播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

再利用可能なカイロ「EZ HEAT」

いつものように海外のアウトドアショップのWebサイトを閲覧していてたまたま見つけたカイロを紹介します。

 


メーカー:PRISTECH Products, Inc.(アメリカ)
製品名:EZ Heat Reusable Hand Warmer
重量:約100g
US価格:$4.95

 

12 X 9cm程度の大きさのビニールパックで、中には透明な液体と薄い円形の金属板が入っています。

 

この金属板をビニールパック越しにつかみ、何度か曲げてやると、突然中の液体が固まり始め、発熱します。

 

この製品を紹介しているサイトを見ると、持続時間が1時間半と書かれていますが、かじかんだ手を温められそうな温度は30~40分程度しか持続しません。
(注:冷えた手で触っていると、かなり早く冷めてしまいます。ポケットの中に入れておいた方が、多少は長持ちするようです。30~40分以降も、かなりぬるいですが発熱は持続します。1時間を過ぎた頃、常温に戻ります。周囲の気温などの影響を大きく受けそうなので、あくまでも目安としてとらえて下さい。)

 

今の時期、山歩きの昼食時など、体温が下がって寒くなったときだけ使えれば良いという場合にはちょうど良いかも知れません。

 

製品名ではReusableとなっています。つまり、何度も使用できます。
使用後のEZ Heatは、ビニールパックの中の液体が完全に白く結晶化した状態になっています。これをハンカチやタオルなどで包み、沸騰したお湯に入れて10分ほど煮込むと、白い結晶が元通り透明な液体に戻ります。
(私は試したことがありませんが)山の場合は、レトルトパックなどを茹でるときに一緒に加熱して再使用できるかも知れません。

 

ビニールパックの中に入っている液体の正体は、酢酸ナトリウム(food grade sodium acetate)と水です。
化学に詳しい方ならどういう原理で発熱するのか分かるのでしょうが、100%文系の私には何も分かりません。

 

この金属板を曲げて結晶化させる方法については、メーカーがアメリカで特許を取得しています。特許番号を米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office)のサイトで検索してみました。

 

それによると、金属板にはスリットがたくさん入れられており、金属板を曲げることでスリットの両側の金属面どうしが擦れ合い、発生した微細な金属粉が結晶を作る為のきっかけとなり、発熱を伴う結晶化が始まるのだそうです。

 

詳しく読んでみると、この手のカイロは昔からあったようですが、結晶化をスタートさせるための金属部品に問題があることが多く、このメーカーが特許を取った方式であれば、確実に結晶化させることができるようです。

 

使い捨てカイロと違ってゴミは出ないし、プラチナ触媒を使うタイプのカイロと違って作動させるのに道具は必要ないし(プラチナ触媒のタイプは使用開始時にライターが必要)、電池式のカイロ(家庭用コンセントからでないと充電できない)と違って山の上でも蓄熱出来ます。

 

安いので私は3つ買いました。海外からの輸送で乱暴に扱われたにもかかわらず、結晶化せずに液体の状態のまま届いたので、ザックの中で勝手に発熱する可能性は少なそうです。

 

(実用的な温度の)持続時間が1時間にも満たない、やや重いという2つの点を除けば、なかなか優秀な道具です。
持続時間の短さは、使い道を絞る(山行の昼食時のみ、通勤時のみetc.)ことで解決できそうですが、重量と使用後毎回茹でる手間はどうにもなりません。