播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

GARMINのGPS:Colorado300

何年も前からGARMINのMAP60シリーズを愛用していましたが、ついにその後継と思われる最新版ハンディGPS「Colorado」が発売されました。新し物好きの道具マニアである私が買わないはずがありません。
発表されてすぐに予約し、発売後すぐに手に入れることができました。
まだ山で使っていませんが、とりあえずファーストインプレッションとして書かせていただきます。

 

Coloradoシリーズは4種類ありますが、本体に印字されている型番以外、いずれもハードウェアは同一です。
型番と値段の差は、プリインストールされている地図の種類から来ています。
プリインストールされている地図はすべてアメリカ向けなので、日本国内で使う人にとっては、プリインストール地図を省いて値段を下げてあるColorado300が良いでしょう。

 

 

製品名:Colorado300
メーカー:GARMIN(アメリカ)
サイズ:6.0cm x 13.9cm x 3.5cm(カタログ値)
画面サイズと解像度:3.8cm x 6.3cm、解像度240 x 400ピクセル
アンテナ:クアドヘリックス(Quad Helix)
GPSチップ:非公表(ロットによって異なるようです。私のはMediaTek社製チップを搭載しているようです)
重量:206.9g(電池含む)(カタログ値)
電源:単3電池x2本(アルカリまたはニッケル水素)
US定価:$533.32(実売価格は500ドル以下)
国内価格:2008年2月現在、国内の正規販売はなし。並行輸入品を扱うショップで10万円弱

 

前モデルと言える60シリーズからは色々と変わっています。

 

まず目に付くのは、液晶画面上部のダイヤル。
これはロックンローラーと呼ばれており、地図表示画面ではこれを時計回りに回してズームイン、反時計回りに回してズームアウトします。項目選択時は、時計回りで下へ移動、反時計回りで上へ移動になります。
スムーズに回るのではなく、少しだけクリック感があります。

 

ロックンローラー中央のポッチは決定ボタン。決定ボタンの外側にある円形の盛り上がりがカーソルキーです。このカーソルキーで地図のスクロールや項目選択を行います。

 

決定ボタンはクリック感があって押し心地が良いのですが、カーソルキーは硬くて押しにくい。

 

GARMINの設計思想では、本体を片手で握り、親指でホイールとボタンの操作をすることになっているようです。

 

ホイールの左右にあるボタンは、ソフトキー。
これは携帯電話の液晶画面直下にあるボタンと同様に、状況に応じて機能が切り替わります。そのため、ボタンには役割が印字されていません。ボタンの役割は、液晶画面上端に表示されます。

 

使われているGPSチップは非公表。
MediaTek社のチップを使っているのかと思っていましたが、GPSMAGAZINE.COMの情報によると、GARMIN製のGPSチップを搭載しているとのことでした。

 


▲電源ボタンは60シリーズと同様に上面にあります。電源ボタンの右下のゴム製フラップをめくると、ミニUSBポートと外部アンテナポートにアクセスできます。

 

感度はSiRFstar3と変わらない感じです。

 

地図画面ですが、これはキレイです。
解像度が従来モデルと比べて高くなっているので、表示されるアイコンやカーソル、道路の輪郭が綺麗です。

 

画面が大きくなった結果、従来機と同じ倍率で地図を表示しても、より広い範囲を見ることができます。

 


▲MAP60シリーズとColoradoシリーズの解像度比較。同じ場所を表示しています。解像度は、60Cxが160 x 240 ピクセル、Coloradoが240 x 400 ピクセル。 60Cxの方は元々幅が160pxしかありませんが、Coloradoと合わせるために拡大しています。

 

地図を表示している状態でカーソルキーを動かすと、右上に「DONE」が表示されます。これ(右ソフトキー)を押すと、地図でどこを表示していても、すぐに現在地表示に戻れるのも便利。

 

現在地以外にカーソルを合わせて決定ボタンを押すと、その場所の座標や標高、現在地からの距離が表示され、再度決定ボタンを押すと、その場所へのナビゲーションが開始されます。

 

操作体系は大きく変わっているので、従来機の操作に慣れている人にとっては、最初は手こずるかもしれません。

 

操作体系の違いですが、従来機にあったページボタンやメニューボタンがColoradoにはありません。
ページボタンの代わりに、常に画面右上に「Shortcuts」ボタンが表示されています。これを押すと、各種機能のアイコンが表示されます。ロックンローラーを回してアイコンを選び、決定ボタンで目的の機能へ行けます。

 


▲Shortcutsソフトキーを押してメニュー画面を表示したところ。目的の機能にたどり着くにはロックンローラーをどちらへ回せばよいのか、一目で分かります。

 

最初は、トラックログをクリアすることすら困りました。どこから「Track」メニューに行けるのか分かりません。
トラックログのクリアは、「Shortcuts」→「Setup」→「Tracks」→「Options」とたどってクリアします。(「Options」が、従来機の「Menu」ボタンに相当します。)

