると、子グマと同じように笹藪の中へ消えていきました。

 

クマは音で人間の存在に気づくと、自分から逃げていくというのが通説のはずですが、今回は笛やわーさんの大声にも動じず、クマはずいぶん長い時間その場に居座っていました。

 

どこかの国では、クマに出会う可能性のある環境にいる子供には、クラッカーを持たせるというのをどこかで見ましたが、火薬の音ならハンターが近くにいると勘違いし、びっくりして逃げてくれるのかな。

 

13:30
駐車場所に戻ってきました。

 

クマに出会ってから脳内に妙な興奮物質が出ていたようで、気分はハイ。
下山があっという間に終わったように感じました。



動物達へ自分の存在を知らせることの重要性、そして何より、動物達の世界に踏み込んでいることを実感した山歩きになりました。