今回紹介するのは、実用性を無視して単におもしろそうだから買っただけというシロモノです。
その名も「EMERGENCY POCKET SURVIVAL KIT」。コンパスや光学機器を作っているBrunton社の製品です。同社のサイトを見ても掲載されておらず、もう製造されていないような感じです。
「世界最小のサバイバルキット」という宣伝文句をどこかで読んだ記憶があるのですが、別の製品だったかな。
上の写真のような製品で、大きさと厚さはクレジットカードと似たようなもの。これがポケットサバイバルキットの収納ケースになっています。裏には氏名、血液型、アレルギーについて自分で記入するスペースが設けてあります。
ケースの中には、細かい文字(もちろん英語)がびっしり印刷されたプラスチックのシート3枚と、カードサイズのレンズが1枚入っています。
レンズとプラ板でどうやってサバイバルが出来るのでしょうか?
プラ板に書かれている文章をじっくり読んでみましょう。
プラ板に書かれている文章をじっくり読んでみましょう。
まず書かれているのは、特殊部隊や軍のパイロット向けサバイバルマニュアルには必ず紹介されている「ソーラー・スティル」です。
ソーラー・スティルとは、地面に穴を掘り、穴の底に適当な容器を置いてから穴をシートで覆い、シートの中央におもりを載せれば、地面から蒸発した水分がシート下面に付着し、おもりで沈んだ部分に水滴がたまって落ち、容器に水が貯まるというものです。地面が乾燥している場合は、穴に小便を入れて蒸留することも出来ます。
と言われても・・・
体力を温存しないといけないサバイバル状況下で、日当たりの良い場所で穴を掘るのはどうかと思いますが・・・。それに、苦労の割に得られる水の量が少なそう。
と言われても・・・
体力を温存しないといけないサバイバル状況下で、日当たりの良い場所で穴を掘るのはどうかと思いますが・・・。それに、苦労の割に得られる水の量が少なそう。
次が水の浄化方法。20分煮沸して30分置けと書かれています。サバイバルの状況下で水を20分も煮沸出来るのでしょうか?疑問です。燃料がもったいない。
どんどん行きましょう。
シェルター、つまり風雨をしのぐための方法です。避難する人数がぎりぎり収まる広さで、開口部が雨や雪、その他自然災害の影響を受けにくい方向を向いた場所を見つけろ等々と書かれています。特に言われなくても分かってることですね。
シェルター、つまり風雨をしのぐための方法です。避難する人数がぎりぎり収まる広さで、開口部が雨や雪、その他自然災害の影響を受けにくい方向を向いた場所を見つけろ等々と書かれています。特に言われなくても分かってることですね。
次は救難信号。
木の下など、熱で雪が落ちてきそうな場所を避けてたき火をしろ、3つのたき火を三角形に配置すれば、国際救難信号で遭難していることを表すメッセージになると書かれています。
木の下など、熱で雪が落ちてきそうな場所を避けてたき火をしろ、3つのたき火を三角形に配置すれば、国際救難信号で遭難していることを表すメッセージになると書かれています。
次から文章に番号が振られています。
ここからは内容を省略して概要だけ書いていきます。
1.ショック症状への対処法
2.人工呼吸
3.心臓マッサージ
4.止血
5.やけどへの対処
6.窒息(のどに何かが詰まった場合)の対処
7.骨折への対処
8.脱臼への対処
9.熱中症への対処
10.低体温症への対処
11.腹部創傷への対処
12.凍傷への対処
13.高山病への対処
14.蛇に咬まれた場合の対処
ここからは内容を省略して概要だけ書いていきます。
1.ショック症状への対処法
2.人工呼吸
3.心臓マッサージ
4.止血
5.やけどへの対処
6.窒息(のどに何かが詰まった場合)の対処
7.骨折への対処
8.脱臼への対処
9.熱中症への対処
10.低体温症への対処
11.腹部創傷への対処
12.凍傷への対処
13.高山病への対処
14.蛇に咬まれた場合の対処
この次に、対空信号が5種類(1.重傷者有り、医者を求む 2.医療品を求む 3.移動不可能 4.水と食料を求む 5.この方向へ移動する)説明されています。
以上の内容が2枚のプラ板に書かれています。残り1枚のプラ板には何が書かれているかというと、実は片面がコンパスになっています。
コンパスといっても、手のひらに水をため、そこに小さな丸い板を浮かせると北を指すという原始的なもの。このタイプのコンパスは、その昔、忍者が使っていたらしいですね。
ところで、サバイバル環境で水が貴重なときに、水を使わないと使えないコンパスが役に立つのでしょうか?
ところで、サバイバル環境で水が貴重なときに、水を使わないと使えないコンパスが役に立つのでしょうか?
このプラ板の反対面には、食べ物と飲み水についてコメントが書かれています。
食べ物:元気な鳥や小動物はたいていの場合食べられる。食用に適するか不安な場合は、少量ずつ1~2日かけて食べろ。エネルギーと食料は無駄遣いするな。
水:とにかく貴重なので無駄遣いするな。日陰を探し、水を節約できるようつとめろ。服は脱ぐな。移動は最小限。早朝や夕方に群れで飛んでいる鳥は水を飲みに行っているので、後を追えば水が見つかるかも。尿や海水は飲むな、等々と書かれています。
以上が3枚のプラ板の内容です。
では、レンズは何に使うのでしょうか?
実は、3枚のプラ板に書かれている文字が非常に小さいので、それを拡大して読むために使います。
他に、火熾こしにも使えるらしいです。(本当かな?)
他に、火熾こしにも使えるらしいです。(本当かな?)
数ドルで売られているのでシャレで買ってみましたが、何だかなぁ。サバイバルキットと呼ぶには貧弱すぎる内容です。
だから製造中止になってしまったのでしょう。
だから製造中止になってしまったのでしょう。
サバイバルキットと称する物はいろいろと売られていますが、外国製の物は釣り道具やワナを作るための道具類が入っています。しかし、日本の低山では生き延びるための道具(釣り道具etc.)よりも、見つけてもらうための道具(シグナルミラーetc.)の方が役に立ちそうな気がします。