 

便利なのは、「Shortcuts」を押した時に表示される画面で、ロックンローラーに割り当てるアイコンを自分で選べるところ。データ表示画面で表示項目を選択することは従来機でも可能でしたが、メニュー画面の構成までカスタマイズできるのは、Coloradoシリーズが最初ではないでしょうか。
初期設定ではメニュー画面(Shortcuts画面)に何通りかのパターンがあるのですが、自分で一からパターンを作ることができるので、自分に必要なアイコンだけを並べ、すばやく操作できるシステムを作れます。

 

Coloradoには紙の取扱説明書が付いていないので適当に触りながら覚えましたが、面倒でも付属CDから取説のPDFファイル(日本語版はありません)を見て勉強することをお勧めします。操作を習得するには、結局そうするのが一番の近道です。
従来機の取説よりもページ数が少ないので、一通りすべてを読んでも大して時間はかかりません。

 

感度は従来通り素晴らしく、画面は大きく見やすくなり、従来どおりアップアップダウン製作所の地図が使用でき、カスタマイズできる項目が増えて、良いことずくめですが、実は大きな問題点があります。

 

それは、パソコンと接続したときの動作です。
従来機は、パソコンと接続したままの状態でも各種操作が行えていました。しかし、Coloradoはパソコンとつないだ途端、画面にパソコンの絵が表示され、何の操作も受け付けなくなります。

 


▲Coloradoをパソコンにつないだときの画面表示。(この画面はキャプチャ出来なかったので、スキャナで読み取りました。)

 

この状態では、Coloradoは2つのリムーバブルディスクとしてパソコンに認識されます。(本体内蔵メモリが一つ目、本体スロットに挿したSDカードが二つ目のリムーバブルディスクになる)

 


▲Coloradoは2つのリムーバブルディスクとして認識されます。(赤丸で囲んでいるのがColoradoの内蔵メモリとSDカードスロット)

 


▲ちなみに、Colorado本体メモリ内はこのようなフォルダ構成です。言語ファイルはXML形式なので簡単に編集できますが、Coloradoは2バイト文字の表示に対応していないようで、2バイト文字を入れた部分はColoradoでは空白になってしまいます。やはり日本語化は無理か。

 

単なるリムーバブルディスクがパソコンに接続されているだけなので、カシミールではColoradoを認識してくれません。

 

Coloradoに付属しているTrip & Waypoint Managerソフトウェアでは問題なくトラックログやウェイポイントのダウンロード、アップロードができるので、歩いたルートをパソコンに保存しようと思うと、いったんこのソフトウェアでトラックを読み込んだ上で拡張子が「gpx」のファイルとして書き出し、それをカシミールで読み込む、あるいは直接本体メモリ内のGPXファイルを読み込む必要があります。。

 

Coloradoの売りとして3D表示機能もありますが、アップアップダウン製作所の地図では「データ不足」ということで3D表示ができませんでした。でも、実用性のない機能なので、使えなくても一向に構いませんが。

 

私の主観によるColoradoの長所と短所を書いておきます。

 

長所:
・アップアップダウン製作所の地図データが使える。
・ロックンローラーの操作は、思っていたより使い心地が良い。特に地図のズームイン・ズームアウトは楽ですし、旧機種ではカーソルキーでちまちまやっていた文字入力も簡単。ホイールを回して文字を選び、決定ボタンで入力。昔あったダイモ(Dymo)みたいな操作。
・液晶画面が美しく、表示領域も広い。
・通常サイズのSDカードを使うため、多くの人の手元に余っているであろうSDカードを使える。持っていないとしても、通常サイズのSDはmicroSDに比べて安価。1GBあれば、日本全国の地図データが収まります(アップアップダウン製作所の地図の場合)。
・GARMIN製ハートレートモニターが使える(心拍数を表示可能)。自転車のケイデンスセンサーも使用可能。
・GPSと連動する(高度補正を自動的にしてくれる)気圧高度計を内蔵している。
・機能を考えるとちょうどよい価格設定。プリインストール地図を省いた安いモデル(Colorado300)があるのが嬉しい。

 

短所:
・従来モデルと筐体が大きく変わっているので、従来モデル用アクセサリがまったく使えない。
・2008年2月時点では、カシミールが対応していない。
・電池の持ち時間が従来機種よりも短い。
・電池ボックスの蓋の脱着が大変(硬いので力が必要)。
・最新型なのに、USB1.1。

 


▲苦労して電池蓋をはずした状態。

 

カシミールに対応していない点と、今まで集めていたアクセサリ類が何も使えないのはつらいですが、純粋にハンディGPSとして評価するなら非常に良い製品だと思います。

 

日本語版が出るとしたら、今までの製品の英語版と日本語版の価格差から計算すると、Colorado300の日本語版は15万円くらいになるでしょうね。

 

Coloradoが欲しいけれど「とにかく英語が嫌い」という人は、がんばってお金をためておく必要がありそうです。