播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

小豆島の星ヶ城山

突然船に乗りたくなり、船でどこかへ行こうと思い立ちました。
どうせ船に乗るなら山への移動手段として使いたいと考え、小豆島の最高峰である星ヶ城山に登ることにしました。

 


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「寒霞渓」

 

6:20
ちょっと家を出るのが遅すぎて、6:20発のバスは出発してしまいました。

 

次のバスを待つと、フェリーの出港5分前に港に到着という無謀な挑戦になってしまいます。仕方がないのでタクシーを利用して姫路港フェリー乗り場へ。
バスだと25分程度だそうですが、タクシーなら15分。料金は2,150円でした。いきなりムダな出費。バスに乗れていたら、片道わずか260円なのに・・・。

 

6:40
姫路港フェリー乗り場に到着。
建物に入って右奧に切符を買う窓口があります。片道で料金は1,320円。

 

6:45
乗船開始。車と旅客がフェリーに乗り込みます。お遍路さんが大量にいたため、船内は大混雑。
私は左舷後方に座りました。小豆島の福田港で下船する時は、左舷後方にタラップがかかるので、この付近に座っていれば早く下船できます(ただし喫煙席)。

 

7:15
定刻通りにフェリーは出航。姫路港へは船首から突っ込んでいたため、まずは後進。そして、戦車のような超信地旋回で船首を南に向けて出発。

 

フェリーの旅は片道100分。
ちなみに、GPSでスピードを測ってみましたが、フェリーの速度は時速27km前後でした。

 

8:55
定刻に小豆島の福田港に到着。福田港では、フェリーは港の手前で180度旋回し、船尾から着岸します。

 

フェリーを下りて右前方、ずいぶんわかりにくい所にバス停がありました。ここでバスを待ちます。

 

9:10
小豆島を走る路線バス、通称「シマバス」が定刻にバス停にやってきました。きれいな新車でした。
これに乗り込んで草壁港へ。
海岸線沿いの道路は左手側にきれいな景色を楽しめます。30分ほどでバスの旅は終了。

 

9:43
草壁港に到着。料金は730円。

 

バスを降りると、道の向かい側に「紅雲亭」方面の草壁港バス停があります。道路を渡ってそちらでバスを待ちます。

 

9:55
紅雲亭行きのバスが到着。福田港から乗ったバスとは違い、床が木製。乗った瞬間に木の香りがします。

 

10:08
このバスに十数分間揺られ、紅雲亭に到着。料金は350円。

 

地形図の通り、ロープウェイ乗り場の左から道が北へ延びているのですが、実際は実線で表示した方が良いほどの簡易舗装の遊歩道です。

 


▲地形図にも載っている遊歩道は、ロープウェイ乗り場の左から始まっている。

 

10:18
遊歩道歩き開始。
簡易舗装で斜度が緩いので、非常に楽に歩けます。(後で分かりましたが、GPSを見ると、平均時速3.2kmで歩いていたようです。)

 


▲遊歩道の様子(実際にこんな景色があるのはごく一部で、大部分は展望なし)

 

遊歩道に動物の糞がたくさん落ちています。何の糞だろうと思っていると、横の木々からガサゴソと音が鳴り、猿が現れました。それも、1匹や2匹ではありません。あっちの木もこっちの木もワサワサと揺れていて、見上げると猿が遊んでいます。
そうか、猿の糞だったのか。
人になれている様子はなく、私が近づくと逃げていきます。良かった良かった。引っかかれたりかみつかれるとイヤですからね。

 

猿に話しかけたり写真を撮ったりしながら遊歩道を上っていくと、ある地点から猿の姿は無くなりました。ごく狭い範囲に集まって暮らしているようです。

 


▲カメラのレンズをのぞき込んできた、好奇心旺盛な猿。

 

難しい名前の奇岩群を見ながらなので、趣のない舗装された遊歩道でも楽しく歩けます。
道標には次のランドマークまでの距離も書かれていますし、前のランドマークからの距離や現在見ているランドマークの名前も書かれています。非常に分かりやすくて良いのですが、これは遊歩道だから好印象なだけで、普通の山道にこんなのを立てられると鬱陶しいだろうな。

 


▲寒霞渓の道標の書式は、中央に現在地、左右にそれぞれの方向にあるランドマーク名と距離という形式。

 

10:41
画帖石(地図中「画帖石」)を通過。

 

10:45
あずまや(地図中南側の「あずまや」)を通過。

 

11:00
稜線の車道に出ました。
ここからは車道と平行して走る遊歩道を歩きます。車道に出るとすぐ景色の良いあずまや(地図中北側の「あずまや」)があるので、ここでのんびり休憩しても良いかも知れません。

 

稜線上の遊歩道は東屋の先で二股に分かれています。
左へ進むとそのまま寒霞渓の山頂広場(ロープウェイの山頂駅)、右へ進むと、鷹取展望台経由で山頂広場へ行けます。

 

11:10
鷹取展望台経由で寒霞渓山頂広場に到着。
観光バスや乗用車が何台もあり、特にこれといった見所のない季節なのに、それなりに賑わっています。

 

