播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

トランシーバー

この記事に掲載されているトランシーバーは「旧スプリアス規格」に基づいて製造された製品であり、2022年11月30日も継続して利用するためには、所定の手続きを踏む必要があります。
そのため、当ブログ管理人はこのトランシーバーを廃棄し、「新スプリアス規格」に対応したトランシーバーに買い換えています。
※スプリアスとは通信に必要のない漏れ電波のことで、旧スプリアス規格の無線機器は他の通信に影響を与えるおそれがあるため、使用が禁止されます。
 
集団で山歩きをするとき等に便利ではないかな、と思って購入した特定小電力(略して特小)トランシーバーを紹介します。

 

私が持っているのは、ALINCO(日本)製のもので、「DJ-P20」という製品です。
某雑誌の比較記事で、特小トランシーバーの中でもっとも電波の飛びが良かったこと、そして送信時に赤ランプが点灯する(本格的な無線機と同じ)、ということでこの機種を選びました。

 

私はアマチュア無線などの免許を持っていないため、特定小電力トランシーバーしか使えません。
(追記:2007年3月16日付けで第四級アマチュア無線技士免許を、2007年4月6日付けで無線局免許状を取得しました)

▲アンテナを収納した状態です。

 


▲アンテナを出すとこのようになります。写真ではわかりにくいですが、裏面にはベルトクリップが付いています。

 

1台だけだとどうにもならないので、2台購入しました。

 

しかし、ほとんどいつも単独なので、山歩きで使ったことはありません。宝の持ち腐れになっています。
一度山の中で使い、どのような地形でどのくらい電波が届くのか確認しないといけないと思っているのですが、なかなか機会がありません。

 

2006/8/29追記:
実際に山で試す機会があったので結果報告。相手が見える場合(間に尾根がない場合)は、問題なく会話が出来ました(試した距離は、地図上で直線距離約650m)。
ところが、相手が見えない位置にいると(尾根を一つでも挟んでいると)直線距離が短くても全く通じませんでした。
稜線に出てからでないと、思ったほど役に立たないようです。

 


最近の人(特に若者)たちは、無線機の操作がうまく出来ないことが多いです。(アルバイトをしていたときの経験から書いています)

 

話す間だけボタン(PTT:Press To Talkボタン)を押すという単純な操作ですが、携帯電話になれてしまった現代人は、ずっとボタンを押しっぱなしにしたり、相手が話している途中でボタンを押して話したり、まともに無線機を使えない人が多いようです。

 

初めてトランシーバーをさわるという方は、念のため少し練習をした方が良いかも知れません。

 


 

私はほとんどの場合単独で歩いていますが、人気のある山だと集団で登山している人たちを多く見かけます。

 

しかし、そういった人たちが携帯電話以外の通信手段を持っているのは、ほとんど見たことがありません。(バックパックの中に無線機を入れているかも知れませんが・・・。)

 

人数の多い集団だと、足の速い人と遅い人との距離がかなりあいています。そして、山頂に着いた足の速い人たちは、足の遅い人たちがいつ山頂に到着するのかまったく分からず、記念撮影の準備をしてイライラしながら待っている光景を目にします。

 

また、バテて動けなくなった人を1人登山道に残して山頂を目指したグループで、残された人が不安に駆られて不用意に動き回り、滑落や道迷いを起こした事例もあるようです。

 

それに対し、夫婦2人だけの場合でもそれぞれがトランシーバーを持っているハイカーもいます。
遊園地でアルバイトをしていた頃は、お客様で1人1台ずつトランシーバーを持っている家族も見かけました。

 

離ればなれになった集団同士でお互いの位置や状況を確認するために、1グループに2台あれば便利じゃないかなと思います。



山歩きに限らず、何台かの車でドライブに出かけるとき(あるいは山へのアプローチ時)も便利です。ジェスチャーやクラクション、パッシングなどで仲間の車に合図を送る代わりに、会話で相手とコミュニケーションできるわけですから、携帯電話と違ってお金もかからず、ジェスチャーなどの合図と違って伝えたいことを確実に伝えられます。(トランシーバーも携帯電話と同様、運転手は操作しないでください。)

 

説明書によると、特定小電力トランシーバーの電波が届くのは高速道路上で500~800メートル、市街地では100m~300m、見通しの良い場所(スキー場のゲレンデなど)では2~3kmだそうです。

 

特定小電力トランシーバーは、本格的な無線機と違って電波を発射するのに免許は必要有りません。法律上は誰でも使えます。免許や届出は必要ありません。
そのため、工事現場やファーストフード店、大型の量販店などでよく使われています。
(家族が友人とドライブに行くというのでトランシーバーを貸しましたが、かなり役に立ったと喜んでいました。ただ、「時々どこかの店員同士の会話が聞こえることがあった」と言っていました。)

 

免許が必要ないのは、電波が弱いからです。
出力の高い本格的な無線機は広範囲に電波をまき散らすことになる(影響を与える範囲が広い)ので、法律や無線機、電波についての正しい知識を持った人に操作させるのが一番安全です。そのために免許制度があります。

 

特定小電力トランシーバーは名前の通り電力(出力)が小さいため、電波の届くエリアが小さく、他の重要な電波に影響を与えにくいということで、免許なしで扱えることになっています。

 

オークションやその他の通販サイトでは、外国製の「よく飛ぶトランシーバー」が売られています。
これらは送信出力が高く、確かに電波がよく飛ぶようです。しかし、使用する周波数や送信出力が日本の電波法の規定から逸脱しているので、こういった「怪しい」外国製トランシーバーを日本国内で使用すると、電波法違反になってしまいます。

 

総務省は「電波監視システム(DEURAS)」を使って不法無線局を取り締まっていますので、「使ってもバレないだろう」と安易に外国製トランシーバーを使っていると、ある日突然摘発されることになるかも知れません。
移動しながら通信しているトラックなどの違法無線の摘発も多いので、「毎回使う場所が変わるから大丈夫」という考えも通用しないでしょう。

 

(某大手検索サイトのスポンサーリンクに、「21km飛ぶトランシーバー」なんていう文言がありました。クリックして内容を確認してみましたが、外国製の無線機(日本の電波法で認められていないタイプ)でした。「免許がなくても買える」なんて書かれてましたが、確かに、買うだけなら免許もなにも要りません。何も知らずに買ってしまう人がいるんでしょうね。)

 

ちなみに、電波法に適合しないトランシーバーを使用して捕まった場合(電波法違反・無線局の不法開設になった場合)は、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科されます。

 

このような“使うことが違法な”トランシーバーを扱っているお店では、「使う前に電波法を各自で調べてください」とか、「電波法に関する質問にはお答えできません」という内容の文言が書かれていることが多いです。
こういったお店は、まだそれらのトランシーバーが日本国内で使えないことを分かっている(あるいは、そのことを暗に買い手に示している)のでまだマシですが、そういった文言すらないお店もあります。

 

日本国内で電波法に違反せずに使用できる特定小電力トランシーバーの送信出力は、カタログ値で「10mW」です。
それ以上の数字が書かれていたり、通信できる距離が前述した数値よりも大きい物は、特定小電力トランシーバーでない可能性があるので、購入しないようにしましょう。

 

要するに、信頼できるメーカーが「特定小電力」として販売しているトランシーバーであれば、無線の免許や資格の有無に関係なく、合法的に使用できるということです。
トランシーバーを買うときは、信頼できるお店で購入しましょう。
くれぐれも、安さにつられて通販の怪しい無線機を買わないでください。