播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県姫路市のとんがり山


今日は夕方から出かける用事があるので近場の低山を歩こうと思い、伊勢山へ行くつもりで準備をしました。

出かける前にカシミールで作った地形図を眺めていると、ふと「峰相山」が目に留まり、急遽予定を変更して峰相山へ行くことにしました。

伊勢山は何度か登ったことがあるのですが、私にとって峰相山は未登です。しかも、国道29号線を走っているときに目に付く「とんがり山」に登りたいと思っていたので、峰相山ととんがり山(峰相山の南西1.2kmほどの256.7mピーク付近)を縦走することにして家を出発。(8:20)

 

姫路から国道29号線を西進し、「石倉」交差点を右折(Uターンに近い角度です)してパステルブルーの橋を渡ります。
すぐに左手側に神社(地形図にも記載されています)が現れるので、この神社の東側にある、北へ延びる細い車道へ入ります。

 

峰相山大池の横を通り過ぎたところに登山者用の駐車スペースが用意されているので、ここに車を止めて準備を整えます。

 

8:58
駐車場を出発。北へ延びる舗装林道を歩いていきます。

 

9:01
数百メートルほど歩くと、右手側に「石倉峰相山寺連景図」と書かれた展望図が現れました。
予定では、この林道を上り詰めて谷筋を登って峰相山→鶏足寺跡→とんがり山→正規の登山口へ下山というコースを歩きます。谷の奥には観音堂があるようなので、きっとその裏手から道が続いているはず(勝手な予想です)。

 

9:02
峰相山登山口前を通過

 

アスファルト舗装のきれいな林道を歩いていると、白い花が一輪だけ咲いているのを発見。これはササユリ?

 

9:07
「峰相森林公園」と書かれたゲートを通過。このときは地元の方が草刈り作業をされていたので開放されていました。地元の方と会釈を交わしてさらに北へ進みます。

 

9:10
竹炭製作体験用の釜の前を通過。
ここからはアスファルト舗装の林道が簡易舗装に変わります。

 

9:19
林道の終点に到着。「開山堂」と書かれたお堂があり、自動車が数台止められる広場があります。

 

ここで今日一日の安全をお願いして登山開始。

 

9:22
手すり付きの石段を登り切った所に観音堂があります。ここから北へ登らなくてはいけませんが、防獣ネットが張られているため谷を登ることが出来ません。しかし、ネットの向こうに伐採された木材があるので、どこかからネットをくぐれるはず。辺りを探すと、観音堂の右奥に開閉部分がありました。

 

9:30
開閉部をくぐり抜け、ネットに沿って右へ進みます。最初は登山道らしい道でしたが、だんだん草が多くなり、標高200m付近で膝丈の笹藪になってしまいました。(9:43)トラロープが張られているので、かつては登山道だったのでしょう。

 

まっすぐ北へ登ると雑木藪で大変そうなので、西側のまばらな雑木林の中を登ることにします。道はありませんが、高い方へ登ればやがて稜線上の道に出会うはず。

 

9:52
正規の登山道と合流。峰相山の南西250mの鞍部近くに出たようです。ここから北東へ歩いてみます。

 

曇っているせいか薄暗く、不気味な雰囲気です。石がゴロゴロ散らばっており、かつては大規模な建物群があったことを思わせます。

 

9:58
派手な色で行き先が書かれた道標に出会いました。右側を見ると、祠があります。あれが鶏足寺跡地でしょう。

 



2007/1/5追記
鶏足寺についてWebで調べても、何も情報が出てきません。どうしたものかと図書館に行ったところ、姫路市史の第3巻に鶏足寺について次のような記述がありました。
 峯相山鶏足寺は、姫路市太市の石倉に寺跡があり、伊勢と打越の両地域にまたがる峯相山に、面積約30ヘクタールに及ぶ播磨の国随一の大伽藍であった模様であるが、当時に関する記録・資料類等は皆無で、その全貌を知ることができない。ただ、「峯相記」に記されたものによって、わずかにその縁起・盛衰の一部を知ることができる。

 