ここで星ヶ城山への遊歩道を案内図で確認します。
山頂広場東に見えている芝生の斜面の上に鳥居があるのですが、その鳥居が三笠山の頂上のようです。とりあえず三笠山へ登ってみます。芝生の斜面を直登しても良いのですが、小腹が減っていたので、おにぎりを食べながらのんびり歩けるよう、斜度の緩やかな遊歩道で登ることにします。

 


▲寒霞渓山頂から三笠山~星ヶ城山方面へ向かう遊歩道の入口。

 

この遊歩道はいったん北へ進んでから南へ方向を変え、三笠山山頂に向かっています。
遊歩道の入口には鳥居があり、遊歩道に入ってすぐ右手側に経塚があります。さらにその先の右手側にはあずき島神社拝殿(地形図の神社記号)もあります。

 

11:25
三笠山の山頂に到着。
三笠山の山頂周辺は芝生広場になっており、その周囲に円形に道が付いています。芝生広場をそのまま東へ突っ切り、星ヶ城山へ向かう遊歩道に入りました。

 

最初の内こそ擬木の階段が設置された、ちょっとした上り坂でしたが、やがて階段もなくなり、なだらかで広い快適な遊歩道になりました。
簡易舗装だった寒霞渓の遊歩道とは異なり、土の道です。

 


▲三笠山から星ヶ城山へ向かう遊歩道の様子。

 

11:43
星ヶ城神社(地図中「星ヶ城神社」)を通過。

 

この神社を通り過ぎて間もなく、壊れた案内図のある二股の分岐に出会います。
左に行くと、お城があった時代から残る正規ルートで星ヶ城山へ、右へ行くと、城の遺構を見ながら星ヶ城山へ行けます。私はどちらがどこへ通じているのか分からなかったので、とりあえず方角だけを考えて右の道に入りました。

 

空壕や居館跡などを見ながら、快適な散歩を楽しみます。

 

星ヶ城神社の東隣の小ピークに西峰あずき島神社、さらに東のピーク(星ヶ城山山頂)に東峰あずき島神社があります。

 

12:03
ミステリアスな遺構のある星ヶ城山の山頂に到着。

 


▲星ヶ城山山頂の祭祀遺構(?)

 

姫路には名古山という霊園墓地がありますが、そこにある仏舎利塔をミニチュアにしたような形状の遺構(昭和初期のもの)が、なぜか小豆島最高峰の山頂にあるのです。

 

この付近には板状節理で簡単に割れる岩があるので、それを使ったのでしょう。平らな石が積み重ねられて作られています。
各ドーム内には空間があり、何かを設置できるようになっています。上の写真は遺構の背面ですが、正面は南(正確に言うと方位160度)を向いていて、その方向だけは海に向けて展望が開けています。
この遺構を囲むように円形に石畳が敷かれ、石畳は東へ延びているように見えます。

 

見れば見るほど不思議な遺構です。

 

この山頂には、一等三角点(点名:星ケ城山)が埋設されています。
近くには、測量時に建造したやぐら(測標)に取り付けていたと思われる「登るな」という警告板が落ちていました。

 

不思議な祭祀遺構(?)の前でおにぎりを食べ、しばし展望(海しか見えませんが)と遺構の見物を楽しみます。

 

12:20
下山開始。
途中で「西峰」と書かれた道標のある分岐があるので、そちらへ進んでみます。すると、壊れた道標のあった分岐に出ました。こちらの道が正規のルートで、私が登りで歩いたのは後から付けられた道のようです。

 

12:54
三笠山山頂を通過し、芝生の斜面を突っ切って寒霞渓の山頂に降りてきました。

 

ここで土産物店や景色を楽しみながら時間をつぶし、ロープウェイで紅雲亭へ降りました。

 

ロープウェイは片道700円ですが、私はネットの画面をプリントアウトした10%OFFチケットを持っていたので、630円で切符を買うことが出来ました。
ロープウェイは片道5分で、あっという間に紅雲亭に到着。

 

13:55
シマバスに乗って草壁港へ。

 

14:08
草壁港バス停に到着。
次の福田港へ行けるバスは14:52発。フェリーの出航は15:30ですから、ぎりぎりです。15:30のフェリーを逃すと、次のフェリーは17:15です。2時間近くも待ちぼうけを食らわされるのはキツイ。
そこで、草壁港のフェリー乗り場で待機しているタクシーに乗り、福田港へ向かいました。

 

14:45
福田港に到着。タクシー料金はなんと5,250円!参った・・・。
でも、タクシーの運転手さんがいい人で、福田港へ向かう途中、大阪城石切場跡の下にある「八人石」という巨岩を案内してくれました。(タクシーを止めている間、メーターは動かないようになっていました。)

 


▲八人石(上面に切り出し時のくさび跡がある)八人の石工が下敷きになったそうです。

 

15:30
15:20頃から乗船開始。定刻に出港し、定刻通り17:10に姫路港に到着しました。
姫路港からは17:25発の市営バスに乗って姫路駅へ。



船に乗れて、猿に出会えて、見たかった遺構を見られて、ロープウェイに乗れて、タクシーの快適な旅も味わえて、楽しい一日でした。