播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ナビゲーションの基礎:コンパスで進むべき方位を知る

実は子供の頃、山の中で道に迷い、私を山に連れて行ってくれた祖父や、当日その山に居合わせた多くのハイカーの方々に迷惑をかけてしまったことがあります。

それがトラウマになっているのか、山の中では常に現在地が分かっていないと不安で仕方がありません。

そんな心配性なハイカーは私だけでしょうが、今週もコンパス操作の記事を掲載します。

コンパスを使って進むべき方位を知るための使い方を説明します。

サンプルとして、今回も先週に引き続き明神山(兵庫県)の地形図を使っています。

今、明神山山頂にいてAコースへ下るところだとしましょう。
Aコース以外から登ってきた場合で、Aコースを歩いた経験が無い場合には、どちらへ行けばAコースに行けるのか悩むかも知れません(実際は道標がありますが)。山頂からどちらへ進めばAコースの尾根に乗れるのか知るための操作を説明します。

明神山Aコースは、図1、図2の中で赤破線で示されています。

(1)地形図上にコンパスを当て、コンパスの側面(定規になっている部分)をAコースのある尾根と平行にします(図1)。尾根は直線ではないため、完全に平行にすることは出来ません。おおよその方向を合わせるだけで十分です。



(2)コンパスのダイヤルを回し、ダイヤル内の直線が地形図上の磁北線と平行になるようにします(ダイヤル内に印刷されている赤い矢印が北を向くようにする必要があります)。このとき、磁針が指している方向は無視して下さい(図2)。



(3)コンパスを体の前に構えて体の向きを変えていくと、やがて磁針とダイヤル内の線が同じ向きになります。磁針の赤い部分と、ダイヤル内の赤い矢印が同じ向きになるようにしてください(図3)。



(4)この状態で、プレートの大きな矢印が指しているのが進むべき方向です。

道標が完備されていなくても、自分が歩くルートを地形図上でイメージできていれば、この方法で迷わず進めます。(尾根がカクカクと折れ曲がっていたり分岐が多い場合は、折れ曲がっている箇所や分岐点で進行方向を設定し直す必要があります)

上の操作を逆に行うことで、今自分がいる尾根や谷の向きを知ることが出来ます。それを利用すると、今いる場所の地形と地形図を見比べることで、現在地を大まかに知ることも出来ます。

具体的には、(a)コンパスのプレートにある矢印を自分の進行方向に向け(b)ダイヤルを回して磁針とダイヤル内の線を平行にし(c)コンパスを地形図の上に置いてダイヤルの線と磁北線を平行にし(d)コンパスを平行移動して、コンパスの側面と平行になる尾根(あるいは谷や道)を探す、という手順になります。

カーブが多いコースの場合、進んでいる方向が分かれば、おおよその現在地をつかむことが出来ます。

ただし、(a)で言う進行方向とは、尾根や谷の方向です。つまり、目の前の道の方向を意味しているわけではありません。

最初は失敗して現在地を誤って割り出したり、コンパスのダイヤルの操作を間違えて180度正反対の方向を向いてしまうかも知れません。歩き慣れた山で、自信がつくまで練習することをおすすめします。