峯相記に書かれているとされる内容を要約すると、次のようになります。
鶏足寺が栄えていたのは西暦767~770年頃で、このころは金堂・講堂・法華堂・常行堂・五大尊堂・鐘堂・一切経堂・勧請神・九所社壇・五重・三重塔2基・宝蔵1宇・僧坊300があった。さらに、別院として太市の観音寺・根本寺があった。
およそ100年後の貞観の頃からすたれた。
性空上人も一夏を峯相山で過ごした。
貞和4年(1348年)にはわずかな建物が残るだけになっていた。
中国征伐にあたっていた秀吉に従わなかったため、天正6年(1578年)8月、太市の郷民に宿坊の焼き討ちが命じられ、全山焼失した。それ以来、再興されることはなく廃寺となった。
追記ここまで

 

10:00
鶏足寺跡地には小さな祠がいくつかあり、建物の土台だったと思われる石が散らばる小さな広場です。

薄暗くて何とも不気味だと思っていると、雨が降ってきました。道理で暗いわけです。

 

10:02
鶏足寺跡を後にして、来た道を戻ります。本格的に雨が降り始める前に下山したいので、峰相山へ行くのはやめにしました。

 

10:10
藪からはい出て道と出会ったところまで戻りました。
ここから先は不気味な雰囲気がない、明るい雑木林の中の道です。

 

10:17
峰相山の南西550m付近にある標高250+mの小ピークでは道が分岐しています。道標があり、北へ向かう道を指して「大黒岩」と書かれています。いつの間にか雨もやんでいるし、どんな岩なのか興味があるので見に行ってみます。

 

10:19
大きな岩がそそり立っており、その手前に大黒岩と書かれたプレートが設置されています。ここからは北方面の展望が楽しめます。岩に登ればもっと景色が良いのでしょうが、危ないので登りませんでした。

▼大黒岩から北方面の展望です。

登山道に戻り、とんがり山へ向けて南西へ進みます。大黒岩を過ぎた辺りから、登山道の左右にシダが目立ってきます。

 

10:45
256.7m三角点ピークの一つ手前のピークに到着。ここからは、とんがり山が双耳峰になっているのがよく分かります。(奥がとんがり山、手前が三角点ピーク)

 

10:52
少し下って登り返すと、256.7m四等三角点ピーク(点名:下伊勢)です。残念ながら雑木のため南西方面の展望しかありません。
少し景色を楽しみ、記念撮影をしてからとんがり山へ向かいます。

 

10:58
とんがり山に到着。ここにも三角点標石がありますが、これは公共測量用の図根三角点なので、基本測量の三角点しか掲載しない国土地理院の地形図には載っていません。
こちらの方が三角点ピークよりも景色がいいです。

 

残念ながら、せっかくやんでいた雨がまた降り出してきました。遠くはかすんでしまいましたが、今まで飛び回っていた虫がいなくなったので快適です。小雨に打たれながらカロリーメイトを食べ、記念撮影を済ませて下山開始。

 

11:07
下山開始。南西方向にロープが張られた急斜面がありますが、どこへ続いているのでしょうか。国道29号の方へ下りてしまうと困るので、南西の斜面を無視して南へ進みます。すると、こちらもロープが張られた急斜面になります。

 

標高200m付近までは、トラロープを手すり代わりにして下る激下り斜面です。

 

斜面を下っているときにふと顔を上げると、少し先に丸い岩峰の先端が見えました。あれが神岩かな。

 

11:19
神岩に到着。ここもなかなかの展望です。景色を楽しみながらしばらく休憩。

 

11:41
調子よく斜面を下っていると、古びた「展望台」と書かれた板を発見。162mピーク北の鞍部です。展望はありませんが、以前は見晴らしが良かったのでしょうか。

 

ここから東へ雑木の斜面(正規の登山道)を下っていきます。少し急な所もありますが、張られているトラロープを使うことなく下れます。
左前方にきれいな竹林が現れると、登山口はまもなくです。

 

11:58
登山口に到着。後は駐車場まで舗装林道を歩くだけです。

 

最初の藪こぎは予想外でしたが、低山の割りに歩き応えがあり、適度に展望も楽しめました。
それにしても、とんがり山の南斜面を登るのは大変そう。

 

蚊とヒルはいませんでした。クマバチが多くいましたが、登山道でホバリングしているクマバチは雄なので刺されることはありません。